【現場の声】総合情報サイト「All About」トップが語る。ゲーム会社のM&Aの狙いや経緯について

【現場の声】総合情報サイト「All About」トップが語る。ゲーム会社のM&Aの狙いや経緯について

2016.08.10

【現場の声】総合情報サイト「All About」トップが語る。ゲーム会社のM&Aの狙いや経緯について

総合情報サイト「All About」で知られるオールアバウトは2015年2月、ファイブスターズゲームをM&Aにより戦略子会社化した。ファイブスターズゲームは特に位置情報を活用したアプリの開発力に強みを持つ気鋭のゲーム開発会社である。

オールアバウトはこれまでにもWEBサービス系、生涯学習系など多様な業種とのM&Aを事業戦略に取り入れ、成功させてきたが、ゲーム会社とのM&Aは今回が初めてだ。その狙いや経緯について、今回のM&Aをサポートした専門家がオールアバウトのトップである江幡哲也氏にお話を伺った。

ゲーム会社を子会社化
リアルと連動した位置情報ゲームでO2O支援を強化

M&Aにより戦略子会社化した
ファイブスターズゲームについて教えてください。

 同社は主にスマートフォン向けゲームの企画・開発・運用を行っており、特に位置情報を活用したアプリの開発力に強みを持っています。同社が手がけた位置情報ゲームは人気が高く、海外に配信されているものもあります。

ゲーム会社とのM&Aは
考えていなかったそうですが……。

 そうですね。単にゲーム業界への参入を狙ったM&Aは、今も考えていません。ファイブスターズゲームに魅力を感じたのは、同社の持つ位置情報ゲームの開発基盤と、当社グループの持つ多様なリソースを、いろいろな形で連動させ、シナジーを生むことができるからです。

 さまざまな事業展開が考えられますが、O2O(※)がひとつのキーワードになります。O2Oと位置情報ゲームのプラットフォームは親和性が高いため、同社のプラットフォームを元にリアルと連動した位置情報ゲームアプリを開発するなどして、ゲーミフィケーション(※)の要素を含んだO2Oを提案していきたい。O2Oにゲーミフィケーションという発想はそれまで持っていなかったので、非常に面白い仕掛けができると期待しています。

 ※O2O(オンラインtoオフライン):インターネット上の情報発信によりリアルな店舗への集客を促すマーケティング施策

 ※ゲーミフィケーション:ユーザのモチベーションやロイヤリティを高めるためにゲームデザインの技術やメカニズムを応用すること

具体的にはどのような仕掛けが考えられますか?

 例えばスタンプラリーのように、実際の店舗に足を運ぶことでポイントをためながら進めていく独自のゲームアプリを開発・提供する。流通業やFCのクライアントであれば、プラットフォーム自体の導入を提案することも可能だと思います。

 グループ各社でファイブスターズゲームが保有するノウハウを活用して、エンタテイメント的な要素を持つソリューションを展開していくつもりです。

M&Aの決め手は数字よりも事業戦略と人柄
一緒に仕事をしたいと感じられる相手を選ぶ

創業3 年目の若い会社とのM&Aに
不安はありませんでしたか?

 何事にもリスクはつきもの。M&Aでは相手企業の成長に自分たちが寄与できるという自信が持てるか否かが重要であり、ファイブスターズゲームに関しては10倍、20倍もの成長に寄与できる自信を持っています。

 ただ、M&Aの決め手になるのは数字よりも事業戦略と人柄です。当社は専門家ネットワークを基盤にいろいろなアイデアを実現することを旨としており、M&Aの狙いも一貫して専門家ネットワークの構築にあります。この人たちと一緒ならこんな面白いことができるとワクワクするような相手であることが大切ですね。

経営陣を送リ込まず、
M&A以前のままにされた理由を教えてください。

 それが一番いいと思ったからです。渡邉(幹雄)社長はまだ若いですが、とても落ち着いた印象で、次にやりたいことのビジョンとそれを実行するだけの経験・実力を持っている。ゲーム会社同士のM&Aには興味がない、他業種のほうがいいとおっしゃっていたのにも共感できました。ゲーム業界だけで終わりたくないという考えは、オールアバウトの目指すところと一致する部分が大きいのではないかと思っています。

ファイブスターズゲーム社の印象は?

 “面白おかしく”に強いのが魅力ですね。オールアバウトは、顔が見える専門家の情報を提供するサイトとして信頼性が高いことが最大の強みなのですが、半面、真面目すぎて面白くないところがある(笑)。自分たちに欠けている要素を持つ会社と一緒に仕事をしてみたい、きっといい経験になると思ったのも今回のM&Aを決断した理由のひとつです。

M&Aでは企業風土の融合が大事とも言われます。

 私は、企業風土は多様であるほうがいいと思っています。オールアバウトのサイトは月に3千万~4千万人に利用していただくまでになっていますが、今やユーザは皆、情報武装していますから、ありきたりのことでは興味を持ってもらえません。そこで何千人、何万人の専門家ネットワークを駆使するわけですが、それを取りまとめる社員たちが“金太郎飴”では困ります。会社もグループ全体も、ライオンもいればキリンもシマウマもいる“動物園”であってほしいですね。

 将来のビジョンなどについて共感できる基盤は不可欠ですが、その基盤の上にいろいろな企業、人にいてほしいので、M&Aにおいても「共感性」と「多様性」を重視しています。

最後に、今後のM&A戦略についてお聞かせください。

 ベンチャー企業が成長を遂げていくためにはチャレンジ、変化が必要であり、M&Aはチャレンジ、変化を実現するひとつの手段です。これからもチャンスがあれば、スピード感を持って進めていくつもりです。

本日はありがとうございました。

M&A情報誌「SMART」より、2015年10月号の記事を基に再構成
まとめ:M&A Online編集部

打倒iQOSに挑むプルーム・テックの戦い、世界市場も見据えたJTの新製品

打倒iQOSに挑むプルーム・テックの戦い、世界市場も見据えたJTの新製品

2019.01.22

低温加熱式のJTがライバルと直接競合する高温加熱式に参入

専用リフィルも異なる3種類の製品で広範に網を張るプルーム・テック

海外市場でも兆し見えた加熱式たばこ、日本での成功がより重要に

日本たばこ産業(JT)が加熱式たばこの新製品、「プルーム・テック・プラス (Ploom TECH+)」「プルーム・エス (Ploom S)」の2製品を発表した。シェアトップのiQOSを追撃したいJTだが、ライバルに先行を許している今、どのような戦略を描いているのか。

JTが発表した加熱式たばこの新製品、プルーム・テック・プラス(左)とプルーム・エス

新たに高温加熱式に参入、ライバルと直接競合へ

新製品は、従来のプルーム・テックを改良したプルーム・テック・プラスと、シェアを争う「iQOS」(フィリップ・モリス)や「glo」(BAT)と同様の加熱方式を採用したプルーム・エスの2つ。iQOSとgloが高温加熱式であるのに対し、もともとプルーム・テックは低温加熱式と呼ばれる方式をとっていた。30度という低温で発生させた蒸気をたばこカプセルを通して吸うため、においが少ない一方、吸いごたえに乏しいともいわれていた。

低温加熱式で吸いごたえを追加したプルーム・テック・プラスと、高温加熱式のシェア奪取を狙ったプルーム・エスを投入

そこで、たばこ葉を増やすなどして吸いごたえを高めたのがプルーム・テック・プラスだ。その結果、本体が太く大きくなり、加熱温度も40度と少しだけ高くなったが、においの少なさはそのままに、吸いごたえをアップさせたことをアピールする。

プルーム・エスは高温加熱式を採用し、iQOSやgloと同様の吸いごたえを目指した。こうした高温加熱式は、たばこ葉を高温で蒸すことで蒸気を発生させるため、従来のたばことも異なる独特のにおいを発生させる。

JT副社長・たばこ事業本部長の岩井睦雄氏は、この独特の「におい」のせいでたばこの味わいに違和感を覚える喫煙者が多かったと話す。そのため、「満足度を高めるのは味わい」として、このにおいの低減に取り組んだという。

プルーム・エスでは、たばこ葉を熱する温度を200度に抑えた。これはiQOSの300度、gloの240度に比べて低く、これによって特有のにおいを抑えたという。

吸いごたえや加熱方式が異なる3製品をそろえる意味

JTは新製品投入後も既存製品の取り扱いを継続する。つまり、プルーム・テックのラインアップは3種類となる。iQOSも複数の製品があるが、こちらは機能の違いによって3種類に分けられており、プルーム・テックはそれに対して、吸いごたえや加熱方式によって異なる製品を用意したかっこうだ。

3つの製品を投入することで、選択肢を提供する

岩井副社長は「温度で選ぶ時代」と表現し、低温のプルーム・テック/プルーム・テック・プラスと、高温のプルーム・エスという選択肢によって「好みや生活環境、ライフステージの変化に合わせて、いつでも最適な選択ができる」ことを狙ったとしている。

たばこ事業本部長の岩井睦雄副社長

たばこ部分に互換性がないという問題はありそうだが、現在でも、においの少なさを重視して自宅ではプルーム・テックを吸いつつ、味わいを求めて喫煙所では高温加熱式の加熱式たばこ、と双方を使い分けている人が少なくない。そうしたユーザーに対して、「それぞれで求められるニーズを高いレベルで満たし、両方を提供するのが顧客満足度の最大化に繋がる」(岩井副社長)と判断し、製品開発に取り組んだ。

加熱式たばこ最大市場の日本から、海外市場を見据える

岩井副社長は新製品でiQOSからシェアを奪取し、「中長期的にはRRPカテゴリでもシェアナンバーワンを目指す」と意気込みを語る。

「RRP」とは「リスク低減製品」のこと。「喫煙にともなう健康へのリスクを低減させる可能性がある」と位置づけられる製品だ。

日本では法律上、液体にニコチンを含ませて販売することはできない。電子たばこは、このニコチンを含む液体を蒸気化させるため日本で販売できず、結果、加熱式たばこが普及したという背景もある。加熱式たばこの市場規模では日本が世界最大だが、iQOSが韓国や欧州の一部で販売を強化しており、グローバルでの市場拡大を狙っている。

JTは海外ではlogicブランドで電子たばこを販売している。海外での電子たばこ事業はありつつも、まずは製品の国内ラインナップを拡大して加熱式たばこのシェア拡大を図るとともに、紙巻きたばこを含むすべての製品の価値を向上させることで、市場の拡大に繋げたい考えだ。「日本での成功がグローバルでの成功につながる」と岩井副社長は強調する。

紙巻きたばことRRP製品の双方を拡充する
日本では加熱式、海外では電子たばこを提供中

紙巻きからの移行、数年以内に大きな山場

2018年は加熱式たばこが踊り場を迎えたと言われた。日本ではここ数年で急激に加熱式たばこの普及が進んだが、市場シェアが20%を越えたところでユーザー需要は一巡したとみられる。

ただ、プルーム・テックの全国販売の開始や、他社では直近のiQOSの新モデル投入などを経て、その動向から、需要の伸びは「足踏みしていたが、止まったわけではない」(岩井副社長)との認識にあるという。加えて、紙巻きたばこによる健康懸念の高まりや、オリンピックによる喫煙場所の規制といった外的要因もあり、「必ずシガレット(紙巻きたばこ)からRRPに移ってくる」(同)という見通しだ。

課題は、紙巻きたばことは異なり、デバイスを購入しなければならないというハードルの高さだ。一度購入した後、他社のデバイスへ移行しづらいという難題につながる。

他社の後追いとなった高温加熱式では、「差別化のポイントをしっかりと伝えていく」ことで買い替えを促進する。JTが主導する低温加熱式では、「若干下方修正したが、手応えも感じている」と岩井副社長は説明する。今後は製品の良さをアピールするために、喫煙者に直接説明をする営業スタイルを重視していく方針をとるそうだ。

JTは日本市場で紙巻き、加熱式のいずれでもシェアトップを目指す

JTは1社で複数の選択肢の製品を用意することで、消費者のニーズの受け皿を最大化しようと目論んでいる。この先にグローバルで展開する上で、ユーザーからどのような示唆が得られるのかを検証していき、海外での加熱式たばこの市場拡大にも乗り出していきたいと考えているようだ。

加熱式たばこは間もなく、国内市場シェアだけでなく、海外市場の争奪戦の行方も左右する正念場を迎える。

大手コンビニ3社、成人誌の販売中止を相次ぎ決定

大手コンビニ3社、成人誌の販売中止を相次ぎ決定

2019.01.22

セブン、ローソンに続きファミマも成人誌を販売中止

インバウンドの増加、オリンピックの開催も影響か

コンビニ最大手のセブン-イレブンと業界3位のローソンが成人向け雑誌の販売中止を発表したのに続き、業界2位のファミリーマートも同様の方針を打ち出した。大手3社の足並みがそろい、日本国内のほとんどのコンビニ店頭から成人誌が消える。

国内のセブン-イレブン店舗数は2万店を超え、ローソンとファミマが1万5,000店前後でこれに続く。それぞれ今年の8月末までに取り扱いを原則中止するという。これまで一部店舗で成人誌の販売を中止していた例はあったが、今回は各社全店舗で取り扱いを中止する。業界では昨年1月から、ミニストップが他社に先駆けて全店で取り扱いを中止していた。

もともと諸外国にくらべ、女性や子どもの目につきやすいコンビニ店頭などに成人誌が置かれている日本のゾーニングの現状は特殊であるとの批判があった。また、インバウンドで訪日外国人が増え、この論調に拍車がかかっていたほか、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控え、イメージ低下を防ぐ要請が強まっていたという背景がある。

コンビニでの成人誌の購買層は近年、高齢男性に偏るとともに売り上げの減少も顕著であったといい、ゾーニングの問題が取り扱い中止の大義名分になったという見方もある。ある出版関係者は、「一部では電子版などネット展開を強化している流れはあるが、今でもコンビニは重要な販路なので、相当な混乱があるだろう」と話す。どちらにせよ、日本の成人誌は岐路に立たされることになる。