米大統領選とも関係あり!? 買収が噂されるツイッターの今とこれから

米大統領選とも関係あり!? 買収が噂されるツイッターの今とこれから

2016.10.08

ツイッターは140文字の短文投稿サイトだ。文字数制限は他国の言語よりも日本語との相性が良く、その結果SNSとしての人気も日本では高い。そのため、伸び悩んでいると言われても、ユーザーからすれば、肌感覚と一致しないかもしれない。

しかし本国である米国を見て見ると、フェイスブック、その傘下のインスタグラム、そして後発ながら若者の心を掴むスナップチャットのいずれにも、月間ユーザー数や広告からの収益で後れをとる結果となっている。

そんな中、9月下旬、ツイッター買収に関する様々な憶測が流れた。ウォール街ではしばしば、主要な投資家が株を売却したり、より良い買収条件を創り出したい際、こうした噂によって株価を上向きのトレンドに変えようとする思惑が見られる。

買収提案に関する報道が流れてから、ツイッターの株価は短期的に19%上昇した。なお、10月1日現在の株価は、24ドル前後で、上昇を続けている。今回、より具体的な(そして十分買収に耐えうる)企業名が上がってきた点で、注目を集めている。

ツイッターの現状

ツイッターは上場企業であることから、買収が発表され、規制当局のチェックを通過する必要があるとはいえ、基本的にはどの企業に対しても、可能性に関してはオープンだ。そんなツイッターの現状を見ていこう。

ツイッターは10月27日に第3四半期決算を発表する予定だ。直近の発表済みの2016年第2四半期決算では、広告やデータライセンス等の収益が前年同期比で20%あまり上昇し、6億200万ドルに増加した。これにより赤字幅は1億700万ドルと、前年同期から3000万ドル圧縮している。

ツイッターの第2四半期は前年同期比で赤字幅を圧縮したものの赤字続きの現状にある(出典:2016 Second Quarter Slide Presentationより)

ソーシャルメディアのサービスは広告主体のビジネスモデルを敷いており、ツイッターもその例外ではない。そこで重要になる指標が、月間ユーザー数だ。ツイッターの月間アクティブユーザー数は、3億1300万人で、前期から1%、前年同期から3%の上昇となり、ユーザー数増加の弱さから脱していない。なお、モバイルからのアクセスは82%にのぼる。

アクティブユーザー数は増加し続けている(出典:2016 Second Quarter Slide Presentationより)

ツイッターは、2016年にサービスの改善を行なっている。まず、140文字制限についての緩和だ。これまで、写真やリンクの短縮URLも文字数にカウントされてきたが、これをカウントしなくなっている。また本文の投稿に絵文字(ステッカー)を強化し、動きのあるものや、企業のハッシュタグに付加される広告商品としても展開を始めた。

また買収済みのライブ動画共有アプリPeriscopeや、ツイッターアプリ内でのライブビデオ配信など、即時性のある情報との組み合わせを強化した。6月のウインブルドンテニスの生中継を皮切りに、NFLやNBA、メジャーリーグ、ブルームバーグなど、ニュースやスポーツチャンネルとの提携によって、「生中継を見ながらツイート」の環境を整えた。

大統領選挙はツイッターが輝くとき

ツイッター買収に関する情報が流れてきたタイミングと、4年に1度の米国大統領選挙は、無関係ではない、と筆者は考えている。全米の人々が最も注目する政治イベントは、ツイッターとの相性が非常に高く、またツイッターの存在価値を人々が認識するきっかけを与えてくれるからだ。

ツイッターは、前述の提携相手であるブルームバーグと組んで、副大統領候補の公開ディベートを中継することになった。すでにヒラリー・クリントン候補とドナルド・トランプ候補の1回目のディベート、そして副大統領候補のティム・ケイン候補とマイク・ペンス候補のディベートを終えている。

米大統領選の公開ディベート中継も実施

2012年、オバマ候補が勝利した大統領選挙では、テレビの中継を見ながら、当時米国でやっと定着したスマートフォンを通じて、ツイッターで意見を述べる「セカンドスクリーン」というカルチャーが一般化した。そして2016年、ツイッターは、モバイルアプリ内で映像を見ながらツイートするワンスクリーンを実現することとなった。

日本人からすれば、フィーチャーフォン全盛の時代から、ニコニコ動画が存在しており、映像や生中継を見ながらコメントを交わすことが10年前から可能だった。何を今更、と思われるかもしれない。しかし筆者が暮らす米国では、フィーチャーフォンを飛ばしてスマートフォンへと移行し、またLTEネットワークの普及によって、やっと実現することができた体験である。

筆者がツイッターについて、長期的な視点において、他のサービス以上に楽観視している理由はここにある。おそらく、ツイッターは、米国の社会が追いついてくるまで、持ちこたえることができると考えているからだ。

2006年に生まれたツイッターは、そのサービスの本質をほぼ変えずに10年間を過ごしてきた。変化したのは、デバイスであり(パソコン→スマートフォン)、通信インフラであり(SMS→3G→4G LTE)、これらを使いこなす人々のモバイル体験だ。デバイスは十分に普及し、インフラの充実も進んだ。あとは人々のモバイル体験というピースが必要で、大統領選挙はそれを埋める格好の材料となる。

グーグルとマイクロソフトの狙い

ツイッター買収に動いているとされる企業には、グーグル、マイクロソフト、セールスフォースといったテクノロジー企業のほかに、ディズニーの名前も上がっている。彼らが目指すのは一体どんなシナリオなのだろうか。

各社が注目するのはツイッターの即時性だ

グーグルとマイクロソフトは、ネット広告市場における「検索広告グループ」と位置づけることができる。その上で、フェイスブックとの差を作り出したいと考えているはずだ。 ツイッターの分単位のアップデートは、フェイスブックやインスタグラムのストック型とは異なる情報フローを実現している。特にフェイスブックは時系列から脱しようとしていることを考えると、即時性のある情報流通と広告の組み合わせで差別化をするチャンス、と捉えられる。

フェイスブックはインスタグラムを傘下に収めたことによって、広告商品のバリエーションが増加している。同じターゲットを狙う広告でも、属性や時間帯などに応じて、フェイスブックとインスタグラムでダイナミックに出稿先を出し分けることで効果を高めることができる。機械学習が活かされる領域でもある。

グーグルやマイクロソフトが、検索やディスプレイ広告以外の、リアルタイム広告のチャネルを手に入れることは、より効率的な広告商品の提案と、モバイルへの対応を深めることにつながるだろう。

セールスフォースとマイクロソフトの狙い

また、セールスフォースとマイクロソフトは、BtoB領域での活用が考えられる。ちなみにセールスフォースとマイクロソフトは、ビジネスネットワークサービスLinkedInの買収でも争った経緯がある。両社がLinkedInを取り合った理由も、人材にまつわる「データ」が原因だった。ツイッターについても、同じことが言えるだろう。

ウォール・ストリート・ジャーナルによると、セールスフォースのマーク・ベニオフCEOは、ツイッターについて「磨かれてない宝石」と例えており、興味をちらつかせている。ツイッターは顧客との関係づくりに加えて、市場や顧客の動向を分析する上で重要な情報ソースとして扱うことができる。フォロー関係の固定的なデータだけでなく、リアルタイムで流れてくる利用するハッシュタグや発言内容は、その顧客の嗜好と思考を図ることができるからだ。

ディズニーの狙い

ディズニーは、前述のテクノロジー企業とは異なる形でツイッターを使うことになるだろう。もちろん、メディアやコンテンツといった本業に関連する方法だ。

ケーブルテレビの加入者は減少を続けており、一方、ネットフリックスやアマゾンなどのストリーミング配信への人気が集まる。ディズニーをはじめとするケーブルチャンネルビジネスは、間もなく転換期を迎えることになる。その際に、ツイッターは、コンテンツと視聴者を結びつける手段となるだけでなく、スポーツや大統領選挙のように、ライブコンテンツを見せる現場ともなり得る。

ツイッターは現在、各社から買収提案を受けていると報じられており、総額300億ドル、3兆円あまりの取引になると見られている。2016年第3四半期決算が出されるタイミングまでに結論が出るかどうかは不透明ではあるが、いずれにしてもツイッターがなくなることだけは、避けられるはずだ。

「音声」巡り覇権争うアマゾンとグーグル、立ち止まるアップル

「音声」巡り覇権争うアマゾンとグーグル、立ち止まるアップル

2019.01.21

CESで存在感を放つアマゾンとグーグル、各社の最新動向は?

レノボはGoogleアシスタント、Alexaに対応した新製品を発表

アップルは各社にプライバシー問題を警告、独自路線を貫くか

米ラスベガスで開催された世界最大級の家電見本市「CES 2019」で、別格の存在感を放っていたのがアマゾンやグーグルだ。2018年はグーグルがCESに初めて本格出展したことで話題となったが、2019年も大がかりなブースを設置して来場者の注目を浴びた。

ラスベガスのCES会場前に設置されたグーグルのブース

アマゾンやグーグルは音声アシスタントで競争しており、家電製品への組み込みを進めている。2019年のCESではどうだったのか、両社の最新動向をレポートする。

グーグル対アマゾンの音声争いが加速

グーグルは今年もCES会場に「Googleアシスタント」を目玉にした大型ブースを設置。巨大な壁面広告やモノレールのラッピング広告で存在を示し、家電メーカーのブースには白い帽子のスタッフを派遣するなど、CESを乗っ取る勢いだった。

「Googleアシスタント」に対応した家電製品が並ぶグーグルブース

一方、Alexaで先行するアマゾンも展示エリアを拡大。業界やメーカーの枠を越えた「Alexa対応製品」を一挙展示することで、エコシステムの強大さを示した。家庭向けのスマートホーム用途だけでなく、オフィスで使う事例も示すなど、応用範囲を広げている。

アマゾンは「Amazon Alexa」対応製品をブースに集めた

具体的な対応製品として、音声で操作できるスマートスピーカーやスマート電球はもちろんだが、これまでにないジャンルの製品も増えている。たとえばレノボは「目覚まし時計」と「タブレット」の2機種を発表した。

レノボの目覚まし時計「Smart Clock」(左)とタブレット「Smart Tab」(右)

Googleアシスタントに対応した「Smart Clock」は、目覚まし時計の置き換えを狙った製品だ。音声だけでなく画面のタッチ操作にも対応しており、カレンダーの予定や寝覚めのいい音楽、室内の照明と連動した目覚まし機能を提供する。

一方、Amazon Alexaに対応した「Smart Tab」は、一般的なAndroidタブレットとして使えるほか、ドックに置くと音声とタッチで操作するスマートディスプレイに早変わりする。自宅でも外出先でも1台2役で使えるお得さが特徴だ。

アップルが投げかける「プライバシー」問題

CESに両社が注力する背景には、音声アシスタント市場におけるシェア争いがある。「Amazon Echo」や「Google Home」といったスマートスピーカーの売上ではグーグルがアマゾンを猛追しており、2018年第1四半期には逆転劇を果たした(英Canalys調べ)。しかし第3四半期にはアマゾンが再び首位に立つなど、接戦が続いている。

その勢力はスマートスピーカーを越えて、家電全体に広がりつつある。家電の操作といえばスイッチやリモコン、タッチ操作が一般的だが、音声に対応する製品は増えている。これまで独自の音声アシスタント「Bixby」を展開してきたサムスンも2019年にはグーグルとアマゾンとの連携を発表した。

サムスンはスマートTVでグーグル、アマゾンと連携

このまま音声が普及していけば、世界中の人々がインターネットのサービスやコンテンツにアクセスする手段になる可能性がある。音声アシスタントのシェア争いは、スマホOSのシェア争いと同じくらい重要というわけだ。

ただ、音声操作はプライバシーに関する懸念もある。音声操作を受け付けるには、マイクが常時オンになっている必要があるからだ。マイクをオフにする機能はあるとはいえ、家庭内のプライベートな会話を常にマイクに拾われるのは心地よいものではない。

この問題に一石を投じたのがアップルだ。CES会場からよく見えるホテルの壁に意見広告を掲載。ラスベガスの有名なコピーをもじって「iPhoneで起きることはiPhoneの中にとどまる」と訴え、サードパーティと広く連携するアマゾンやグーグルを牽制した。

アップルはCESでプライバシー重視をアピール。元々の言葉は、「What happens in Vegas stays in Vegas.(ラスベガスで起きたことはラスベガスに残る)」というもの

アップルも独自の「Siri」をiPhoneに搭載し、スマートスピーカー「HomePod」も販売している。だがサードパーティとは積極的に連携していないため、音声のシェア争いでは不利な立場に追い込まれている。アップルがこのまま「プライバシー重視」路線を貫くかどうかも、音声アシスタント市場の行方を左右しそうだ。

一度は姿を消したワイヤレス充電が再びメジャーになった理由

知って納得、ケータイ業界の"なぜ" 第30回

一度は姿を消したワイヤレス充電が再びメジャーになった理由

2019.01.21

いまや当たり前の「ワイヤレス充電」スマホ

開発も販売も、実は日本が世界初だった

過去にナゼ廃れたのか、今はナゼ流行っているのか

最近、ケーブルに接続する必要なく充電ができる、ワイヤレス充電に対応したスマートフォンが増えてきている。一時は姿を消していたワイヤレス充電が、ここにきて再び脚光を浴びるようになったのはなぜだろうか。

世界初のワイヤレス充電対応スマホは日本製

スマートフォンを充電する際、多くの人は充電用の電源ケーブルに接続して充電していることだろう。だがここ最近、スマートフォンをケーブルに接続することなく、専用の充電台に置くだけで充電ができる「ワイヤレス充電」に対応したスマートフォンが増えているのだ。

例えばアップルのiPhoneシリーズであれば、2017年発売の「iPhone 8」シリーズ以降からワイヤレス充電に対応している。他にもグーグルの「Pixel 3」やサムスン電子の「Galaxy Note 9」、そしてファーウェイの「HUAWEI Mate20 Pro」など、海外製のハイエンドスマートフォンを中心として、ワイヤレス充電に対応したスマートフォンは着実に増えている。対応スマートフォンの広まりとともに、ワイヤレス充電をするための充電器も数が増え、家電量販店などで目にする機会も増えている。

ワイヤレス充電対応機種は急増しており、「iPhone XS」など最新のiPhoneもワイヤレス充電に対応している

充電をするためにケーブルに接続するというのは手間がかかるし、何よりケーブルは絡まりやすく取り回しが面倒なもの。それだけに、スマートフォンを置くだけで充電できるワイヤレス充電は消費者にとって非常に便利だ。したがってスマートフォンに搭載するという動きも比較的古くから進められていたのだが、現在のように広く普及するまでにはかなりの時間を要している。

実は、スマートフォン単体でワイヤレス充電ができる機種が最初に投入されたのは日本で、開発したのも日本企業である。2011年にNTTドコモから発売された、シャープ製の「AQUOS PHONE f SH-13C」がそれに当たり、Wireless Power Consortium(WCP)が策定したワイヤレス給電規格の1つ「Qi」に対応。Qi対応の充電器に置くだけで、スマートフォンを充電できる仕組みを備えていたのである。

世界初のワイヤレス充電対応スマートフォン「AQUOS PHONE f SH-13C」は、2011年にNTTドコモが提供。専用の充電器も提供していた

しかも当時、NTTドコモはQi対応のワイヤレス充電ができるスマートフォンの開発に力を入れており、「おくだけ充電」という名称まで付けて積極的なアピールを進めていた。さらにシャープだけでなく、NTTドコモと関係の深い他の国内スマートフォンメーカーともQi対応のスマートフォン開発を進め、市場に多くのワイヤレス充電対応スマートフォンが存在した時期があったのだ。

規格や充電性能の問題が解決し採用機種が増加

だが2013年を境に、NTTドコモのラインアップからワイヤレス充電対応のスマートフォンが一時期姿を消し、ワイヤレス充電は急速に存在感を失うこととなる。当時ワイヤレス充電に力を入れていたパナソニックモバイルコミュニケーションズやNECカシオモバイルコミュニケーションズなどが、iPhoneなどに押されてスマートフォン市場から撤退した影響も大きいが、より本質的な要因は2つあると考えられる。

1つは、急速充電に対する消費者のニーズが高まっていたためだ。当時はバッテリーの性能が現在より低かったため、スマートフォンを使っているとあっという間にバッテリーを消費してしまい、不満の声が多かったため、何よりも素早く充電できることが強く求められていたのだ。しかしながら当時のQiは電力の出力が弱く、充電速度が遅かったことから、消費者のニーズとマッチせず姿を消してしまったのである。

そしてもう1つの理由は、ワイヤレス給電規格が複数存在し、業界全体で、どの方式を採用するか方向性が定まっていなかったため、後続するスマートフォンがなかなか出てこなかったことだ。実際、2015年に日本でも発売されたサムスン電子の「Galaxy S6」「Galaxy S6 edge」はQi規格だけでなく、Power Matters Alliance(PMA、現在はAirFuel Alliance)が策定したワイヤレス給電規格も採用することで、ワイヤレス充電に対応させている。

2015年発売の「Galaxy S6 edge」は、当時まだ事実上の標準規格が定まっていなかったこともあり、複数のワイヤレス給電規格に対応していた

そして最近になってワイヤレス充電が再び日の目を見ることができたのは、それらの課題が解決したことが大きく影響している。急速充電に関しては、当初Qiのモバイル機器に向けた「Volume I」という規格では、送信できる電力が5W以下とされていたため充電速度が遅かったのだが、その後10W、15Wといったより大容量の送信ができる規格の策定が進んだことで、より速く充電できるようになったのである。

また規格の統一に関しては、アップルなど影響力の大きな主要スマートフォンメーカーがQiの採用に傾いたことで、Qiがスマートフォン向けの事実上標準規格となった。そのため多くのスマートフォンメーカーがQiを採用しやすくなり、急速に数が増えたといえる。

さらにもう1つ、高いデザイン性や防水性能など、スマートフォンに求められる要素が年々増えていることも、ワイヤレス充電が復活した大きな要因として挙げられるだろう。一方で、かつて必要だったPCへの接続など、スマートフォンに何らかのケーブルを接続する必要性は年々薄くなっている。将来的にはスマートフォンのワイヤレス充電対応が当たり前となり、充電用のUSB端子やLightning端子がなくなることも十分あり得るだろう。