【現場の声】会社を譲渡する場合、息子も退社すべき?~M&A相談所~その時どうする?

【現場の声】会社を譲渡する場合、息子も退社すべき?~M&A相談所~その時どうする?

2016.09.08

【現場の声】会社を譲渡する場合、息子も退社すべき?~M&A相談所~その時どうする?
Q:息子が会社にいたらM&Aはできない?

 会社を社内にいる息子に継がせるのではなく、M&Aも視野に入れてよいかと考えるようになりました。私は長男を自分の後継者とすべく、5年前に入社させ育ててきました。息子は大手メーカーで武者修行をさせていたので技術力はあり、ある程度の役職にも据えました。しかし、親の目から見ても経営者としての覚悟や行動が伴っているようには感じず、従業員たちからの信頼もあまり得られていません。本人はこれまで「俺が跡を継がないならほかに誰がいる?」と申していましたが、腹を割って話したところ、本人の意向としては経営者よりも技術者として働いていきたいのが本音だったようです。

 そこで質問です。もしM&Aで会社を譲渡する場合、創業者は退いて後継者に完全に譲るべきだと考えておりますが、息子も会社を去らねばならないのでしょうか?

(愛知県 自動車部品メーカー N・Tさん)

A:ご親族が在職していることはM&Aに影響を与えません

 最近の傾向として、ご子息が会社内にいらっしゃるものの、会社をM&Aで譲渡したいというご相談が多数、寄せられています。今回のご相談のように、ご子息側から承継できないと言われるケースもあれば、父親である創業者から「息子に継がせないほうが息子や従業員のためだ」というお話を聞くこともあります。ご子息の側からすると、父親が会社を興し成長させてきたころとは時代が変わり、市場縮小・競争激化の環境でやっていける自信が持てなかったり、創業者である父親の苦労や苦悩を目の当たりにしてきたので重責に耐えられそうにないと感じたり……理由はさまざまです。

 さて、M&Aで会社を譲渡する場合にご子息も会社を去るべきかというご質問ですが、ご子息を含め創業家のどなたかが在職していても、それがM&Aに影響を与えることはありません。なぜか親族も会社を去るべきと誤解される創業者の方が多いのですが、その必要はないのです。中堅・中小企業のM&Aは「人材」が大変重要な要素であり、買い手企業にとって、その人材が創業家の一人であるかどうかはあまり大きな意味を持たない、というのが率直な意見だと思われます。

 以前、私がご支援したM&Aでも、譲渡後の会社に社長のご子息が残られたケースがありました。化学メーカーのM&Aで、ご子息は工業大学を卒業し、大手メーカーで修行された後に戻って来られ、研究者として活躍されていましたが、お父様である創業者社長がご子息に継ぐ意志があるか確認されたところ、「祖父の代からの会社で、親の期待や従業員たちのことを考えると、自分が継ぐしかないと思い込んでいた」とのこと。経営者には向かなかったようですが、非常に優秀な研究者であったため、M&Aの際には買い手側から「優秀な息子さんに残ってほしい」という条件が提示されたくらいでした。譲渡後は買い手グループの研究開発の責任者となられ、元気に研究に励まれているとのこと。後日、お父様である前社長も「息子を会社に縛り付けてしまっていた。息子のためにもM&Aをしてよかった」と話されていました。

 一方で、あまり仕事をされていなかった奥様やご子息を役員から外された上で、会社を譲渡した企業もありました。いわく、買い手企業が息子の処遇に困るだろうから、譲渡する前に息子を説得した――とのことでした。

 なお、ご子息が会社に残られた場合、その処遇については、基本的にはほかの従業員と同じ扱いになります。ご親族だからと言って、よくも悪くも特別扱いされることはありません。逆を言えば、ご子息だからと言って会社を去らなければならないということもないのです。少数精鋭の中小企業にとって、貴重な戦力が失われることは、買い手にとっても避けたいところです。

ポイント 「親族が会社にいたらM&Aはできない」「会社を譲渡したら親族は会社を去るべき」というのは思い込みです。 譲渡後、会社に残る親族の処遇はほかの従業員と同じ。ご本人の能力次第です。 経営者がご親族(ご子息)を後継者にしたくとも、実はご本人は経営者になることを難しいと考えているケースも多くあります。その場合、急に後継者不在に陥る可能性もあるので、まずはご本人の意向を確かめておくことが重要です。 ご本人に会社を継ぐ意志があっても、主観的な意気込みだけでなく、会社を取り巻く環境や今後の市場動向などを鑑み、客観的にその覚悟の度合いを測ることが必要です。

M&A情報誌「SMART」より、2016年7月号の記事を基に再構成
まとめ:M&A Online編集部

Googleマップが突然の劣化、ゼンリン地図から自社地図に変更か?

Googleマップが突然の劣化、ゼンリン地図から自社地図に変更か?

2019.03.22

Googleマップが壊れた? 3月21日以降、表示がおかしい

地図のダウンロード機能でゼンリンと決裂したか?

新しい地図は機械学習で地図データ生成という指摘も

Googleマップの表示がおかしい。3月21日頃から、Googleマップの不具合を訴える声が各所で相次いでいる。道路の表示や建物の位置が正確でなかったり、地形すら間違っている場所もある。Googleマップにいったい何が起こったのか。

地図データの提供元がゼンリンではない?

Googleマップの日本地図データはこれまで、地図データで国内大手のゼンリンから提供を受けていた。両社の契約状況は公開されていないが、少なくとも不具合が発生している現在のGoogleマップ上からは、以前までは記載されていたゼンリン社の権利表記が消え、「地図データ (C)2019 Google」へと変更されている。

Googleマップからゼンリン社の権利表記が消えた

Google社は今月のはじめ、今後「数週間以内」に、日本のGoogleマップをアップデートすると予告していた。このアップデートでは、特にダウンロード可能なオフラインマップを追加することに注目が集まっていた。オフライン環境でもダウンロード済みの地図を利用できる便利な機能だが、地図データの契約上の課題があり、日本のGoogleマップでは制限されていた機能だからだ。結局、両社は契約の課題を解決できず、ゼンリンが地図データ提供から降りてしまったことが、今回の不具合の原因と見られる。

新しい地図は使い物になるのか?

現在のGoogleマップは、Googleが新規開発した自社製の地図データを利用しているようだが、いまだに不具合が報告され続けている状態状態であり、混乱が収束する目途は見えていない。

なお、この新しい地図は、航空写真で山脈の陰部分が湖になっていたり、並木の多い道路が公園になっていたりする間違いや、ほかにも交差点に面したコンビニエンスストアの駐車場が道路と語認識されていたりすることから、航空写真をもとにした機械学習や、スマホ位置情報の移動軌跡から地図データを生成しているのではないかと指摘されている。

航空写真では山の陰になっている部分が、川と湖になってしまっている
地図では鎌倉街道から大栗橋公園を抜ける道があるが、実態はただの公園広場だ。スマホ位置情報の移動実績をもとに道と認識したか?

新しい地図の仕組みや改善の見込みについては、Google側のアナウンスを待つほかないわけだが、GoogleマップはAndroidの標準地図として利用されており、影響を受けるユーザーがあまりにも多い。他の地図サービスを駆逐して大きな影響力を持っているのだから、責任も伴うはずだ。

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ペットボトルコーヒーに対抗? キリンが目指す「午後の紅茶」

ペットボトルコーヒーに対抗? キリンが目指す「午後の紅茶」"仕事のお供"戦略

2019.03.22

「午後の紅茶」に微糖のミルクティーが登場

新CMでは無糖・微糖を中心に新しい飲用シーンを訴求

ペットボトルコーヒーに対抗? 今後の戦略は

昨年まで、ビジネスマンの仕事のお供として「ペットボトルコーヒー」に注目が集まっていたが、今年は「紅茶」が主戦場になるかもしれない。

3月26日より発売されるキリンの「キリン 午後の紅茶 ザ・マイスターズミルクティー」は、これまでの“ペットボトルのミルクティーは甘い”というイメージに反して、缶コーヒーでいちカテゴリを築いている「微糖」が特徴。また、同社が長らくカテゴリ内最大シェアを誇る「午後の紅茶 おいしい無糖」についても、あらたな消費イメージを打ち出す方針だ。

今春から「午後の紅茶」新CMに出演する新木優子さん、深田恭子さん、リリー・フランキーさん

ペットボトル紅茶飲料のトップブランドと言える「午後の紅茶」。この春から公開する新CMには、既存の紅茶飲料のイメージを覆す狙いが透けて見えた。

2つの軸で「紅茶」のイメージを変える

紅茶飲料のイメージと言えば、「午後の紅茶」の名前の由来となっている「アフタヌーンティー」(英国発祥の喫茶習慣)に象徴されるように、「女性の飲み物」であり、「時間的・金銭的余裕がある人の趣味」というところだろうか。それも紅茶という商品のひとつの側面だが、近年の消費者層のメインストリームではなくなっている。

今回、キリンが「午後の紅茶」新CMで打ち出したのは、大きく分けてふたつの飲用イメージだ。深田恭子さんが仕事で車を走らせ、駐車して一服するのに選んだのは微糖のミルクティー。一方、アーティスト然としたリリー・フランキーさんが飲んでいるのは無糖の紅茶。2本ともに「仕事のお供」としての訴求が挙げられる。

車を止め、「キリン 午後の紅茶 ザ・マイスターズミルクティー」をひとくち飲む
絵を描く合間にのどを潤すのは「午後の紅茶 おいしい無糖」

もうひとつは、おなじくリリー・フランキーさんがカレーと紅茶飲料を一緒に味わうというCM。過去には同社の無糖紅茶が「おにぎりに合う」と訴求したこともあるが、あらためて食事中の飲料として「フードペアリング」を提案する。

カレーのような香りの強い食べ物とも合わせられる点を訴求
最年少の新木優子さんは、無糖紅茶を飲むようになった自分を「大人になった」と評するCMに出演。若者への無糖紅茶訴求を担う

紅茶を、コーヒーや緑茶と並ぶカテゴリに

カフェなどでは食後の飲み物をコーヒーか紅茶から選ぶのが定番だが、ペットボトル飲料市場では状況が異なる。コーヒーに次ぐ大規模市場は緑茶飲料で、紅茶はそこから比べるとかなり小規模だ。日本全体の清涼飲料市場で見れば、そのシェアは5%以下。仕事中の飲料としてメジャーなコーヒーが14.5%、緑茶飲料が13.3%という数字を見ると、半分以下という状況となっている。

清涼飲料市場において、紅茶はコーヒー、緑茶と比べて市場が小さい

こうした市場背景を確認した上で、今後「紅茶を、コーヒーや緑茶などの無糖茶と並ぶカテゴリに成長させたい」と意欲を示したのは、午後の紅茶を担当するキリンビバレッジ マーケティング部 商品担当 部長代理の加藤麻里子氏。世界での紅茶飲料と茶葉生産量の伸び、国内紅茶市場の回復傾向を論拠に、RTD紅茶のトップブランドとして、新しい紅茶文化を創っていきたいと語った。

「午後の紅茶」ブランド全体としては、既存の定番3種は甘さを求める若年層に対して継続投資を実施。甘さから離れる20代~30代の働く女性に向け、紅茶飲料としては珍しい「微糖」の新製品「キリン 午後の紅茶 ザ・マイスターズミルクティー」を投入する。

午後の紅茶ブランドにおける年代別の主要商品マッピング

また、30代後半意以降の年代を健康意識や嗜好の変化から「糖離れ・無糖飲用層」と位置づけ、すでに市場で受け入れられている「午後の紅茶 おいしい無糖」の訴求強化を行っていく。

狙うはペットボトルコーヒーへの「対抗」ではなく…?

「2年前までコーヒーのCMをやっていたのにどのツラ下げて…というのはありますが」と茶化しながらも、自分のような「おじさん」にこそ紅茶は飲みやすいとコメントしたリリー・フランキーさん

製品ごとに異なる年齢層を狙って投入される新CM。「キリン 午後の紅茶 おいしい無糖」「キリン 午後の紅茶 ザ・マイスターズミルクティー」のCMでは、商品をことさらには誇張しない画面作りやキャスティング、出演者の自然体な演技とは裏腹に、「コーヒーから寝返っちゃおうかな」(リリー・フランキー出演「寝返り」編)、「ラテよりこっちかな」(深田恭子出演・「裏切られた」編)など、“コーヒー飲料からの転向”を示唆するようなセリフが目立つ。

働く大人がコーヒーから紅茶に「乗り換え」することを示唆するCMは、ここ2年でワーカー向けのペットボトル飲料の拡大を牽引し、ちょうど先日同ブランドから紅茶飲料を発売したサントリーの「クラフトボス」をはじめ、昨今増えているワーカー向けのコーヒーペット飲料に対する宣戦布告にも読める。だが、加藤氏にペットボトルコーヒー飲料のヒットに紅茶で対抗する構えかどうか尋ねると、決してそうではないという。

「今やひとつのカテゴリとなっているペットボトルコーヒー飲料も、複数社から新商品を展開し、協力して棚の広さを獲得した経緯があります。現状、紅茶飲料の棚は一段程度ですが、これを各社協力して2段へと増やしていきたいです」 

オフィス需要に対して、企業とコラボレーションし飲用機会を設ける試みも

また、「仕事のお供」需要を喚起する施策として、三菱地所に対して仕事中の飲料として「キリン 午後の紅茶 おいしい無糖」を提供。働き方改革推進企業とコラボレーションし、オフィスでの休息機会に手に取る飲料として配布する。今後、他の企業からオファーがあればそちらにも対応するとのこと。想定シーンに対して直接サンプリングすることで、需要の広がりを見込んでいる。

「午後の紅茶」は、日本国内の紅茶飲料としてはNo.1ブランドの地位を獲得しているだけに、紅茶飲用の文化を牽引して、先述の通りコーヒー・緑茶に並ぶ市場規模への拡大を狙っている。

昨今はスターバックスの「TEAVANA」、タリーズコーヒーの紅茶業態などが定着しており、タピオカミルクティーブームも依然続くなど、カフェ業界でも紅茶に追い風が吹いている。今後、午後の紅茶が「コーヒー党」や「緑茶党」をどれだけ引き込めるか、注目したい。

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