【住友商事】資源ビジネスの低迷と、今後の持続的成長を左右する事業会社へのM&A

【住友商事】資源ビジネスの低迷と、今後の持続的成長を左右する事業会社へのM&A

2016.08.26

【住友商事】資源ビジネスの低迷と、今後の持続的成長を左右する事業会社へのM&A

 住友商事<8053>は、長らく大阪を拠点としてきた住友グループの総合商社だ。住友グループでは、三井住友銀行、住友金属工業(現在の新日鐵住金)、住友化学が住友御三家と呼ばれ、住友電気工業、日本電気と合わせて住友新御三家と呼ばれるのが住友商事である。戦前の住友グループに商事部門はなく、他の財閥グループと比較して歴史が浅いのが特徴で、他の総合商社を追う立場であった。

 収益は2016年3月期で3兆1020億円(国際会計基準)、日本の総合商社で一般的に用いられる売上高では8兆3503億円、売上総利益が8635億円となっており、規模で三菱商事、伊藤忠商事、丸紅、三井物産に次ぐ国内5位の総合商社である。

 事業セグメントは、①金属、②輸送機・建機、③環境インフラ、④メディア・生活関連、⑤資源・化学、⑥海外現地法人・海外支店の6つに整理されている(図1参照)。16年3月期の全体の売上総利益に占めるセグメント別の割合は、図2の通りで、売上総利益の規模としてメディア・生活関連、海外現地法人・海外支店、輸送機・建機と続く。現在のセグメント分類となった2013年3月期以降のセグメント別の財務数値は図3を、セグメント別の重要な事業及び子会社は図4を参照されたい。

■図1セグメント説明

金属 鋼材・鋼管などの鉄鋼製品からアルミ・チタンなどの非鉄金属製品まで、さまざまな金属製品を取り扱い、幅広い分野で顧客のニーズに対応したバリューチェーンを展開
輸送機・建機 船舶、航空機、鉄道交通システム、自動車、建設機械および関連機器・部品の国内・海外取引を行う
環境・インフラ 海外における発電事業および電力機器・プラント関連の建設工事請負・エンジニアリングなどの大規模なインフラビジネスに取り組む
メディア・生活関連 CATV事業、番組製作・配信事業、映画事業、ITサービス事業、携帯電話・ネット関連事業、通信事業、ベンチャー投資、並びにスーパーマーケット、ドラッグストア、各種通信事業、ファッションブランドなどのリテイル事業に取り組む
資源・化学品 資源・化学品事業は、石炭、鉄鉱石、マンガン、ウラン、非鉄金属、貴金属、原油、天然ガス、液化天然ガスなどの鉱物・エネルギー資源の開発とトレード、商品デリバティブの売買などを行う
海外現地法人・海外支店 東アジア、アジア大洋州、欧阿中東CIS及び米州の広域4極から構成され、その地域の専門知識を生かし、すべての商品およびサービスに係る営業活動を行う

■図2セグメント別 売上総利益割合

■図3

■図4

総合商社のビジネス

 近年の総合商社のビジネスは、一般的にトレードと事業投資の2種類に分類される。トレードとは、商社の伝統的なビジネスで、取引仲介と金融を中心とした事業である。事業投資とは、商社が企業などに出資を行い、人材やノウハウ、資金、情報といった経営資源を投入し、経営を支援していく事業である。

 だが、原料を輸入し、メーカーに販売するとともにメーカーの製品を輸出するトレードビジネスは、日本の高度経済成長期に重要な役割を担ったものの、メーカーが自力で原料を調達、製品を販売するようになり縮小する。そこで、総合商社は、トレードを中心とするビジネスから事業投資へビジネスを変革させた。現在の総合商社のビジネスにおいてトレードと事業投資は、別個に存在するのではなく、事業投資によりトレードが拡大したり、トレードから事業投資に発展したりと、相互に関連している。事業投資は、資源権益を確保するための投資と、事業会社に対する投資があり、単独で投資する事もあるが、投資事業について専業で展開している事業会社などと共同で投資する事も多い。

■住友商事の事業投資1(2004~06)

年月 内容
2004.3 日東バイオン(肥料などの製造販売)を完全子会社とする株式交換を実施(51%→100%)。買収価額は12億円
2004.3 セブン工業(住宅部材の製造・販売、施設建築。売上高237億円)の株式に対する公開買付けを実施(0.7%→50.7%)。買収価額は24.7億円
2005.3 株式交換により住商メタレックス(電気・電子機器、住宅機器などの販売。売上高722億円)を完全子会社化(69.14%→100%)。買収価額は24億円
2005.8 株式交換により住商オートリース(売上高858億円)を完全子会社化(52.9%→100%)。買収価額は442億円
2005.12 NASDAQ上場の米国タイヤ販売会社TBCコーポレーション(売上高20億ドル)を1326億円で買収(100%)
2006.3 映画製作・配給会社のアスミック・エースエンタテインメントの27.67%の株式を角川書店より取得し、同社を子会社化する。今回の株式取得により、アスミック・エースエンタテインメントへの出資比率は住友商事75.3%、角川書店20.0%、その他株主4.7%に
2006.7 米国自治領北マリアナ諸島連邦の最大手通信事業者であるPacific Telecom Inc.の議決権付株式の25%を第3者割当増資により約30億円で取得
2006.10 住友商事およびカナダのダイナテックは、マダガスカル共和国でニッケルの鉱石から地金までの一貫生産を行うアンバトビィ・ニッケル・プロジェクトに関して、コリアリソーシズコーポレーション(韓国)およびエスエヌシーラバリン(カナダ)の参画を受け入れ、株主間契約書を締結。権益構成は住友商事27.5%、ダイナテック40%、コレス27.5%、エスエヌシー社5%となる
2006.12 住商リース(売上高4,504億円)の普通株式に対する公開買付けを実施(36.21%→96.54%)。所得費用は1832億円。07年7月に株式交換により完全子会社化
2006.12 中国江蘇省昆山市にある自動車部品製造・販売会社である富士和機械工業(昆山)有限公司の株式45%を台湾の大手自動車部品メーカーである六和機械公司より取得
2006.12 住友商事と旭硝子は、両社が共同出資して設立した米国ソーダ灰の共同販売会社ソーダアッシュジャパン(売上高50億円)の旭硝子の所有全株式を住友商事が取得し100%子会社化することに合意
2006.12 ベトナムの国営石炭・鉱物資源会社であるVietnam National Coal-Mineral Industries Group傘下の無煙炭炭鉱操業会社2社の株式を取得

■住友商事の事業投資2(07~08)

年月 内容
2007.1 南アフリカの鉄鋼原料資源会社であるAssmangの権益保有持ち株会社であるOresteel Investments Limitedの株式20%を、同国のOld Mutualグループより、総額約80億円にて取得
2007.3 日本カタン(売上高37億円)の普通株式に対する公開買付を実施(39%→95.61%)。取得費用は25億円。 8月には株式交換により完全子会社化
2007.5 ジュピターTVの第三者割当増資(1株72万7792円)を引き受け、連結子会社化(50%→50.00014%)
2007.6 ロシア木材ビジネスにおける戦略的パートナーである総合林産企業チェルネイレスの株式を追加取得、同社発行済み株式の40.01%を保有する筆頭株主となる
2007.6 住友商事および米住友商事は、第三者割当増資にてカナダの鉱山会社であるオーガスタの株式を取得することで合意。オーガスタは1071万9827株(1株3.50カナダドル)を第三者割当増資にて増資し、うち71%(総額2660万カナダドル、約30億3000億円)を住友商事および米国住友商事が取得する。オーガスタの増資後株式総数に占める株式保有比率は両社合わせて8.7%に
2007.6 油井機器用金属部品のサプライチェーンマネジメントサービスを行うHOWCO Groupとのパートナーシップを締結するとともに、50%の株式を約100億円超で取得
2007.6 ケータイ専門TV局を運営するフロントメディアが、モバイルメディア事業拡大のため、住友商事を主な割当先とする第三者割当増資を実施
2007.7 住友商事、住商リースおよび住商オートリース、三井住友フィナンシャルグループ、三井住友銀リースおよび三井住友銀オートリースは、リース事業およびオートリース事業について戦略的共同事業化するとともに、三井住友銀リースと住商リースおよび住商オートと三井住友銀オートを合併
2007.7 南アフリカの鉄鋼原料資源会社であるAssmangの権益保有持ち株会社であるOresteel Investments Limitedの株式6%を、Assmang社の創業家であるSacco家より総額約40億円にて追加取得(20%→26%)
2007.7 フィードパスが、住友商事、サイボウズなどを引受け先として、第三者割当増資を実施。これにより、それまでフィードパスの一般株主であった住友商事が、サイボウズと並ぶ筆頭株主となる
2007.8 東日の100%子会社であるエース・オートリースの第三者割当増資(発行株式数の70%)を引き受けることに基本合意
2007.9 ミロク情報サービスから、同社の子会社であるガリアプラス(売上高2億3600万円)の発行済株式の 61%を取得し、子会社化することに合意
2007.9 タイ住友商事と共同で、タイ、ベトナムにおいて発電所を保有するAmata Power Limitedの権益30%を取得
2007.9 消費者直結型事業分野の強化と販売のマルチチャネル化戦略の推進を目的に、イタリアの婦人向け高級シャツ・ブラウスのブランド「ナラカミーチェ」、およびフランスの高級婦人服ブランド「レナートヌッチ」などの輸入・販売会社であるナラカミーチェ(売上高50億円)の発行済全株式を取得
2007.10 韓国のKT Corporationと共同で、ウズベキスタン共和国の通信バックボーン回線事業者であるJV East Telecomの議決権株式の85%及び、無線ブロードバンド事業者であるSuper iMAXの議決権付株式の100%を既存株主のEast Wellから取得することで合意。住友商事とKT Corporationは、買収後両社の事業拡大のために増資を引き受け
2007.10 創快ドラッグの第三者割当増資2億300万円を全額引き受け、創快ドラッグを連結子会社化(→64.3%)
2007.10 日野モーターベトナム(ハノイ市)における最大手ディーラー、チュンロン・エンジニアリング社(ホーチミン市)の新規発行株式の一部を引き受け、25.56%の株主として同社経営に参画。出資金額は、約100万ドル
2007.11 オットー(独)との合弁会社である住商オットーの全持分株式49%につき、オットー社に売却することで合意
2007.11 米住友商事が北米有力化粧品原料フォーミュレーターであるPresperse LLC.(米)に対し20%出資
2007.12 住友商事グループ100%出資の農薬販売会社Summit Agro Australiaの事業をシプカムパシフィック(売上高2600万オーストラリアドル)に移管し、住友商事はシプカムパシフィックに資本参加
2008.1 連携強化のため、住友金属工業の株式2%を497億円で取得(7.54%→9.54%)
2008.3 100%子会社の住商石油株式会社(売上高1206億円)の全株式を出光興産に譲渡することで合意
2008.3 昭和シェル石油と住友商事は、昭和シェル100%子会社である昭石ガスと住友商事100%子会社である住商エルピーガス・ホールディングスの合併による新ホールディング・カンパニーの設立に関し最終合意
2008.4 住友商事、ゼイヴェル、およびゼイヴェルグループであるファッションウォーカーは、3社間での業務提携契約を締結。住友商事はファッションウォーカーへ出資
2008.6 南アフリカの鉄鋼原料資源会社であるAssmangの権益保有持ち株会社であるOresteel Investments Limitedの株式20%を、同国のOld Mutualグループより総額約300億円で追加取得。それまでに取得したOresteel株29%と合わせ49%の権益取得
2008.9 アラブ首長国連邦(UAE)の政府系投資会社であるアブダビ・ナショナル・エナジー社から、シュワイハットS1発電・造水プラントの事業権益を20%取得し、事業経営に参画。同プラントの保守・運転を行う会社の50%の持分も同時に取得
2008.10 新日本製鐵および住友商事は、保有する三井鉱山株式会社のB種優先株式について、普通株式を対価とする取得請求権をすべて行使。これにより、新日鉄および住友商事の三井鉱山に対する議決権比率は、おのおの21.78%に向上し、三井鉱山は両社の持ち分法適用関連会社となる
2008.11 英国現地法人Petro Summit Investment UK Ltdを通じ、Bow Valley、Reach Exploration、Oilexcoの3社と共同で英国政府が実施した第25次公開入札。英領中部北海の2探鉱鉱区が付与される
2008.11 住友金属工業と住友商事は、米国のクランクシャフト機械加工メーカーであるNorton Manufacturing Company Inc.(米、売上高4300万ドル)の買収が完了し、新会社SMI Crankshaft LLC(資本金25.5百万ドル)としての営業を開始(40%)
2008.12 子会社SCメディアコム株式会社(東京都)他を通じてジュピターショップチャンネル(東京都)の株式をIAC(米)のグループ企業から460億円で買い取り、出資比率100%の完全子会社化(70%→100%)

■住友商事の事業投資3 (09~10)

年月 内容
2009.1 ボリビア共和国サン・クリストバルの銀・亜鉛・鉛鉱山事業の権益保有会社のミネラ・サン・クリストバル(年商800万ドル)の株式を2750万ドルで取得し、完全子会社化(35%→100%)
2009.2 住友商事は住友金属工業と共にVallourec S.A.社から米国における特殊継手の有力ブランド「Atlas Bradford」を有するV&M Atlas Bradford の持ち分49%(住友金属34%、住友商事15%)、さらに住友商事単独で石油天然ガス開発用シームレス鋼管の熱処理会社V&M TCA 社の持ち分19.47%を取得し、米シームレス鋼管事業での長期にわたる提携関係を一層強化する
2009.2 スカパーJSATホールディングス株式を80億円で取得(0.12%→6.46%)
2009.2 在マレーシア携帯電話事業会社マーチャントレード社が実施した第三者割当増資を引き受け。出資額は3000万マレーシア・リンギット(20%)
2009.4 豪クウィナナ発電所を保有・運営する事業会社の権益70%を取得し、オーストラリアにおいて初めて発電事業経営に参画
2009.5 英国領北海油田権益を有するオランダ石油開発会社オレンジナッソーエナジー(オランダ)の発行済み株式100%につき、ウェンデル社傘下のオレンジナッソーグループ(オランダ)より340億円で買収する株式売買契約をディアスユーケー(英)およびオーエヌエイチ社(オランダ)と共同で締結
2009.6 勝又泰夫氏と09年7月中旬(予定)に株式会社クスリのカツマタ(本社神奈川県川崎市、25店舗。1店舗あたり売上高約6億円)発行株式の約99.5%を譲り受ける事で合意
2009.7 米国テキサス州においてStanton 120メガワット風力発電所の事業権益を取得し、米国における風力発電事業に新たに参入
2009.7 住友金属鉱山と住友商事がポゴ金鉱山の全権益を取得し、その権益比率はそれぞれ51%から85%へ、9%から15%へ増加
2009.8 フィリピン有数の銀行であるMetropolitan Bank & Trust Company(フィリピン)の子会社であるフィリピン・セービングス・バンク(フィリピン)との折半出資でフィリピンの個人顧客向け二輪車ファイナンス会社を新たに設立(資本金20億フィリピンペソ、約40億円)
2009.11 100%共同出資の米国発電事業会社Perennial Power Holdings Inc(ニューヨーク)を通じて、米国のミッドジョージア複合火力発電所の事業権益100%を取得
2009.11 住友商事グループの100%子会社である英国現地法人ペトロ・サミット・インベストメント・ユーケーの発行済み全株式を出光興産株式会社に譲渡することに合意、株式売買契約を締結
2009.12 住友商事グループ100%子会社の建機関連会社SMS International Corp.を通じて、アリゾナ州他南西部8州で事業展開する米国大手建機レンタル会社サンステートエクイップメント(売上高200億円)に対し5000万ドルを出資し、同社の転換権付優先持ち分を取得
2009.12 米国の独立系開発会社であるカリゾー・オイル・アンド・ガス社(ヒューストン)が米国テキサス州バーネット・シェール・フィールドに保有している天然ガスコアエリア開発プロジェクトに参画する。日本企業として初めてのシェールガス開発への参画となる(12.5%)
2010.3 穀物会社Emerald Group Australia Pty Ltd(豪)へ、50%出資
2010.4 インドネシアの新日本製鐵グループ自動車用鋼管事業会社PT.Indonesia Nippon Steel Pipeへの資本参加。住友鋼管と共同で持ち株会社を設立(住友商事持分25.2%)し、第三者割当増資を引き受ける。共同持ち株会社の持分は26.7%に
2010.4 ジュピターテレコムの株券などに対する公開買付け。ジュピターテレコム(売上高3410億円)の株券など87万5834株を1220億円で取得。住友商事が保有する株式は277万7912株となり、議決権保有割合は27.39%から40.1%に
2010.4 カナダサスカチュワン州の穀物大手Viterra Incとの合弁事業会社である港湾ターミナルおよび穀物サイロ運営会社、Australian Bulk Alliance Pty Ltd(同サウスオーストラリア州)のViterra社の持分の株式50%を取得することで合意、住友商事の完全子会社となる
2010.4 中国での建設機械事業会社、住貿工程機械商貿(上海)有限公司(本社:中国上海市、以下、住貿商貿)を通じて、コマツの建機販売代理店4社に297億円出資し完全子会社化
2010.4 ブラジル国営石油公社ペトロブラスの子会社であるPetrobras International Braspetro B.V.(オランダ)との間で、住友商事が保有する南西石油株式会社の全株式12.5%を同社に売却
2010.5 マレーシアの上場会社であるSCOMI Engineering Bhdから子会社2社の株式を1~1億1000万ドルで100%取得する
2010.8 中国上海のディベロッパーである上海毅豪房地産有限公司への出資を通じて、上海市の大型不動産開発事業に参画(総事業費約10億元)
2010.9 マレーシアのアルミ押出品最大手であるプレスメタル社(マレーシア)が、株式の80%を保有する子会社のプレスメタルサラワクの株式の20%を投資会社から取得。マレーシア サラワク州において推進中のアルミニウム地金製錬事業の第一期プロジェクトに参画する。総事業費は約6億ドル
2010.9 米国で事業展開する大手化粧品原料フォーミュレーターPresperse LLC(米、売上高3200万ドル)の持ち分80%を追加取得(20%→100%)
2010.9 米国の独立系石油ガス開発会社であるレックス・エナジー(米)が、ペンシルベニア州マーセラス・シェール・フィールドで開発している天然ガス開発プロジェクトに参画することを決定し、レックス社と契約を締結。住友商事持ち分ベースで総開発エリアは、2万2000エーカー(約89平方キロメートル)、総開発費用は約12億ドル(約1000億円)。取得対価は175億円
2010.11 農業生産法人さかうえ(鹿児島県)が発行する第三者割り当て増資を引き受け、20%の出資を行う合弁契約書を締結
2010.11 マツダの株式を108億円で追加取得、既存取引の維持・拡大のみならず、マツダと共同で新興国での事業展開の可能性について検討する(0.42%→3%)
2010.12 ブラジル ウジナス・シデルジカス・デ・ミナス・ジェライス社の鉄鉱山子会社への新規に12億ドル出資(30%)
2010.12 三井住友銀行、住友商事、および住友信託銀行が、エクイティ投資などを行うファンド運営会社ライジング・ジャパン・エクイティに出資
2010.12 住友商事と米モリコープ・インクは、モリコープが米カリフォルニア州マウンテン・パスに保有するレアアース鉱山の再稼働および新規に建設する製造設備に必要な1.3億ドルの資金提供、また、モリコープが産出するレアアースの対日供給に関して基本合意
2010.12 シンガポール株式市場上場の中国製薬企業 C&O Pharmaceutical Technology (Holdings) Limited (バミューダ諸島、売上高70億円)の株式29%を筆頭株主であるLeo Star Development Limited(英領バージンアイランド)より取得することで合意

■住友商事の事業投資4(11~12)

年月 内容
2011.4 住友商事の100%出資会社である英国現地法人Summit Petroleum Ltd.は、同社が保有する探鉱鉱区の持分権益95%のうち50%をValiant Exploration Ltd(30%)、 Atlantic Petroleum Ltd(10%)、 Trap Oil Ltd(10%)の3社に対し、3社が掘削費用の一部を負担することを対価に譲渡する
2011.4 米国オレゴン州において世界最大級となる845メガワットのCaithness Shepherds Flat風力発電事業に出資参画(約2億ドル)。同事業は米GEグループ、伊藤忠商事グループ、米グーグル社という世界的な有力グループ・企業3社と、米国大手発電開発・運営会社であるCaithness Energy社をパートナーとする共同事業
2011.4 住商情報システムが、260億円で、CSK(売上高1403億円)株式の公開買付の実施(52.43%)
2011.6 米国の車輪・車軸メーカーであるStandard Steel社(売上高2億900万ドル)の持株会社Steel Wheel Acquisition Corporationを3億4000万ドルで買収することで合意(100%)
2011.7 ユニ・チャームが、住友商事の100%子会社であるThe Hartz Mountain Corporationの株式の51%を取得。両者の米国ペットケア事業で戦略的共同事業とする
2011.7 英100%出資子会社のSumi Agro Europe ltdを通じ、ルーマニアの総合農業資材販社Alcedo S.R.L.(売上高51億円)の株式90%を同社より取得
2011.8 住友商事は、BP Company North America Inc.(米)の100%子会社であるアルミニウム板圧延品製造販売会社ARCO Aluminum Inc.(米、売上高約9億ドル)について、住友軽金属工業(東京都港区)、古河スカイ(東京都千代田区)、伊藤忠商事(東京都)、伊藤忠メタルズ(東京都)とともに、BPよりその全株式を6億8千万米ドルで譲り受ける(20%)
2011.9 Sierra Gorda(チリ)銅鉱山開発プロジェクトのジョイントベンチャー発足(30%)
2011.10 バローレック社(仏)から、米国の小径シームレス鋼管製造会社であるV&M TWO LLC社(米)の持分19.47%を取得
2011.11 いすゞ自動車が住友商事の子会社SML Isuzu Limitedへの出資比率を引き上げ(住友商事持分54.96%→43.96%)。インドにおける自動車製造事業に関する業務・資本提携を行う
2011.11 ジャパンバイクオークション(兵庫県)および三井物産とインドネシアにおけるオークションライセンスを取得しているPT. JBA Indonesia(インドネシア ジャカルタ)の第三者割当増資を引き受けることで合意(14.5%)
2011.11 住友商事子会社の住友三井オートリースによる日立キャピタル、日立キャピタルオートリースとの業務・資本提携。住友商事が所有する住友三井オートリース株式を162億円で譲渡(60%→46%)

■住友商事の事業投資5 (12~13)

年月 内容
2012.3 農薬販売事業会社(100%子会社)Sumi Agro Europe Ltd(英)とイタリア大手農薬製造販売会社Sipcam S.p.A.(伊)にて、それぞれ新規に設立する事業持ち株子会社Sumi Agro Limited(英)およびSipcam Europe S.p.A.(伊)の発行済み株式10%を相互取得し、オペレーションを開始(20%)。対象事業の売り上げは約110百万ユーロ
2012.4 吉林糧食集団有限公司(中国)との間で、中国における米の集荷・精米・販売事業への参入に向け基本合意(25%~30%取得)
2012.5 ウッドワンと住友商事は、ウッドワンがニュージーランドの子会社を通じて保有するニュージーランド地区の山林資産保有会社を、原木供給契約を条件に住友商事に譲渡
2012.5 住友商事および米国住友商事の子会社であるTBC Corporationは、Midas Inc.(米、売上高1億8400万ドル)を、総額約3億1000万ドル(約250億円)で買収
2012.6 携帯電話事業者の基地局用基礎インフラの建設・リース事業者としてロシアで初めて設立されたロシアン・タワーズ社の第三者割当増資を引き受け、出資参画
2012.6 子会社であるジュピターショップチャンネル(東京都、売上高1209億円)の株式50%を譲渡
2012.6 三井住友銀行および三井住友ファイナンス&リース、ならびに住友商事は、3社からなるコンソーシアムが、英国の大手金融機関であるロイヤルバンク・オブ・スコットランドグループ傘下の航空機リース事業の買収を完了、「SMBC Aviation Capital」として業務を開始。総額約73億米ドルで住友商事の持分は10%、三井住友ファイナンス&リースは30%
2012.7 住友商事と韓国住友商事会社は、韓国の化粧品素材技術ベンチャー企業Biogenics(韓国)に、25%の出資
2012.7 豪資源会社のAquila Resources Limited(豪)の子会社が保有する豪クイーンズランド州のIsaac Plains(以下IP)の炭鉱権益の全て(権益全体の50%)を、総額4億3000万豪ドルにて取得
2012.8 住友商事とアジア製粉・食品大手Prima Limited(シンガポール)は共同で、オセアニア最大の冷凍パン生地メーカー、ヤローズの豪州冷凍パン生地事業を買収
2012.8 オクラホマ州の独立系石油ガス開発会社であるデボン・エナジー(米国)が、テキサス州パーミアン・ベースンにて進めているタイトオイル開発プロジェクトに約13億6500万ドル参画することを決定し、デボン社と契約を締結(30%)
2012.10 米国カリフォルニア州における世界最大級の太陽光発電事業(総事業費約23億米ドル)へ参画(25%)
2012.12 ウィザス(大阪府)と住友商事は、グローバルゲートインスティテュート(東京都、以下GGI)を通じてデジタル教育サービス事業を共同で行うことに合意。GGIはウィザスが同年10月1日に設立しており、住友商事はGGIの第三者割当増資に応じる(40%)
2013.1 ウィザス(大阪府)と住友商事は、グローバルゲートインスティテュート(東京都、以下GGI)を通じてデジタル教育サービス事業を共同で行うことに合意。GGIはウィザスが同年10月1日に設立しており、住友商事はGGIの第三者割当増資に応じる(40%)
2013.2 プライベートエクイティ投資会社であるBavaria Industriekapital AG(ドイツ)傘下の持株会社よりモーターコア部品の製造販売事業を手掛けるKienle + Spiess GmbH(ドイツ)の100%株式を取得することに合意
2013.2 英国の水事業会社Sutton & East Surrey Water(年商98億円)の持株会社であるEast Surrey Holdingsの全株式を取得
2013.3 住友商事、米国住友商事、ブラジル住友商事会社(ブラジル サンパウロ)とブラジルの大手化粧品原料・ペット用品販売会社COSMOTEC ESPECIALIDADES QUIMICAS LTDA.(ブラジル)は、共同で化粧品原料フォーミュレーター事業を行うことに合意
2013.4 ジュピターテレコムについて、KDDIと共同公開買付(それぞれ同数の議決権を有するNJ社による公開買付)を実施し、住友商事の持分を50%とする。買収価額は1500億円
2013.7 Parkwind(ベルギー)と、ベルギー沖洋上風力発電事業2案件について、各事業会社株式の一部を取得する契約を締結
2013.9 大阪ガスと、住友商事は、住友商事が株式100%を保有する英国の水道事業会社Sutton and East Surrey Water plc(年商88億円)の持株会社であるSummit Water UK Limitedの株式の50%を大阪ガスの英国子会社である大阪ガスUKが取得することについて合意
2013.9 住友商事と日新製糖は、タイ砂糖製造販売大手のKaset Thai International Sugar Corporation Public Company Limited(タイ、年商246億バーツ)に26億バーツ(住友商事分25/30)出資参画(25%)
2013.10 商品取引および資源会社大手であるグレンコア・エクストラータと共同して、大手鉱物資源会社であるリオ・ティントが保有する豪クイーンズランド州クレアモント炭鉱権益および販売会社株式のそれぞれ50.1%(住友商事分25.05%)を総額10億1500万ドル(住友商事分5億750万ドル)で買収することに合意
2013.10 アソマン(南アフリカ)とチャイナ・スチール社(台湾)とともに、マレーシアサラワク州でのマンガン系合金鉄製造販売事業を目的に、新事業会社であるサクラ・フェロアロイズ (マレーシア)に出資参画
2013.10 自動車ビジネス最大手のサルダールグループ(イラク)の子会社であるSAS Automotive Services Ltdに、第三者割当増資にて約3億2000万円(45%相当)を出資
2013.11 米国エネルギー産業向け鋼材・鋼管問屋であるEdgen Group Inc.(米、年商20億5900万ドル)の買収について、独占禁止法の申請を終え、予定通り全株式を520億円で取得
2013.11 ジュピターテレコムがKDDIよりジャパンケーブルネットの全株式を取得し、J:COMとKDDIとの間でJCNの株式譲渡契約を締結
2013.11 マレーシアのアルミニウム押し出し製品最大手であるプレスメタル(マレーシア)が、100%子会社Press Metal Bintulu Sdn. Bhd.(マレーシア)を通じて同国サラワク州において推進中のアルミニウム地金製錬事業の第二期プロジェクト(年産32万トン)に参画することに合意し、プレスメタル社との間でプレスメタルビントゥルの20%株式に関する売買契約を締結

■住友商事の事業投資6(14~16)

年月 内容
2014.1 株式会社J-オイルミルズ株式を29億円で売却(→0%)
2014.2 J:COMとJCNが合併6月にJCNブランドをJ:COMに統一、サービス統合へ
2014.2 住友商事グループ50%出資の穀物集荷および販売会社Emerald Grain Pty Ltd(豪)に50%出資するEmerald Agribusiness Group Ltd(豪)の全株式を取得(50%→100%)
2014.4 スペインの大手石油化学会社であるCEPSA Química S.A.(スペイン)が中国で展開する予定の石油化学品製造事業へ参画(25%)
2014.4 子会社である住商アグロインターナショナルを通じてバイエル クロップサイエンス(東京都)が保有する、農業用殺菌剤であるメトミノストロビンの日本を除く全世界の事業権を買収
2014.4 子会社の爽快ドラッグ(東京都)が、NetBabyWorldを運営するあかちゃんハウス一二三(東京都)の株式100%を取得する契約を本年3月に締結
2014.6 アパレル企業向けウェブマーケティング・海外進出支援などを行う、アパレルウェブ(東京都)の子会社で、シンガポールにおいて日本ブランドを集積したセレクトショップ、「JRunway」を展開するAWCG PTE.LTD.(シンガポール)へ出資参画(47.4%)
2014.7 大手財閥グループであるアブドゥル・ラティフ・ジャミールグループ(サウジアラビア)の子会社でコマツ製建設機械の販売・サービス会社であるアブドゥル・ラティフ・ジャミール・サミットに約15億円(50%相当)の出資
2014.8 マレーシアの肥料製造販売会社であるUnion Harvest (M) Sdn. Bhd.(マレーシア)の株式を60%まで買い増し、経営権を取得
2014.8 コスモ石油、昭和シェル石油、住友商事が、LPガスの国内における小売販売事業の統合を発表
2014.10 ベルギーコルホイトグループ傘下のParkwind(ベルギー)から、ベルギー沖洋上風力発電事業のベルウィンド(39.02%取得)およびノースウィンドの株式(30%)を、14年9月30日付で取得
2014.10 住友三井オートサービス(東京都)および住友商事は、インドにおける共同出資会社であるSMAS Auto Leasing India Private Limitedを通じて、インド国内で有数の自動車関連サービス事業を展開するCarzonrent Private Limitedのオートリース事業を買収
2014.11 コスモ石油、昭和シェル石油、住友商事、および東燃ゼネラル石油は、統合契約を締結し、コスモ石油ガス(コスモ石油の100%子会社)を受け皿会社として各社がLPガス元売り事業(住友商事の元売事業売上 181億円)を吸収分割により切り出す方式により、15年4月1日付で事業を統合する
2014.12 三井住友銀行、三井住友アセットマネジメント及び日本政策投資銀行は、UDSクリーンエナジー2014投資事業有限責任組合を設立し、住友商事の連結子会社で太陽光発電事業を手掛けるソーラーパワー北九州の株式の過半を取得することに合意
2015.2 住友商事は、 傘下のグループ会社を通じてインドネシアの商業銀行PT. Bank Tabungan Pensiunan Nasional Tbk(インドネシア共和国ジャカルタ)の株式17.5 %を追加取得し、合計で総株式の20%を630億円で所有する
2015.2 ブラジル最大の穀倉地帯、マットグロッソ州の農業生産資材問屋Agro Amazonia Produtos Agropecuarios Ltda.(以下、アグロ・アマゾニア)の株式(65%)を230億円で取得することで合意しました。この出資により、住友商事はブラジルにおける「農業生産マルチサポート事業」に参入
2015.4 再生可能エネルギーデベロッパー兼建設業者であるRESグループの米国法人Renewable Energy Systems Americas (米国コロラド州)よりWilley Battery Utility, LLCの株式を取得
2015.4 協和発酵バイオの欧州子会社であるKyowa Hakko Europe GmbHから同社の化粧品素材事業を譲り受け、欧州における化粧品素材ビジネスに本格参入
2015.6 トルコ共和国の電磁鋼板加工会社であるMKS Transformer Equipments Industry and Trade Joint Stock Company(Kocaeri, Cayirova)へ出資参画
2015.8 欧州地域における農薬販売の基盤強化、事業拡大を目指し、当社グループ100%出資の農薬販売統括会社Sumi Agro Europe Ltd.(英国 ロンドン市)を通じて、フランス向け高機能肥料の販売事業を買収
2015.10 傘下のインドネシアの自動車向け金融事業会社PT Oto Multiartha(オトムルティアルタ)およびPT Summit Oto Finance(サミットオトファイナンス)において、三井住友銀行(東京都)、インドネシアの大手財閥グループの一社であるPT Sinar Mas Multiartha Tbk、2社の新たな資本を受け入れ、資本再編(100%→49.9%)
2015.11 子会社である爽快ドラッグ(東京都)が、ペットフード・ペット用品の卸最大手であるエコートレーディング(兵庫県)から、子会社であるココロ(岡山県)の株式100%を取得する契約を締結
2015.12 ジュピターテレコムがジュピターショップチャンネル(東京都)の株式50%を取得することを決議。同時に、KDDI(東京都)は、住友商事が現在保有しているショップチャンネル株式のうち5%を取得
2015.12 中国の動物薬メーカーである山東信得科技股份有限公司(中国山東省 年商69億円)の株式を25%取得し、中国における動物薬事業に参画
2015.12 三井住友ファイナンス&リースがGEの日本におけるリース事業を5750億円で取得する事について合意
2016.1 中国において、飼料穀物(大麦、コウリャンなど)の輸入・販売事業などを行う西王国際貿易有限公司(中国山東省 年商5300億円)の株式を取得する契約を締結(40%)
2016.2 世界最大の砂糖メーカーCosan S.A. Industria e Comercioの子会社で、バイオマス発電向けサトウキビ固形燃料ペレットを製造・販売するCosan Biomassa S.A.(ブラジル)の株式を20%まで取得

 上記の中で住友商事の主な事業会社に対するM&Aは、輸送機・建機セグメントのTBCコーポレーションの買収であろう。また、もともと住友商事で展開していた事業について、他の事業者と共同で行う事を目的に、持分の一部譲渡をした例として、輸送機・建機セグメントのリース事業、メディア・生活関連セグメントのケーブルテレビ事業を、また、住友商事の子会社が上場し、その後、ライバルの買収で規模を拡大させたメディア・生活関連セグメントのSCSKも取り上げたい。

1.米国タイヤ事業

 2005年9月に住友商事と米国住友商事は、米国大手タイヤ販売会社でNASDAQ上場のTBCコーポレーション(以下TBC)を買収する事で同社と合意、12月に買収が完了している。投資額は1300億円を超え、住友商事過去最大級のM&A投資案件となった。

 TBCは、1956年設立のタイヤ販売会社で、年商約 20 億ドル。米国内に 40 カ所の倉庫を有し、卸売事業を行っている他、自営・フランチャイズにより 1175 店の小売チェーンを全米展開している。買収前、住友商事は、傘下のトレッドウェイズ・コーポレーションを通じて住友ブランド及びプライベートブランドのタイヤ卸売業(年商約 400 億円)を行っていた。TBCの買収は、従来のタイヤビジネスのバリューチェーンを小売分野に拡大し事業基盤と収益の飛躍的拡大を狙うものであった。本件は、のれん代として495億円、無形資産として498億円が計上された。

 12年5月には、住友商事とTBCで、年商約1億8400万ドル、米国で自動車修理・メンテナンス事業を展開するマイダスを約250億円で買収、シナジーを実現することで、収益基盤の拡大を目指すとした。

 しかしながら、15年3月期には、業績不振に伴う事業計画の見直しにより、減損損失を219億円計上し、戦略の見直しを迫られている。

2.リース事業

 住友商事のリース事業は、63年に住友商事の不動産関連部門として設立された東西興業が始まりである。68年には住商リース興産株式会社に、69年には住商リースに商号変更し、総合リース事業の展開を始める。オリエント・リース(現 オリックス)の64年設立と近く、住友商事のリース事業は歴史が古い。03年3月には丸紅総合リース(現エムジーリース)の株式を取得、05年5月にジャストイン・レンテック(現SMFLレンタル)の株式を取得し事業を拡大させていった。

 そして07年10に住商リース株式会社は、三井住友フィナンシャルグループの三井住友銀リース株式会社と、住商リースを存続会社として合併し、三井住友ファイナンス&リース株式会社となる。三井住友フィナンシャルグループの持分が55%、住友商事の持分が45%のスタートとなった。また、オートリース事業として住商リースから独立していた住商オートリースは三井住友銀オートリースと合併して、住友三井オートサービスとなった。銀行系リースの「財務」を切り口としたノウハウと、商社系リースの「モノ」「商流」を切り口としたノウハウを結集・融合し、従来型のリースに留まらない取扱商品の多様化、差別化、高付加価値化を推進することにより、高度化するマーケットニーズに的確に応えられるハイクオリティなリース会社を目指すとした。16年3月期の売上高は1兆1478億円で、営業資産4兆1926億円、国内においてオリックスに次ぐ規模を誇る。

 現在、住友商事の持分比率は40%。住友商事の主導権はなくなっているものの、三井住友ファイナンス&リースで15年3月期160億円、16年3月期に173億円、住友三井オートサービスで15年3月期44億円、16年3月期で51億円と安定した持分利益を計上して住友商事の業績を支えている。

 また、16年4月には米国General Electric グループからの日本におけるリース事業を5750億円で買収、飽和状態にある国内リース市場において、事業拡大に意欲的だ。

3.ケーブルテレビ事業

 ケーブルテレビ事業の主体となるのは、ケーブルテレビ局J:COMの統括運営会社のジュピターテレコム。15年3月期の連結売上高は4902億円、有料ケーブルテレビ視聴世帯におけるJ:COMのシェアは47%で国内最大手である。KDDIと住友商事それぞれが50%持分を所有している。

 住友商事は1984 年に新規事業としてメディア事業に進出、その中でもケーブルテレビ事業を中核として展開していった。当初、市町村ごとの運営制限、同一資本の広域事業展開の禁止、中央資本の出資などの法的制限があったが、93年に有線テレビジョン放送法の規制緩和により、同一資本の広域運営、外資規制が緩和された。この規制緩和を受けて、95年、住友商事と米国の最大手ケーブルテレビ統括運営会社であったTCI(現リバティ・グローバル)の合弁によってジュピターテレコムが設立され、住友商事が直接運営していたケーブルテレビ局が集約された。その後、第三セクターのケーブル事業者を積極的にM&Aで取り込み事業を拡大していく。05年にはジャスダックに上場し、M&Aによる更なる事業拡大を目指した。

 10年2月に、リバティ・グローバルの持分をKDDIが取得することでKDDIが筆頭株主となっている。ただし、この取引については、株式公開買付の方法によらない方法であったため、金融庁から指摘を受けることになる。買収前に6.7%相当の株式を信託銀行に信託譲渡し、議決権行使をできないようにする措置がとられた。この点、住友商事としては、心血を注いできたジュピターテレコムについてKDDIに主導権を握られるわけにはいかないため、10年3月に株式公開買付を実施、持ち分比率を27%から40%に高め、筆頭株主となる。

 その後、12年10月にはKDDIと共同公開買付(それぞれ同数の議決権を有するNJ社による公開買付)により、両社折半出資で非公開会社化を発表。13年には、KDDIの完全子会社であるジャパンケーブルネットを買収、14年4月に合併している。

 ジュピターテレコムの15年3月期の持分利益は261億円、16年3月期で287億円、また関連のショップチャンネルの持分利益は、15年3月期で71億円、16年3月期で82億円計上しており、住友商事の利益の相当割合を稼ぐ事業となっている。

4.SCSK

 SCSKは、16年3月期の売上高3239億円、住友商事が50.66%を所有する東証一部上場会社である。

 69年に住友商事の情報システム部門が独立して、住商コンピューターサービス(92年に住商情報システムへ商号変更)が設立される。89年東証二部、91年に東証一部に上場している。05年には、住友商事グループの住商エレクトロニクスと合併を果たし、業界のリーディングカンパニーを目指す。合併後の年商規模は1250億円になる。

 09年には、CSKホールディングスと、業務・資本提携に向けて検討を開始。11年4月には公開買付により、CSKホールディングスの52.4%を取得した。そして11年10月にCSKホールディングスを吸収合併し、SCSKが誕生した。住商情報システムの11年3月期の売上高は1328億円、CSKの11年3月期の売上高1403億円となっており、大企業同士の経営統合となった。CSKは、09年3月期に金融サービス事業の不動産や有価証券の評価損により1230億円の営業赤字を計上し、再編につながった。

 SCSKの15年3月期の持分利益は33億円、16年3月期は90億円と、堅調に推移しており、住友商事の利益に貢献している。

おわりに

 15年3月期の住友商事の決算は散々であった。減損損失を米タイトオイル開発プロジェクトで1992億円、ブラジル鉄鉱石事業で623億円、米シェールガス事業で311億円、豪石炭事業で244億円、米タイヤ事業で219億円、北海油田事業で36億円、税効果で323億円戻しても、3103億円のマイナスの影響がある。全体としては713億円の赤字となった。また、16年3月期においても、マダガスカルニッケル事業で770億円、南アフリカ鉄鉱石事業で183億円、Edgen Groupで181億円、ブラジル鉄鉱石事業で146億円、チリ銅・モリブデン事業140億円、豪州石炭事業121億円、豪州穀物事業114億円、その他295億円で計1951億円の減損損失を計上した。これらを、ケーブルテレビ事業、リース事業、SCSKなどが下支えして、745億円の利益を確保、赤字は免れた形だ。

 資源ビジネスは、資源価格の低迷の影響により、事業環境が悪化している。他の総合商社も軒並み損失を計上している。例えば、16年3月期の三菱商事は減損4260億円で1493億円の赤字、三井物産は2844億円の減損で834億円の赤字、伊藤忠商事は955億円の減損で2403億円の黒字、丸紅は1641億円の減損で622億円の黒字となった。資源を持たない日本において、総合商社の行う資源ビジネスは欠かせないが、資源ビジネスだけを行っていては、企業それぞれの持続的成長は望めない。資源以外のセグメントをある程度確保して、資源ビジネスのボラティリティを吸収する必要がある。そのために、既存事業とシナジーのある事業会社へのM&Aは有効である。

この記事は、企業の有価証券報告書などの開示資料、また新聞報道を基に、専門家の見解によってまとめたものです。

まとめ:M&A Online編集部

新AQUOSは“片手ポケット族”狙う iPhone不在の「小型スマホ」市場に勝機

新AQUOSは“片手ポケット族”狙う iPhone不在の「小型スマホ」市場に勝機

2018.11.16

シャープが新スマホ「AQUOS R2 compact」を発表

大画面化の波に逆らい、「片手ポケット族」が増加傾向に

iPhone不在の「小型スマホ」市場を狙う

11月15日、シャープがAndroidスマートフォンの新製品「AQUOS R2 compact」を発表した。名前に「compact」と付いている通り、最近のスマホ市場では選択肢が減っている小型モデルであることが特徴だ。

小型スマホの需要を取り込む「AQUOS R2 compact」

コンパクトな見た目とは裏腹に、中身にはハイエンドである「AQUOS R」シリーズのスペックを詰め込んでいる。世界的にスマホの大画面化がトレンドとなっている中で、あえて時代に逆行するシャープの狙いはどこにあるのだろうか。

スマホを片手で持ち、ポケットに入れて使う人が増加

世界のスマホ市場では、6.5インチの「iPhone XS Max」に代表される大画面モデルが人気を博している。だが、日本では通勤電車などの利用シーンにおいて、片手で使う人が多いといわれている。シャープによれば、スマホを片手で持つ人は64% 、服のポケットに入れて持ち運ぶ人は49% に達しており、その割合は上昇傾向にあるという。

片手で持ち、ポケットに入れて持ち歩く「片手ポケット族」が多いという

その背景として、シャープはスマホの「インフラ化」を指摘する。SNSやコンテンツを楽しむだけでなく、サービスの利用やモバイル決済にスマホは欠かせない存在になっており、日常生活でスマホを取り出す場面が増えている。

AQUOS R2 compactは、日本人の手のサイズを念頭に置いた「横幅64mm」のボディに、できるだけ高性能な部品を詰め込んだハイエンドコンパクト機になっている。プロセッサは最新のSnapdragon 845、メモリは4GBを搭載しているが、これは大画面モデルのAQUOS R2と同等だ。

ポケットに入れやすいサイズに高性能を詰め込んだ

スマホ本体を小型化する一方、画面は前モデルの「AQUOS R compact」より大型化した。このためにシャープは画面の上下に切り欠き(ノッチ)を持つIGZOディスプレイを開発。インカメラと指紋センサを搭載しつつ、表示領域を上下に広げてきた。

前モデル(左)と比べて新モデル(右)は表示領域が広がった

「iPhone不在」の小型スマホ市場を直撃

シャープによれば、小型スマホを求める人は全体の3割程度という。スマホ市場では残りの7割に向けた大画面モデルが幅を利かせており、最新のiPhoneでは6.5インチのXS Maxに加え、一般向けモデルの「iPhone XR」も6.1インチとなっている。

一方、小型モデルとして根強い人気のあった「iPhone SE」は、後継モデルが出ないまま販売が終了。中古市場では価格が上昇する騒ぎもあった。

日本で最大シェアを誇るiPhoneだが、小型スマホ市場では存在感が薄れつつある。ソニーモバイルはXperiaシリーズのコンパクト機を投入しているが、2018年夏モデルの「Xperia XZ2 Compact」と比較して、シャープ機は画面の大きさ、薄さ、軽さの面で圧倒している。

中国メーカーとして日本でも勢いを伸ばすファーウェイ、OPPOも世界市場において大画面化競争を繰り広げており、小型モデルに積極的な動きは見せていない。この点もシャープにとって有利に働いている状況だ。

また、AQUOS R2 compactは顔認証と指紋認証の両方に対応しているのも特徴。これは、iPhoneにもXperiaにもない機能だ。スマホをポケットから取り出し、顔の前に持ち上げるだけでロックを解除できる顔認証だが、卓上に置いている場合は使いにくい。だが指紋センサがあれば、指を置くだけで済む。

顔認証に加えて指紋認証にも対応

スマホの端末メーカーの多くはグローバル市場に目を向け、大画面化のトレンドを追いがちだ。だが、シャープは国内の需要をしっかりとらえた上で、日本のユーザーに刺さる製品作りを続けている。

依然としてiPhone人気が続いている中で、限られた市場であっても「不在」のチャンスをタイムリーに活かし、ユーザーを奪還する。国内に目配りできるシャープならではの戦い方に注目したい。

大画面化するスマートフォン 使いやすさの試行錯誤は縦長から折り畳みへ

知って納得、ケータイ業界の"なぜ" 第23回

大画面化するスマートフォン 使いやすさの試行錯誤は縦長から折り畳みへ

2018.11.16

海外メーカーの台頭で日本にも大画面化の波が到来

大画面化と使いやすさの両立、各社の工夫の歴史

縦長スマホにとって代わるのは「折り畳み」スマホか

スマートフォンのディスプレイは年々大型化が進んでおり、かつては「大きすぎる」と言われた5インチディスプレイが、今や小さい部類に入ってしまうほどだ。一方で使いやすさを維持しながらディスプレイの大画面化を実現するため、メーカー各社はさまざまな工夫を重ねている。スマートフォンのディスプレイサイズはなぜ大きくなり、今後はどのように変化していくのだろうか。

海外メーカーの台頭で日本でも大画面化に拍車

スマートフォンにとってディスプレイは、単に情報を表示するだけでなく、タッチして操作するインタフェースも兼ねている非常に重要な存在だ。そのスマートフォンのディスプレイが、ここ10年ほどで最も大きく変化した要素が「サイズ」である。

どれくらい大きくなったのかというのは、新旧のスマートフォンのディスプレイサイズを比べてみれば一目瞭然だ。日本で最初に発売されたiPhoneである「iPhone 3G」のディスプレイサイズは3.5インチだった。一方、「iPhone X」や「iPhone XS」、「iPhone XR」といった最近のiPhoneのディスプレイサイズは6インチ級があたりまえ。1.7倍に以上に拡大しているのだ。

今やスマートフォンのディスプレイサイズは5インチ以上が一般的で、6インチも珍しくなくなった。画像の「iPhone X」のディスプレイサイズは5.85インチだ

さらに「iPhone XS Max」は6.5インチもあるし、他の大手メーカーでもサムスン電子の「Galaxy S9+」やファーウェイの「HUAWEI P20 Pro」のように、6インチを超えるディスプレイを採用した機種は増えている。なぜ、これほどまでにディスプレイサイズが大きくなったのかというと、それは大画面が欲しいというユーザーが多いため。スマートフォンの性能向上によって動画やコミック、ゲームなどのコンテンツを楽しむ人が増えていることから、ユーザーのニーズに応えるかたちで、大画面が求められるようになったといえよう。

だが日本国内の事情に目を向けてみると、公共交通機関での通勤・通学が多いのに加え、片手で文字入力ができる「フリック入力」が広く普及したこともあり、片手でスマートフォンを操作する傾向が強く、実は大画面に対するニーズはそこまで大きい訳ではない。実際日本では、4インチディスプレイの「iPhone SE」が人気を保っていたし、シャープの「AQUOS R Compact」やソニーモバイルコミュニケーションズの「Xperia XZ2 Compact」などのように、4インチ台のディスプレイを採用したコンパクトなスマートフォンも投入されている。

2018年の夏モデルとして販売されている「Xperia XZ2 Compact」は4.9インチと、最近では珍しくなった4インチ台のディスプレイを採用したコンパクトモデルだ

にもかかわらず、日本でも大画面のスマートフォンが増えているのはなぜか。まずは国内のスマートフォンメーカーが減少したことで、市場に海外メーカー製のスマートフォンが増えているためだ。海外では移動手段の違いに加え、文字入力システムの違いからスマートフォンを両手で持って操作する機会も多く、片手操作に対するこだわりが弱いのだ。

新興国などでも、ディスプレイサイズが大きいほど人気が出る傾向が目立ち、大画面に対するニーズが強いのである。海外製スマートフォンが日本市場に入り込みやすくなったことが、日本国内においてもスマートフォンの大画面化を進めたといえる。

縦長スマホの元祖はアップルだった?

とはいえ、スマートフォンが大画面化するに従って、本体の横幅がひろがり、さすがに海外のユーザーからも「持ちづらい」という声が増えてきたようだ。そこで近年急速に増えているのが、従来の16:9比率ではなく、18:9や19:9といった縦長比率のディスプレイの採用である。

持ちづらさに影響する横幅をこれ以上広げることなく、ディスプレイを縦に伸ばすことで大画面化しようとしたのだ。この流れをけん引したのは韓国メーカーで、2017年にはLGエレクトロニクスが「LG G6」(日本未発売)、サムスン電子が「Galaxy S8/S8+」といったように、縦長比率のディスプレイを採用した機種を積極的に投入した。

2017年発売の「Galaxy S8」「Galaxy S8+」は、18.9:9と縦長比率の有機ELディスプレイ「インフィニティディスプレイ」を採用したことで大きな話題となった

この韓国の両メーカーとも、グループ内にディスプレイデバイスを開発する企業を持っている。それゆえ縦長比率のディスプレイが生み出されたのには、実は大画面化だけが目的ではない。自社のスマートフォンに新しいディスプレイをいち早く搭載し、トレンドを作り上げることで、グループ企業のディスプレイデバイス販売拡大につなげる狙いもあったといえる。

だが、縦長ディスプレイで大画面化するというアイデアを真っ先に実践したのは、実はアップルである。アップルはかつてディスプレイの大画面化に消極的で、2011年発売の「iPhone 4s」までは3.5インチのサイズにこだわっていた。だが大画面化を求めるユーザーの声を受け、2012年発売の「iPhone 5」でディスプレイサイズを4インチに拡大した際に、ディスプレイの横幅はそのままに、縦に長くするという手法をとったのである。ある意味、アップルは5年前に現在のトレンドを先取りしていた、といえるかもしれない。

スマートフォンのディスプレイを縦に伸ばして大画面化するというアイデアをいち早く実践したのは、アップルの「iPhone 5」だった

しかしながら、ディスプレイを縦に伸ばして画面サイズを大きくする工夫にも、いずれ物理的な限界が来ることは目に見えている。そこで、さらなる大画面化の追求で、いま注目されているのが折り畳み式ディスプレイだ。このアイデア自体は、NTTドコモが2013年の「MEDIAS W」(NECカシオ モバイルコミュニケーションズ製)、2018年の「M」(ZTE製)で既に実現しているものだが、いずれも2枚のディスプレイを用いていたため、どうしても画面の折り目に継ぎ目が発生してしまう弱みを抱えている。

折り畳みスマートフォンとして注目されたNTTドコモの「M」は、2枚のディスプレイを用いるスタイルであるため折り畳み部分に継ぎ目が発生してしまう

だが有機ELを用いれば、ディスプレイを折り曲げられる“真の”折り畳みスマートフォンが開発できると言われており、大手スマートフォンメーカーがその開発を進めているとの観測報道も幾度となくなされている。

これは折り畳みできるという意味の「フォルダブル」スマホなどと呼ばれ、先ごろはサムスン電子が、来年発表するというフォルダブルスマホ「Galaxy F」のプロトタイプを開発者向けに見せはじめたりしている。2019年は各社から製品が登場するのではないか? との声もあるようだが、いま確実に言えることは、真の折り畳みスマートフォンがいつ、どのメーカーが、どのような形で投入するのかが、大いに注目されているということだけである。