米国で自動運転トラックによる世界初の配送が成功! 日本勢の受け止めは

米国で自動運転トラックによる世界初の配送が成功! 日本勢の受け止めは

2016.10.27

米国で自動運転トラックが荷物の配達を行った。米ウーバー(Uber)傘下のオットー(Otto)が成功させたもので、世界初の事例になるという。トラックドライバーの人手不足が深刻化する見通しの日本では、日野自動車といすゞ自動車が自動走行・高度運転支援に向けたITS技術で共同開発を進めているが、先行する米国の取り組みをどのように受け止めているのだろうか。

自動運転トラックが120マイルを走破

オットーは米ビール大手アンハイザー・ブッシュ・インベブ(ABインベブ)の協力のもと、約5万缶のバドワイザーを自動運転トラックで運んだ。コロラド州の全面協力を受けて、トラックは同州フォート・コリンズからコロラドスプリングスまでの120マイル(約190キロメートル)を走破した。

自動運転トラックの映像を見ると、ドライバーは高速道路に入るまではハンドルを握っていたようだが、高速道路の走行時は基本的に運転席ではなく、後部座席にいてシステムを監視しつつ、体を休めていたようだった。オットーの説明によると、同社のシステムを使えば、トラックドライバーは長距離にわたる高速道路の走行時、トラックが“金を稼いでいる(make money)”一方で、自らは休憩する機会が得られるという。

自動運転で協力する日野といすゞ

「将来のドライバー不足、(トラック輸送の)安全を含め、研究は確実にすすめていく」。2016年度中間決算の説明会に登壇した日野自動車の市橋保彦社長は、オットーが自動運転トラックによる配送に成功したというニュースについての感想を求められ、このように回答した。オットーの取り組みが高速道路の限定された区間で実施されたことに触れつつ、「(日本で実施する場合は)インフラも含め、環境が整う必要がある」と指摘。インフラ整備には政府の方針も絡むため、「しっかりやるためには、時間を掛ける必要がある」との考えを示した。

2016年度中間決算の説明会に登壇した日野自動車の市橋社長

市橋社長の発言にもある通り、日本ではトラックドライバーの人手不足が課題になりつつある。自動運転はドライバー不足の解決策になりうるし、ドライバーの業務環境改善やトラック輸送の安全性向上にもつながる可能性がある技術だ。

日野自動車も同技術の可能性には期待するところがあるようで、2016年5月には「自動走行・高度運転支援に向けたITS技術」の共同開発でいすゞ自動車と合意している。トラックの販売ではライバル関係にある両社だが、市橋社長は「競争するところと協調するところ(を明確にしつつ)、一緒にやった方がメリットがある分野については一緒にやろうというのが基本スタンス」と同社の姿勢を説明した。

日本勢は米国に追いつけるか?

日本で実際に自動運転トラックを走らせる場合、「問題は他の自動車が入ったときにどうするかなど、安全をどう担保するか。ここのハードルは結構高い」と市橋社長は語っていた。安全性の担保が最重要事項なのは十分に理解できる。しかし米国では、特定の区間であったとしても、実際に自動運転トラックがモノを運んだという実績ができた。実績の有無だけで考えるのは早計かもしれないが、日本勢は米国勢に自動運転トラックの分野で先を越されているようにも見える。

米国でならば、日野自動車も自動運転トラックを走らせることが可能なのか。市橋社長に聞いてみると、「ああいう状況が整えば(インフラが整えば)、やりやすいかなとは思う。技術的にはかなりのところはできている」との回答だった。今は技術を「手の内のものにする」(市橋社長)フェーズというのが同氏の見方だ。これらの言葉から考えると、今は米国勢にリードを許したかに見える自動運転トラックの分野でも、環境さえ整えば、日本勢による巻き返しは十分に可能なのかもしれない。

NewsInsight 更新終了のお知らせ

NewsInsight 更新終了のお知らせ

2019.06.17

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最後になりますが、改めて皆様に感謝いたしますとともに、引き続き、マイナビニュースにてご愛顧いただけましたら幸いです。

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

カレー沢薫の時流漂流 第47回

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

2019.06.17

最近女性の間で「#MeToo」ならぬ「#KuToo」運動がにわかに盛り上がっている。

「#KuToo」とは「靴」と「苦痛」をかけており、職場や就職活動で、足を痛めるパンプスやヒール靴の強要をやめようという運動である。

そもそもそんなの誰も強要してねえよ、と思われるかもしれない。確かに規定として靴の形状やかかとの高さまで定めている会社はレアだろう。しかし、私の元いた会社でも、規則があるわけでも、誰に言われたでもなく、みな一様に黒のパンプスを履いていた。それが「暗黙のルール」であり、それ以外は「非常識」と見られる風潮は確かにあるのである。

これが就職活動になると、パンプスを履いていないだけで「こいつは常識がない」と見なされ不採用になってしまうかもしれない、ということだ。そうなると女子学生は足を負傷してでもパンプスを履かざるを得なくなってしまう。

正直、パンプスは苦痛

パンプスがそんなに苦痛か、というと、靴の中では殺傷能力が高い方である。これは他人への、という意味ではなく自分へのだ。他人を殺傷したいならカウボーイが履いている、かかとにピザカッターがついている奴を履いた方が良い。

狭いつま先に足の指が密集されるため、私もよく爪で隣の指を切って足を血だらけにしていたし、伸縮性にかける素材のため、あわないパンプスだと試着の時点で靴擦れが出来るレベルなのだ。

世の中には素肌に荒縄で亀甲縛りを施し、その上に上等なスーツを羽織って出社している人も多いと思う。とても痛いだろうが、それは強制されたわけではなく、その人が好きで楽しいからやっているのだ。

つまり、好きでもない上にとても痛いパンプスを強制で履かなければいけないというのは、上等なスーツの下が亀甲縛りなことよりも「異常」なことというわけだ。

この運動はすぐに広まり、いきなり国会でも議論されたという。これにより「厚労相がハイヒール強要を容認」という見出しのニュースまで踊り出ることになった。

完全に自由と言われても困るのでは?

「厚生省に、女がハイヒールを履かないと死ぬ病の人が!?」と驚いたが、記事をよく見ると見出しほどのことはなく、厚労相の発言は「これは社会通念に照らして業務上、必要かつ相等な範囲かと、この辺なんだろうと思います」というかなりボンヤリしたものであり、どっちでも良い事を聞かれた私のリアクションに似ている。

しかし「ハイヒールが履けない女は何やってもダメ」などと強い事を言っているわけではないが、「業務上必要ならパンプス履くべきだろ」という「容認」に聞こえなくもない。すぐさま「業務上ハイヒールが必要な仕事って何だよ」という疑問が挙がり、「SMの女王様」「(ハイヒールでキレッキレに踊る)perfume以外ありえない」などの声が相次いだ。

この社会問題がすぐ大喜利になってしまうのは良くも悪くも「ザ・ツイッター」という感じだ。

確かに「業務上必要」となると、まだかかとにピザカッターがついている靴の方が「ピザを食う時」必要な気がする。

ただ、靴や服装を完全に自由化し、何でもOKにすれば良いかというと、それはそれで問題が起きると思う。ファッションに疎くコーディネートが苦手な人間からすれば、職場に何を着ていいのか全く「指針」がないというのは迷子になるし、接する側としても、車を買いにいってディーラーが、イモ―タンジョ―の完コスで出てきたら「キャデラックしか買うことを許されないのか」と委縮してしまう。就活マナー本に「俺の考えた最強の就活ファッションで挑みましょう」とだけ書かれていても逆に困るだろう

着る側としても、それに接する側としても、社会において服装にある程度規定や模範があるというのはメリットでもあるのだ。

そもそも規定や常識というのは、秩序を作ることにより問題を減らすためにあるものなのだ。しかしそれが元で「足を負傷する」という「問題」が起こっているなら本末転倒なので、やはり解消はすべきなのだろう。

極論に流れない寛容さが足りない

おそらく「#KuToo」を提唱している人も「ドラゴン柄のコンバースで就活したい」と言っているわけではないのだ。最近は「パンプスに見えるスニーカー」なども存在するし、パンプスでなくても地味な靴はいくらでもある。そのような靴を履いていても「パンプスじゃないから非常識」と見るのをやめてほしいという話だろう。

ちなみに私が会社員時代履いていたパンプスだが、黒の革靴ではあったが、つま先は限りなく丸く、ヒールはなきに等しい、今思えばあれはパンプスだったのか、70過ぎのババアが旅行に行くときに履くヤツなんじゃないか、という代物であったが、特に何も言われなかった。

「#KuToo」が求めるのも、そのぐらいの「寛容さ」なのではないだろうか。

【お知らせ】
連載「カレー沢薫の時流漂流」の掲載場所を変更します。
→ 新しい掲載場所はこちら https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu