【M&Aインサイト】人材派遣業界のM&A動向

【M&Aインサイト】人材派遣業界のM&A動向

2016.08.31

【M&Aインサイト】人材派遣業界のM&A動向

リーマンショックの打撃から回復。改正法の不安も払拭されつつある

 人材派遣業界は2014年度時点で、一般派遣で3兆9,056億円、特定派遣で1兆5,338億円、合計5兆4,394億円の市場規模を有する。ピーク時の08年度の7兆7,892億円には遠く及ばないものの、アベノミクス下の好景気により、企業の求人需要は拡大が続く。

 08年のリーマンショック時には打撃を受けた人材派遣業界の業績はV字回復とまでは行かないものの、やや持ち直し、一部にはピーク時を上回る市場も見られる。全体での派遣労働者数も12年度の245万人で下げ止まり、14年度には263万人まで回復している(人数は登録者込)。

 労働者派遣改正法は、2度の廃案を経て15年9月に成立した。個人単位で3年での人材入れ替えのリスク、雇用安定措置のハードルに加え、キャリア形成支援の義務化で派遣元の負担も増える。加えて、従来は届出で済んだ特定派遣が廃止され許可制の一般派遣に一本化……かなりの不安を煽った法改正であったが、当初予想されたほどにネガティブな影響はない。派遣先企業が派遣社員を使いやすくなったという点で業界には追い風だ。

大手だけでなく中小企業のM&Aも活発。買収ニーズが高く、譲渡金額が高額に

 人材派遣業界においては大手の合従連衡が進む。

 業界トップのリクルートホールディングスは20年に人材サービス世界一になることを掲げ、海外で積極的なM&Aを進めている。11年には、米国人材派遣大手のアドバンテージ・リソーシングを買収したことで、一気に世界第4位の人材サービス会社へ躍進した。

 業界2位のテンプホールディングスによる業界6位の大手インテリジェンスホールディングスの買収(13年)やパナソニックエクセルスタッフの買収(14年)も記憶に新しい。15年にはジャスダック上場のP&Pホールディングスも買収した。

 業界3位のパソナグループは、13年に信販大手ジャックスの子会社で労働者派遣業のサポートを、また14年にはメディカルアソシアやパナソニック子会社のパナソニックビジネスサービスを買収するなど、さらなるシェアの拡大を目指す。

 テンプホールディングスの売上高の推移を見ても、リーマンショック後に落ち込んだ売上高をM&Aによる増分で補い、右肩上がりの成長を遂げている。業界全体でピーク時から2兆円以上の市場が消えた今、M&Aに生き残りを賭ける企業は多い。

 大手の派手なM&Aが市場を賑わす一方で、新聞やニュースに上ることはないが、中小企業のM&Aも活況である。人材ビジネスは開業時の投資負担が小さく参入障壁が低いため、中小規模の事業者が乱立している。また、大きな設備投資負担もなく、基本的にキャッシュを生み出し続ける業種であることから、このキャッシュを用いたM&Aが起きやすい業界である。加えて、単純なスケールメリットや、人材や取引先等相互のリソースの活用によりシナジーが生み出しやすい事業モデルは、M&Aとの親和性が高いと言える。近年は活発な買収ニーズが常時存在するため、譲渡金額は他業界よりも高額になるケースが多く見られる。

M&A情報誌「SMART」より、 2016年7月号の記事を基に再構成
まとめ:M&A Online編集部

NewsInsight 更新終了のお知らせ

NewsInsight 更新終了のお知らせ

2019.06.17

NewsInsightは、諸般の事情により記事更新を終了いたします。

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なお、NewsInsightに掲載中の記事につきましては、引き続きマイナビニュース(https://news.mynavi.jp)へと掲載場所を移管いたします。

掲載中の連載記事につきましても同様に、マイナビニュースへ移管いたします。各連載記事の新しい掲載URLにつきましては、以下となります。

○安東弘樹のクルマ向上委員会!
https://news.mynavi.jp/series/andy

○森口将之のカーデザイン解体新書
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○清水和夫の自動運転ソシオロジー
https://news.mynavi.jp/series/autonomous_car

○ゲームとともに振り返る“平成”という時代
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○岡安学の「eスポーツ観戦記」
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○企業戦士に贈る「こむぎのことば」
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○藤田朋宏の必殺仕分け人
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○「食べる」をつくる科学と心理
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○阿久津良和のITビジネス超前線
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○山下洋一のfilm@11
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○モノのデザイン
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○知って納得、ケータイ業界の"なぜ"
https://news.mynavi.jp/series/mobile_business

○文具ソムリエール・菅未里の「新しいコンパス」
https://news.mynavi.jp/series/bungu

○活字・写植・フォントのデザインの歴史 - 書体設計士・橋本和夫に聞く
https://news.mynavi.jp/series/font-history

○カレー沢薫の時流漂流
https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu

最後になりますが、改めて皆様に感謝いたしますとともに、引き続き、マイナビニュースにてご愛顧いただけましたら幸いです。

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

カレー沢薫の時流漂流 第47回

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

2019.06.17

最近女性の間で「#MeToo」ならぬ「#KuToo」運動がにわかに盛り上がっている。

「#KuToo」とは「靴」と「苦痛」をかけており、職場や就職活動で、足を痛めるパンプスやヒール靴の強要をやめようという運動である。

そもそもそんなの誰も強要してねえよ、と思われるかもしれない。確かに規定として靴の形状やかかとの高さまで定めている会社はレアだろう。しかし、私の元いた会社でも、規則があるわけでも、誰に言われたでもなく、みな一様に黒のパンプスを履いていた。それが「暗黙のルール」であり、それ以外は「非常識」と見られる風潮は確かにあるのである。

これが就職活動になると、パンプスを履いていないだけで「こいつは常識がない」と見なされ不採用になってしまうかもしれない、ということだ。そうなると女子学生は足を負傷してでもパンプスを履かざるを得なくなってしまう。

正直、パンプスは苦痛

パンプスがそんなに苦痛か、というと、靴の中では殺傷能力が高い方である。これは他人への、という意味ではなく自分へのだ。他人を殺傷したいならカウボーイが履いている、かかとにピザカッターがついている奴を履いた方が良い。

狭いつま先に足の指が密集されるため、私もよく爪で隣の指を切って足を血だらけにしていたし、伸縮性にかける素材のため、あわないパンプスだと試着の時点で靴擦れが出来るレベルなのだ。

世の中には素肌に荒縄で亀甲縛りを施し、その上に上等なスーツを羽織って出社している人も多いと思う。とても痛いだろうが、それは強制されたわけではなく、その人が好きで楽しいからやっているのだ。

つまり、好きでもない上にとても痛いパンプスを強制で履かなければいけないというのは、上等なスーツの下が亀甲縛りなことよりも「異常」なことというわけだ。

この運動はすぐに広まり、いきなり国会でも議論されたという。これにより「厚労相がハイヒール強要を容認」という見出しのニュースまで踊り出ることになった。

完全に自由と言われても困るのでは?

「厚生省に、女がハイヒールを履かないと死ぬ病の人が!?」と驚いたが、記事をよく見ると見出しほどのことはなく、厚労相の発言は「これは社会通念に照らして業務上、必要かつ相等な範囲かと、この辺なんだろうと思います」というかなりボンヤリしたものであり、どっちでも良い事を聞かれた私のリアクションに似ている。

しかし「ハイヒールが履けない女は何やってもダメ」などと強い事を言っているわけではないが、「業務上必要ならパンプス履くべきだろ」という「容認」に聞こえなくもない。すぐさま「業務上ハイヒールが必要な仕事って何だよ」という疑問が挙がり、「SMの女王様」「(ハイヒールでキレッキレに踊る)perfume以外ありえない」などの声が相次いだ。

この社会問題がすぐ大喜利になってしまうのは良くも悪くも「ザ・ツイッター」という感じだ。

確かに「業務上必要」となると、まだかかとにピザカッターがついている靴の方が「ピザを食う時」必要な気がする。

ただ、靴や服装を完全に自由化し、何でもOKにすれば良いかというと、それはそれで問題が起きると思う。ファッションに疎くコーディネートが苦手な人間からすれば、職場に何を着ていいのか全く「指針」がないというのは迷子になるし、接する側としても、車を買いにいってディーラーが、イモ―タンジョ―の完コスで出てきたら「キャデラックしか買うことを許されないのか」と委縮してしまう。就活マナー本に「俺の考えた最強の就活ファッションで挑みましょう」とだけ書かれていても逆に困るだろう

着る側としても、それに接する側としても、社会において服装にある程度規定や模範があるというのはメリットでもあるのだ。

そもそも規定や常識というのは、秩序を作ることにより問題を減らすためにあるものなのだ。しかしそれが元で「足を負傷する」という「問題」が起こっているなら本末転倒なので、やはり解消はすべきなのだろう。

極論に流れない寛容さが足りない

おそらく「#KuToo」を提唱している人も「ドラゴン柄のコンバースで就活したい」と言っているわけではないのだ。最近は「パンプスに見えるスニーカー」なども存在するし、パンプスでなくても地味な靴はいくらでもある。そのような靴を履いていても「パンプスじゃないから非常識」と見るのをやめてほしいという話だろう。

ちなみに私が会社員時代履いていたパンプスだが、黒の革靴ではあったが、つま先は限りなく丸く、ヒールはなきに等しい、今思えばあれはパンプスだったのか、70過ぎのババアが旅行に行くときに履くヤツなんじゃないか、という代物であったが、特に何も言われなかった。

「#KuToo」が求めるのも、そのぐらいの「寛容さ」なのではないだろうか。

【お知らせ】
連載「カレー沢薫の時流漂流」の掲載場所を変更します。
→ 新しい掲載場所はこちら https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu