あのルメール氏を起用! アパレル世界一を狙うユニクロの本気度

あのルメール氏を起用! アパレル世界一を狙うユニクロの本気度

2016.08.31

ユニクロが10月に発売する新ライン「Uniqlo U(ユニクロ ユー)」は、デザイナーのクリストフ・ルメール氏をアーティスティックディレクターに迎えて設立したパリR&Dセンターが世に問う商品群だ。究極の日常着「LifeWear」を追求する同社が、パリからの視点とルメール氏の感性を取り入れて打ち出す新たなコレクションからは、同社が掲げる“アパレルメーカー世界一”という目標の本気度が見えてくる。

ユニクロが追求する究極の日常着「LifeWear」にルメール氏のエッセンスを加えた新ライン

新しいLifeWearの姿を模索する試み

ルメール氏はラコステやエルメスといった有名ブランドでアーティスティックディレクターを歴任したデザイナー。2015年秋冬からは、2シーズンにわたりユニクロとのコラボレーション「UNIQLO AND LEMAIRE」を手掛けてきた。新ラインでは「一時の流行を超え、自分の姿を理想的に表現できる服」を目指し、デザインや生地の選定などで新たなアイデアを提案していく。

ルメール氏は外部からパリ拠点のアーティスティックディレクターに就任するのであって、ユニクロの社員になったわけではない。しかし、個人で活動している印象の強いデザイナーが、今回のように企業の拠点を率いることになるのは珍しいケースといえそうだ。

「(コラボは)違う道を歩んできた者同士が、互いの共通点を見出し、共通の目的に向かうこと。今回はスタート地点から同じ道を歩き、新しいLifeWearを発見する試みだ」。新ライン発表会に登場したユニクロ執行役員の勝田幸宏氏は、コラボから更に関係を深化させたルメール氏との取り組みをこのように語った。勝田氏によると、ルメール氏を起用したことにより、パリR&Dセンターには有能なスタッフが集結しているという。有名ブランドでの在籍経験など、様々なバックグラウンドを持つ15名がパリ拠点に集まり、デザインとフィッティングを繰り返して新ラインを作り上げた。

ルメール起用はアパレル世界一への布石?

新ラインの価格帯を見てみると、ユニクロの既存商品よりも若干高い気はするが、そこまでかけ離れた値付けはなされていない印象だ。勝田氏は価格を決めてから商品開発に取り掛かったわけではないと話すが、ルメール氏と仕事をするうえで、新商品のコンセプト設定や素材選びの段階、つまりはスタートラインから綿密に話をできる体制を構築できたことが、“ユニクロらしい”価格設定が実現した1つの要因となっていることは想像に難くない。

値段は既存商品に比べれば若干高い印象だが、“ユニクロらしい”価格設定から逸脱はしていない

外部デザイナーと近しい関係を構築することで、ユニクロは何を狙うのだろうか。見過ごせないのは、同社が掲げる「アパレルメーカー世界一」という目標だ。中期目標である売上高5兆円を達成するには、世界中で売れる服を作ることが不可欠となる。国や地域によって異なる生活(ライフスタイル)にLifeWearを提案しつつ、毎年のように移り変わるファッション業界のトレンドにもキャッチアップしていくとすれば、ユニクロは外部の才能を取り込み、デザイン能力やトレンド対応力を向上させていく必要がある。

ユニクロが挑むアパレルメーカー永遠の課題

シンプルで長く着られるが、着るたびに新鮮で、それでいて時代の空気を取り入れたような服を作るというのは、どんなアパレルメーカーにとっても困難な命題だ。勝田氏も「(ユニクロの力だけでは)難しい」と率直に認めるが、LifeWearを追い求める同社は、この難題に挑み続ける必要がある。

世界中で売れる究極の日常着は、日本国内だけで考えていても、あるいはユニクロ社内だけで考えていても、容易に生み出せるものではない。そこで必要となるのは、海外からの視点や社外のデザイナーが持つ感性を取り入れることだ。

商品力向上に外部の才能は不可欠

ユニクロは東京、上海、ニューヨーク、ロサンゼルス、パリにR&Dセンターを構え、世界中で売れる服とは何かを複眼的に探っている。今回はパリ拠点にルメール氏を迎えたが、世界各地の拠点で今後、デザイナーを迎えての取り組みが進む可能性についても勝田氏は否定しなかった。

ルメール氏はユニクロに何を残すか

自身のブランドを展開しているルメール氏が、いつまでもユニクロのディレクター職に留まるとは考えにくいが、ルメール氏がユニクロに持ち込むものは、何らかの形で同社に残るだろう。世界各国の拠点で、様々なデザイナーを迎えて仕事を進めることができれば、ユニクロでは学びの機会が増えて、商品力も向上していくはずだ。

外部デザイナーを迎えて立ち上げた新ラインからは、定番商品が生まれることもあるだろうし、ユニクロの定番商品が、外部デザイナーの力によって新たな価値を獲得する可能性もある。世界で売れる服を作るのがアパレル世界一への早道だとすれば、商品力の要となるR&D拠点に外部の才能を取り込む今回のような取り組みは悪くない方法だといえるだろう。

NewsInsight 更新終了のお知らせ

NewsInsight 更新終了のお知らせ

2019.06.17

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○ゲームとともに振り返る“平成”という時代
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○岡安学の「eスポーツ観戦記」
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○企業戦士に贈る「こむぎのことば」
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○カレー沢薫の時流漂流
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最後になりますが、改めて皆様に感謝いたしますとともに、引き続き、マイナビニュースにてご愛顧いただけましたら幸いです。

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

カレー沢薫の時流漂流 第47回

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

2019.06.17

最近女性の間で「#MeToo」ならぬ「#KuToo」運動がにわかに盛り上がっている。

「#KuToo」とは「靴」と「苦痛」をかけており、職場や就職活動で、足を痛めるパンプスやヒール靴の強要をやめようという運動である。

そもそもそんなの誰も強要してねえよ、と思われるかもしれない。確かに規定として靴の形状やかかとの高さまで定めている会社はレアだろう。しかし、私の元いた会社でも、規則があるわけでも、誰に言われたでもなく、みな一様に黒のパンプスを履いていた。それが「暗黙のルール」であり、それ以外は「非常識」と見られる風潮は確かにあるのである。

これが就職活動になると、パンプスを履いていないだけで「こいつは常識がない」と見なされ不採用になってしまうかもしれない、ということだ。そうなると女子学生は足を負傷してでもパンプスを履かざるを得なくなってしまう。

正直、パンプスは苦痛

パンプスがそんなに苦痛か、というと、靴の中では殺傷能力が高い方である。これは他人への、という意味ではなく自分へのだ。他人を殺傷したいならカウボーイが履いている、かかとにピザカッターがついている奴を履いた方が良い。

狭いつま先に足の指が密集されるため、私もよく爪で隣の指を切って足を血だらけにしていたし、伸縮性にかける素材のため、あわないパンプスだと試着の時点で靴擦れが出来るレベルなのだ。

世の中には素肌に荒縄で亀甲縛りを施し、その上に上等なスーツを羽織って出社している人も多いと思う。とても痛いだろうが、それは強制されたわけではなく、その人が好きで楽しいからやっているのだ。

つまり、好きでもない上にとても痛いパンプスを強制で履かなければいけないというのは、上等なスーツの下が亀甲縛りなことよりも「異常」なことというわけだ。

この運動はすぐに広まり、いきなり国会でも議論されたという。これにより「厚労相がハイヒール強要を容認」という見出しのニュースまで踊り出ることになった。

完全に自由と言われても困るのでは?

「厚生省に、女がハイヒールを履かないと死ぬ病の人が!?」と驚いたが、記事をよく見ると見出しほどのことはなく、厚労相の発言は「これは社会通念に照らして業務上、必要かつ相等な範囲かと、この辺なんだろうと思います」というかなりボンヤリしたものであり、どっちでも良い事を聞かれた私のリアクションに似ている。

しかし「ハイヒールが履けない女は何やってもダメ」などと強い事を言っているわけではないが、「業務上必要ならパンプス履くべきだろ」という「容認」に聞こえなくもない。すぐさま「業務上ハイヒールが必要な仕事って何だよ」という疑問が挙がり、「SMの女王様」「(ハイヒールでキレッキレに踊る)perfume以外ありえない」などの声が相次いだ。

この社会問題がすぐ大喜利になってしまうのは良くも悪くも「ザ・ツイッター」という感じだ。

確かに「業務上必要」となると、まだかかとにピザカッターがついている靴の方が「ピザを食う時」必要な気がする。

ただ、靴や服装を完全に自由化し、何でもOKにすれば良いかというと、それはそれで問題が起きると思う。ファッションに疎くコーディネートが苦手な人間からすれば、職場に何を着ていいのか全く「指針」がないというのは迷子になるし、接する側としても、車を買いにいってディーラーが、イモ―タンジョ―の完コスで出てきたら「キャデラックしか買うことを許されないのか」と委縮してしまう。就活マナー本に「俺の考えた最強の就活ファッションで挑みましょう」とだけ書かれていても逆に困るだろう

着る側としても、それに接する側としても、社会において服装にある程度規定や模範があるというのはメリットでもあるのだ。

そもそも規定や常識というのは、秩序を作ることにより問題を減らすためにあるものなのだ。しかしそれが元で「足を負傷する」という「問題」が起こっているなら本末転倒なので、やはり解消はすべきなのだろう。

極論に流れない寛容さが足りない

おそらく「#KuToo」を提唱している人も「ドラゴン柄のコンバースで就活したい」と言っているわけではないのだ。最近は「パンプスに見えるスニーカー」なども存在するし、パンプスでなくても地味な靴はいくらでもある。そのような靴を履いていても「パンプスじゃないから非常識」と見るのをやめてほしいという話だろう。

ちなみに私が会社員時代履いていたパンプスだが、黒の革靴ではあったが、つま先は限りなく丸く、ヒールはなきに等しい、今思えばあれはパンプスだったのか、70過ぎのババアが旅行に行くときに履くヤツなんじゃないか、という代物であったが、特に何も言われなかった。

「#KuToo」が求めるのも、そのぐらいの「寛容さ」なのではないだろうか。

【お知らせ】
連載「カレー沢薫の時流漂流」の掲載場所を変更します。
→ 新しい掲載場所はこちら https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu