【現場の声】M&Aで会社を譲渡した後も、社長が会社に残ることはできる?~M&A相談所~その時どうする?

【現場の声】M&Aで会社を譲渡した後も、社長が会社に残ることはできる?~M&A相談所~その時どうする?

2016.08.03

【現場の声】M&Aで会社を譲渡した後も、社長が会社に残ることはできる?~M&A相談所~その時どうする?

Q:M&Aで会社を譲渡した後も、
  社長が会社に残ることはできる?

 48 歳の経営者です。それなりに会社も大きくし、地方ではありますが、同業の中では中堅クラス、エリア内でも上位の規模になりました。しかし、自分の年齢と才覚を鑑みますと、もうこれ以上の事業拡大は困難であり、今後はできれば大会社の資本傘下で事業を展開、成長させていきたいと考えております。

 ただ一つ懸念しているのが、譲渡後の自分の処遇です。特に体調に問題もなく、これまでの業務経験や人脈もありますので、できれば譲渡した後も会社に残り貢献したほうがメリットは多いだろうと思っています。知人に聞くと、「M&A=引退」なのだから会社には残らないものだと言われましたが、そういうものなのでしょうか?

(広島県 Y・Kさん)

A:事業承継を目的としないM&Aの場合、オーナー経営者が会社に残るケースも珍しくない

 譲渡後のオーナー経営者の処遇は、ご本人のご希望だけでなく、譲り受け企業側の方針によって変わってきますので、一概には申し上げられません。しかしながら、事業承継を目的としない、例えば今回のご相談者のように大きな資本の傘下での成長を目的とされる企業譲渡においては、現経営者にM&A後も積極的な経営参画を期待されるケースは多いです。

 例えば営業が得意なオーナー経営者であれば、特定エリアの営業責任者である取締役営業部長として残り活躍する、というようなことが考えられます。例えば、オフィス向けの情報通信機器の販売・保守等を行う会社のM&Aがまさにそのケースで、創業者はM&A後、譲り受けられた企業に事業責任者的立場で迎え入れられました。

 また、ドラッグストアを経営されていた先代の急逝により、急きょ修行先から戻って後を継がれた20 歳代の2代目経営者が、大手ドラッグストアが急拡大する中で単独での生き残りは難しいと判断。業界大手に会社を譲渡した後、当時の従業員達と共に新事業開拓の最前線に立たれてご活躍されているという事例もございます。

 そのほかにも、技術畑のご出身で、ご自身も既製品・新製品の商品開発のノウハウを保有されているオーナー経営者が、譲渡企業の代表取締役を継続しつつ、兼務で譲り受け企業においても重要な技術責任者(取締役)となられたケースもありました。この方は新しいサービス・商品の開発のアイデアをたくさんお持ちであるにもかかわらず、多くの時間を会社の資金繰りなどにとられて開発にこぎ着けられないというジレンマを抱えておられました。そこでM&Aにより大手資本の傘下に入ることで、資金繰りの手間や連帯保証の重責から解放され、研究開発に集中できる状態を実現されました。

事業に積極的に関与し、新たな成長戦略を描くことも可能

 事業承継型のM&Aであっても、オーナー経営者が顧問や代表権のない取締役という形で会社に残り、M&A後の両社間の融和にご尽力されたり、経営に関するアドバイスをなさったりするケースは多く見られます。株式譲渡後の経営者のあり方は一様ではありません。事業から離れて第二の人生を歩む方がいる一方で、そのまま事業に関与し続け、大企業の資本や知名度を活かした新たな企業成長戦略を描くことも可能です。

 今回のご相談者のようにご自身の希望が明確であり、ご自身のセールスポイントや譲渡後のメリットが想定できるのであれば、M&Aで買い手企業を募る際の条件に自らが会社に残ることを織り込まれるのも効果的だと思われます。

 ご自身や自社の状況を鑑みて、ご希望やご不明なことがありましたら、ぜひ専門のM&Aアドバイザーにお気軽にご相談ください。

M&A情報誌「SMART」より、2015年7月号の記事を基に再構成
まとめ:M&A Online編集部

NewsInsight 更新終了のお知らせ

NewsInsight 更新終了のお知らせ

2019.06.17

NewsInsightは、諸般の事情により記事更新を終了いたします。

ご愛顧いただいた読者の皆様、また関係者の皆様に、編集部一同、誠に感謝いたします。

なお、NewsInsightに掲載中の記事につきましては、引き続きマイナビニュース(https://news.mynavi.jp)へと掲載場所を移管いたします。

掲載中の連載記事につきましても同様に、マイナビニュースへ移管いたします。各連載記事の新しい掲載URLにつきましては、以下となります。

○安東弘樹のクルマ向上委員会!
https://news.mynavi.jp/series/andy

○森口将之のカーデザイン解体新書
https://news.mynavi.jp/series/cardesign

○清水和夫の自動運転ソシオロジー
https://news.mynavi.jp/series/autonomous_car

○ゲームとともに振り返る“平成”という時代
https://news.mynavi.jp/series/game_heisei

○岡安学の「eスポーツ観戦記」
https://news.mynavi.jp/series/e-Sports_review

○企業戦士に贈る「こむぎのことば」
https://news.mynavi.jp/series/komuginokotoba

○藤田朋宏の必殺仕分け人
https://news.mynavi.jp/series/shiwakenin

○「食べる」をつくる科学と心理
https://news.mynavi.jp/series/food_science

○阿久津良和のITビジネス超前線
https://news.mynavi.jp/series/itbiz

○山下洋一のfilm@11
https://news.mynavi.jp/series/filmat11

○モノのデザイン
https://news.mynavi.jp/series/designofthings

○知って納得、ケータイ業界の"なぜ"
https://news.mynavi.jp/series/mobile_business

○文具ソムリエール・菅未里の「新しいコンパス」
https://news.mynavi.jp/series/bungu

○活字・写植・フォントのデザインの歴史 - 書体設計士・橋本和夫に聞く
https://news.mynavi.jp/series/font-history

○カレー沢薫の時流漂流
https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu

最後になりますが、改めて皆様に感謝いたしますとともに、引き続き、マイナビニュースにてご愛顧いただけましたら幸いです。

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

カレー沢薫の時流漂流 第47回

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

2019.06.17

最近女性の間で「#MeToo」ならぬ「#KuToo」運動がにわかに盛り上がっている。

「#KuToo」とは「靴」と「苦痛」をかけており、職場や就職活動で、足を痛めるパンプスやヒール靴の強要をやめようという運動である。

そもそもそんなの誰も強要してねえよ、と思われるかもしれない。確かに規定として靴の形状やかかとの高さまで定めている会社はレアだろう。しかし、私の元いた会社でも、規則があるわけでも、誰に言われたでもなく、みな一様に黒のパンプスを履いていた。それが「暗黙のルール」であり、それ以外は「非常識」と見られる風潮は確かにあるのである。

これが就職活動になると、パンプスを履いていないだけで「こいつは常識がない」と見なされ不採用になってしまうかもしれない、ということだ。そうなると女子学生は足を負傷してでもパンプスを履かざるを得なくなってしまう。

正直、パンプスは苦痛

パンプスがそんなに苦痛か、というと、靴の中では殺傷能力が高い方である。これは他人への、という意味ではなく自分へのだ。他人を殺傷したいならカウボーイが履いている、かかとにピザカッターがついている奴を履いた方が良い。

狭いつま先に足の指が密集されるため、私もよく爪で隣の指を切って足を血だらけにしていたし、伸縮性にかける素材のため、あわないパンプスだと試着の時点で靴擦れが出来るレベルなのだ。

世の中には素肌に荒縄で亀甲縛りを施し、その上に上等なスーツを羽織って出社している人も多いと思う。とても痛いだろうが、それは強制されたわけではなく、その人が好きで楽しいからやっているのだ。

つまり、好きでもない上にとても痛いパンプスを強制で履かなければいけないというのは、上等なスーツの下が亀甲縛りなことよりも「異常」なことというわけだ。

この運動はすぐに広まり、いきなり国会でも議論されたという。これにより「厚労相がハイヒール強要を容認」という見出しのニュースまで踊り出ることになった。

完全に自由と言われても困るのでは?

「厚生省に、女がハイヒールを履かないと死ぬ病の人が!?」と驚いたが、記事をよく見ると見出しほどのことはなく、厚労相の発言は「これは社会通念に照らして業務上、必要かつ相等な範囲かと、この辺なんだろうと思います」というかなりボンヤリしたものであり、どっちでも良い事を聞かれた私のリアクションに似ている。

しかし「ハイヒールが履けない女は何やってもダメ」などと強い事を言っているわけではないが、「業務上必要ならパンプス履くべきだろ」という「容認」に聞こえなくもない。すぐさま「業務上ハイヒールが必要な仕事って何だよ」という疑問が挙がり、「SMの女王様」「(ハイヒールでキレッキレに踊る)perfume以外ありえない」などの声が相次いだ。

この社会問題がすぐ大喜利になってしまうのは良くも悪くも「ザ・ツイッター」という感じだ。

確かに「業務上必要」となると、まだかかとにピザカッターがついている靴の方が「ピザを食う時」必要な気がする。

ただ、靴や服装を完全に自由化し、何でもOKにすれば良いかというと、それはそれで問題が起きると思う。ファッションに疎くコーディネートが苦手な人間からすれば、職場に何を着ていいのか全く「指針」がないというのは迷子になるし、接する側としても、車を買いにいってディーラーが、イモ―タンジョ―の完コスで出てきたら「キャデラックしか買うことを許されないのか」と委縮してしまう。就活マナー本に「俺の考えた最強の就活ファッションで挑みましょう」とだけ書かれていても逆に困るだろう

着る側としても、それに接する側としても、社会において服装にある程度規定や模範があるというのはメリットでもあるのだ。

そもそも規定や常識というのは、秩序を作ることにより問題を減らすためにあるものなのだ。しかしそれが元で「足を負傷する」という「問題」が起こっているなら本末転倒なので、やはり解消はすべきなのだろう。

極論に流れない寛容さが足りない

おそらく「#KuToo」を提唱している人も「ドラゴン柄のコンバースで就活したい」と言っているわけではないのだ。最近は「パンプスに見えるスニーカー」なども存在するし、パンプスでなくても地味な靴はいくらでもある。そのような靴を履いていても「パンプスじゃないから非常識」と見るのをやめてほしいという話だろう。

ちなみに私が会社員時代履いていたパンプスだが、黒の革靴ではあったが、つま先は限りなく丸く、ヒールはなきに等しい、今思えばあれはパンプスだったのか、70過ぎのババアが旅行に行くときに履くヤツなんじゃないか、という代物であったが、特に何も言われなかった。

「#KuToo」が求めるのも、そのぐらいの「寛容さ」なのではないだろうか。

【お知らせ】
連載「カレー沢薫の時流漂流」の掲載場所を変更します。
→ 新しい掲載場所はこちら https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu