ついに始まるラジコ渾身の新サービス! 後から聴けるラジオが変えるもの

ついに始まるラジコ渾身の新サービス! 後から聴けるラジオが変えるもの

2016.09.26

ラジオ業界で画期的な取り組みが始まる。インターネットでラジオが聴けるサービス「ラジコ」が、過去1週間分の番組をさかのぼって聴ける「タイムフリー聴取」に対応するのだ。リスナーの減少にともない、広告市場も縮小を続けるラジオ業界だが、今回の新サービスは起死回生の策となるのだろうか。

radikoが画期的な新サービスを開始

月間ユニークユーザー1,200万人のネットラジオ

ラジコはPCやスマートフォンを通じ、現在放送しているラジオ番組をネット経由で聴けるサービスだ。基本的にはラジコを起動している(リスナーが今いる)地域の放送しか聴けないが、月額350円(税別)で「ラジコプレミアム」に加入すれば、全国のラジオ放送を聴くことができる。ラジコのスタートは2010年3月で、月間ユニークユーザー数は2016年8月時点で約1,200万人(デイリー平均は約100万人)。ラジコプレミアム会員は約30万人となっている。

ラジコを運営するradikoには、電通のほかTBSラジオやエフエム東京といった多数のラジオ局が出資している。ラジコで聴けるのは、民放ラジオ局と放送大学を合わせた計81局だ。ラジコが始まった背景には、ラジオ聴取機会を拡大したいというラジオ業界共通の想いがあった。

深夜ラジオが昼間に聴ける新サービス

タイムフリー聴取とは、ほぼ全てのラジオ番組を、放送後1週間に限り、いつでも後から聴けるというサービスだ。テレビには全ての番組を一定期間にわたり録画できる“全録”レコーダーが存在するが、ラジコのタイムフリー聴取は、このレコーダーをラジオ放送局側が公式に用意するようなイメージだ。タイムフリー聴取の使い方としては、例えば朝の通勤時間に、前日の深夜番組を聴いたり、聴き逃した早朝のニュース番組を聴いたりすることが可能になる。

ラジコがタイムフリー聴取に対応することで、ラジオはどう変わるのか。まず考えられるのは、ラジオ聴取者が大きく拡大することだ。

ラジコの登場により、ラジオはいつでも、どこでも聴けるメディアへと進化した。しかし、ラジコがラジオ本放送との同時(サイマル)放送であったため、ラジコを起動できる状況にある人でも、聴きたい番組がないのでラジオを聴いていないケースはあったと想像できる。タイムフリー聴取が始まれば、ラジコでは過去1週間のラジオ番組から好きなものを選んで聴くことが可能になる。例えば移動時間に何を聞くか考える時、過去1週間分のラジオ番組を選べるラジコは魅力的な選択肢になりうる。

タイムフリー対応と同時に、ラジオ業界は新たな聴取スタイルとして「シェアラジオ」を提唱する。これにより、“ラジオ離れ”が深刻化しているといわれる若年層に、ラジオの面白さを訴求する考えのようだ。シェアラジオとはどんなものだろうか。

難しかったラジオ番組の“共有”

現代の職場や学校において、前日のラジオを聴いたかどうかについて話している人はどのくらいいるのだろうか。深夜放送全盛期と比べるのは酷だとしても、ラジオについて話題にしている人はかなり減っているものとみられる。この状況に一石を投じるのがシェアラジオだ。

シェアラジオとは、ラジコの聴取画面に設置される「シェア」ボタンを押すことで、SNSで知り合いと番組を共有できる仕組み。タイムフリーとシェアラジオの組み合わせにより、話題になった過去の番組を後から知人同士で教えあうことが可能となる。ラジオ好きな人にとってみれば、番組の面白さを人に伝えるには聴いてもらうのが手っ取り早いのだが、録音したSDカードなどのメディアを知人に手渡すのはハードルが高い。これからはSNSで気軽に番組を共有できるわけだ。

ラジオに馴染みがなくても、ネットニュースなどで話題になった番組を、後から聴けるのなら聴いてみたいと考える人はいそう。それはタイムフリー聴取で可能になる。実際に聴いてみて面白ければ、シェアラジオで番組を拡散する人も現れるだろう。

民放連ラジオ委員会はシェアラジオを広める施策として、タイムフリー聴取が始まる10月11日から民放連加盟ラジオ101局でシェアラジオ特別番組「サントリー天然水 presents 宇多田ヒカルのファントーム・アワー」を放送予定。活動再開から間もない宇多田ヒカルさんを起用し、シェアラジオの認知度を高める意向だ。この番組は放送時間こそまちまちだが、AMとFMを問わず101局全てで放送する。これはラジオ界でもめったにない取り組みだ。

約2年半前、最後に出演したレギュラーラジオ番組の最終回で、「番組が放送されたあと一定期間ストリーミングでネットで聴けるとか(中略)そういうようなポジティブな変化が起きれば」とラジオのタイムフリー聴取実現に期待を示していた宇多田さん。特別番組はシェアラジオ普及のきっかけとなるか

タイムフリー化には紆余曲折

ラジコのタイムフリー化については以前から一部で話題となっていたが、対応は遅れていた。ラジオ番組には広告主、出演者(所属事務所)、レコード会社など多方面の権利者が存在しているので、その調整にはかなりの時間を要したようだ。

例えばレコード会社の場合を考えてみると、ラジオ番組が後から、何度でも聴けるようになることは、番組内でかかった曲が、実質的には聴き放題になることを意味する。これが無料サービスで始まることに抵抗があるのも無理はない。ラジコのタイムフリー聴取に3時間の聴取制限があり、何度でも繰り返して番組を聴けない仕組みになっているのは、さまざまな権利者が合意できるポイントを模索した結果なのだろう。

リスナー数・広告市場は減少基調

各方面の権利者の同意を得てサービスインを迎えるラジコのタイムフリー聴取。“全録”を放送者側で行うという意味ではテレビの先を行く取り組みだが、これによりラジオ業界は盛り返すことができるだろうか。まずはラジオが置かれている現状を確認しておきたい。

まず、ラジオはどのくらいの人が聴いているのだろうか。ビデオリサーチが実施している「首都圏ラジオ調査結果」によると、首都圏に住む12歳から69歳までの男女のうち、2016年8月22日から28日までの1週間で、ラジオを実際に聴いた人の割合は平均すると6.5%。十数年前は9%近くあったというから、ラジオを聴いている人数が一昔前に比べ減っているのは間違いない。ちなみに、ラジオ業界では首都圏の聴取率1%を約36万人と考える。

ラジオ広告費はどうか。電通が毎年実施している調査「日本の広告費」によれば、ラジオ広告費は1991年の年間2,406億円をピークに減少を続けており、ここ数年は同1,200億円台で推移している。リスナーが減れば広告媒体としての価値が下がるので、ラジオ広告市場が縮小するのも無理はない状況だといえる。

時代に合わせて生まれ変わることで復権を狙うラジオ

タイムフリー聴取が始まると、ラジオを取り巻く環境はどのように変わるのか。まず考えられるのは、広告媒体としてのラジオの再価値化だ。ラジコはCMも含めてラジオ番組をそのまま配信している。タイムフリー聴取が始まり、ラジオ広告が今よりも多くのリスナーに届くようになれば、ラジオ広告市場の縮小基調に変化があるかもしれない。シェアラジオが普及し、新しいリスナー、特に若年層がラジオを聴き始めれば、今までラジオ広告の出稿を考えてみなかった企業も、ラジオの広告媒体としての価値を再認識するだろう。

シェアラジオが普及すれば、口コミによるラジオ聴取機会の拡大につながる(シェアラジオ特設サイトより)

番組内のCMとは別に、ラジコが独自の広告枠を設ければ、広告市場は更に拡大する可能性がある。ラジコはネット経由のラジオ放送なので、聴いている人の属性を把握することで、効果的な音声広告を配信できるかもしれないのだ。ラジコ独自の広告が実現するかどうかは不明だが、以前お伝えしたとおり、ネットの音声広告には革新的な手法が存在し、その市場も米国などでは大きく育っている。ラジコが日本の音声広告市場を拡大するドライバーになる可能性はあるだろう。

ラジコが導入するタイムフリー聴取機能は、あくまで実証実験の位置づけ。ラジコを運営するradikoと民放連ラジオ委員会は、利用者数の把握、利用者数に伴うシステム構築規模の把握(サーバーの負荷など)、ラジオ番組を構成するコンテンツがどのように利用されるかなど、さまざまな課題を抽出し、本番運用に向けた検討を進めていくという。この期間中に、権利者からさまざまな意見が出ることも予想されるが、タイムフリーにより新規リスナーを獲得できたり、昔は聴いていた休眠リスナーを呼び戻したりできれば、そのメリットに関係者も納得するはずだ。

さまざまなメディアが登場した現代において、ラジオが以前のように、大きな存在感を放つメディアに戻るのは難しいだろう。しかし、ネットとの融合を進めるなかでタイムフリー対応という大きな決断をし、時代にあったメディアへと変身を遂げることで、ラジオはリスナーとの接点を取り戻そうとしている。ラジオ番組を後から、いつでも、どこでも聴けるラジコのタイムフリー聴取は、ラジオが新しいメディアへと生まれ変わる第一歩なのかもしれない。逆にいえば、この取り組みが実証実験で終わってしまうとラジオ復権は遠のくだろう。

新AQUOSは“片手ポケット族”狙う iPhone不在の「小型スマホ」市場に勝機

新AQUOSは“片手ポケット族”狙う iPhone不在の「小型スマホ」市場に勝機

2018.11.16

シャープが新スマホ「AQUOS R2 compact」を発表

大画面化の波に逆らい、「片手ポケット族」が増加傾向に

iPhone不在の「小型スマホ」市場を狙う

11月15日、シャープがAndroidスマートフォンの新製品「AQUOS R2 compact」を発表した。名前に「compact」と付いている通り、最近のスマホ市場では選択肢が減っている小型モデルであることが特徴だ。

小型スマホの需要を取り込む「AQUOS R2 compact」

コンパクトな見た目とは裏腹に、中身にはハイエンドである「AQUOS R」シリーズのスペックを詰め込んでいる。世界的にスマホの大画面化がトレンドとなっている中で、あえて時代に逆行するシャープの狙いはどこにあるのだろうか。

スマホを片手で持ち、ポケットに入れて使う人が増加

世界のスマホ市場では、6.5インチの「iPhone XS Max」に代表される大画面モデルが人気を博している。だが、日本では通勤電車などの利用シーンにおいて、片手で使う人が多いといわれている。シャープによれば、スマホを片手で持つ人は64% 、服のポケットに入れて持ち運ぶ人は49% に達しており、その割合は上昇傾向にあるという。

片手で持ち、ポケットに入れて持ち歩く「片手ポケット族」が多いという

その背景として、シャープはスマホの「インフラ化」を指摘する。SNSやコンテンツを楽しむだけでなく、サービスの利用やモバイル決済にスマホは欠かせない存在になっており、日常生活でスマホを取り出す場面が増えている。

AQUOS R2 compactは、日本人の手のサイズを念頭に置いた「横幅64mm」のボディに、できるだけ高性能な部品を詰め込んだハイエンドコンパクト機になっている。プロセッサは最新のSnapdragon 845、メモリは4GBを搭載しているが、これは大画面モデルのAQUOS R2と同等だ。

ポケットに入れやすいサイズに高性能を詰め込んだ

スマホ本体を小型化する一方、画面は前モデルの「AQUOS R compact」より大型化した。このためにシャープは画面の上下に切り欠き(ノッチ)を持つIGZOディスプレイを開発。インカメラと指紋センサを搭載しつつ、表示領域を上下に広げてきた。

前モデル(左)と比べて新モデル(右)は表示領域が広がった

「iPhone不在」の小型スマホ市場を直撃

シャープによれば、小型スマホを求める人は全体の3割程度という。スマホ市場では残りの7割に向けた大画面モデルが幅を利かせており、最新のiPhoneでは6.5インチのXS Maxに加え、一般向けモデルの「iPhone XR」も6.1インチとなっている。

一方、小型モデルとして根強い人気のあった「iPhone SE」は、後継モデルが出ないまま販売が終了。中古市場では価格が上昇する騒ぎもあった。

日本で最大シェアを誇るiPhoneだが、小型スマホ市場では存在感が薄れつつある。ソニーモバイルはXperiaシリーズのコンパクト機を投入しているが、2018年夏モデルの「Xperia XZ2 Compact」と比較して、シャープ機は画面の大きさ、薄さ、軽さの面で圧倒している。

中国メーカーとして日本でも勢いを伸ばすファーウェイ、OPPOも世界市場において大画面化競争を繰り広げており、小型モデルに積極的な動きは見せていない。この点もシャープにとって有利に働いている状況だ。

また、AQUOS R2 compactは顔認証と指紋認証の両方に対応しているのも特徴。これは、iPhoneにもXperiaにもない機能だ。スマホをポケットから取り出し、顔の前に持ち上げるだけでロックを解除できる顔認証だが、卓上に置いている場合は使いにくい。だが指紋センサがあれば、指を置くだけで済む。

顔認証に加えて指紋認証にも対応

スマホの端末メーカーの多くはグローバル市場に目を向け、大画面化のトレンドを追いがちだ。だが、シャープは国内の需要をしっかりとらえた上で、日本のユーザーに刺さる製品作りを続けている。

依然としてiPhone人気が続いている中で、限られた市場であっても「不在」のチャンスをタイムリーに活かし、ユーザーを奪還する。国内に目配りできるシャープならではの戦い方に注目したい。

大画面化するスマートフォン 使いやすさの試行錯誤は縦長から折り畳みへ

知って納得、ケータイ業界の"なぜ" 第23回

大画面化するスマートフォン 使いやすさの試行錯誤は縦長から折り畳みへ

2018.11.16

海外メーカーの台頭で日本にも大画面化の波が到来

大画面化と使いやすさの両立、各社の工夫の歴史

縦長スマホにとって代わるのは「折り畳み」スマホか

スマートフォンのディスプレイは年々大型化が進んでおり、かつては「大きすぎる」と言われた5インチディスプレイが、今や小さい部類に入ってしまうほどだ。一方で使いやすさを維持しながらディスプレイの大画面化を実現するため、メーカー各社はさまざまな工夫を重ねている。スマートフォンのディスプレイサイズはなぜ大きくなり、今後はどのように変化していくのだろうか。

海外メーカーの台頭で日本でも大画面化に拍車

スマートフォンにとってディスプレイは、単に情報を表示するだけでなく、タッチして操作するインタフェースも兼ねている非常に重要な存在だ。そのスマートフォンのディスプレイが、ここ10年ほどで最も大きく変化した要素が「サイズ」である。

どれくらい大きくなったのかというのは、新旧のスマートフォンのディスプレイサイズを比べてみれば一目瞭然だ。日本で最初に発売されたiPhoneである「iPhone 3G」のディスプレイサイズは3.5インチだった。一方、「iPhone X」や「iPhone XS」、「iPhone XR」といった最近のiPhoneのディスプレイサイズは6インチ級があたりまえ。1.7倍に以上に拡大しているのだ。

今やスマートフォンのディスプレイサイズは5インチ以上が一般的で、6インチも珍しくなくなった。画像の「iPhone X」のディスプレイサイズは5.85インチだ

さらに「iPhone XS Max」は6.5インチもあるし、他の大手メーカーでもサムスン電子の「Galaxy S9+」やファーウェイの「HUAWEI P20 Pro」のように、6インチを超えるディスプレイを採用した機種は増えている。なぜ、これほどまでにディスプレイサイズが大きくなったのかというと、それは大画面が欲しいというユーザーが多いため。スマートフォンの性能向上によって動画やコミック、ゲームなどのコンテンツを楽しむ人が増えていることから、ユーザーのニーズに応えるかたちで、大画面が求められるようになったといえよう。

だが日本国内の事情に目を向けてみると、公共交通機関での通勤・通学が多いのに加え、片手で文字入力ができる「フリック入力」が広く普及したこともあり、片手でスマートフォンを操作する傾向が強く、実は大画面に対するニーズはそこまで大きい訳ではない。実際日本では、4インチディスプレイの「iPhone SE」が人気を保っていたし、シャープの「AQUOS R Compact」やソニーモバイルコミュニケーションズの「Xperia XZ2 Compact」などのように、4インチ台のディスプレイを採用したコンパクトなスマートフォンも投入されている。

2018年の夏モデルとして販売されている「Xperia XZ2 Compact」は4.9インチと、最近では珍しくなった4インチ台のディスプレイを採用したコンパクトモデルだ

にもかかわらず、日本でも大画面のスマートフォンが増えているのはなぜか。まずは国内のスマートフォンメーカーが減少したことで、市場に海外メーカー製のスマートフォンが増えているためだ。海外では移動手段の違いに加え、文字入力システムの違いからスマートフォンを両手で持って操作する機会も多く、片手操作に対するこだわりが弱いのだ。

新興国などでも、ディスプレイサイズが大きいほど人気が出る傾向が目立ち、大画面に対するニーズが強いのである。海外製スマートフォンが日本市場に入り込みやすくなったことが、日本国内においてもスマートフォンの大画面化を進めたといえる。

縦長スマホの元祖はアップルだった?

とはいえ、スマートフォンが大画面化するに従って、本体の横幅がひろがり、さすがに海外のユーザーからも「持ちづらい」という声が増えてきたようだ。そこで近年急速に増えているのが、従来の16:9比率ではなく、18:9や19:9といった縦長比率のディスプレイの採用である。

持ちづらさに影響する横幅をこれ以上広げることなく、ディスプレイを縦に伸ばすことで大画面化しようとしたのだ。この流れをけん引したのは韓国メーカーで、2017年にはLGエレクトロニクスが「LG G6」(日本未発売)、サムスン電子が「Galaxy S8/S8+」といったように、縦長比率のディスプレイを採用した機種を積極的に投入した。

2017年発売の「Galaxy S8」「Galaxy S8+」は、18.9:9と縦長比率の有機ELディスプレイ「インフィニティディスプレイ」を採用したことで大きな話題となった

この韓国の両メーカーとも、グループ内にディスプレイデバイスを開発する企業を持っている。それゆえ縦長比率のディスプレイが生み出されたのには、実は大画面化だけが目的ではない。自社のスマートフォンに新しいディスプレイをいち早く搭載し、トレンドを作り上げることで、グループ企業のディスプレイデバイス販売拡大につなげる狙いもあったといえる。

だが、縦長ディスプレイで大画面化するというアイデアを真っ先に実践したのは、実はアップルである。アップルはかつてディスプレイの大画面化に消極的で、2011年発売の「iPhone 4s」までは3.5インチのサイズにこだわっていた。だが大画面化を求めるユーザーの声を受け、2012年発売の「iPhone 5」でディスプレイサイズを4インチに拡大した際に、ディスプレイの横幅はそのままに、縦に長くするという手法をとったのである。ある意味、アップルは5年前に現在のトレンドを先取りしていた、といえるかもしれない。

スマートフォンのディスプレイを縦に伸ばして大画面化するというアイデアをいち早く実践したのは、アップルの「iPhone 5」だった

しかしながら、ディスプレイを縦に伸ばして画面サイズを大きくする工夫にも、いずれ物理的な限界が来ることは目に見えている。そこで、さらなる大画面化の追求で、いま注目されているのが折り畳み式ディスプレイだ。このアイデア自体は、NTTドコモが2013年の「MEDIAS W」(NECカシオ モバイルコミュニケーションズ製)、2018年の「M」(ZTE製)で既に実現しているものだが、いずれも2枚のディスプレイを用いていたため、どうしても画面の折り目に継ぎ目が発生してしまう弱みを抱えている。

折り畳みスマートフォンとして注目されたNTTドコモの「M」は、2枚のディスプレイを用いるスタイルであるため折り畳み部分に継ぎ目が発生してしまう

だが有機ELを用いれば、ディスプレイを折り曲げられる“真の”折り畳みスマートフォンが開発できると言われており、大手スマートフォンメーカーがその開発を進めているとの観測報道も幾度となくなされている。

これは折り畳みできるという意味の「フォルダブル」スマホなどと呼ばれ、先ごろはサムスン電子が、来年発表するというフォルダブルスマホ「Galaxy F」のプロトタイプを開発者向けに見せはじめたりしている。2019年は各社から製品が登場するのではないか? との声もあるようだが、いま確実に言えることは、真の折り畳みスマートフォンがいつ、どのメーカーが、どのような形で投入するのかが、大いに注目されているということだけである。