【現場の声】バイク専用駐車場運営のアイドゥトップが語る。M&Aをしてアーリーリタイアにした理由とは?

【現場の声】バイク専用駐車場運営のアイドゥトップが語る。M&Aをしてアーリーリタイアにした理由とは?

2016.09.04

【現場の声】バイク専用駐車場運営のアイドゥトップが語る。M&Aをしてアーリーリタイアにした理由とは?

首都圏32カ所で900台のバイク専用駐車場を運営するアイドゥ。“大型バイクを主軸としたセキュリティ完備の月極駐車場”というニッチなビジネスモデルは首都圏に住むバイクオーナーの救世主として安定した成長を果たした。業績好調の中、創業者の池田寛和氏は54歳となった2015年に事業を譲渡。アーリーリタイアを考えられた背景やM&Aに当たって感じたことなどを伺った。


いつまで会社経営をすべきか、自分が本当に望む人生は何か――人生を楽しめる可能性を考え、アーリーリタイアを決意

アイドゥ創業の経緯を教えてください。

 私はもともとサラリーマンで、当時からハーレーダビッドソンやBMWといった海外メーカーの大型バイクに乗るのが趣味でした。自然とバイクオーナー同士が友人になりやすく、気がつけばフランクに話せる10年来、15年来の仲間ができていました。

 ところが、あるとき友人のバイクが盗まれるという事件が起きたのです。ショックでしたが、私はその友人とはきっとまた新しいバイクで一緒に走りに行けると思っていました。でも、彼は新しいバイクを買わず、仲間に戻ってこられなかった。買ってもまた盗まれてしまうのではないか――そう考えると、新しい大型バイクを買う気になれなくなってしまったそうです。彼はバイクを盗まれましたが、私たちにとっては大切な仲間を盗まれたようなものです。

 大切なバイクが盗まれないための設備とは……いずれ独立を考えていた私は、この出来事をきっかけに高度なセキュリティを有するバイク専用パーキングを構想し、仲のいいバイク仲間2名に共同経営者になってもらって、アイドゥを立ち上げました。

譲渡を検討するきっかけは何だったのですか?

 幸いなことに、アイドゥのビジネスは軌道に乗り、増やした駐車場はどこも赤字にならず、安定した収益が出せるようになりました。ただ、いつまで会社経営をすべきか、自分が本当に望む人生は何かを考えるようになりました。例えば70歳で会社を譲渡し、お金が入っても、その年齢ではセカンドライフを満喫する時間は限られます。身体だって今ほど健康ではないでしょう。いずれ会社を譲渡するにしても、50代、60代、70代、いつ譲渡するかによって人生を楽しめる可能性はまったく異なってくると思い、50代での譲渡を決めました。

譲渡に際し、希望された条件を教えてください。

 共同経営者である仲間のために経済的な条件は必要でした。ですから、M&A仲介会社の担当の方に「この金額以下だったら事業は売らない」と希望額を伝えました。会社の状況は良く、絶対に事業をやめなければならない理由もないので、条件が合わなければ保留することもできます。そういった意味では、お願いではなくきちんと主張できる立ち位置を保ちながらM&Aに臨めたと思います。

企業経営もM&Aも基本は「人」 人と人とのフィーリング、つながりが重要

複数のM&A仲介会社に相談した際、担当の方を選ばれたポイントは?

 ひとえに担当の方の人柄が良かったからです。企業経営の基本は「人」です。M&Aについても、会社と会社ではなく、双方の社長同士のフィーリングが重要だと思っています。そして、その人と人とをつなげるのも結局は人。ほかの仲介会社の中には、それを機械的にやったり、強引に取り持ちそうな、そんな不安を感じさせる人もいました。担当の方はしっかりと私の話や要望を聞き、理解した上で相手を探し、相手に伝えてくれました。

Web上にアイドゥのM&A情報を掲載したところ、
たくさんの問い合わせがありました。

 50社以上ものたくさんのお問い合わせをいただきました。あれは嬉しかったですね。少ないよりも多いほうが選択の幅が広がります。大手企業で興味、関心を示してくれたところもありました。担当の方に希望する条件を伝えつつ、お相手を選ばせていただくことができました。

1社目、2社目とのお話は途中で破談となり、3社目で成約に至りました。

 1社目とは基本合意まで至らず、途中で流れました。2社目にはかなり興味・関心を持っていただき、M&Aも最後の最後まで進みましたが、最終的に先方が身を引かれる経営判断をされました。

 通常であれば、また新しい会社と時間をかけて協議しなければならないのですが、3社目と交渉を開始した1カ月後には、ほぼ合意まで進んでいました。私の要望を担当の方がきちんとくみ取り、お相手の細田(雄吾)社長が判断しやすいように立ち回ってくださったので、一気にお話を進めることができました。

アイドゥと池田様の今後について教えてください。

 私は会長という立場になりました。細田社長は何と言っても人がよい。31歳と若いけれど、ビジネス感覚に優れ、覚悟と実行力があります。そのような方なので、引き継ぎ期間は終わっていても、私も共同経営者たちも無償で手伝いたくなる。これは人と人とのフィーリングだと思います。

 現在は会長として、まずは細田社長の体制になってもきちんと利益を出し、実績をつくれるようにすることに注力しています。一方で、私自身はM&Aで得た資金と時間を活用して、次のライフスタイルを見つける旅に出たいと思っています。

本日はありがとうございました。

お話:アイドゥ 会長 池田 寛和 氏
M&A情報誌「SMART」より、2016年4月号の記事を基に再構成
まとめ:M&A Online編集部

大津の園児死亡事故で炎上した「マスコミ」批判

カレー沢薫の時流漂流 第43回

大津の園児死亡事故で炎上した「マスコミ」批判

2019.05.20

漫画家・コラムニスト カレー沢薫さんの社会派連載!

第43回は、大津の痛ましい事故で炎上した「マスコミ」問題について

滋賀県・大津市で散歩中の園児の列に軽乗用車が突っ込み、園児二名死亡、多くの負傷者を出す、という事故が起った。

池袋のプリウス事故の衝撃が冷めやらぬまま、また痛ましい事故が起ってしまった。池袋の事故では「高齢者の自動車運転問題」「上級国民疑惑」が大きく注目されたが、今回の事故では全く別のものが炎上した。

マスコミ問題である。

マスコミが保育園を追求したのは視聴者のため?

事件が起こった当日夕方、被害者の園児が通っていた「レイモンド淡海保育園」が記者会見を行ったのだが、そこで質問をした記者の血が青とか紫とかほとんど寒色系じゃないかと、大きく批判された。

記者会見が、どのような内容だったかというと「危険な場所という認識はあったのか?」「保育士が道路側にいたのか?」という、何としてでも保育園側に批があったようにしたくてたまらない質問、「園児たちの様子は普段と変わらなかったのか?」という意図のわからない質問、 「散歩したのは園に庭がないからか?」という「園に庭さえあればこんなことには…」という「ニ兆円さえあれば」に匹敵する、壮大なたられば論などが挙げられ、質問を受けた園長は号泣、それを記者がバッシャバッシャ撮影するという地獄絵図だったそうだ。

記者会見を見た多くの人が「何を食ったらそんな質問ができるんだ」と思っただろうが、この記者会見は、たまたまその場にプラスチックを食って育った選りすぐりのサイコパッシャーが大集結してしまったという、悪い意味でのアベンジャーズだったワケではないと思う。

記者が何故あのような質問をしたかというと、決して趣味ではなく、おそらく「視聴者の見たい画」「聞きたい言葉」を引き出そうとした結果なのではないか。もちろん「あんなもの見たくなかった」という人が大半だと思う。

しかし、池袋プリウス事故で加害者が即逮捕されないことが大きく批判されたことからも、現在の我々視聴者に「悪が一刻も早く、俺たちの目に見える形で処されるところが見たい」という「ニーズ」が少なからずあることが分かっているのだ。

つまり「お客様に一秒でも早く悪が吊るされる様をお届けします!」というニーズに応えようとする企業努力が、「悪くもない保育園をとりあえず悪にして即斬る」という、完全に間違った「悪・即・斬」になってしまったのではないだろうか。

「マスゴミ」問題は視聴者の問題?

しかし、「被害者側への無配慮な取材はいらん」というのも、今回の件だけではなく、視聴者側が何度も言い続けている「ニーズ」である。

何故それが無視されてこのような会見が行われるかというと、被害者の声まではいらなくても、やはり我々が平素「センセーショナル」な物を求めてしまっているからではないだろうか。よって記者たちは「とにかく刺激的なものを撮ってこい」と言われ続け、感覚がマヒし、本来配慮が必要なはずの取材にすら「センセーショナルさ第一」で臨んでしまい、まるで不倫記者会見のようなノリの質問が飛ぶことになってしまったのではないだろうか。

やはり報道というのは「視聴者が何を見たがっているか」が反映されるものだ、需要がなければ供給はなくなる。このような記者会見が行われなくするためには、何度でも我々が「こういうのはいらんのや、見んし、お前らの雑誌買わんわ」と言い続けるしかないだろう。

ところで、「質問をした記者を特定して処してやろう」という動きも当然のように起こったらしい。やはり我々の「悪を処したい」「処されるのを見たい」という気持ちは根深い物があるのだ。

ちなみに、今回の事故では当初、車を運転していた52歳と62歳の2人が逮捕された。「また高齢者か」という声も上がったが、この年齢で高齢者と呼べるかは微妙なところだ。結局「車を運転する以上誰でも事故を起こす可能性がある」ということである。

車を運転しない人は「歩道を歩いていて車が突っ込んでくるなんてどうしようもない」という被害者観点から絶望したと思うが、車を運転する人は加害者観点でも恐怖したと思う。

もちろん安全運転に越したことはないが、人間には「限界」と「不測の事態」があることでおなじみである。持病もないのに運転中に突然何らかの発作が起こる可能性だってあるのだ。「どうしようもないこと」で被害者になることもあるが、加害者になることもあるのである。

つまり、車がないと生活できない土地で、私が週一ぐらいしか外出せず、引きこもり続けているのは、近隣住民の命を守る草の根活動でもあるのだ。しかし、それは無職だからできる事業なので、多くの人が、少なからずリスクを負って車を運転しなければいけない。

そのリスクを減らすには、運転者が気をつけることはもちろんだが、何せ限界がある。つまり、人間がこれ以上、進化することなく、むしろ高齢化で退化する一方だとしたら、無機物の方を整備していくしかない。

事故が起りにくい道路作り、そして車だ。

現に、車の事故防止機能はどんどん進化しており、自動運転化の開発も進んでいるという。自動運転が本当に安全なのか不安もあるが、少なくとも老が運転するよりは確実に安全になるだろう。

しかし、今のところそういった事故防止機能がついた車を買うか否かは、任意である。そして、そのような機能がついた車は高くなる。よって私の車は金銭的問題で、タイヤとハンドルがついているぐらいであり、運転手がミスったら、そのミス通り事故を起こしてくれる、素直な仕様である。

現在でも事故防止機能のある車を購入した場合、補助がもらえることもあるようだが、導入が任意な以上、つけない人はつけないだろう。これからの車には、タイヤ、ハンドル、事故防止機能を、もう屋根ぐらい忘れても良いから義務付けるべきではないだろうか。

関連記事
スープラは最高の合作? トヨタ副社長に聞く新型スポーツカーの存在意義

スープラは最高の合作? トヨタ副社長に聞く新型スポーツカーの存在意義

2019.05.20

トヨタが5世代目となる新型「スープラ」を発売

直列6気筒のFRで伝統を踏襲、最上級グレードに予約集中

BMWとの共同開発について気になる点を友山副社長に聞く

トヨタ自動車は新型「スープラ」(GR Supra)を発売した。先代スープラの生産終了から17年ぶりの復活だ。価格は3リッターの直列6気筒(直6)ターボエンジンを搭載する「RZ」が690万円、2リッターの直列4気筒ターボエンジンを積む「SZ-R」が590万円、同「SZ」が490万円。直6+FR(フロントエンジン・リアドライブ)という歴代モデルの伝統を踏襲した5世代目は、トヨタとBMWの共同開発で誕生した。

新型「スープラ」。ボディサイズは「RZ」で全長4,380mm、全幅1,865mm、全高1,290mm。こだわったのは「短いホイールベース(前輪と後輪の間の幅、2,470mm)」「幅広いトレッド(左右のタイヤの幅、RZでフロント1,595mm、リヤ1,590mm)」「低い重心高」の3つの基本要素だという

儲からなければ儲かるまで“カイゼン”

新型スープラはBMW「Z4」のプラットフォームとエンジンを使っている。企画とデザインはトヨタが、設計はBMWが担当した。

トヨタでは月間220台の販売台数を想定していたが、2019年3月に予約注文の受付を開始すると、新型スープラには予想を超える数のオーダーが殺到した。事前受注は約1,400台に達したという。予約注文のうち、約7割が最上級グレードのRZに集中したことも予想外だったようで、トヨタは一時的に、同グレードの予約受付をストップしていた。

増産やグレード変更などの生産調整により、現在、RZの受注は再開している。とはいえ、今からRZを注文しても、納車は2020年1月ごろになるそうだ。

「マットストームグレーメタリック」をまとった新型「スープラ」(画像)は限定車。2019年度分の24台については、6月14日までWeb限定で商談の申し込みを受け付ける。商談順は抽選となるそうだ

「モビリティカンパニー」になると宣言したトヨタが、スポーツカーのスープラを復活させる理由については、最近、テレビやラジオのコマーシャルでもしばしば耳にする「馬がクルマに置き換わっても、競走馬は残った」という言葉の通りだ。つまり、電動化や自動化でクルマの在り方が変わっていっても、単なる移動手段ではなく、所有したり乗ったりすることで、喜びを感じられる存在として残るクルマもあるので、そういった製品を作り続けたいというのがトヨタの思いである。

新型「スープラ」はトヨタとBMWが2013年に包括提携を結んでから初の商品となる。生産はマグナ・シュタイヤーに外部委託し、オーストリアのグラーツ工場で行う

とはいえ、スポーツカーは年間何万台も売れるクルマではないし、採算が取れないおそれもある。その点については、新型スープラ発表会に登壇したトヨタの友山茂樹副社長も「スポーツカーは儲からない、売れないという冷ややかな見方があることは事実」と認めるところだ。しかし同氏は、「儲からなければ儲かるようになるまで、売れなければ買ってもらえるようになるまで、歯を食いしばってでもカイゼンを続ける」ことがトヨタ本来の姿であるとし、「クルマは五感で感じるものだというDNAを次の世代に継承しなければならない」との考えを示した。

新型「スープラ」は歴代モデルと違って2シーターだ

「BMW製では?」の声に友山副社長の回答は

気になるのは、スープラがBMWとの共同開発であり、エンジンとプラットフォームというクルマの中心部分がBMW製であるという点だ。「トヨタの思いは分かるけど、結局、BMWのクルマなのでは……」という見方があるのは、おそらく間違いないだろう。

こちらがBMW「Z4」。大きな違いはスープラがクーペでZ4がオープンカーであるところだ。「Z4」の価格を見ると、3L直6エンジンを積む「M40i」が835万円、2L直4エンジンを積むエントリーモデル「sDrive20i」が566万円となっている

そのあたりについて、友山副社長が語ったところをまとめると、まず、「スポーツカーは数(販売台数)が限られる割に、開発には莫大なコストがかかるので、単独で作るのは難しい」とのこと。今回のスープラは企画とデザインがトヨタ、設計がBMWと説明しているが、クルマの開発は「そんなに簡単なものではないし、(明確に役割を)区切れるものでも」なく、企画の段階で、トヨタとしてどんなクルマを作りたいか、どんな味を出したいかといった点については徹底的に詰めたという。それに、これは多少、冗談めかした発言ではあったものの、「BMWが作ったクルマだから」という理由でスープラを購入する顧客もいるそうだ。

トヨタの友山副社長。自身は先代「スープラ」を改造して乗っていて、トヨタの役員駐車場で警備員に止められたこともあるという

スープラを「BMW製」だと見る人たちに対して友山副社長は、「どこ製ということではなく、これは『スープラ』なんです。両社のいいところを組み合わせた最高の合作、それがスープラです。乗ると分かりますが、Z4とは全然違います」とのメッセージを伝えたいそうだ。

関連記事