恋愛相談にAIを導入、「教えて! goo」の新たな試みは何を生むか

恋愛相談にAIを導入、「教えて! goo」の新たな試みは何を生むか

2016.09.07

NTTレゾナントが運営する検索/ポータルサイト「goo」の人気Q&Aコンテンツ「教えて! goo」において、AI「オシエル」を使った恋愛相談サービスを開始した。恋愛相談という、ともすれば重いテーマのサービスにおいて、AIはどのような役割を果たせるのだろうか。また、gooはどのような展開を今後考えているのだろうか。

gooがAI「オシエル」を使った恋愛相談サービスを開始

3000万件以上のデータから最適解を学習

「教えて! goo」の「オシエル」は、ユーザーが投稿した質問に対し、自然な文章で返答してくれる恋愛相談用AIだ。実際に恋愛相談に対する実例を見てみよう。

質問は人間の回答者たちも見るので、一般的な言葉遣いで入力して構わない
AIからの回答はユーザー名が「オシエル」になっていてすぐにわかる。混雑にもよるが3~5分程度でレスポンスが得られるという。名言の引用が最後に付くのも面白い

好きな人に振り向いて欲しいという趣旨の質問に対して、AIは「大丈夫です。脈はあると思いますよ。これからもっと丁寧にお互いを……」などと、投稿者に対して、自然で丁寧な言葉で返事をしているのがわかる。AIが書いたとは思えないほど自然な文章だ。

「オシエル」はNTTグループのAI「corevo」を活用して開発されたもので、「教えて! goo」に投稿された3000万件以上のQ&Aデータから「使われている単語の意味」「質問(Q)と回答(A)の対応関係」「質問内の文の組み合わせ」をディープラーニングで学習し、モデル(型)を生成。投稿された質問に対して、生成したモデルを用いて質問にマッチする「共感」、「結論」、「理由」を含む文を回答集合から抽出し、抽出した文を組み合わせて新たな回答を生成する。文章のスタイル(文末が「だ・である」か「です・ます」か、など)はNTTドコモの自然対話プラットフォームを利用して修正しているという。

最適な回答を抜きだしてテンプレートに合わせるといった形に近い。AIの回答に対する評価も学習し、次の回答に応用していくという

恋愛相談とAIの組み合わせという点では、Yahoo! JapanでもQ&Aコーナーの「Yahoo!知恵袋」で、バックボーンにWatsonを使った「これって付き合える? 脈ありチェッカーβ」をAndroid用アプリとして提供している。ただし、こちらは脈の有無を%表示するだけで、質問に応えてくれるわけではない。NTTレゾナントによれば、恋愛相談や人生相談など、答えが決まっていない質問に対し、ディープラーニングを使って複数の文を組み合わせ、自然な回答を生成する技術としては「オシエル」が世界初となるという。

AIが回答することが満足度の向上につながる?

人工知能を使い自然言語で応対するサービスは現在急速に立ち上がりつつあるが、その大半はサポートセンターのチャットbot(自動返信プログラム)など、比較的短いセンテンスのやり取りで対話し、ひとつの質問に対して明確な正解が存在するものが中心だ。

これに対し、ユーザーのQ&Aコーナーというのは、一度に投稿される文章が長く、必ずしも起承転結や目的がはっきりしないことも多い。ひとつの質問に対して多くの答えが寄せられるように、問題に対する正解が1つだけ求められるという性格のものでもない。むしろ、質問者は多くの回答から自分が納得できるものを求めている感もあり、サービスに求められるのは「素早く、できるだけ多いレスポンス」ということになる。

恋愛相談という「重い」質問に対して人工知能が回答することに対する倫理的な面での疑問もあったのだが、前述したような観点からは、AIによる自動返信であっても、それはユーザーにとってはサービスの拡充としか映らないのではないだろうか。相手が人であるかAIであるかよりも、自分が納得できる回答が得られるほうが満足度は高くなるだろう。また、回答が「共感」からスタートして相手に受け入れやすくしているというストーリー仕立てになっているのも、受け取る側のユーザーとしては心理的な障壁を下げる効果になっているように思う。

こうしたQ&Aサービスはポータルサイトでも人気コンテンツの一つだが、一方で素人同士の回答になるため、回答の質の低下という問題が常に付きまとう。その点、ディープラーニングで良質な回答を学習し、その中から近い回答を抜き出して応えてくれる「オシエル」のAIは、常時一定水準の回答を素早く提供できるという点で、ユーザーの満足度を高めてくれることになる。gooでは今後、恋愛相談以外の分野のQ&AにもAI回答の対象を拡張するという。具体的には旅行や子育て、介護といった分野が挙げられていた。

将来的には回答傾向そのものをパーソナライズし、性別や年齢層などに合わせた回答もできるようになる見込み

goo以外のポータルサービスでも、今後はQ&AコーナーでのAI活用が、ユーザー満足度を効率良く高める上で必須となっていくだろう。また逆に、AIが浸透することで、人間による生の意見に対する価値が高まることも予想される。全体としてはコミュニティの質向上に対してプラスに働くことが期待できるだろう。

NewsInsight 更新終了のお知らせ

NewsInsight 更新終了のお知らせ

2019.06.17

NewsInsightは、諸般の事情により記事更新を終了いたします。

ご愛顧いただいた読者の皆様、また関係者の皆様に、編集部一同、誠に感謝いたします。

なお、NewsInsightに掲載中の記事につきましては、引き続きマイナビニュース(https://news.mynavi.jp)へと掲載場所を移管いたします。

掲載中の連載記事につきましても同様に、マイナビニュースへ移管いたします。各連載記事の新しい掲載URLにつきましては、以下となります。

○安東弘樹のクルマ向上委員会!
https://news.mynavi.jp/series/andy

○森口将之のカーデザイン解体新書
https://news.mynavi.jp/series/cardesign

○清水和夫の自動運転ソシオロジー
https://news.mynavi.jp/series/autonomous_car

○ゲームとともに振り返る“平成”という時代
https://news.mynavi.jp/series/game_heisei

○岡安学の「eスポーツ観戦記」
https://news.mynavi.jp/series/e-Sports_review

○企業戦士に贈る「こむぎのことば」
https://news.mynavi.jp/series/komuginokotoba

○藤田朋宏の必殺仕分け人
https://news.mynavi.jp/series/shiwakenin

○「食べる」をつくる科学と心理
https://news.mynavi.jp/series/food_science

○阿久津良和のITビジネス超前線
https://news.mynavi.jp/series/itbiz

○山下洋一のfilm@11
https://news.mynavi.jp/series/filmat11

○モノのデザイン
https://news.mynavi.jp/series/designofthings

○知って納得、ケータイ業界の"なぜ"
https://news.mynavi.jp/series/mobile_business

○文具ソムリエール・菅未里の「新しいコンパス」
https://news.mynavi.jp/series/bungu

○活字・写植・フォントのデザインの歴史 - 書体設計士・橋本和夫に聞く
https://news.mynavi.jp/series/font-history

○カレー沢薫の時流漂流
https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu

最後になりますが、改めて皆様に感謝いたしますとともに、引き続き、マイナビニュースにてご愛顧いただけましたら幸いです。

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

カレー沢薫の時流漂流 第47回

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

2019.06.17

最近女性の間で「#MeToo」ならぬ「#KuToo」運動がにわかに盛り上がっている。

「#KuToo」とは「靴」と「苦痛」をかけており、職場や就職活動で、足を痛めるパンプスやヒール靴の強要をやめようという運動である。

そもそもそんなの誰も強要してねえよ、と思われるかもしれない。確かに規定として靴の形状やかかとの高さまで定めている会社はレアだろう。しかし、私の元いた会社でも、規則があるわけでも、誰に言われたでもなく、みな一様に黒のパンプスを履いていた。それが「暗黙のルール」であり、それ以外は「非常識」と見られる風潮は確かにあるのである。

これが就職活動になると、パンプスを履いていないだけで「こいつは常識がない」と見なされ不採用になってしまうかもしれない、ということだ。そうなると女子学生は足を負傷してでもパンプスを履かざるを得なくなってしまう。

正直、パンプスは苦痛

パンプスがそんなに苦痛か、というと、靴の中では殺傷能力が高い方である。これは他人への、という意味ではなく自分へのだ。他人を殺傷したいならカウボーイが履いている、かかとにピザカッターがついている奴を履いた方が良い。

狭いつま先に足の指が密集されるため、私もよく爪で隣の指を切って足を血だらけにしていたし、伸縮性にかける素材のため、あわないパンプスだと試着の時点で靴擦れが出来るレベルなのだ。

世の中には素肌に荒縄で亀甲縛りを施し、その上に上等なスーツを羽織って出社している人も多いと思う。とても痛いだろうが、それは強制されたわけではなく、その人が好きで楽しいからやっているのだ。

つまり、好きでもない上にとても痛いパンプスを強制で履かなければいけないというのは、上等なスーツの下が亀甲縛りなことよりも「異常」なことというわけだ。

この運動はすぐに広まり、いきなり国会でも議論されたという。これにより「厚労相がハイヒール強要を容認」という見出しのニュースまで踊り出ることになった。

完全に自由と言われても困るのでは?

「厚生省に、女がハイヒールを履かないと死ぬ病の人が!?」と驚いたが、記事をよく見ると見出しほどのことはなく、厚労相の発言は「これは社会通念に照らして業務上、必要かつ相等な範囲かと、この辺なんだろうと思います」というかなりボンヤリしたものであり、どっちでも良い事を聞かれた私のリアクションに似ている。

しかし「ハイヒールが履けない女は何やってもダメ」などと強い事を言っているわけではないが、「業務上必要ならパンプス履くべきだろ」という「容認」に聞こえなくもない。すぐさま「業務上ハイヒールが必要な仕事って何だよ」という疑問が挙がり、「SMの女王様」「(ハイヒールでキレッキレに踊る)perfume以外ありえない」などの声が相次いだ。

この社会問題がすぐ大喜利になってしまうのは良くも悪くも「ザ・ツイッター」という感じだ。

確かに「業務上必要」となると、まだかかとにピザカッターがついている靴の方が「ピザを食う時」必要な気がする。

ただ、靴や服装を完全に自由化し、何でもOKにすれば良いかというと、それはそれで問題が起きると思う。ファッションに疎くコーディネートが苦手な人間からすれば、職場に何を着ていいのか全く「指針」がないというのは迷子になるし、接する側としても、車を買いにいってディーラーが、イモ―タンジョ―の完コスで出てきたら「キャデラックしか買うことを許されないのか」と委縮してしまう。就活マナー本に「俺の考えた最強の就活ファッションで挑みましょう」とだけ書かれていても逆に困るだろう

着る側としても、それに接する側としても、社会において服装にある程度規定や模範があるというのはメリットでもあるのだ。

そもそも規定や常識というのは、秩序を作ることにより問題を減らすためにあるものなのだ。しかしそれが元で「足を負傷する」という「問題」が起こっているなら本末転倒なので、やはり解消はすべきなのだろう。

極論に流れない寛容さが足りない

おそらく「#KuToo」を提唱している人も「ドラゴン柄のコンバースで就活したい」と言っているわけではないのだ。最近は「パンプスに見えるスニーカー」なども存在するし、パンプスでなくても地味な靴はいくらでもある。そのような靴を履いていても「パンプスじゃないから非常識」と見るのをやめてほしいという話だろう。

ちなみに私が会社員時代履いていたパンプスだが、黒の革靴ではあったが、つま先は限りなく丸く、ヒールはなきに等しい、今思えばあれはパンプスだったのか、70過ぎのババアが旅行に行くときに履くヤツなんじゃないか、という代物であったが、特に何も言われなかった。

「#KuToo」が求めるのも、そのぐらいの「寛容さ」なのではないだろうか。

【お知らせ】
連載「カレー沢薫の時流漂流」の掲載場所を変更します。
→ 新しい掲載場所はこちら https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu