スタンプ? 広告? LINEの稼ぎ頭は何か

スタンプ? 広告? LINEの稼ぎ頭は何か

2016.08.08

念願の株式公開も実現し、名実ともに日本を代表するIT企業のひとつとなったLINE。しかしLINEの収益構造となると、案外よくわかっていない。様々な事業に手を出しているLINEだが、現実には何を稼ぎ頭の事業としている企業なのだろうか?

4本柱の収益構造

7月14日(米国時間)、および15日(日本時間)、LINEはニューヨーク証券取引所と東京証券取引所の市場第一部にそれぞれ株式上場を行った。公募価格は32.84ドル、3,300円であるのに対し、初値は42ドル、4,900円を付け、時価総額は一時期1兆円を超えた。半月を過ぎた現在はだいぶ落ち着いているが、それでも8月4日付の終値は3,950円と、公募価格を上回って展開している。

上々のスタートを切ったと言えるLINEだが、将来について不安視する声は多い。LINEが今年6月10日に東証に提出した「新規上場申請のための有価証券報告書」で公開した財務内容によると、2015年12月期連結決算は赤字だったからだ。

事業を開始してからまだ5年ばかりの若いサービスではあるが、LINEといえば日本のメッセージングアプリで支配的な位置を占めるだけに、赤字というのは意外な気もする。そこで、まずはLINEが展開する事業を確認してみよう。

前述の「新規上場申請のための有価証券報告書」からLINEの事業配分を見てみると、LINEの事業は「コミュニケーションおよびコンテンツ」と「広告」の2分野から成っている。

LINEの主な収益源

それぞれを細かく見ていくと、前者は「コミュニケーション」分野としてトーク、スタンプ、着せ替え、LINE Outなど、「コンテンツ」分野としてLINE GAME、LINE PLAY、LINE マンガ、LINE MUSIC(子会社の運営)などがあり、さらに「その他」としてLINE Pay、LINE FRIENDS、LINE Mobileやスタートアップ投資などが含まれる。

後者は「LINE広告」としてLINE公式アカウント、LINEスポンサードスタンプ、スポンサードテーマ、LINEポイント、LINE@、LINE ビジネスコネクト、タイムライン広告などがあり、「ポータル広告」としてlivedoorやNAVERまとめ等が挙げられる。広告の2分野を1つにまとめて考えると、4本柱というわけだ。

2015年度および2016年度の第二四半期までの売上収益をみると、2015年度は「コンテンツ」が、2016年度は「広告」がサービス別の売上でトップシェアを占めており、特に広告はほぼ毎期ごとに収益を伸ばしている。

つまり、昨年度まではLINEは「スタンプの会社」だったのが、ようやく2016年度にきて広告収入が上回るようになってきたというわけだ。いよいよLINEも本格的にインフラとして成立してきた感がある。

コンテンツの収入はゲームやスタンプといったコンテンツのヒットに影響されるため、安定的な収入源という意味では、やはり広告中心のビジネスモデルのほうが都合がいい。LINEの場合、個人の興味関心に合わせてタイムライン上に広告を配信するパフォーマンス型広告が大きな成果を上げており、今後も引き続き中心的な収入源になりそうだ。

また、企業や自治体などがパブリックなコミュニケーションに利用できる「LINE@」も広告事業に含まれており、日本国内でのLINEの普及度合を考えると、今後の発展が期待される。

海外展開とAIの利用が今後の課題

LINE全体の事業収入は70%が日本市場であり、今後の発展には日本以外の国での成長が不可欠だ。LINEでは海外での事業拡大をタイ、台湾、インドネシアに絞っており、フェイスブックのある英語圏や中国の微声といったサービスとは直接競合せず、まずはこれらの国での安定的なシェア確保を目指している。

日本ほかタイ、台湾、インドネシアの4カ国にフォーカス

国内では次々とサービスを発表して派手な印象のあるLINEだが、海外での事業展開は地道な印象が強い。とはいえ、総人口で3億人を超えるこれらの国・地域を攻略できれば、日本と並ぶ大きな市場になるのは間違いない。さらに、まだインフラが整備されていない周辺国家への展開も期待できる。LINEにとっては失敗の許されない市場だけに慎重なのも止むないだろう。

海外においては現地のニーズを捉えた"カルチャライズ"という考え方でサービス展開を図る。タイではLINE MANというフードデリバリーサービスを展開

技術面では、LINE BOT APIに代表される自動応答アカウント(BOT)の技術開発が肝になりそうだ。すでにクロネコヤマトと共同で、AIを使って自然言語で再配達指定をLINEアカウントから応対できるシステムを開発しているが、LINEがインフラとしてますます確固たる地位を確保するためにも、人力に頼らず大量の要求に応答できるBOTシステムは不可欠だ。

今後は自動応答アカウント(Bot)の利用にも期待がかかる

BOTは企業等の公式サポートアカウント用だけでなく、LINE上の各種コンテンツの検索サービスとして、またLINE@などにも応用がきくものであり、LINEメッセンジャーを中心として各種サービスをシームレスに利用する、スマートポータル化のための切り札となる技術だけに、そのバックボーンとなるAIの開発についても、早急な対応が求められる。国内でもDeNAやソフトバンクなどがAIに多額の出資をして、企業買収や技術提携などを進めているが、LINEも国内、あるいは上場した米国でのAI開発企業の買収などを進めていく必要があるだろう。

NewsInsight 更新終了のお知らせ

NewsInsight 更新終了のお知らせ

2019.06.17

NewsInsightは、諸般の事情により記事更新を終了いたします。

ご愛顧いただいた読者の皆様、また関係者の皆様に、編集部一同、誠に感謝いたします。

なお、NewsInsightに掲載中の記事につきましては、引き続きマイナビニュース(https://news.mynavi.jp)へと掲載場所を移管いたします。

掲載中の連載記事につきましても同様に、マイナビニュースへ移管いたします。各連載記事の新しい掲載URLにつきましては、以下となります。

○安東弘樹のクルマ向上委員会!
https://news.mynavi.jp/series/andy

○森口将之のカーデザイン解体新書
https://news.mynavi.jp/series/cardesign

○清水和夫の自動運転ソシオロジー
https://news.mynavi.jp/series/autonomous_car

○ゲームとともに振り返る“平成”という時代
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○岡安学の「eスポーツ観戦記」
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○企業戦士に贈る「こむぎのことば」
https://news.mynavi.jp/series/komuginokotoba

○藤田朋宏の必殺仕分け人
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○「食べる」をつくる科学と心理
https://news.mynavi.jp/series/food_science

○阿久津良和のITビジネス超前線
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○山下洋一のfilm@11
https://news.mynavi.jp/series/filmat11

○モノのデザイン
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○知って納得、ケータイ業界の"なぜ"
https://news.mynavi.jp/series/mobile_business

○文具ソムリエール・菅未里の「新しいコンパス」
https://news.mynavi.jp/series/bungu

○活字・写植・フォントのデザインの歴史 - 書体設計士・橋本和夫に聞く
https://news.mynavi.jp/series/font-history

○カレー沢薫の時流漂流
https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu

最後になりますが、改めて皆様に感謝いたしますとともに、引き続き、マイナビニュースにてご愛顧いただけましたら幸いです。

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

カレー沢薫の時流漂流 第47回

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

2019.06.17

最近女性の間で「#MeToo」ならぬ「#KuToo」運動がにわかに盛り上がっている。

「#KuToo」とは「靴」と「苦痛」をかけており、職場や就職活動で、足を痛めるパンプスやヒール靴の強要をやめようという運動である。

そもそもそんなの誰も強要してねえよ、と思われるかもしれない。確かに規定として靴の形状やかかとの高さまで定めている会社はレアだろう。しかし、私の元いた会社でも、規則があるわけでも、誰に言われたでもなく、みな一様に黒のパンプスを履いていた。それが「暗黙のルール」であり、それ以外は「非常識」と見られる風潮は確かにあるのである。

これが就職活動になると、パンプスを履いていないだけで「こいつは常識がない」と見なされ不採用になってしまうかもしれない、ということだ。そうなると女子学生は足を負傷してでもパンプスを履かざるを得なくなってしまう。

正直、パンプスは苦痛

パンプスがそんなに苦痛か、というと、靴の中では殺傷能力が高い方である。これは他人への、という意味ではなく自分へのだ。他人を殺傷したいならカウボーイが履いている、かかとにピザカッターがついている奴を履いた方が良い。

狭いつま先に足の指が密集されるため、私もよく爪で隣の指を切って足を血だらけにしていたし、伸縮性にかける素材のため、あわないパンプスだと試着の時点で靴擦れが出来るレベルなのだ。

世の中には素肌に荒縄で亀甲縛りを施し、その上に上等なスーツを羽織って出社している人も多いと思う。とても痛いだろうが、それは強制されたわけではなく、その人が好きで楽しいからやっているのだ。

つまり、好きでもない上にとても痛いパンプスを強制で履かなければいけないというのは、上等なスーツの下が亀甲縛りなことよりも「異常」なことというわけだ。

この運動はすぐに広まり、いきなり国会でも議論されたという。これにより「厚労相がハイヒール強要を容認」という見出しのニュースまで踊り出ることになった。

完全に自由と言われても困るのでは?

「厚生省に、女がハイヒールを履かないと死ぬ病の人が!?」と驚いたが、記事をよく見ると見出しほどのことはなく、厚労相の発言は「これは社会通念に照らして業務上、必要かつ相等な範囲かと、この辺なんだろうと思います」というかなりボンヤリしたものであり、どっちでも良い事を聞かれた私のリアクションに似ている。

しかし「ハイヒールが履けない女は何やってもダメ」などと強い事を言っているわけではないが、「業務上必要ならパンプス履くべきだろ」という「容認」に聞こえなくもない。すぐさま「業務上ハイヒールが必要な仕事って何だよ」という疑問が挙がり、「SMの女王様」「(ハイヒールでキレッキレに踊る)perfume以外ありえない」などの声が相次いだ。

この社会問題がすぐ大喜利になってしまうのは良くも悪くも「ザ・ツイッター」という感じだ。

確かに「業務上必要」となると、まだかかとにピザカッターがついている靴の方が「ピザを食う時」必要な気がする。

ただ、靴や服装を完全に自由化し、何でもOKにすれば良いかというと、それはそれで問題が起きると思う。ファッションに疎くコーディネートが苦手な人間からすれば、職場に何を着ていいのか全く「指針」がないというのは迷子になるし、接する側としても、車を買いにいってディーラーが、イモ―タンジョ―の完コスで出てきたら「キャデラックしか買うことを許されないのか」と委縮してしまう。就活マナー本に「俺の考えた最強の就活ファッションで挑みましょう」とだけ書かれていても逆に困るだろう

着る側としても、それに接する側としても、社会において服装にある程度規定や模範があるというのはメリットでもあるのだ。

そもそも規定や常識というのは、秩序を作ることにより問題を減らすためにあるものなのだ。しかしそれが元で「足を負傷する」という「問題」が起こっているなら本末転倒なので、やはり解消はすべきなのだろう。

極論に流れない寛容さが足りない

おそらく「#KuToo」を提唱している人も「ドラゴン柄のコンバースで就活したい」と言っているわけではないのだ。最近は「パンプスに見えるスニーカー」なども存在するし、パンプスでなくても地味な靴はいくらでもある。そのような靴を履いていても「パンプスじゃないから非常識」と見るのをやめてほしいという話だろう。

ちなみに私が会社員時代履いていたパンプスだが、黒の革靴ではあったが、つま先は限りなく丸く、ヒールはなきに等しい、今思えばあれはパンプスだったのか、70過ぎのババアが旅行に行くときに履くヤツなんじゃないか、という代物であったが、特に何も言われなかった。

「#KuToo」が求めるのも、そのぐらいの「寛容さ」なのではないだろうか。

【お知らせ】
連載「カレー沢薫の時流漂流」の掲載場所を変更します。
→ 新しい掲載場所はこちら https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu