【NKSJホールディングス】海外へ、介護へ。積極的M&Aが目指す先は?

【NKSJホールディングス】海外へ、介護へ。積極的M&Aが目指す先は?

2016.08.16

【NKSJホールディングス】海外へ、介護へ。積極的M&Aが目指す先は?

 NKSJホールディングス<8630>は2010年4月に損害保険ジャパンと日本興亜損害保険が株式移転により設立した。当時の社名は損保ジャパン日本興亜ホールディングスであったが、14年、損害保険ジャパンと日本興亜ホールディングスが合併し、損害保険ジャパン日本興亜株式会社となった際に社名変更。16年10月にはSOMPOホールディングスに改称を予定する。

 16年3月期の連結売上高は3兆2561億円。損害保険業界3位の企業集団である。

 NKSJホールディングス(当時は損保ジャパン日本興亜ホールディングス)が設立された10年4月、ほとんど時を同じくして三井住友海上グループホールディングス、あいおい損害保険、ニッセイ同和損保の3社が経営統合し、現在国内1位となるMS&ADインシュアランスグループホールディングスが発足した。

 損害保険業界においては、首位のMS&ADインシュアランスグループホールディングス、次点の東京海上ホールディングス、そしてNKSJホールディングスのいわゆる3大メガ損保で、国内における損保市場の収入保険料の9割以上を占めるとされる。NKSJホールディングスとMS&ADインシュアランスグループホールディングスの発足により、国内での業界再編はひと段落。加えて、各社が大きく依存する自動車保険は若者の車離れや高齢者による損害率の増加など、国内市場は決して順風満帆とは言い難い。

 NKSJホールディングスは、設立直後から必然的に海外に目を向けることになる。中期経営計画として海外保険事業を収益の柱と位置付けて、10年~12年度の3年間で2000億円規模の投資を行うことを想定した。

■NKSJホールディングスが行った主なM&A

年月 内容
2010.5 損害保険ジャパンを通じてシンガポールの保険会社テネット(元受保険料29億円)の株式100%を約64億円で買収
2010.6 損害保険ジャパンを通じて、トルコの保険会社フィバシゴルタ(元受保険料174億円)の株式93.36%を281億円で買収。6.64%についても株主からの申し出がある場合には追加取得を予定
2011.6 損害保険ジャパン傘下のSJAHを通じて、マレーシアの損害保険関連会社Berjaya Sompo Insuarance(元受保険料119億円)の株式を30%から70%まで133億円で追加取得
2012.9 損害保険ジャパンを通して公開買付により、介護サービスを展開するシダー(売上高25億円)の株式34%を11億9000万円で買収
2013.6 損害保険ジャパン傘下の南米安田社を通じて、ブラジルの保険会社Maritima Seguros S.A.(元受保険料625億円)の株式を50%から87%まで85億円で追加取得
2013.12 損害保険ジャパンを通じて、特殊保険に定評のある英国のキャノピアス(元受保険料1155億円)の株式100%を992億円で買収
2014.8 損害保険ジャパンを通じて、損保ジャパン・ディー・アイ・ワイ・生命保険(売上高38億円)の全株式90%を54億円で譲渡
2015.10 介護サービス事業者のワタミの介護(売上高354億円)の株式100%を210億円で買収。後にSOMPOケアネクストに社名変更
2015.12 公開買い付けにより、介護サービス事業者のメッセージ(売上高789億円)の株式31.29%を174億6000万円で買収
2016.3 公開買い付けにより、介護サービス事業者のメッセージ(売上高789億円)の株式を34.79%から91.13%まで395億円で追加取得

 年表は上記の通りであるが、まずは本業の保険関連のみをまとめて見ていきたい。

 NKSJホールディングスはまず10年5月にシンガポールの保険会社テネットを買収。日系顧客や運送保険を中心とした顧客を有する損保ジャパン・シンガポールと、現地中堅中小企業や個人を主要な顧客とするテネットのシナジーを見込み、東南アジアでの事業基盤の強化を目指す。なお、テネットの買収自体は厳密にはNKSJホールディングス発足以前に決定していたものとされる。

 10年6月にトルコ11位のリテール中心の保険会社、フィバ シゴルタを281億円で買収。7000万人を超える人口と平均年齢の若いトルコをBRICsに続く有望な新興市場の一つと位置付けて進出を図る。翌11年6月にはマレーシア10位のBerjaya Sompo Insuranceの株式を30%から70%まで買い増し。マレーシアは保険市場が拡大しており、東南アジアではシンガポール、タイに次ぐ市場を有するという。

 12年度までの中期経営計画の2000億円の投資は実現しなかったが、新たな中期経営計画にも引き続き新興市場での収益拡大を掲げ、13年6月に85億円でブラジルのMaritima Seguros S.A.の株式を追加取得。

 一方で、新たな経営計画には新興国でのリテール保険と並んで、先進国でのスペシャルティ(特殊保険)分野での収益確保も掲げる。そうして実現したのが13年12月の英国のキャノピアスの買収である。新興国のリテール保険はいわゆる薄利多売の商売であるため、M&Aで商圏を買ってきた。一方で、高度な専門性を要する代わりに安定的な高い収益機会を期待できる海外スペシャルティ分野はM&Aでノウハウを買う形だ。

 キャノピアスの買収に続いて、NKSJホールディングスは15年3月にフランスの再保険大手のスコール社に資本参加し、持分法適用会社化の意向を表明する。しかしながら発表後に株価が上がり、経済合理性を考慮して持分法適用会社化を見送ることになった。スコール社からは手を引いたものの、米国などの先進国の再保険会社には引き続き注目していくという。

 さて、海外では同業の保険会社の買収を重ねるNKSJホールディングスだが、国内では方針が異なる。前述の通り、日本国内では高齢化が保険市場に影を落とす。しかしながら、高齢化により恩恵を受けるビジネスもある。NKSJホールディングスが目を付けたのは介護事業だ。

 12年8月、NKSJホールディングスは損保ジャパンが出資するファンドを通じてTOBを実施し、国内介護事業者シダーの株式34%を取得。本業の保険事業を圧迫する高齢化を逆手に取って国内に新たな収益の柱を築こうと試みた。

 次いで15年10月にはワタミの介護を買収、社名をSOMPOケアネクストに変更。さらには15年から16年にかけてTOBで介護業界3位のメッセージを子会社化する。シダーを含めるとグループ全体での介護事業の売上高は約1251億円に上る。新規参入からわずか3年弱にして、業界1位のニチイ学館(売上高1444億円)に次ぐ第2位の規模となる。この規模感もさることながら、日本の金融業界で介護に新規参入をする例自体が珍しい。NKSJホールディングスでは、16年現在10兆円程度の市場を持つ介護業界が25年には20兆円規模にまで成長すると見込み、ITの活用により既存事業とのシナジーの創出を目指す。

 NKSJホールディングスの業績は、11年3月期より売上・利益共に右肩上がりの順調な推移を見せる。

 このうち、M&Aの成果を知るためにはセグメント別の推移を見ると大変分かりやすい。もともとはセグメント自体も「損害保険」と「生命保険」の二つしか設けられていなかったが、14年3月期より「海外保険事業」が追加され、徐々に重みを増している。

 なお、介護事業は新規参入後から「その他」のセグメントに分類されているが、公式なデータでは16年3月期に買収した介護事業者2社は、取得日の関係からSOMPOケアネクストの損益が3カ月分のみ、メッセージは全く損益が計上されていない。よって、ここでは別途2社の直近の売上高を単純合算してグラフに加えているが、既に十分に存在感を放っているのが見て取れる。

■業績推移

■セグメント別売上高推移

■総資産と自己資本比率

この記事は、企業の有価証券報告書などの開示資料、また新聞報道を基に、専門家の見解によってまとめたものです。

まとめ:M&A Online編集部

NewsInsight 更新終了のお知らせ

NewsInsight 更新終了のお知らせ

2019.06.17

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最後になりますが、改めて皆様に感謝いたしますとともに、引き続き、マイナビニュースにてご愛顧いただけましたら幸いです。

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

カレー沢薫の時流漂流 第47回

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

2019.06.17

最近女性の間で「#MeToo」ならぬ「#KuToo」運動がにわかに盛り上がっている。

「#KuToo」とは「靴」と「苦痛」をかけており、職場や就職活動で、足を痛めるパンプスやヒール靴の強要をやめようという運動である。

そもそもそんなの誰も強要してねえよ、と思われるかもしれない。確かに規定として靴の形状やかかとの高さまで定めている会社はレアだろう。しかし、私の元いた会社でも、規則があるわけでも、誰に言われたでもなく、みな一様に黒のパンプスを履いていた。それが「暗黙のルール」であり、それ以外は「非常識」と見られる風潮は確かにあるのである。

これが就職活動になると、パンプスを履いていないだけで「こいつは常識がない」と見なされ不採用になってしまうかもしれない、ということだ。そうなると女子学生は足を負傷してでもパンプスを履かざるを得なくなってしまう。

正直、パンプスは苦痛

パンプスがそんなに苦痛か、というと、靴の中では殺傷能力が高い方である。これは他人への、という意味ではなく自分へのだ。他人を殺傷したいならカウボーイが履いている、かかとにピザカッターがついている奴を履いた方が良い。

狭いつま先に足の指が密集されるため、私もよく爪で隣の指を切って足を血だらけにしていたし、伸縮性にかける素材のため、あわないパンプスだと試着の時点で靴擦れが出来るレベルなのだ。

世の中には素肌に荒縄で亀甲縛りを施し、その上に上等なスーツを羽織って出社している人も多いと思う。とても痛いだろうが、それは強制されたわけではなく、その人が好きで楽しいからやっているのだ。

つまり、好きでもない上にとても痛いパンプスを強制で履かなければいけないというのは、上等なスーツの下が亀甲縛りなことよりも「異常」なことというわけだ。

この運動はすぐに広まり、いきなり国会でも議論されたという。これにより「厚労相がハイヒール強要を容認」という見出しのニュースまで踊り出ることになった。

完全に自由と言われても困るのでは?

「厚生省に、女がハイヒールを履かないと死ぬ病の人が!?」と驚いたが、記事をよく見ると見出しほどのことはなく、厚労相の発言は「これは社会通念に照らして業務上、必要かつ相等な範囲かと、この辺なんだろうと思います」というかなりボンヤリしたものであり、どっちでも良い事を聞かれた私のリアクションに似ている。

しかし「ハイヒールが履けない女は何やってもダメ」などと強い事を言っているわけではないが、「業務上必要ならパンプス履くべきだろ」という「容認」に聞こえなくもない。すぐさま「業務上ハイヒールが必要な仕事って何だよ」という疑問が挙がり、「SMの女王様」「(ハイヒールでキレッキレに踊る)perfume以外ありえない」などの声が相次いだ。

この社会問題がすぐ大喜利になってしまうのは良くも悪くも「ザ・ツイッター」という感じだ。

確かに「業務上必要」となると、まだかかとにピザカッターがついている靴の方が「ピザを食う時」必要な気がする。

ただ、靴や服装を完全に自由化し、何でもOKにすれば良いかというと、それはそれで問題が起きると思う。ファッションに疎くコーディネートが苦手な人間からすれば、職場に何を着ていいのか全く「指針」がないというのは迷子になるし、接する側としても、車を買いにいってディーラーが、イモ―タンジョ―の完コスで出てきたら「キャデラックしか買うことを許されないのか」と委縮してしまう。就活マナー本に「俺の考えた最強の就活ファッションで挑みましょう」とだけ書かれていても逆に困るだろう

着る側としても、それに接する側としても、社会において服装にある程度規定や模範があるというのはメリットでもあるのだ。

そもそも規定や常識というのは、秩序を作ることにより問題を減らすためにあるものなのだ。しかしそれが元で「足を負傷する」という「問題」が起こっているなら本末転倒なので、やはり解消はすべきなのだろう。

極論に流れない寛容さが足りない

おそらく「#KuToo」を提唱している人も「ドラゴン柄のコンバースで就活したい」と言っているわけではないのだ。最近は「パンプスに見えるスニーカー」なども存在するし、パンプスでなくても地味な靴はいくらでもある。そのような靴を履いていても「パンプスじゃないから非常識」と見るのをやめてほしいという話だろう。

ちなみに私が会社員時代履いていたパンプスだが、黒の革靴ではあったが、つま先は限りなく丸く、ヒールはなきに等しい、今思えばあれはパンプスだったのか、70過ぎのババアが旅行に行くときに履くヤツなんじゃないか、という代物であったが、特に何も言われなかった。

「#KuToo」が求めるのも、そのぐらいの「寛容さ」なのではないだろうか。

【お知らせ】
連載「カレー沢薫の時流漂流」の掲載場所を変更します。
→ 新しい掲載場所はこちら https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu