【クリエイト・レストランツ・ホールディングス】「時間を買う」M&Aの積極活用で成長。次なる戦略は?

【クリエイト・レストランツ・ホールディングス】「時間を買う」M&Aの積極活用で成長。次なる戦略は?

2016.08.02

【クリエイト・レストランツ・ホールディングス】「時間を買う」M&Aの積極活用で成長。次なる戦略は?

 クリエイト・レストランツ・ホールディングス<3387>は1999年に設立された。立地に合わせて業態開発をするマルチブランド・マルチロケーション戦略を掲げ、100以上の業態の多種多様なレストランを展開している。2016年2月末時点での連結売上高は1032億円、店舗数は779店舗である。

 97年に現代表取締役会長である後藤仁史氏が設立したヨコスカブルーイングカンパニーがクリエイト・レストランツ・ホールディングスの前身である。99年に現代表取締役社長である岡本晴彦氏を三菱商事から迎え、クリエイト・レストランツに社名を変更した。05年9月にマザーズに、13年10月には東証一部に上場し現在に至る。

■筆頭株主の推移

 マザーズ上場直後、06年2月期の時点では三菱商事が43.86%の議決権を有しており、クリエイト・レストランツ・ホールディングスは三菱商事の関連会社であった。仕入や事業は独立して行っているとするが、役員も三菱商事から4名招聘(しょうへい)していた。12年9月にクリエイト・レストランツ・ホールディングスが三菱商事の所有する全株式約629万株を取得するまでこの関係は続く。クリエイト・レストランツ・ホールディングスは取得と同月中にこのうち150万株のみを残して自己株消却を行い、二番目の大株主であった後藤国際商業研究所(後藤会長の資産管理会社)が54.4%所有となり筆頭株主に躍り出た。

 なお、この時まで三菱商事と後藤国際商業研究所、岡本晴彦社長の三者を合わせた持株比率は80%を超えていた。当該資本政策は東証一部への上場を視野に入れ、浮動株比率を上げることを目的としていた。

 クリエイト・レストランツ・ホールディングスは多種多様な店舗展開により、突出した一つのブランドを持たない。ブランドへのロイヤルティーで個人投資家の関心を買い難い代わりに、投資的魅力で評価を得る作戦だ。筆頭株主の三菱商事がエグジットし、その持株の大半を消却したことにより、12年2月期には1株あたり25円だった配当も13年2月期には48円となっている。

 その後翌13年7月に、クリエイト・レストランつ・ホールディングスは前述の150万株を売りに出す。同時に後藤国際商業研究所、岡本晴彦社長の持株の一部を売り出しているが、これによって後藤国際商業研究所の持株比率が50%を下回り、親会社ではなく関連会社となった。

■クリエイト・レストランツ・ホールディングスの行った主なM&A

年月 概要
2012.3 ワールドからルモンデグルメ(売上高9億円)の株式の100%を買収(買収価額非公開)
2013.3 ポラリス第二号投資事業有限責任組合などからSFPダイニング(売上高137億円)の株式の74.6%を65億6700万円で買収
2013.3 個人オーナーからイートウォーク他2社(売上高24億円)の株式の100%を8億5200万円で買収
2013.6 麒麟麦酒、三井食品からSFPダイニング(売上高137億円)の株式の20%を買収(買収価額非公開)
2014.3 個人オーナーからYUNARI(売上高13億円)の株式の100%を15億円で買収
2014.11 皇家名菜私人有限公司(インドネシア)からR21Cuisine(売上高2億円)の株式の100%を2億2600万円で買収
2015.5 OPI2002 投資事業組合からKRフードサービス(売上高200億円)の株式の99.8%を149億7000万円で買収
2015.8 オリエンタルランドからアールシー・ジャパン(売上高12億円)の株式の100%を6千万円で買収

 クリエイト・レストランツ・ホールディングスのM&Aは12年、株式会社ルモンデグルメの買収に始まる。ルモンデグルメはレストランやカフェなど7店舗を運営しており、アパレル大手ワールドの子会社だった。クリエイト・レストランツ・ホールディングスは買収の理由に、業態や出店立地、顧客層の類似を上げる。ワールドは本業回帰のためにルモンデグルメを売りに出した形だ。

 ところで当時のクリエイト・レストランツ・ホールディングスの業績はあまり思わしくない。10年2月期から、景気の冷え込みや消費の伸び悩みによって売り上げは伸び悩んでいた。12年2月期にも、37店の新規出店を行い、24店を業態転換、19店を撤退するなどスクラップ・アンド・ビルドを行って、収益率を高めているが、売り上げそのものは上向かなかった。

■業績推移

 売り上げが回復したのは13年2月期以降である。13年2月期の売り上げが371億円。翌14年2月期は525億円。わずか1年間で売上高が150億円以上伸長し、実に前期比141%である。クリエイト・レストランツ・ホールディングスがM&Aを本格的に仕掛け始めたのはこの13年からである。

 13年、クリエイト・レストランツ・ホールディングスはSFPダイニングやイートウォーク他2社、計4社を買収している。イートウォークグループ3社はオーナーシェフの下、食材を生かしたブランド創出力を誇る。SFPダイニングは「鳥良」や「磯丸水産」などの店舗を日本各地に展開している。この4社の売上高を合計すると160億円以上に上る。前述の前期比150億円以上の売り上げ伸長は、M&Aによって買収したこの4社の売り上げを連結決算で上積みした形である。自社のリソースで新規出店を行う場合、ここまでの急成長は難しく、まさしく「時間を買う」と言われるM&Aの好例である。M&Aを行わなければ業績を落としていた公算が大きい。

 翌14年にはYUNARIを買収。売上高13億7200万円の同社に対して15億円を投じるが、この規模の飲食店のM&Aにおいて買収価額が対象企業の年商を上回る例は珍しい。これはつけ麺ブームの火つけ役となったYUNARIのブランド価値を評価するものであるとともに、水平展開の容易な業態を評価したものであると言える。イートウォークの例でもそうだが、M&Aでブランドを買う形である。クリエイト・レストランツ・ホールディングスは店舗経営のノウハウは自負するが、ブランド創出力に関しては自ら課題と称するところである。ブランドを自ら立ち上げるのではなく、確立されたブランドを買収するのもM&Aで「時間を買う」一つの形だ。YUNARIと同年に買収したR21Cuisineも、売り上げ規模こそ大きくはないが、上海に本店を構える南翔饅頭店ブランドの日本展開を担う企業である。

 15年5月に買収したKRフードサービスは、国内に95店舗、海外に11店舗の計106店舗を擁し、クリエイト・レストランツ・ホールディングスが手掛けたM&Aの中では最大の事業規模である。加えてKRフードサービスには、全国にそれなりに名前の通った「かごの屋」のブランドがある。商業施設や路面繁華街立地への出店に主眼を置いてきたクリエイト・レストランツ・ホールディングスにとって、KRフードサービスから郊外ロードサイド立地への出店のノウハウを取り入れる目的もあるようだ。150億円近くに上る買収金額の大きさも相まって、ひとまずはこれまでのM&Aの集大成といった趣がある。

 なお、クリエイト・レストランツ・ホールディングスは、15年にもう一社買収をしているが、これは従前とは少々毛色が異なる。15年8月に買収したアールシー・ジャパンはオリエンタルランドの子会社であり、テーマパーク内でアトラクション性の高いレストランを経営している。直近の売り上げは横ばいながらも経常赤字、収益性はよいとは言えず、6億円の債務超過に陥っていた。株式の取得日までにオリエンタルランドが増資を行って債務超過を解消したとされるが、クリエイト・レストランツ・ホールディングスが救済に入る格好に変わりない。クリエイト・レストランツ・ホールディングスには珍しいこの救済型のM&Aは、現社長の岡本晴彦氏が三菱商事在籍時代にアールシー・ジャパンの立ち上げに関わっていたこととおそらく無縁ではないだろう。

 積極的なM&Aを繰り広げるクリエイト・レストランツ・ホールディングスであるが、財務面の推移を見てみたい。

 M&Aを繰り返すのに伴い、12年2月期以降借入は増加傾向にある。特に直近ではKRフードサービスの買収資金がやや重く、16年2月期で借り入れは長短合わせて約290億円、社債が約30億円。現預金が130億円、ネットデットは約160億円。総資産に占めるのれんの割合は08年2月期の1.5%から20%に拡大しており、08年2月期に比べればリスクを取ったバランスシートになっているが、自己資本比率は24.1%で特段の危なげはない。経営資源を有効活用しながらも身の丈に合ったM&Aを行う様子が伺える。なお、13年2月期に一時的に自己資本比率が落ち込んでいるのはM&Aよりも自己株式の公開買付と消却によるところが大きいと考えられる。

■借入金と自己資本比率の推移

 マルチブランド・マルチロケーションというクリエイト・レストランツ・ホールディングスの戦略は、買収先の業態を限定しないため、積極的なM&Aを行いやすい強みがある。

 中長期戦略「VISION2020」においては、海外事業展開を成長戦略の一つと位置付け、16年2月には米国に子会社を設立した。日本での展開同様に、米国でもM&Aを仕掛けて行くのだろうか。今後の展開に注目したい。

この記事は、企業の有価証券報告書などの開示資料、また新聞報道を基に、専門家の見解によってまとめたものです。

まとめ:M&A Online編集部

新AQUOSは“片手ポケット族”狙う iPhone不在の「小型スマホ」市場に勝機

新AQUOSは“片手ポケット族”狙う iPhone不在の「小型スマホ」市場に勝機

2018.11.16

シャープが新スマホ「AQUOS R2 compact」を発表

大画面化の波に逆らい、「片手ポケット族」が増加傾向に

iPhone不在の「小型スマホ」市場を狙う

11月15日、シャープがAndroidスマートフォンの新製品「AQUOS R2 compact」を発表した。名前に「compact」と付いている通り、最近のスマホ市場では選択肢が減っている小型モデルであることが特徴だ。

小型スマホの需要を取り込む「AQUOS R2 compact」

コンパクトな見た目とは裏腹に、中身にはハイエンドである「AQUOS R」シリーズのスペックを詰め込んでいる。世界的にスマホの大画面化がトレンドとなっている中で、あえて時代に逆行するシャープの狙いはどこにあるのだろうか。

スマホを片手で持ち、ポケットに入れて使う人が増加

世界のスマホ市場では、6.5インチの「iPhone XS Max」に代表される大画面モデルが人気を博している。だが、日本では通勤電車などの利用シーンにおいて、片手で使う人が多いといわれている。シャープによれば、スマホを片手で持つ人は64% 、服のポケットに入れて持ち運ぶ人は49% に達しており、その割合は上昇傾向にあるという。

片手で持ち、ポケットに入れて持ち歩く「片手ポケット族」が多いという

その背景として、シャープはスマホの「インフラ化」を指摘する。SNSやコンテンツを楽しむだけでなく、サービスの利用やモバイル決済にスマホは欠かせない存在になっており、日常生活でスマホを取り出す場面が増えている。

AQUOS R2 compactは、日本人の手のサイズを念頭に置いた「横幅64mm」のボディに、できるだけ高性能な部品を詰め込んだハイエンドコンパクト機になっている。プロセッサは最新のSnapdragon 845、メモリは4GBを搭載しているが、これは大画面モデルのAQUOS R2と同等だ。

ポケットに入れやすいサイズに高性能を詰め込んだ

スマホ本体を小型化する一方、画面は前モデルの「AQUOS R compact」より大型化した。このためにシャープは画面の上下に切り欠き(ノッチ)を持つIGZOディスプレイを開発。インカメラと指紋センサを搭載しつつ、表示領域を上下に広げてきた。

前モデル(左)と比べて新モデル(右)は表示領域が広がった

「iPhone不在」の小型スマホ市場を直撃

シャープによれば、小型スマホを求める人は全体の3割程度という。スマホ市場では残りの7割に向けた大画面モデルが幅を利かせており、最新のiPhoneでは6.5インチのXS Maxに加え、一般向けモデルの「iPhone XR」も6.1インチとなっている。

一方、小型モデルとして根強い人気のあった「iPhone SE」は、後継モデルが出ないまま販売が終了。中古市場では価格が上昇する騒ぎもあった。

日本で最大シェアを誇るiPhoneだが、小型スマホ市場では存在感が薄れつつある。ソニーモバイルはXperiaシリーズのコンパクト機を投入しているが、2018年夏モデルの「Xperia XZ2 Compact」と比較して、シャープ機は画面の大きさ、薄さ、軽さの面で圧倒している。

中国メーカーとして日本でも勢いを伸ばすファーウェイ、OPPOも世界市場において大画面化競争を繰り広げており、小型モデルに積極的な動きは見せていない。この点もシャープにとって有利に働いている状況だ。

また、AQUOS R2 compactは顔認証と指紋認証の両方に対応しているのも特徴。これは、iPhoneにもXperiaにもない機能だ。スマホをポケットから取り出し、顔の前に持ち上げるだけでロックを解除できる顔認証だが、卓上に置いている場合は使いにくい。だが指紋センサがあれば、指を置くだけで済む。

顔認証に加えて指紋認証にも対応

スマホの端末メーカーの多くはグローバル市場に目を向け、大画面化のトレンドを追いがちだ。だが、シャープは国内の需要をしっかりとらえた上で、日本のユーザーに刺さる製品作りを続けている。

依然としてiPhone人気が続いている中で、限られた市場であっても「不在」のチャンスをタイムリーに活かし、ユーザーを奪還する。国内に目配りできるシャープならではの戦い方に注目したい。

大画面化するスマートフォン 使いやすさの試行錯誤は縦長から折り畳みへ

知って納得、ケータイ業界の"なぜ" 第23回

大画面化するスマートフォン 使いやすさの試行錯誤は縦長から折り畳みへ

2018.11.16

海外メーカーの台頭で日本にも大画面化の波が到来

大画面化と使いやすさの両立、各社の工夫の歴史

縦長スマホにとって代わるのは「折り畳み」スマホか

スマートフォンのディスプレイは年々大型化が進んでおり、かつては「大きすぎる」と言われた5インチディスプレイが、今や小さい部類に入ってしまうほどだ。一方で使いやすさを維持しながらディスプレイの大画面化を実現するため、メーカー各社はさまざまな工夫を重ねている。スマートフォンのディスプレイサイズはなぜ大きくなり、今後はどのように変化していくのだろうか。

海外メーカーの台頭で日本でも大画面化に拍車

スマートフォンにとってディスプレイは、単に情報を表示するだけでなく、タッチして操作するインタフェースも兼ねている非常に重要な存在だ。そのスマートフォンのディスプレイが、ここ10年ほどで最も大きく変化した要素が「サイズ」である。

どれくらい大きくなったのかというのは、新旧のスマートフォンのディスプレイサイズを比べてみれば一目瞭然だ。日本で最初に発売されたiPhoneである「iPhone 3G」のディスプレイサイズは3.5インチだった。一方、「iPhone X」や「iPhone XS」、「iPhone XR」といった最近のiPhoneのディスプレイサイズは6インチ級があたりまえ。1.7倍に以上に拡大しているのだ。

今やスマートフォンのディスプレイサイズは5インチ以上が一般的で、6インチも珍しくなくなった。画像の「iPhone X」のディスプレイサイズは5.85インチだ

さらに「iPhone XS Max」は6.5インチもあるし、他の大手メーカーでもサムスン電子の「Galaxy S9+」やファーウェイの「HUAWEI P20 Pro」のように、6インチを超えるディスプレイを採用した機種は増えている。なぜ、これほどまでにディスプレイサイズが大きくなったのかというと、それは大画面が欲しいというユーザーが多いため。スマートフォンの性能向上によって動画やコミック、ゲームなどのコンテンツを楽しむ人が増えていることから、ユーザーのニーズに応えるかたちで、大画面が求められるようになったといえよう。

だが日本国内の事情に目を向けてみると、公共交通機関での通勤・通学が多いのに加え、片手で文字入力ができる「フリック入力」が広く普及したこともあり、片手でスマートフォンを操作する傾向が強く、実は大画面に対するニーズはそこまで大きい訳ではない。実際日本では、4インチディスプレイの「iPhone SE」が人気を保っていたし、シャープの「AQUOS R Compact」やソニーモバイルコミュニケーションズの「Xperia XZ2 Compact」などのように、4インチ台のディスプレイを採用したコンパクトなスマートフォンも投入されている。

2018年の夏モデルとして販売されている「Xperia XZ2 Compact」は4.9インチと、最近では珍しくなった4インチ台のディスプレイを採用したコンパクトモデルだ

にもかかわらず、日本でも大画面のスマートフォンが増えているのはなぜか。まずは国内のスマートフォンメーカーが減少したことで、市場に海外メーカー製のスマートフォンが増えているためだ。海外では移動手段の違いに加え、文字入力システムの違いからスマートフォンを両手で持って操作する機会も多く、片手操作に対するこだわりが弱いのだ。

新興国などでも、ディスプレイサイズが大きいほど人気が出る傾向が目立ち、大画面に対するニーズが強いのである。海外製スマートフォンが日本市場に入り込みやすくなったことが、日本国内においてもスマートフォンの大画面化を進めたといえる。

縦長スマホの元祖はアップルだった?

とはいえ、スマートフォンが大画面化するに従って、本体の横幅がひろがり、さすがに海外のユーザーからも「持ちづらい」という声が増えてきたようだ。そこで近年急速に増えているのが、従来の16:9比率ではなく、18:9や19:9といった縦長比率のディスプレイの採用である。

持ちづらさに影響する横幅をこれ以上広げることなく、ディスプレイを縦に伸ばすことで大画面化しようとしたのだ。この流れをけん引したのは韓国メーカーで、2017年にはLGエレクトロニクスが「LG G6」(日本未発売)、サムスン電子が「Galaxy S8/S8+」といったように、縦長比率のディスプレイを採用した機種を積極的に投入した。

2017年発売の「Galaxy S8」「Galaxy S8+」は、18.9:9と縦長比率の有機ELディスプレイ「インフィニティディスプレイ」を採用したことで大きな話題となった

この韓国の両メーカーとも、グループ内にディスプレイデバイスを開発する企業を持っている。それゆえ縦長比率のディスプレイが生み出されたのには、実は大画面化だけが目的ではない。自社のスマートフォンに新しいディスプレイをいち早く搭載し、トレンドを作り上げることで、グループ企業のディスプレイデバイス販売拡大につなげる狙いもあったといえる。

だが、縦長ディスプレイで大画面化するというアイデアを真っ先に実践したのは、実はアップルである。アップルはかつてディスプレイの大画面化に消極的で、2011年発売の「iPhone 4s」までは3.5インチのサイズにこだわっていた。だが大画面化を求めるユーザーの声を受け、2012年発売の「iPhone 5」でディスプレイサイズを4インチに拡大した際に、ディスプレイの横幅はそのままに、縦に長くするという手法をとったのである。ある意味、アップルは5年前に現在のトレンドを先取りしていた、といえるかもしれない。

スマートフォンのディスプレイを縦に伸ばして大画面化するというアイデアをいち早く実践したのは、アップルの「iPhone 5」だった

しかしながら、ディスプレイを縦に伸ばして画面サイズを大きくする工夫にも、いずれ物理的な限界が来ることは目に見えている。そこで、さらなる大画面化の追求で、いま注目されているのが折り畳み式ディスプレイだ。このアイデア自体は、NTTドコモが2013年の「MEDIAS W」(NECカシオ モバイルコミュニケーションズ製)、2018年の「M」(ZTE製)で既に実現しているものだが、いずれも2枚のディスプレイを用いていたため、どうしても画面の折り目に継ぎ目が発生してしまう弱みを抱えている。

折り畳みスマートフォンとして注目されたNTTドコモの「M」は、2枚のディスプレイを用いるスタイルであるため折り畳み部分に継ぎ目が発生してしまう

だが有機ELを用いれば、ディスプレイを折り曲げられる“真の”折り畳みスマートフォンが開発できると言われており、大手スマートフォンメーカーがその開発を進めているとの観測報道も幾度となくなされている。

これは折り畳みできるという意味の「フォルダブル」スマホなどと呼ばれ、先ごろはサムスン電子が、来年発表するというフォルダブルスマホ「Galaxy F」のプロトタイプを開発者向けに見せはじめたりしている。2019年は各社から製品が登場するのではないか? との声もあるようだが、いま確実に言えることは、真の折り畳みスマートフォンがいつ、どのメーカーが、どのような形で投入するのかが、大いに注目されているということだけである。