P&Gの経営戦略に女性活躍が必要だった理由

P&Gの経営戦略に女性活躍が必要だった理由

2016.10.19

「女性活躍推進法」が施行され、ますます女性が活躍する社会が期待されている。しかし企業によってその進捗度合いはまちまち。主役となる女性も現場で様々な悩みを抱えている。そこで本連載は、自身も子育てをしながら企業に勤めた経験を持ち、現在は「女性のリーダーシップ」育成研修など、企業の女性活躍推進のコンサルタントを行う杉浦里多が、企業が乗り越えてきた課題と、そこで働き続ける女性社員の生の声を通じてビジネスの現場で起こり得る課題を提示、解決のヒントを提示する。

P&Gが展開する商品

「暮らし感じる、変えていく」というCMのキャッチフレーズでおなじみ、洗剤や、消臭剤などの生活雑貨、SK-IIといった化粧品ブランドのメーカーP&G。同社は、女性が活躍できる企業として取り上げられることが多く、女性の働きやすさには定評がある。事実現在では、管理職の32%を女性が占めている。まさに女性活躍のトップランナーであり、同社が歩んできた道中で乗り越えてきた課題や解決方法は、これからという企業にとって、大いに参考になるだろう。

女性活躍は経営戦略という発想

P&Gは世界約70カ国に拠点を持つアメリカの企業だ。日本法人は本社を兵庫に構え、国内だけでも、19の国籍の社員が働いている。多様な文化、宗教等の背景を持つ人々が1つの組織で、共通する目標に向かって意識をあわせる、それは容易なことではない。互いを理解し、尊重していく。それをどうやって実現するか。多国籍企業にとって避けて通れないテーマだろう。だから同社にとって、多種多様な個性を尊重し、能力を100%生かすダイバーシティ&インクルージョンは当然の流れだった。

また、洗剤や消臭剤といった日常生活に密接に関わる商品を取り扱う同社。老若男女の多様性にとんだニーズを多角的に理解し、新しい発想の商品が生むために、ダイバーシティの推進は企業の成長につながる重要な戦略と考えているのだ。そしてそれは結果にも現れている。日本国内でダイバーシティの推進を掲げて来年で25年。スタートから売上高は約2倍、持続的な成長を続けている。なにより、生活様式の変化などに合わせて、誰でも知っているヒット商品を世に多く出し続けていることこそが、ダイバーシティ推進結果といっていいのではないだろうか。

そんな同社が、1990年代に日本においてダイバーシティを推進するにあたり、最も大きな課題だったのが、「女性」だった。

【P&Gのダイバーシティの歩み】

(1:女性活躍推進) 1992年~97年
社員主導で女性同士の情報交換ができる「ウーマンズネットワーク」を各部門で発足

(2:ダイバーシティ)98年~07年
00年、在宅勤務を育児、介護などの事情を抱えた社員対象に開始

(3:ダイバーシティ&インクルージョン)08年~現在
ビジネスへどうやって生かすかという戦略的視点からダイバーシティを進化
管理職向けインクルージョン・スキルトレーニングの強化

92年からスタートしたダイバーシティ推進の取組みだが、第1フェーズは、女性の活躍に焦点を当てた。女性管理職比率が少し増えてきた時期ということもあり、社内では、女性社員の自発的なはたらきかけにより、女性同士が気軽に情報交換ができるようにすることを目的とした「ウーマンズネットワーク」が発足。

99年からの第2フェーズには、人事部にダイバーシティ担当を設置。女性の働きやすさだけでなく、全社員を対象とした広義のダイバーシティ推進へ移行。性別を超えた個々の多様性を理解するための社内向け教育をスタートさせた。さらに00年には、在宅勤務を開始。

第3フェーズと位置づける08年からは、ダイバーシティをより”活かす“ことに注力。組織の中の多様な背景を持つ一人ひとりを深く理解し、互いを受け入れ、活かしあう「インクルージョン・スキル」の強化に努めた。

そして今年、同社は、今まで進めてきた「ダイバーシティ」推進の知見を無償で社会に提供する活動をスタートさせた。

女性営業職の職場復帰

今回話を聞いたのは、一般的に女性活躍推進が難しいといわれている営業職の堀小真由美さん(41)。妻として、3児の母親としての役割を果たしながら、仕事では、10人のチームのサブリーダーという顔を持つ。入社以来、営業一筋の女性だ。P&Gにおいて彼女のような営業職は、基本的に直行直帰。会社へは、会議の際などに来る以外は、家と取引先を往復するようなスタイルの日々の業務を行っている。

堀小真由美さん

「人と話をしたり、会ったりするのが好きなので、営業職になりたいと思った」と笑顔を見せる堀小さんは、仕事や昇進に貪欲に外資営業として突っ走ってきたというイメージとは真逆の、柔和な笑顔が素敵な女性だ。P&Gを選んだ理由は、働いている女性の生き生きした姿を見て、「こんな風に働きたい、自分自身が成長できる会社なのでは」と思ったからだという。

そんな憧れを持って入社した堀小さんだが、初めは子どもを産んでも仕事を続けていくとは考えていなかった。「入社当時は子供が生まれたら仕事は辞めるのだろうなと、当たり前のように考えていました」。幼い頃、母親がパートに出ており、寂しく感じたこともあったので、子どもには同じような思いをさせたくないと考えていた堀小さん。そんな考えを変えたのは、3つの「姿」があったからだという。

1つは、育児をしながら仕事を継続する女性の先輩社員の姿。「出産後、育児と仕事を両立させる自信はなかったのですが、前例があったので、まずは育児休業を取って、復帰してみようと考えました」。

2つ目は、周りのママ友の姿。「辞めるのはすぐにやめられるが、続ける環境は多くないということを、他のお母さんと話していく中で実感していました。中には、仕事を続けたくても続けられない職場環境の友人もいたので」。

そして、3つ目は企業の姿勢。「会社は『ぜひ戻ってきて』と、言ってくれているし、サポートする体制があったので、不安はありましたが、やってみようと思いました」

周囲が彼女に見せた姿、そして彼女自身の「やってみよう」という前向きさがなかったら、彼女は今ここにいなかった。

育休復帰率90%以上

育休取得率が高くても復帰率の低さに課題を抱える日本企業は多い。現在育休復帰率90%以上というP&Gは、ここをどうやって乗り越えたのか。

P&Gでダイバーシティ推進を担当する小川琴音さんはその理由について、「一番の理由は、復帰してからの仕事が不透明である」と分析。P&Gでは、産休に入る前と、育休中に、復帰後に希望する働き方を話し合う機会を設けている。さらには復帰した女性がキャリアを継続しやすいように柔軟な働き方ができる制度を充実させている。

ただ、それだけでは利用が進まないため、利用しやすい風土作りが大事だという。「新しい制度を導入しても、根付くまでが大変」(小川さん)とP&Gは「制度を生かす」ことに注力してきた。制度を作ったら、経営陣や管理職がまず使ってみせて、ロールモデルを示す。それを社内で話したり、社内報で取り上げたりして使いやすい空気を作り出すというのだ。

さらに部下と直属の上司との話し合いの中では、上司から「どんな働き方をしたいのか」を確認し、それを実現するために必要な制度を紹介しているのだという。さらに、こういった話し合いのためには、管理職が多様な部下を活かすためのインクルージョン・スキルが重要であるため、管理職対象(社長や執行役員を含む)の研修を定期的に行っている。

出産からの仕事復帰は生き方を考えなおす好機

「自分の中の理想の子育てとは違っていました。もっと、ちゃんと子育てしたいし、もっともっと仕事もちゃんとしたいと思っていました」と話す堀小さん。1人目の出産では約1年の育休後に復帰した。その時に彼女を救ったのは、先輩女性の言葉だったという。

「『両方100%を求めていると続かないので、時には80%で納得するようにしたら気持ちが楽になるよ』とのアドバイスを受け、気持ちが楽になりました」。

その後も、仕事の忙しい時期に夫に育児を任せきりになり、夫や、子どもに対して申し訳ない気持ちになったり、家族のための仕事なのに、家族を犠牲にしている罪悪感にも苛まれたこともあったが、第2子の入院を機に1~2週間仕事を休んだ経験から割り切れたという。

「自分がすべて完璧にしなければという思いが強かった。でも、いざという時は上司やチームメンバーがフルにサポートしてくれて、取引先も状況を理解し、サポートしてくださった。しつけとか教育にもっと時間をかけなくては、と考えることもあったが、子どもが元気ならそれでいいのではないかと思った」。

営業職における両立のポイント

営業分野で女性の活躍推進が難しいといわれる理由は、取引先の付き合いや商慣習など、自分たちだけではマネジメントできない要素が多いというのが大きな理由だ。

堀小さんは現在、上司をはじめとする職場のサポート、そして取引先の理解を得ることができているが、ここにP&Gのダイバーシティ推進の成果と、堀小さんの工夫がある。

堀小さんは新しい取引先の担当になったらまず、取引先に子供のいるワーキングママであることを伝えているという。なぜか。言い訳をするためではなく、堀小さん自身が誠意をもって仕事をすることを伝えるためと、いざという時に理解と協力を得るためだという。しかしそれによってクレームが起きたことは今まで一度もなく、むしろ担当を終えるときはいつも「堀小さんが担当で良かった」という言葉をもらうそうだ。子供を抱える母だから営業が難しいということはない、と断言する堀小さん。しかしその前提として「上司にしっかり自分の希望する働き方を伝えています。だから担当する取引先も会社が配慮してくれているのだろうと思います。」できることも、できないことも、正直に、誠実に伝えるのが彼女のスタイルだ。

頼りになる仲間づくりの重要性

保育園の迎えは夫と分担しているが、どうしても迎えに行けない時は、保育園のママ友など周囲のサポートに助けられた場面は多い。社内外のネットワークが、選択肢を拡げリスクを軽減する、「リスク管理」にもなると考えている。

どのようにネットワークを構築するのかを尋ねると、社内でのコミュニケーションについては、普段直行直帰のため、会社に行く機会があれば、積極的に声をかけたり、ランチに誘うなどしているという。特にワーキングママとは週末子連れランチをするなど「意識して」行動している。保育園のママにも同様に、「自分から誘って飲みに行ったり、お家に来てもらったりするうちに自然に仲良くなる」と、互いに助け合う関係性を築いた。

P&Gの評価制度

P&Gの評価制度は、個人が成果に責任をもつ「自律」が基本だ。昇進の機会は「女性だから」あるのではなく、公平に個人の達成度で測られ、部下を育成し引き上げる責任が上司にあるという文化だ。3人の子どもの出産、育休を経て仕事を継続している堀小さんにもそれはいえる。

2年前、難しいプロジェクトを任されたが、見事達成できたことや、これまでの業績が評価され、係長級に昇進した。係長級への昇進は、同期と比較すると最大10年遅れてのことだった。

「とても嬉しかったです。育児休業はマイナス評価にはならないものの、その分ブランクも長かったですし、このまま上がれないだろうなあとも考えていました。認めてもらえて嬉しかった」。成果を正当に評価する。それもP&Gがダイバーシティ&インクルージョンを実現できている大きな理由だ。

さまざまな課題を1つずつ乗り越えてきた堀小さん。働き方については、こんな信条をもっているという。「平日起きている時間の大半は仕事に費やしますよね、だから気持ちは家族優先と常に意識しています」。時間は仕事、思いは家族と自分に言い聞かせている。

子育てしながら仕事で実績を上げるために、ベビーシッター補助や、子どもの看護休暇、介護育児補助制度など会社の制度は積極的に利用している。「使えるサポートは積極的に活用し、頼る。周囲からもサポートを得ようと思うなら、積極的に日々コミュニケーションを」。と働く女性にエールを送った。

【P&Gの成功要因】

1:経営陣や管理職が制度を利用、ロールモデルになる
2:上司と女性社員が働き方について定期的に面談。制度利用についても話す
3:管理職向けインクルージョン・スキルの研修
段階的に開催し理解度を同じレベルに引き上げる

杉浦里多(すぎうらりた)
人材育成の研修などを行う株式会社DELICE(デリィス)代表取締役社長。P&Gジャパンでのマーケティング・広報渉外部での経験をベースに、マーケティングや経営戦略の教鞭をとる傍ら、最近は特に女性のリーダーシップについての研修、講演に力をいれる。著書に「1年で成果を出すP&G式10の習慣」、「がんばりが評価される女性の仕事術」などがある。杉浦里多ブログ会社HP

「選択と集中」が進みすぎた、日本の科学技術への投資

藤田朋宏の必殺仕分け人 第1回

「選択と集中」が進みすぎた、日本の科学技術への投資

2018.11.15

ちとせグループCEOの藤田朋宏氏による新連載

巷を賑わす”ヘンな出来事”の問題点を、独自の解釈で洗い出す!

第1回は、「日本の科学技術投資」について

バイオベンチャー企業群「ちとせグループ」のCEOを務める藤田朋宏氏による新連載。“手段と目的の違い”によって生じた「ヘンな出来事」の問題点を、独自の視点で語ります。第1回は、「日本の科学技術投資」について。日本の科学技術への投資の問題点とはいったい何なのでしょう?

才能と“伸びしろ”に投資する、日本サッカー協会

先日、クアラルンプールに出張したときのこと。宿泊先のホテルが偶然にもサッカーの日本代表と同じだった。「日本代表」と言っても、同じホテルに泊まっていたのは本田や長友ではなく、U-16アジア選手権に参加している若い選手たち。

そこで彼らを見ていて、ふと考えた。日本サッカー協会の「選手への投資」は、実は凄く効率がいいのではないか。どうしてそう思ったのか、順を追って説明したい。

ホテルに置いてあったU-16アジア選手権のバナー

チェックインを済ませ、「部屋の準備があるから、ちょっとだけそこで待っていて」と指示するホテルマンに従い、ひとりロビーに放置されている間、何となしに選手の情報を調べてみた。それから一時間半。23名の選手一人ひとりの顔だけでなく、利き足まで覚えるくらいの時間が経っても、僕はまだロビーで放っておかれたままだった。まぁ、東南アジアではよくあることなので、腹は立たなかった。

ところで、「過去のU-16日本代表がその後、何度も日本代表に選ばれる割合はどれほどだろうか」と疑問に感じ、調べてみたところ、各年20数名の代表選手のうち、現役で活躍している選手は約1人であることが分かった。確かに16歳の段階では身体の発達に差があるし、試合で活躍できるかは運の要素も絡む。コーチとの相性やケガの問題もあるだろう。

そうは言っても、16歳の時点で日本代表に選ばれるだけのポテンシャルを持つ選手のうち、その数%しか将来も活躍できる選手がいない、という事実には驚いた。実際、長谷部、本田、岡崎、長友……など、この10年で活躍している選手たちの多くは、16歳時点ではそこまで期待されていなかった選手ばかりだ。

ではなぜ、そういった選手が後に日の目を浴びられたかというと、それは彼らにも「チャンス」を与えられていたからだろう。日本サッカー協会は、16歳時点で選抜したトップ選手だけに集中投資するだけではなく、同年代の他の有望選手にもしっかりとチャンスを与え続けられるような仕組みをつくれたのだと思う。

際立って目立つ選手だけではなく、将来の伸びしろがありえる選手にも、最低限のチャンスは回ってくることで、未来のトップ選手の育成が図れる。そうやって日本サッカー協会はこれまで、世界に通用するような選手を輩出してきた。

「科学技術に投資せよ」ではなく、予算配分の再考を

前置きが長くなってしまったが、ここから本題に入りたい。

先日、京都大学特別教授の本庶佑先生がノーベル賞を受賞したというニュースが流れた。「自分がバイオテクノロジー業界で働く人間だから」というのは関係なく、本庶先生と周りのチームの方々の長年にわたる科学に対する貢献が認められたこと、その事実に接した関係者の気持ちを想像すると、とても嬉しい気持ちになった。

ノーベル賞メダル(レプリカ)

 

近年、日本人のノーベル賞受賞が続いている。彼らのような日本の科学業界の仕組みをよくわかった方々は、これまで数多くのご苦労をされてきたことだろう。しかし、1つ残念なこともある。能力はもちろん、人格的にも優れたそういった先生方が、ノーベル賞受賞のタイミングでマスコミに発表する一世一代のコメントが「日本国の科学技術投資、科学技術教育のあり方についての憂い」であることだ。

僭越ながら、先生たちのコメントを解釈すると、よくニュースで取り上げられるような「科学技術にもっとお金を使え」ということではなく、その先にある「国家予算の配分」についての指摘をしていると認識している。

誰がなんと言おうと、日本の科学技術投資の選択と集中は年々進んでしまっているのが現状だ。しかし、先生方のいうような「選択と集中が進みすぎている」という指摘に対して、「日本にはもうお金がないのだから科学技術にばかり投資できない」と答えがずれてしまっている。

これこそが、日本の科学技術投資における問題ではないだろうか。

日本にはびこる「選択と集中こそが正解だよ病」

随分前からずっと不思議なのだが、そもそも「選択と集中こそが正解である」なんて、誰がいい出したのだろう。「選択と集中」の戦略で物事をうまく切り抜けられるようなことは、本当に生きるか死ぬか、背水の陣を敷いている時くらいだと思うのだ。

今の日本の「選択と集中こそが正解だよ病」はなかなか根深く、そもそもの目的を実現することよりも「選択と集中」を行うことそのものが目的になっているんじゃないかと感じることが多い。

今の日本で行われている多くの意思決定の場面で、サッカーの例で例えると、U-16日本代表を選んだ人のメンツを潰さないということが、強い日本代表をつくることよりも優先されてしまっているように思う。

そのため、16歳の時点で選んだ選手だけに集中投資し、16歳の段階で選ばれなかった他の選手のポテンシャルに賭けることもしないというような「選択と集中が正解である」という間違えた進め方で意思決定が行われているようなことが多いように感じる。

サッカー選手の育成でも、科学技術の投資でも初期の段階で選抜してそこだけに集中投資するという戦略を繰り返せば繰り返すほど、全体としての力は落ちる一方になるのではないか。歴代のノーベル賞受賞者の先生方も、そういうことを言いたかったのではないかと思う。

手段であるはずの「選択と集中」が、目的となっている?

私は、「16歳の段階で、将来素晴らしいサッカー選手になる人物を見分けられる」なんて言葉は、伸びしろのある選手に対しておこがましいと感じる。これは科学技術の研究にも同じことが言える。「その研究が将来素晴らしい成果を残すかどうか見分けられる」なんて言葉は、科学者に対しておこがましい。

もっと言ってしまえば、どの研究が将来化けるかの判断は、16歳のサッカー選手の成長を言い当てることより遥かに難しいだろう。なぜならば、サッカーという競技のルール自体は変わらないが、科学と言う競技はルール自体を決めているので、科学研究の将来性をあらかじめ予測するのは16歳のサッカー選手の将来性を予測するより難しいためだ。

そんな中、日本サッカー協会が幅広い底上げに力を入れ、紆余曲折も有りながらも右肩上がりの成長を維持できているにも関わらず、日本の科学技術投資は過剰な「選択と集中」を強めるが故に、科学技術力の相対的な低下を招いているように感じる。

その差はいったい何か? これは1つの仮説でしかないが、日本サッカー協会の強さの秘訣は、会長の独断で物事を決められる側面が強い組織であるために「目的」がハッキリしている点にあるのではないだろうか。

その一方で、日本の科学技術投資のような“数多くの人の善意の組み合わせの上になり立っている意思決定機構”では「選択と集中を進めることが正解である」という、本来手段の一つである価値観が「目的」となってしまっているように感じる。

本来考えるべきは、「日本の科学技術をどうするべきか」ということであるにも関わらず、その手段と目的が逆転しまっているのではないだろうか、と思うのだ。

音楽特化の「YouTube」が日本上陸! AIでレコメンド

音楽特化の「YouTube」が日本上陸! AIでレコメンド

2018.11.14

音楽に特化した「YouTube Music」が日本でスタート

有料会員になれば、広告なし再生やオフライン再生が可能

YouTube Premiumでは、オリジナルコンテンツの配信も開始

仕事や作業をする際、周りのノイズをカットして集中するために、音楽を聴くという人は多いだろう。わかる。よくわかる。フロアが騒がしいと作業に全く集中できない。周りで仕事している人がいるということがわからないのだろうか、と疑問に思うが、まぁそれは置いておいて、パソコンで作業する場合、手軽に好きな音楽を聴けることから、YouTubeで音楽を聴くという人も多いのではないだろうか。

そんなYouTubeユーザーに朗報である。11月14日、Googleは音楽に特化したストリーミング再生サービス「YouTube Music」を日本でローンチすると発表したのだ。

好みやシーンに応じて楽曲をレコメンド

YouTube Musicは、音楽再生に特化したアプリ。YouTubeにある公式の曲やプレイリスト、歌ってみた、弾いてみたなど、さまざまな音楽動画を視聴することができる。

また、機械学習が活用されているのも特徴の1つだ。視聴履歴などからユーザーの好みを把握するだけでなく、「いつどこで何をしているのか」を類推して、シーンに合わせた楽曲をレコメンド。家でリラックスしているときにお勧めの曲や、仕事中にお勧めの曲などを、自動でピックアップしてくれるという。

さらに、あいまいなカタカナ発音で洋楽を検索したり、CMタイアップ曲などから検索したりすることも可能で、聴きたい曲をスムーズに探すことができそうだ。

サービスの発表会において、YouTube 音楽部門 プロダクトマネージメント責任者のT.ジェイ ファウラ氏は「オーディエンスに着目した結果、今出ているアプリでは満足できていない層があることがわかり、そのユーザーに音楽サービスを届けようとこのサービスをスタートしました。YouTube Musicは、ユーザーの利用シーンや好みに合わせた曲を、YouTubeにある膨大なミュージックカタログからレコメンドするユニークさを持っています」と、サービスの魅力を強調した。

YouTube 音楽部門 プロダクトマネージメント責任者のT.ジェイ ファウラ氏

無料でも利用できるが、有料のYouTube Music Premiumに登録すると、「広告なし再生」「バックグラウンド再生」「オフライン再生」などが可能になる。料金はWeb/Androidが月額980円で、iOSが月額1280円(ともに税込み)だ。

YouTube 日本音楽ビジネス開発統括担当の鬼頭武也氏は「日本ユーザーの方は通勤通学などで音楽を聴くことが多いと思います。オフライン再生機能では、前日の夜に自宅のWi-Fiで翌日聴くべき曲を自動で更新し、通信なしで聴けるようになります。データの通信量などを気にする必要もないので、非常に便利な機能だと思います」と、オフライン再生のメリットを訴求した。

なお、同サービスには著作権管理システムが働いており、YouTubeと同様に適切な権利コントロールが可能だという。

YouTube 日本音楽ビジネス開発統括担当の鬼頭武也氏

「YouTube Originals」が日本でも始動

また今回、「YouTube Premium」という新しい有料プランもスタートする。料金はWeb/Androidだと月額1180円で、iOSだと月額1550円(ともに税込み)だ。YouTube Music Premiumの機能に加えて、YouTubeでも「広告なし再生」「バックグラウンド再生」「オフライン再生」機能が使えるようになる。

さらに、YouTube Premiumの会員は、12月から日本でも配信される予定のYouTubeオリジナルコンテンツ「YouTube Originals」を視聴することも可能だ。すでに世界30カ国でコンテンツを展開しているが、このたび、日本でも制作がスタート。SEKAI NO OWARIとMARVLEがコラボしたミュージックビデオ制作の裏側に迫るドキュメンタリー「Re:IMAGINE」、YouTuberのはじめしゃちょーが主演する連続ドラマ「The Fake Show」、YouTubeで人気のクリエイターが手がけた「隙間男:Stalking Vampire」の3つだ。

「YouTube Music Premium」と「YouTube Premium」で利用可能な機能
日本で制作される「YouTube Originals」のコンテンツ

発表会には「The Fake Show」に主演する、YouTuberのはじめしゃちょーが駆けつけた。

はじめしゃちょー

「今回僕が出演するのは、今までなかったYouTuberをテーマにしたドラマ。アカウント乗っ取りや炎上など、問題に直面しながらも夢に向かって進んでいく姿が描かれているので、僕の動画を見たことない人にも見てほしいですね」と動画の紹介をするとともに、YouTube Musicについて「普段、広く浅く、さまざまな音楽を聴くので、非常に楽しみなサービスです。ぜひ使ってみたいと思います」と期待を述べた。

なお、YouTube Musicは「Google Home」「Google Home Mini」にも対応予定。そのほか、現在「Google Play Music」を利用しているユーザーは、追加料金なしで移行することができるという。