1000のうち3つしか生き残れないと言われる飲料業界! 10年続くブランドの理由は?

1000のうち3つしか生き残れないと言われる飲料業界! 10年続くブランドの理由は?

2016.08.16

1000の新商品を出しても、生き残るのは3商品くらいと言われる飲料業界。そんな群雄割拠の飲料業界で、10年もシリーズが継続。今もなお新しい展開をみせ続けているキリンビバレッジの「世界のKitchenから」シリーズ。コンビニや、スーパーの飲料コーナーでも個性的なパッケージが光る同シリーズはどのようにしてブランドを確立したのか。

10年で27商品が誕生

ほんのり甘いライチと後味すっきりの沖縄海塩を組み合わせた「ソルティライチ」が大ヒットしたキリンビバレッジの「世界のKitchenから」シリーズ。「世界のお母さんに負けられない」をコンセプトに、ひと手間かけた味わいで独自の価値を確立した人気ブランドだ。2007年に最初の商品「ピール漬けハチミツレモン」が発売されてから10年の間に27つもの商品が世に出ている。

誕生から10年を迎えた2016年夏、キリンは、ブランドのインスピレーションを体験できる期間限定ショップ「世界のKitchenから 旅するキッチン」を東京・渋谷区の「SO-CAL LINK GALLERY」で開催している(8月21日まで)。

東京・渋谷区 期間限定ショップ「世界のKitchenから 旅するキッチン」

“食材の化学変化を探る・楽しむ”ブランドメッセージ

店のコンセプトは、「共に学び、考える」。ショップのメインとなるのは、どこの家庭にもある“塩”だ。このシリーズの人気商品『ソルティライチ』を作る際に学んだ“塩”の面白さを知ってもらおうと“塩”が選ばれたという。開催のタイミングが夏ということで、熱中症予防にもなる“塩”はこの時期ぴったりだろう。

「私たちが商品開発の中で感じたワクワクを一緒に感じていただき、食を通じてお客様と対話を育んでいければという思いから企画がスタートしました」。そう話すのは、キリンビバレッジマーケティング部商品担当主任の図子久美子さんだ。

メニューは2つ。1つはソルティライチ誕生のヒントになったローイゲーオ(500円:税込)。ローイゲーオとは、タイの家庭で出されている果物と塩と氷でできたデザート。

(左)7月30日~8月10日(右)8月11日~8月21日提供の「ローイゲーオ」メニュー

もう1つは、塩と果物の生ジュース(500円:税込)。夏に旬を迎える果物(桃、メロン、パイナップル、ブドウ、スイカ、オレンジ、グレープフルーツ)から1つを選び、生絞りジュースが楽しめる。ここまではどこにでもあるメニューだが、特筆すべきは、このジュースに世界各国から集めた10種類の塩を自分で選び、ひとつまみ入れ、味の変化を楽しめるという点だ。

塩と果物の生ジュース

カウンターには果実と塩の組み合わせ表も。それぞれの果実に合う塩を選べるようになっているのはもちろん、「さっぱり」「濃厚」「甘み」「こく味」など味の好みに合わせた組み合わせも教えてくれる。その組み合わせパターンは、実に70通り!

店内には10種類の塩が。個性もさまざま
効果もさまざま。一口サイズのコップにジュースを移して塩を混ぜ味の変化を楽しむ

さらに店内では、ワークショップも行っている。ジャム、ハーブ、塩の3つのテーマを用意し、それぞれがどのように生まれ、暮らしに活かされてきたかを学びながら、知っているようで知らない素材の魅力や調理の基礎を、専門家を講師に招き学んでいくこともできる(詳細は「旅するキッチン」特設HPに掲載)。

そんなこだわりがちりばめられた同シリーズだが、誕生のきっかけは女性社員の素朴な疑問だった。

「世の中にはたくさん飲み物があふれているけど、本当に飲みたいものって何?」

「たどり着いたのは、自分たちが信じられるもの=“自家製”というキーワード。そこで世界の家庭料理に着目してみたのです」(図子さん)。

商品開発のため……家庭の味を探しに海外を取材!

キリンビバレッジマーケティング部商品担当主任の図子久美子さん

「実際に世界の家庭を訪問し、おいしい知恵や技を教えていただく中で“なぜ塩を組み合わせるのか?”“なぜ加熱するのか?”といった疑問が生まれます。それを日本に持ち帰るのですが、ただ世界の味をそのまま日本に持ってくるのでは単なる輸入業者になってしまう。だからまず、私たちは自宅のキッチンから開発をスタートさせるんですよ。自分たちが『こんなふうにしたらおいしくなるかも?』というものを実際に作ってみるのです」。開発担当者が実際に海外を回ってヒントを得、それを自宅で改良。世界の家庭の味から日本の家庭の味に。新商品開発の度に、この“自家製”を愚直に追い求めることを続けてきたという。

飛躍のきっかけは売上の約6割を占めるソルティライチ

こういった図子さんたちの努力が実を結び、「世界のKitchenから」シリーズは2007年の発売以来、2015年末までで約4000万ケースを販売。そのうち直近3年(2013-2015)の売り上げが5割以上を占めている。ブランドの大きな飛躍のきっかけとなったのは、タイのローイゲーオにインスピレーションを受けた「ソルティライチ」。「ここ数年、熱中症問題が深刻ですよね。塩分・水分補給のための飲料もたくさん出ていますが、『ソルティライチなら飲める』というお声もたくさんいただいています」(図子さん)。

他にも、南イタリアの自家製のお酒から生まれた「ピール漬けハチミツレモン」(現在は製造終了)、スウェーデンの果汁シロップ“サフト”から生まれた「5種のベリーと天然水」、モロッコの花を蒸留して作るフラワーウォーターからヒントを得た「Sparkring Water」など、各国の家庭で得た知恵が商品化につながっている。

「世界のKitchenから」シリーズ

10年続く理由……それは“リアルであること”と“ストーリー性”へのこだわり

「まずひとつは“リアルであること”。私たちはイメージでものを作ることはせず、必ず現地で受け継がれている食の知恵をヒントにしています。もうひとつが“ストーリー性”。企業でありながら、商品作りのアイデアは極めて個人的な気づきや疑問が出発点。常識にとらわれない自由さも楽しんでいただいているんじゃないかなと思います。商品にかかる手間や時間、私たちが出会った世界の文化をひっくるめて、今の飲料業界で似た存在はいないと感じています」と図子さん。500mlで各社同程度の価格帯。その中でどう生き残りをかけるか。一つの成功例といえるのではないだろうか。

NewsInsight 更新終了のお知らせ

NewsInsight 更新終了のお知らせ

2019.06.17

NewsInsightは、諸般の事情により記事更新を終了いたします。

ご愛顧いただいた読者の皆様、また関係者の皆様に、編集部一同、誠に感謝いたします。

なお、NewsInsightに掲載中の記事につきましては、引き続きマイナビニュース(https://news.mynavi.jp)へと掲載場所を移管いたします。

掲載中の連載記事につきましても同様に、マイナビニュースへ移管いたします。各連載記事の新しい掲載URLにつきましては、以下となります。

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https://news.mynavi.jp/series/andy

○森口将之のカーデザイン解体新書
https://news.mynavi.jp/series/cardesign

○清水和夫の自動運転ソシオロジー
https://news.mynavi.jp/series/autonomous_car

○ゲームとともに振り返る“平成”という時代
https://news.mynavi.jp/series/game_heisei

○岡安学の「eスポーツ観戦記」
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○企業戦士に贈る「こむぎのことば」
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○藤田朋宏の必殺仕分け人
https://news.mynavi.jp/series/shiwakenin

○「食べる」をつくる科学と心理
https://news.mynavi.jp/series/food_science

○阿久津良和のITビジネス超前線
https://news.mynavi.jp/series/itbiz

○山下洋一のfilm@11
https://news.mynavi.jp/series/filmat11

○モノのデザイン
https://news.mynavi.jp/series/designofthings

○知って納得、ケータイ業界の"なぜ"
https://news.mynavi.jp/series/mobile_business

○文具ソムリエール・菅未里の「新しいコンパス」
https://news.mynavi.jp/series/bungu

○活字・写植・フォントのデザインの歴史 - 書体設計士・橋本和夫に聞く
https://news.mynavi.jp/series/font-history

○カレー沢薫の時流漂流
https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu

最後になりますが、改めて皆様に感謝いたしますとともに、引き続き、マイナビニュースにてご愛顧いただけましたら幸いです。

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

カレー沢薫の時流漂流 第47回

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

2019.06.17

最近女性の間で「#MeToo」ならぬ「#KuToo」運動がにわかに盛り上がっている。

「#KuToo」とは「靴」と「苦痛」をかけており、職場や就職活動で、足を痛めるパンプスやヒール靴の強要をやめようという運動である。

そもそもそんなの誰も強要してねえよ、と思われるかもしれない。確かに規定として靴の形状やかかとの高さまで定めている会社はレアだろう。しかし、私の元いた会社でも、規則があるわけでも、誰に言われたでもなく、みな一様に黒のパンプスを履いていた。それが「暗黙のルール」であり、それ以外は「非常識」と見られる風潮は確かにあるのである。

これが就職活動になると、パンプスを履いていないだけで「こいつは常識がない」と見なされ不採用になってしまうかもしれない、ということだ。そうなると女子学生は足を負傷してでもパンプスを履かざるを得なくなってしまう。

正直、パンプスは苦痛

パンプスがそんなに苦痛か、というと、靴の中では殺傷能力が高い方である。これは他人への、という意味ではなく自分へのだ。他人を殺傷したいならカウボーイが履いている、かかとにピザカッターがついている奴を履いた方が良い。

狭いつま先に足の指が密集されるため、私もよく爪で隣の指を切って足を血だらけにしていたし、伸縮性にかける素材のため、あわないパンプスだと試着の時点で靴擦れが出来るレベルなのだ。

世の中には素肌に荒縄で亀甲縛りを施し、その上に上等なスーツを羽織って出社している人も多いと思う。とても痛いだろうが、それは強制されたわけではなく、その人が好きで楽しいからやっているのだ。

つまり、好きでもない上にとても痛いパンプスを強制で履かなければいけないというのは、上等なスーツの下が亀甲縛りなことよりも「異常」なことというわけだ。

この運動はすぐに広まり、いきなり国会でも議論されたという。これにより「厚労相がハイヒール強要を容認」という見出しのニュースまで踊り出ることになった。

完全に自由と言われても困るのでは?

「厚生省に、女がハイヒールを履かないと死ぬ病の人が!?」と驚いたが、記事をよく見ると見出しほどのことはなく、厚労相の発言は「これは社会通念に照らして業務上、必要かつ相等な範囲かと、この辺なんだろうと思います」というかなりボンヤリしたものであり、どっちでも良い事を聞かれた私のリアクションに似ている。

しかし「ハイヒールが履けない女は何やってもダメ」などと強い事を言っているわけではないが、「業務上必要ならパンプス履くべきだろ」という「容認」に聞こえなくもない。すぐさま「業務上ハイヒールが必要な仕事って何だよ」という疑問が挙がり、「SMの女王様」「(ハイヒールでキレッキレに踊る)perfume以外ありえない」などの声が相次いだ。

この社会問題がすぐ大喜利になってしまうのは良くも悪くも「ザ・ツイッター」という感じだ。

確かに「業務上必要」となると、まだかかとにピザカッターがついている靴の方が「ピザを食う時」必要な気がする。

ただ、靴や服装を完全に自由化し、何でもOKにすれば良いかというと、それはそれで問題が起きると思う。ファッションに疎くコーディネートが苦手な人間からすれば、職場に何を着ていいのか全く「指針」がないというのは迷子になるし、接する側としても、車を買いにいってディーラーが、イモ―タンジョ―の完コスで出てきたら「キャデラックしか買うことを許されないのか」と委縮してしまう。就活マナー本に「俺の考えた最強の就活ファッションで挑みましょう」とだけ書かれていても逆に困るだろう

着る側としても、それに接する側としても、社会において服装にある程度規定や模範があるというのはメリットでもあるのだ。

そもそも規定や常識というのは、秩序を作ることにより問題を減らすためにあるものなのだ。しかしそれが元で「足を負傷する」という「問題」が起こっているなら本末転倒なので、やはり解消はすべきなのだろう。

極論に流れない寛容さが足りない

おそらく「#KuToo」を提唱している人も「ドラゴン柄のコンバースで就活したい」と言っているわけではないのだ。最近は「パンプスに見えるスニーカー」なども存在するし、パンプスでなくても地味な靴はいくらでもある。そのような靴を履いていても「パンプスじゃないから非常識」と見るのをやめてほしいという話だろう。

ちなみに私が会社員時代履いていたパンプスだが、黒の革靴ではあったが、つま先は限りなく丸く、ヒールはなきに等しい、今思えばあれはパンプスだったのか、70過ぎのババアが旅行に行くときに履くヤツなんじゃないか、という代物であったが、特に何も言われなかった。

「#KuToo」が求めるのも、そのぐらいの「寛容さ」なのではないだろうか。

【お知らせ】
連載「カレー沢薫の時流漂流」の掲載場所を変更します。
→ 新しい掲載場所はこちら https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu