Xperiaは脱スマホへ、ソニーが描く人気ブランドのこれから

Xperiaは脱スマホへ、ソニーが描く人気ブランドのこれから

2016.10.13

手を動かさなくても、音声に反応して知りたいことを知ることができたり、操作をしたりできる音声認識端末。街中でスマホに向かって質問している光景はCMで見かけるが、現実世界ではまだあまり見かけない。とはいえ、企業は相次いで新製品を投入している。果たして音声認識端末は日本で定着するだろうか。新製品を11月に発売するソニーの思惑は。

ソニーの音声認識端末はハンズフリーで身につけられる

ソニーモバイルコミュニケーションズ(以下、ソニーモバイル)は、耳に装着するタイプの音声認識デバイス「Xperia Ear」(エクスペリア イヤー)を発売すると発表した。一見ただのBluetooth型のイヤホンマイクにも見える同製品から、ソニーモバイルはある市場を開拓しようとしている。

「Xperia Ear」11月18日発売。値段はオープン価格だが、2万円前後を想定。

Xperia Earは、スマホにワイヤレスで接続、耳への装着を感知し、音声に反応、さらに頭を振るなどといったヘッドジェスチャーにも対応して操作されるデバイス。

従来のイヤホンマイクでできた通話のほか、耳に装着したことを感知し、ニュースのヘッドラインを読み上げたり、不在着信、メールの受信、スケジュールの有無などを教えてくれる機能がある。

さらには、認識した声から文章をつくり、メールを送信することや、ウィキペディアと提携した検索、グーグルマップと提携したナビゲーションなどもしてくれる。

音声を認識する機能を持つ製品は今までにも出てきているが、小型で耳に装着できるから、デバイスを口に近づけたりする必要がなく、また首を縦に振ったり(はい)、横に振ったり(いいえ)といった人間の身体を使った自然なコミュニケーションも感知するので、より感覚的に情報のやりとりができるのがこのデバイスの特徴だろう。日常のさまざまなシーンで最適な情報のインプット・アウトプットが、よりスピーディにできるというわけだ。

この製品を使ったら、Twitterの投稿が、より直感的なつぶやきになるかもしれないし、メールのやりとりはもっとスムーズにスピーディにまるで会話のようにできるようになるかもしれない。普及すれば、コミュニケーションのあり方や幅に変化をもたらすのでは、との期待は高まる。事実忙しいビジネスパーソンにとって、情報が自動的に入ってくるということは、非常に有用で、需要は高いのではないだろうか。ただ、すでに似たような製品が出回る中、国内で利用者の増加が加速しているという印象はない。なぜだろうか。

筆者も自身のスマホで音声認識機能を試したことがあるが、うまく認識できず、結局手入力した経験がある。便利になるはずの音声認識で何度も読み取り間違いをされては、「使わないでおこう」と結局不要な機能になってしまう。日本語の音声認識はまだまだ発展途上との印象は否めない。

ソニーモバイルでスマートプロダクト部門商品企画課の近藤博仁統括課長

独自の音声認識技術

「音声認識については、意図を理解して、発話するという一連のプロセスのすべての精度を上げていく必要がある」とソニーモバイルでスマートプロダクト部門商品企画課の近藤博仁統括課長。同製品には、それぞれの段階で精度を上げる仕組みを多数組み込んでいるという。それは、ソフト面だけでなく、マイクの位置といったハード面も含まれる。同社は、こういった技術を独自開発している。

上記のような独自技術は、「ソニーエージェントテクノロジー」と呼ばれ、音声対話だけでなく、映像や実際にタッチするなどといった動作、さまざまな入出力を通じてユーザーに情報を提供するための技術と定義し、今後発売される製品・サービスに搭載していく。今回の製品で展開される言語は8つだが、日本企業だからこそ日本語認識の技術には期待したいところだ。

また、この技術は今後さらに発展していくものとしていて、近藤統括課長は、「可能性をいろいろ模索している段階」と位置づけ、「ユーザーのフィードバックを受けて検討する」とした。「需要創造が狙い」と同社は今回の商品を位置づけるが、先の近藤統括課長の言葉からも、この製品はユーザーからの声がどのようなものかみるという位置づけであり、それを分析し、進化させたい意向が見えた。

では今回どのような人がターゲットになるのだろうか。先にも述べたとおり、この製品は需要創造と位置づけ、まず市場を作って反応をみるというスタンスだ。したがって、ターゲットは、ガジェット先進層や、ビジネスパーソンといった層だ。反応を見て、一般的な層に受ける製品に進化させたいと考えている。

Xperia Earに対するユーザーの反応はこのような状況下、どのようなフィードバックになるだろうか、ソニーの音声認識技術の行く末にとって、大事なポイントになってくる。

直感的コミュニケーションをアシストするために

ソニーモバイルは、今までスマホのブランドとして知られていたXperiaを拡大するという。「コミュニケーションの未来を創造する」というビジョンのもと、コミュニケーションに使う複数の商品とコンセプトのブランドとし、展開させる。今回のXperia Earはその第一弾というわけだ。

このほか「コミュニケーションの促進能力を高める」「人間の能力を拡張する」を目的とし、壁やテーブルがタッチスクリーンになるプロジェクターや、声やしぐさ、で生活をサポートする製品をコンセプトとして進めている。

このブランドの要になるのが、先に述べたソニーエージェントテクノロジーになる。会見で近藤統括課長は「ソニーの強みはなんだろうというと、もちろん技術の会社なので」と、ソニーエージェントテクノロジーの技術力で戦っていくと宣言した。感覚的にコミュニケーションをするための手段として、音声認識の技術進化が必要というわけだ。日本で、音声認識デバイスが定着するか、まだまだ未知数ではあるが、それは、音声認識の技術が大きく発展することで、変わる可能性がある。ソニーの第一歩。今後どうなるか、展開に注目したい。

NewsInsight 更新終了のお知らせ

NewsInsight 更新終了のお知らせ

2019.06.17

NewsInsightは、諸般の事情により記事更新を終了いたします。

ご愛顧いただいた読者の皆様、また関係者の皆様に、編集部一同、誠に感謝いたします。

なお、NewsInsightに掲載中の記事につきましては、引き続きマイナビニュース(https://news.mynavi.jp)へと掲載場所を移管いたします。

掲載中の連載記事につきましても同様に、マイナビニュースへ移管いたします。各連載記事の新しい掲載URLにつきましては、以下となります。

○安東弘樹のクルマ向上委員会!
https://news.mynavi.jp/series/andy

○森口将之のカーデザイン解体新書
https://news.mynavi.jp/series/cardesign

○清水和夫の自動運転ソシオロジー
https://news.mynavi.jp/series/autonomous_car

○ゲームとともに振り返る“平成”という時代
https://news.mynavi.jp/series/game_heisei

○岡安学の「eスポーツ観戦記」
https://news.mynavi.jp/series/e-Sports_review

○企業戦士に贈る「こむぎのことば」
https://news.mynavi.jp/series/komuginokotoba

○藤田朋宏の必殺仕分け人
https://news.mynavi.jp/series/shiwakenin

○「食べる」をつくる科学と心理
https://news.mynavi.jp/series/food_science

○阿久津良和のITビジネス超前線
https://news.mynavi.jp/series/itbiz

○山下洋一のfilm@11
https://news.mynavi.jp/series/filmat11

○モノのデザイン
https://news.mynavi.jp/series/designofthings

○知って納得、ケータイ業界の"なぜ"
https://news.mynavi.jp/series/mobile_business

○文具ソムリエール・菅未里の「新しいコンパス」
https://news.mynavi.jp/series/bungu

○活字・写植・フォントのデザインの歴史 - 書体設計士・橋本和夫に聞く
https://news.mynavi.jp/series/font-history

○カレー沢薫の時流漂流
https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu

最後になりますが、改めて皆様に感謝いたしますとともに、引き続き、マイナビニュースにてご愛顧いただけましたら幸いです。

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

カレー沢薫の時流漂流 第47回

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

2019.06.17

最近女性の間で「#MeToo」ならぬ「#KuToo」運動がにわかに盛り上がっている。

「#KuToo」とは「靴」と「苦痛」をかけており、職場や就職活動で、足を痛めるパンプスやヒール靴の強要をやめようという運動である。

そもそもそんなの誰も強要してねえよ、と思われるかもしれない。確かに規定として靴の形状やかかとの高さまで定めている会社はレアだろう。しかし、私の元いた会社でも、規則があるわけでも、誰に言われたでもなく、みな一様に黒のパンプスを履いていた。それが「暗黙のルール」であり、それ以外は「非常識」と見られる風潮は確かにあるのである。

これが就職活動になると、パンプスを履いていないだけで「こいつは常識がない」と見なされ不採用になってしまうかもしれない、ということだ。そうなると女子学生は足を負傷してでもパンプスを履かざるを得なくなってしまう。

正直、パンプスは苦痛

パンプスがそんなに苦痛か、というと、靴の中では殺傷能力が高い方である。これは他人への、という意味ではなく自分へのだ。他人を殺傷したいならカウボーイが履いている、かかとにピザカッターがついている奴を履いた方が良い。

狭いつま先に足の指が密集されるため、私もよく爪で隣の指を切って足を血だらけにしていたし、伸縮性にかける素材のため、あわないパンプスだと試着の時点で靴擦れが出来るレベルなのだ。

世の中には素肌に荒縄で亀甲縛りを施し、その上に上等なスーツを羽織って出社している人も多いと思う。とても痛いだろうが、それは強制されたわけではなく、その人が好きで楽しいからやっているのだ。

つまり、好きでもない上にとても痛いパンプスを強制で履かなければいけないというのは、上等なスーツの下が亀甲縛りなことよりも「異常」なことというわけだ。

この運動はすぐに広まり、いきなり国会でも議論されたという。これにより「厚労相がハイヒール強要を容認」という見出しのニュースまで踊り出ることになった。

完全に自由と言われても困るのでは?

「厚生省に、女がハイヒールを履かないと死ぬ病の人が!?」と驚いたが、記事をよく見ると見出しほどのことはなく、厚労相の発言は「これは社会通念に照らして業務上、必要かつ相等な範囲かと、この辺なんだろうと思います」というかなりボンヤリしたものであり、どっちでも良い事を聞かれた私のリアクションに似ている。

しかし「ハイヒールが履けない女は何やってもダメ」などと強い事を言っているわけではないが、「業務上必要ならパンプス履くべきだろ」という「容認」に聞こえなくもない。すぐさま「業務上ハイヒールが必要な仕事って何だよ」という疑問が挙がり、「SMの女王様」「(ハイヒールでキレッキレに踊る)perfume以外ありえない」などの声が相次いだ。

この社会問題がすぐ大喜利になってしまうのは良くも悪くも「ザ・ツイッター」という感じだ。

確かに「業務上必要」となると、まだかかとにピザカッターがついている靴の方が「ピザを食う時」必要な気がする。

ただ、靴や服装を完全に自由化し、何でもOKにすれば良いかというと、それはそれで問題が起きると思う。ファッションに疎くコーディネートが苦手な人間からすれば、職場に何を着ていいのか全く「指針」がないというのは迷子になるし、接する側としても、車を買いにいってディーラーが、イモ―タンジョ―の完コスで出てきたら「キャデラックしか買うことを許されないのか」と委縮してしまう。就活マナー本に「俺の考えた最強の就活ファッションで挑みましょう」とだけ書かれていても逆に困るだろう

着る側としても、それに接する側としても、社会において服装にある程度規定や模範があるというのはメリットでもあるのだ。

そもそも規定や常識というのは、秩序を作ることにより問題を減らすためにあるものなのだ。しかしそれが元で「足を負傷する」という「問題」が起こっているなら本末転倒なので、やはり解消はすべきなのだろう。

極論に流れない寛容さが足りない

おそらく「#KuToo」を提唱している人も「ドラゴン柄のコンバースで就活したい」と言っているわけではないのだ。最近は「パンプスに見えるスニーカー」なども存在するし、パンプスでなくても地味な靴はいくらでもある。そのような靴を履いていても「パンプスじゃないから非常識」と見るのをやめてほしいという話だろう。

ちなみに私が会社員時代履いていたパンプスだが、黒の革靴ではあったが、つま先は限りなく丸く、ヒールはなきに等しい、今思えばあれはパンプスだったのか、70過ぎのババアが旅行に行くときに履くヤツなんじゃないか、という代物であったが、特に何も言われなかった。

「#KuToo」が求めるのも、そのぐらいの「寛容さ」なのではないだろうか。

【お知らせ】
連載「カレー沢薫の時流漂流」の掲載場所を変更します。
→ 新しい掲載場所はこちら https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu