ビッグデータの利活用にあらず、「omni7」で重視するものとは? - セブン&アイ・ホールディングス鈴木康弘CIOに聞く(前編)

ビッグデータの利活用にあらず、「omni7」で重視するものとは? - セブン&アイ・ホールディングス鈴木康弘CIOに聞く(前編)

2016.01.05

セブン&アイ・ホールディングスが、11月からオムニチャネルを具現化した「omni7」を本格スタートさせた。オムニチャネルはリアルとネットの融合と表現される取り組みだ。セブン-イレブン、イトーヨーカ堂、そごう・西武など、傘下企業計8社の商品が統合ショッピングサイトの「omni7」で購入でき、自宅への直接配送ほか、セブン-イレブン、イトーヨーカドーなど対応店舗でも受け取りが行える。セブン-イレブンでは返品も受けつけ、利便性を高めたのが特徴だ。セブン&アイ・ホールディングス取締役執行役員最高情報責任者(CIO)の鈴木康弘氏に、「omni7」開始までのいきさつからポイントまでを聞いた。

鈴木康弘(すずき やすひろ) 1987年大学卒業後、システムエンジニアとして富士通に入社。ソフトバンクを経て、2000年にイー・ショッピング・ブックスの代表取締役に就任。2007年に日テレ7の取締役を務めるなど、IT・メディア業界に従事。以後も要職をこなしながら、2014年3月からセブン&アイ・ネットメディア代表取締役(現任)に就く。同年12月にセブン&アイ・ホールディングス執行役員最高情報責任者(CIO)に就任、現在はセブン&アイ・ホールディングス取締役執行役員最高情報責任者(CIO)。omni7の実現にあたって陣頭指揮をとった

――「omni7」開始の背景について教えてください。

もともと、ネットとリアルの融合をしようとは考えてはいました。セブン-イレブンをより近くて便利な存在にしていくことがベースにあり、そうしたなかでネットの文化がだんだんと身近になってきたことが背景にあります。

特に2008年にスマートフォンが登場したのが大きかったですね。いつでも、どこでも、ネットにアクセス可能になり、買い物のあり方も変化しました。だから、我々もグループ全体でお客様に近づいていこうと考えたわけです。

"オムニチャネル"という言葉自体は、2011年に米国から出てきたものですが、これはいい言葉だなと、当時から思っていました。そして、弊社グループでもできないかと考え、やろうと決まりました。

――それはいつのことですか。

日付までよく憶えています(笑)。2013年8月30日でした。「セブン&アイ・ホールディングス戦略会議」という全事業会社のトップが集い、グループの方向性をディスカッションする会議で決まりました。

――当初は何をやろうと考えていたのですか。

どうせやるなら、ネットとリアルを単に融合させるだけではなく、セブン-イレブンの店舗を活用しながら、「いつでも、どこでも、誰でも、商品が買える」をキーワードにしようと考えました。

その後、全米小売業協会主催のオムニチャネル関連のイベントがあると聞いて、当初は私ひとりで参加する予定だったのですが、急遽、事業会社の社長約50名と一緒にそこへ出かけることになりました。百貨店のメイシーズをはじめ各所を視察し、講演なども聴いて全10日間の日程だったのですが、各事業会社の社長たちが同じものを見て、聞いていると自然に意識が合ってくるんですよ。

すると、だんだんと我々セブン&アイHLDGSが新しいオムニチャネルをつくれるのではないか、という意識に変わっていきました。米国でオムニチャネルに取り組んでいる企業はどこも単一業態でしたし、我々は世界でも類を見ない様々な業態をもったグループであり、お客様との接点では、セブン-イレブンがある。この2つを生かしていこうという共通認識が生まれました。

思い返しても、あのツアーがなければオムニチャネルはできなかったと思います。みんなが集まると、いまでもその話になります。

――サービス開始までに、どのようなことに取り組んだのでしょうか。

最初はカスタマーエクスペリエンスのデザインから始めました。そして、システム開発や、業務の準備、物流の再構築などに着手しました。

カスタマーエクスペリエンスは、「omni7」を通じてのユーザー体験を考えていくことです。例えば、テレビ番組で紹介された商品を見て、販売サイトの「omni7」で確認をしてから店舗に来店するのではないか、はたまた、店舗にいったときにスマホを取り出してショールーミングするのではないか、高齢化社会も進んでいますし、全国のセブン-イレブンの接客端末を通じて、御用聞きすることも価値としてあるのではないか、などを考えていきました。そうしたことを130パターンほど出していきました。そして、何が必要かを考えていくわけです。

11月にグランドオープンしたomni7の販売サイト。単に販売サイトを整えた取り組みではなく、リアルの活用を想定した取り組みでもあり、カスタマーエクスペリエンスのデザインが重要になってくる

そこをきっちりとしてから、要件定義をつくり、システム開発に入りました。開発を進めるにしても大変で、複数社が絡むことになります。マルチカンパニー、マルチベンダーのプロジェクトです。

たとえば、セブンカフェは12社が関わることで生まれた商品ですが、セブン-イレブンが開発した"チームMD"という手法、このチーム単位でひとつのものを作り上げるという仕組みを応用して、NRI、NEC、NTTデータ、オラクルなどが関わる"チームIT"を組織しました。我々がプロジェクトリーダーの役割を果たし、各社の得意分野を生かしながら、共同でオムニチャネルに取り組んでほしいとお願いしたわけです。

普段、各社さんは競合関係にあるのですが、わずかな期間でよくやっていただいたと思っています。2015年10月に販売サイトの「omni7」のプレオープンを宣言しましたが、今年の7月段階ではまだ少し不安はありました。システムはできていたんですが、うまくつながらないという状況です。残りの3カ月は痺れましたね。最後にリリースになったときは拍手が起きて、疲れきったメンバーたちがいたという感じです。そのときにチームITが本物のチームになった瞬間でした。二次開発においては、結束力が高い段階から始められる、それはとてもいいことですよね。

――「omni7」によって、グループ会社の共通システムをつくり、IDの統一も行ったと聞きます。

IDは完全に統一しました。たとえば、nanacoを使った購買情報は、リアルとネットの両方で共有可能な仕組みとなっています。

しかし、「omni7」はまだスタートを切ったばかりで、一次開発を終えた段階に過ぎません。来年に向けて、すでに二次開発に入っていますし、まだまだやりきれていないことがたくさんあるんですよ。

――ネットとリアルで集めたPOSデータを活用すれば、これまでにない商品開発、顧客へのリーチ、売り方が可能になりそうです。

データの活用よりも"商品力"を強調する。そのため、対Amazonという見方は適切ではないとする

そうですね。その可能性はあります。去年はこういうブラウスを購入されたので、今年は○○はいかがですか、といったような提案ができるかもしれない。

しかし、我々が「omni7」で重視しているのは商品なんです。お客様は商品を買いに来ているので、商品がいいものであることが一番大事です。

世の中、ビックデータがトレンドワードになっていて、顧客情報をうまく使えば、ニーズのある新しいものが生まれるかのうように言われていますが、我々はそこを狙ってはいません。「セブンカフェ」「セブンプレミアム 金のハンバーグ」などがヒットしましたが、そうしたニーズはデータからではなく、人間が考えていかないと生まれなかったと思っています。過去のビッグデータをひっくり返しても、所詮は過去のニーズなんですよ。

もちろん、新商品を出したあとで、ターゲットにうまくマッチしたかどうかの検証材料としてはデータを使いますが、次に何をやるのかは人間がベースだと考えています。ここが我々にとって根幹になる部分です。

――「omni7」が対Amazonという視点で語られることがあります。

そこは比較しても仕方がないですよ。Amazonに学ぶことはありますが、我々にとっては、ネットで売れなくても、リアルで売れればいいんです。お店で売れなければ、ネットで売れればいいんです。大事なのは商品であって、例えば、セブンプレミアムは年間1兆円の売上を持つ商品力を持っているわけです。ネットの活用をプロモーションとしてしか見ない風潮がありますが、我々は商品力をもって売るんです。最終的には商品がお客さんに受け入れてもらえれば、それでいいんです。

いつかは買いたい? 安東弘樹、アストンマーティン「DB11」に乗る!

安東弘樹のクルマ向上委員会! 第17回

いつかは買いたい? 安東弘樹、アストンマーティン「DB11」に乗る!

2019.03.20

アストンマーティンのV8エンジン搭載車「DB11」に試乗

懐古趣味とは無縁、「DB」のデザインは現代の方がカッコいい

車中で「なぜ運転は楽しいか」を自問自答

日本自動車輸入組合(JAIA)の試乗会を訪れている安東弘樹さん。次に乗るのはアストンマーティンの「DB11」だ。憧れる人も多いであろう歴史ある英国製スポーツカーに、安東さんは何を思うのか。

※文と写真はNewsInsight編集部の藤田が担当しました

安東さんと「DB11」

エンジン信者ではなくとも感じる音のよさ

DB11はアストンマーティンのグランドツアラーで、安東さんが乗ったのは4リッターV型8気筒DOHCツインターボエンジン搭載モデル。最大出力は503hp、最大トルクは675Nmで、停止状態から時速100キロへの加速はわずか4秒という速いクルマだ。トランスミッションは8速オートマチック(AT)。オプションを含まないメーカー希望小売価格は2,278万1,177円となっている。

試乗した「DB11」のボディサイズは全長4,705mm、全幅2,060mm、全高1,290mm。車両重量は1,705キロだ

編集部(以下、編):なぜDB11に乗ってみたいと思ったんですか?

安東さん(以下、安):新しいアストンマーティンに乗っておかないと、という気持ちがありました。他のブランドのように試乗会というものが開催されないので、なかなか機会がありませんし。

先ほど、テスラの「モデルX」に乗りましたけど、その後にDB11に乗ると、電気自動車(EV)とは違う加速を味わうことができますね。どちらが好ましいというのはないですけど。

:EVとは違って、エンジン音に迫力がありますね!

:確かに、いい音だとは思います。ただ、エンジン音の信者ではないので、そんなにうるさくなくってもいいというタイプです。大きさより質、という感じでしょうか。

:クルマのキャラクターに合った音がしてほしい?

:そうですね。

室内の作りは、ドイツ車と比べると違いを感じます。ドイツ車だと、例えば革張りのダッシュボードなどは“パンッ!”て張っている感じですけど、こちらは、良くも悪くも作りが緩いというか、革の表面にうねりのようなものが見てとれますね。

:生命感を表現している、とかですかね?

:どうなんでしょうねー。

:乗り心地はいかがですか?

:ダイレクト感が伝わってくるような作りになっているのは分かります。ただ、ダイレクト感を作り手の側で、どのくらい味付けするのがいいのか……クルマって、難しいですね! メーカーが味付けの部分で競い合うのはいいことだと思います。

:2,278万円という価格については?

:……なぜか今、一瞬、安いって思いました(笑)。

多分、これが理由だと思います。先日、ポルシェジャパンのサイトでコンフイギュレーターを使って、最新のポルシェ「911 カレラ 4S」に、必要だと思うオプションを選んでトータルの価格を見積もったら、2,000万円を軽く超えました……。

DB11もオプションを加えたら、金額は跳ね上がるとは思いますが、ポルシェは3Lターボで最大出力450ps、最大トルク530Nmだったのに対して、DB11は4Lターボで503ps、675Nmだったので、それらを比較して、そう思えたのかもしれません。

「DB11」の価格を聞いて、一瞬だけ「安い」と思ったという安東さん

昔のクルマと今のクルマ、カッコいいのはどっち?

:アストンマーティンといえば、ボンドカー(映画「007」シリーズに登場するジェームズ・ボンドが乗るクルマ)のイメージはありますか?

:ありますねー! 一時はBMWになったりしてましたけど、アストンマーティンを復活させましたもんね。最近は、物語にとって必然性がないのに、ボンドカーを無理やり出している感じがあったんですけど、新しい作品ではアストンマーティンが大活躍してました。まあ、本来は目立ってはいけないスパイが乗るクルマではないですけどね(笑)

:「007 ゴールドフィンガー」に登場した初代ボンドカー「DB5」もカッコよかったですもんね!

:「ゴールドフィンガー」も見たんですけど、私に懐古趣味がないので、今のDB11の方がカッコいいと思います。DB5って、今のクルマに比べると、少し“ずんぐりむっくり”しているというか。

:純粋に、カッコよさで比べた場合、現行モデルの方に軍配が上がると?

:そうですね。ただ、日本車は残念ながら昔のクルマ、特に60年代~70年代の方が圧倒的にカッコいいですけどね。

純粋にカッコよさで比べた場合、初代ボンドカー「DB5」よりも試乗中の「DB11」に軍配が上がるというのが安東さんの感想

:アストンマーティンのイメージは?

:好きでした。歴代のクルマには、必ずマニュアルトランスミッション(MT)の設定があったので、乗りこなせたら格好いいだろうなとは思ってました。

:いつかはアストンマーティンを買いたいと思いますか?

:以前は思ってました。でも今は、乗って満足してしまったというか、「これが欲しい!」という感じではないです。スポーツカーの場合、どうしても、MT車にしか食指が動かないんです。DB11って確か、本国にもMTの設定はないですもんね。

:そうすると、現在の愛車であるポルシェ「911 カレラ 4S」を乗り換えるとしたら、どんな選択肢がありますか?

:“992型”の「911 カレラ 4S」()で、右ハンドルのMTって感じですかねー。

【編集部注】次に発売となる新しい「911 カレラ 4S」。つまり、同じクルマの新型をリピート購入したいということ。

:他のメーカーに候補はないですか?

「メガーヌ R.S.」(ルノー)のMTなんかいいですね!

もし、DB11がMTだったとしても、うまくスポーツ走行をする自信はないんですけど、日常でスポーツカーを楽しむという意味では、MTしか選択肢に入らないんです。

なぜステアリングを切っているだけで楽しいのか

:(箱根ターンパイクを走行しつつ)加速って、どうしても慣れてしまいますね。

:結局のところ、速いか遅いかということですしね。

:だとすると、もうテスラなどの電気自動車にはかなわないですもんね。そうすると、操作を楽しむとか、気持ちはそっちにシフトするわけで。

DB11は、トルコン8速ATもよくできていて、十分にいいクルマなんですけど、なんでしょう、どうしてかは分からないんですけど、ひょっとすると、そのうち飽きがくるかもしれないと思ってしまうんです。MTの運転だけは飽きないですからね(笑)

それにしても、こうやって右に左にステアリングを切っているだけなのに、「何が楽しいのかなー?」って、たまに思うこともあるんですけど、なぜだか楽しいんですよね。クルマに興味のない人には、「何が楽しいの? 危ないだけでしょ?」と思われるかもしれないんですけど。

クルマの運転って、興味のない人からすれば、場合によっては悪意がなくても法律的に罰せられるし、命の危険すらあるのに、何が楽しいのか理解できないでしょうね。ただ、なんなんでしょう、とにかく楽しいんですよねー! こういうワインディングロードを走らなくても、普通に、高速道路で制限速度内で走っていても、車窓の景色が変わっていく様子とか、大きな物体を自分で操る感覚が、たまらないです。

ステアリングを右に左に切っているだけで楽しいという安東さん

DB11に乗りながら、なぜクルマの運転は楽しいのかと自問自答を始めた安東さん。助手席から見ていると、その問答自体がすでに、楽しげに見えた。次に乗るクルマは、ポルシェを買い替える場合の選択肢として名前の挙がった「メガーヌ R.S.」だ。

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2019.03.20

8世代目に突入したアッパーミドルセダン「A6」

「アウディ クワトロ」のDNAを受け継ぐエクステリア

最新テクノロジーよりも大切なユーザー目線

アウディ ジャパンは新型「A6セダン」およびワゴンタイプの新型「A6アバント」を3月20日より発売する。車両本体価格は「A6セダン」が920万円~1,006万円、「A6アバント」が955万円~1,041万円。フルモデルチェンジを経たアウディ伝統のアッパーミドルセダン(おおよそ全長4,800mm以上のクラスの高級セダンで、いわゆるEセグメント)は、同社3シリーズ目となる電動車として登場した。

新型「A6」の発表会に登壇したアウディ ジャパン代表取締役社長のフィリップ・ノアック氏。A6は2019年3月20日から全国のアウディ正規ディーラーで販売する

アウディにとって3作目となる電動車

「A6」は1968年にデビューしたアウディのアッパーミドル(中大型クラス)セダンの流れをくむモデル。今作は初代モデル「アウディ100」から数えて8世代目にあたる。「アウディ100」と「A6」の両シリーズを合わせた累計販売台数は820万台。新型のグレードは、「A6セダン」「A6アバント」ともに「55 TFSI quarto S line」と「55 TFSI quarto debut package」の2種類だ。

「A6セダン」は「55 TFSI quarto S line」が1,006万円、「55 TFSI quarto debut package」が920万円
画像3:「A6アバント」は「55 TFSI quarto S line」が1,041万円、「55 TFSI quarto debut package」が955万円

アウディは「A8」「A7」に続き、新型「A6」に電動化技術を組み込んだ。同社は2019年に6車種のプラグインハイブリッド車(PHV)を導入し、2020年末までに合計12車種の電動パワートレイン車をラインアップする電動化戦略を掲げているが、A6の電化はその一環だ。

A6のパワーユニットは、いずれも3.0リッターV6ターボエンジンにマイルドハイブリッドテクノロジー(MHEV)を組み合わせる。この3.0リッターTFSIユニットは、最高出力340ps/5,200-6,400rpm、最大トルク500Nm/1,370-4,500rpmを発揮する。「A6セダン」が停止状態から時速100キロまでの加速に要する時間は5.1秒(欧州仕様参考値)だ。

「アウディ クワトロ」の遺伝子を受け継ぐエクステリア

発表会でノアック社長が「アウディ車にとって重要なメッセージ」と語ったのがデザインだ。2018年にフルモデルチェンジして登場した「A8」「A7」と同じく、新型「A6」も新たなアウディのデザイン言語を体現しており、「ピンと張った面、キリッと尖ったエッジ、目を引くラインなどが特徴」(ノアック社長)だという。

「A6セダン」のフロントマスク
ボディサイズは全長4,950mm、全幅1,885mm、全高1450mm、ホイールベース2,925mm。長いボンネット、ロングホイールベースなど、造形美が光るプロポーションとなっている

従来モデルよりワイドかつ低く配されたシングルフレームグリルに、フラットなヘッドライト。フロントマスクではエアスポイラーを備えた大型のサイドエアインテークも目を引く。サイドビューは先代モデルと比べて引き締まった印象。力強く張り出したホイールアーチ上の輪郭、長く伸びたルーフラインなど、「アウディ クワトロ」のDNAを受け継いでいることを確認できるポイントは随所で発見できる。

この新たなデザイン言語を読み解くのであれば、バランスのとれたエクステリアプロポーションでエレガンスさを、フロントマスクの造形でスポーティーさを演出している、といったところだろうか。

アウディが考えるユーザー中心の開発とは

「A6を日本市場に導入できることをとても嬉しく思うとともに、誇りに思います」と述べたノアック社長は、日本におけるアウディの戦略にも言及した。

アウディ ジャパンの戦略を語るノアック社長

最初に言及したのが商品攻勢だ。今回の新型「A6」に加えて、新型「RS4アバント」、アウディ ジャパン初のクリーンディーゼルエンジン搭載車となった新型「Q5 40 TDI クワトロ」を発表するなど、積極的な姿勢が目立つアウディ。2019年は今後も、ほぼ毎月、新モデルを投入する予定だという。アウディ初の電気自動車(EV)「e-tron」や新たなセグメントへの参入となる「Q8」など、注目度の高い車種も発表の時を待っている。

そして、ノアック氏が強調したのが、ユーザーを中心に据える「カスタマー・セントリシティ」という考え方だ。

「A6セダン」のコックピット。ドライバー正面とセンターコンソール上部、さらにセンターコンソール下部の3カ所に大型ディスプレイが設置してある

この言葉、ノアック社長は単なる顧客満足度の向上という意味では使っていない。その真意として同氏は、「アウディブランドは新しい技術を駆使し、新たな価値あるものを作り出していきます。ただ、アウディにとってテクノロジーは重要ですが、それ以上に大事なのは、お客様の視点です」と説明した。

どれだけ優れた技術であっても、ユーザーに必要とされなければ、それは不要な技術といえる。新型「A6」は最新のテクノロジーを搭載するが、快適性の向上やドライバーサポートアシスタントシステムの充実、安全性の高さなどは、いずれもユーザーに望まれる技術である。新型車が登場すると新たな機能に注目が集まりがちだが、重要なのは、その機能がユーザーの求めるものであるかどうかだ。

最後にノアック氏は、「今年は本当にエキサイティングな年になると思います。この1年をぜひ、アウディとともにお楽しみください」と語り、記者発表を締めくくった。

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