銀粉で輝く! ハーゲンダッツが冬に高級アイスを出す理由

銀粉で輝く! ハーゲンダッツが冬に高級アイスを出す理由

2016.11.29

ハーゲンダッツ ジャパンは11月29日より期間限定で「ハーゲンダッツ Spécialité(スペシャリテ)『ピスタチオ ベリー』」を発売する。ハーゲンダッツのカップ製品はミニカップで272円(税別)、和素材をふんだんに使ったジャポネシリーズの場合で税別価格は300円台後半と、アイス製品において決して安くない部類に入る。しかし、今回発売のピスタチオ ベリーの価格はそれらを上回る416円(税別)だ。冬場はアイスクリームの販売にとって不利な時期。寒い時にあえて高額な商品を発売する同社の真意とは?

ハーゲンダッツ Spécialité(スペシャリテ)「ピスタチオ ベリー」

あくまで高級にこだわった商品

今回発売されるピスタチオ ベリーは一品で多彩な味わいが楽しめるのが特徴だ。風味豊かなピスタチオアイスクリームをメインに、4種のベリーをブレンドしたソース、まろやかで香ばしい味わいのブロンドチョコレートアイスクリームが3層で組み合わせられている。

ピスタチオといえば高級パティスリーで使われることが増えており、スイーツの素材として注目度の高いナッツ。ハーゲンダッツ ジャパンによると、お客さんからピスタチオを使ったアイスクリームについての問い合わせを受けることが多かったという。また同社の調査で、ピスタチオを使用したスイーツは魅力的と答えた消費者が88%と高い割合でいたことも今回の商品開発につながったようだ。

高級なスイーツ食材としてピスタチオへの関心が年々高まっている

アイスの表面には雪をイメージした銀粉と粉糖をトッピング。パッケージデザインもファセットカットをモチーフとした蓋と宝石をちりばめたようイメージのカップとなっており、味はもちろん見た目の高級感にこだわったという。

さらに発売にあたってホテルとのコラボレーション企画も発表した。

ホテルのレストランでも提供される味がコンビニでも

ハーゲンダッツ ジャパンは今回のピスタチオ ベリーの発売において、ウェスティンホテル東京と提携。同ホテルにある「インターナショナルブッフェレストラン ザ・テラス」のディナーブッフェでピスタチオ ベリーを使ったオリジナルデザートプレートを12月9日まで提供する。同社のマーケティング本部・福村沙由里氏は「Spécialitéが目指す贅沢で特別な世界観にピッタリの場所でご提供できることを非常にうれしく思っています」と話す。

もともと今のハーゲンダッツにおける強みは、パティスリーレベルのアイスがコンビニでも購入できる点。かつてはハーゲンダッツも直営店での販売だったが、店舗を使っての販売となるとお客さんにお店まで来てもらわないといけない。しかし、コンビニ販売の場合だと休み時間や仕事の後などに寄って気軽に買ってもらえるというメリットがある。自分へのご褒美として会社帰りに購入したという方も少なくないだろう。もちろん、ピスタチオ ベリーもコンビニでの販売だ。

そんなハーゲンダッツのアイスがホテルで提供されるのは不思議に思えるが、今回のコラボレーションが示すのは、ホテルのレストランも認めたハイクオリティの商品がコンビニでも購入できるということ。ハーゲンダッツ Spécialitéにとって強いブランド力をもたらし、手軽に美味しいアイスクリームを食べたいと考える消費者に対して大きな訴求ポイントになるだろう。

インターナショナルブッフェレストラン ザ・テラスのディナーブッフェで出されるピスタチオ ベリーを使ったデザートプレート

そして気になるのが発売時期だ。なぜハーゲンダッツ ジャパンは、コラボを行なってまでプレミアム感を出した新商品をわざわざアイスクリームの売り上げが落ち込む冬に投入しようと思ったのだろうか。

冬に高級感のある製品を発売する理由

アイスクリームのニーズが高まるのは夏期だと誰しもが考えるところ。実際、総務省家計白書の「1世帯当たりのアイスクリーム支出金額」の2015年度では、8月が1,384円と突出しており、11月は478円、12月は581円と寒い時期は落ち込んでいる。もちろん高級さで消費者の関心を引き付けて購買に結び付けたい、という見方もできるだろう。

しかし、ハーゲンダッツ ジャパンは違った角度から消費者の購買動向に関する分析を行なっていた。キーワードは「贅沢」と「手みやげ」だ。同社は全国の20~39歳の男女600名を対象にしたアンケート調査を実施。その結果、1年の中で特に贅沢したいと感じる季節の1位が11~12月、次いで1~2月で、贅沢をしたい対象で最も多かったのが「食事」だったという。

加えて11~12月はいい夫婦の日やクリスマス、年末など行事が多い時期。手みやげについても、11~12月の手土産は普段より高価にしたいと答えたのは全体の約70%で、友人宅には見栄えの良い華やかなものを持っていきたいという結果が出たそうだ。

ハーゲンダッツ ジャパンが独自に行なった調査。11~12月はホームパーティーが多く、普段より高価な手みやげを持っていきたいという結果になった

つまり冬はいつもよりリッチなもの、良いものを食べたい、またはパーティーなどの手みやげとして持っていきたいと考える傾向が強いということになる。そんな季節にマッチした商品を開発したいというきっかけから登場したのがピスタチオ ベリーである。寒い今の時期にこれまでのラインナップを上回る価格のアイスを出すとなると一見、強気なように見えるが、ハーゲンダッツ ジャパンはむしろ冬こそプレミアム商品を売り出す商機としてとらえていたのだ。

スーパー・コンビニ販売品から路面店、チェーンまで様々な競合がひしめくアイスクリーム業界だが、バニラをはじめとする基幹商品で高い定評を誇るのはもちろんのこと、発表される度に話題となる新商品を提供し続けているハーゲンダッツ ジャパン。同社広報部によるとハーゲンダッツ Spécialitéはくわしいフレーバー内容は未定ながらも、今後も新作を出していく予定だという。今回、初の商品となるピスタチオ ベリー。果たしてこの冬、消費者の心をどこまでとらえることができるだろうか?

打倒iQOSに挑むプルーム・テックの戦い、世界市場も見据えたJTの新製品

打倒iQOSに挑むプルーム・テックの戦い、世界市場も見据えたJTの新製品

2019.01.22

低温加熱式のJTがライバルと直接競合する高温加熱式に参入

専用リフィルも異なる3種類の製品で広範に網を張るプルーム・テック

海外市場でも兆し見えた加熱式たばこ、日本での成功がより重要に

日本たばこ産業(JT)が加熱式たばこの新製品、「プルーム・テック・プラス (Ploom TECH+)」「プルーム・エス (Ploom S)」の2製品を発表した。シェアトップのiQOSを追撃したいJTだが、ライバルに先行を許している今、どのような戦略を描いているのか。

JTが発表した加熱式たばこの新製品、プルーム・テック・プラス(左)とプルーム・エス

新たに高温加熱式に参入、ライバルと直接競合へ

新製品は、従来のプルーム・テックを改良したプルーム・テック・プラスと、シェアを争う「iQOS」(フィリップ・モリス)や「glo」(BAT)と同様の加熱方式を採用したプルーム・エスの2つ。iQOSとgloが高温加熱式であるのに対し、もともとプルーム・テックは低温加熱式と呼ばれる方式をとっていた。30度という低温で発生させた蒸気をたばこカプセルを通して吸うため、においが少ない一方、吸いごたえに乏しいともいわれていた。

低温加熱式で吸いごたえを追加したプルーム・テック・プラスと、高温加熱式のシェア奪取を狙ったプルーム・エスを投入

そこで、たばこ葉を増やすなどして吸いごたえを高めたのがプルーム・テック・プラスだ。その結果、本体が太く大きくなり、加熱温度も40度と少しだけ高くなったが、においの少なさはそのままに、吸いごたえをアップさせたことをアピールする。

プルーム・エスは高温加熱式を採用し、iQOSやgloと同様の吸いごたえを目指した。こうした高温加熱式は、たばこ葉を高温で蒸すことで蒸気を発生させるため、従来のたばことも異なる独特のにおいを発生させる。

JT副社長・たばこ事業本部長の岩井睦雄氏は、この独特の「におい」のせいでたばこの味わいに違和感を覚える喫煙者が多かったと話す。そのため、「満足度を高めるのは味わい」として、このにおいの低減に取り組んだという。

プルーム・エスでは、たばこ葉を熱する温度を200度に抑えた。これはiQOSの300度、gloの240度に比べて低く、これによって特有のにおいを抑えたという。

吸いごたえや加熱方式が異なる3製品をそろえる意味

JTは新製品投入後も既存製品の取り扱いを継続する。つまり、プルーム・テックのラインアップは3種類となる。iQOSも複数の製品があるが、こちらは機能の違いによって3種類に分けられており、プルーム・テックはそれに対して、吸いごたえや加熱方式によって異なる製品を用意したかっこうだ。

3つの製品を投入することで、選択肢を提供する

岩井副社長は「温度で選ぶ時代」と表現し、低温のプルーム・テック/プルーム・テック・プラスと、高温のプルーム・エスという選択肢によって「好みや生活環境、ライフステージの変化に合わせて、いつでも最適な選択ができる」ことを狙ったとしている。

たばこ事業本部長の岩井睦雄副社長

たばこ部分に互換性がないという問題はありそうだが、現在でも、においの少なさを重視して自宅ではプルーム・テックを吸いつつ、味わいを求めて喫煙所では高温加熱式の加熱式たばこ、と双方を使い分けている人が少なくない。そうしたユーザーに対して、「それぞれで求められるニーズを高いレベルで満たし、両方を提供するのが顧客満足度の最大化に繋がる」(岩井副社長)と判断し、製品開発に取り組んだ。

加熱式たばこ最大市場の日本から、海外市場を見据える

岩井副社長は新製品でiQOSからシェアを奪取し、「中長期的にはRRPカテゴリでもシェアナンバーワンを目指す」と意気込みを語る。

「RRP」とは「リスク低減製品」のこと。「喫煙にともなう健康へのリスクを低減させる可能性がある」と位置づけられる製品だ。

日本では法律上、液体にニコチンを含ませて販売することはできない。電子たばこは、このニコチンを含む液体を蒸気化させるため日本で販売できず、結果、加熱式たばこが普及したという背景もある。加熱式たばこの市場規模では日本が世界最大だが、iQOSが韓国や欧州の一部で販売を強化しており、グローバルでの市場拡大を狙っている。

JTは海外ではlogicブランドで電子たばこを販売している。海外での電子たばこ事業はありつつも、まずは製品の国内ラインナップを拡大して加熱式たばこのシェア拡大を図るとともに、紙巻きたばこを含むすべての製品の価値を向上させることで、市場の拡大に繋げたい考えだ。「日本での成功がグローバルでの成功につながる」と岩井副社長は強調する。

紙巻きたばことRRP製品の双方を拡充する
日本では加熱式、海外では電子たばこを提供中

紙巻きからの移行、数年以内に大きな山場

2018年は加熱式たばこが踊り場を迎えたと言われた。日本ではここ数年で急激に加熱式たばこの普及が進んだが、市場シェアが20%を越えたところでユーザー需要は一巡したとみられる。

ただ、プルーム・テックの全国販売の開始や、他社では直近のiQOSの新モデル投入などを経て、その動向から、需要の伸びは「足踏みしていたが、止まったわけではない」(岩井副社長)との認識にあるという。加えて、紙巻きたばこによる健康懸念の高まりや、オリンピックによる喫煙場所の規制といった外的要因もあり、「必ずシガレット(紙巻きたばこ)からRRPに移ってくる」(同)という見通しだ。

課題は、紙巻きたばことは異なり、デバイスを購入しなければならないというハードルの高さだ。一度購入した後、他社のデバイスへ移行しづらいという難題につながる。

他社の後追いとなった高温加熱式では、「差別化のポイントをしっかりと伝えていく」ことで買い替えを促進する。JTが主導する低温加熱式では、「若干下方修正したが、手応えも感じている」と岩井副社長は説明する。今後は製品の良さをアピールするために、喫煙者に直接説明をする営業スタイルを重視していく方針をとるそうだ。

JTは日本市場で紙巻き、加熱式のいずれでもシェアトップを目指す

JTは1社で複数の選択肢の製品を用意することで、消費者のニーズの受け皿を最大化しようと目論んでいる。この先にグローバルで展開する上で、ユーザーからどのような示唆が得られるのかを検証していき、海外での加熱式たばこの市場拡大にも乗り出していきたいと考えているようだ。

加熱式たばこは間もなく、国内市場シェアだけでなく、海外市場の争奪戦の行方も左右する正念場を迎える。

大手コンビニ3社、成人誌の販売中止を相次ぎ決定

大手コンビニ3社、成人誌の販売中止を相次ぎ決定

2019.01.22

セブン、ローソンに続きファミマも成人誌を販売中止

インバウンドの増加、オリンピックの開催も影響か

コンビニ最大手のセブン-イレブンと業界3位のローソンが成人向け雑誌の販売中止を発表したのに続き、業界2位のファミリーマートも同様の方針を打ち出した。大手3社の足並みがそろい、日本国内のほとんどのコンビニ店頭から成人誌が消える。

国内のセブン-イレブン店舗数は2万店を超え、ローソンとファミマが1万5,000店前後でこれに続く。それぞれ今年の8月末までに取り扱いを原則中止するという。これまで一部店舗で成人誌の販売を中止していた例はあったが、今回は各社全店舗で取り扱いを中止する。業界では昨年1月から、ミニストップが他社に先駆けて全店で取り扱いを中止していた。

もともと諸外国にくらべ、女性や子どもの目につきやすいコンビニ店頭などに成人誌が置かれている日本のゾーニングの現状は特殊であるとの批判があった。また、インバウンドで訪日外国人が増え、この論調に拍車がかかっていたほか、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控え、イメージ低下を防ぐ要請が強まっていたという背景がある。

コンビニでの成人誌の購買層は近年、高齢男性に偏るとともに売り上げの減少も顕著であったといい、ゾーニングの問題が取り扱い中止の大義名分になったという見方もある。ある出版関係者は、「一部では電子版などネット展開を強化している流れはあるが、今でもコンビニは重要な販路なので、相当な混乱があるだろう」と話す。どちらにせよ、日本の成人誌は岐路に立たされることになる。