LINEがあえて「LINE Pay」専用アプリをリリースした背景

LINEがあえて「LINE Pay」専用アプリをリリースした背景

2019.04.18

LINEが「LINE Pay」のサービスや機能を強化

対応店舗のマップ表示やクーポン機能などが利用可能に

まずはAndroidのみでスタート、iOS版は追ってリリース予定

4月17日、LINEはモバイル決済「LINE Pay」の発表会で、2019年4月後半に実施する「平成最後のキャンペーン」を発表した。注目すべきは、LINE Payの決済に特化した専用アプリのリリースだ。

LINE Payのアンバサダーには女優の今田美桜さんを起用した

これまでLINEは、ほとんどのスマホに入っているLINEアプリを窓口として、さまざまなサービスを提供してきた。なぜこのタイミングで、流れに逆行するような専用アプリを出すに至ったのだろうか。

正味の還元率は20%から15%に低下

LINE Payの国内登録ユーザーは3,200万人。LINE Pay 取締役COOの長福久弘氏は「国内No.1を自負している」と強気を示す。特に注力してきたのが毎月の後半に実施する還元策「Payトク」で、バーコードやQRコードによるコード支払いの利用者は21倍に増加したという。

還元キャンペーン「Payトク」でコード支払いは21倍に

平成最後となる4月後半は「実質最大20%還元」として、4月18日から30日までの期間中に1人あたり最大5,000円を還元する。

気になるのは「実質最大」という表現だ。正味の還元率は15%で、そこに利用量に応じて決まるマイカラー制度やコード支払いのポイント増量を加えて合計20%という建て付けになっている。

3月後半には正味で20%還元だったことに比べれば、4月は還元率を下げたことになる。午前中の発表会では「2万5,000円の支払いで5000円分を還元」としていたが、夕方になって「15%分の還元として最大5,000円分」に訂正。つまり、5,000円分の還元を得るには約3万3,333円の利用が必要になる計算だ。

「平成最後」は実質最大20%還元に(2万5,000円のお支払いという表現は後に訂正された)

還元率15%が破格のオファーであることは間違いないものの、他の事業者が20%還元を継続する中、実質最大という表現でお茶を濁した印象は否めない。高い還元率をいつまでも続けるわけにはいかず、そろそろ息切れが近いのだろうか。「令和最初」は還元率20%の復活を期待したいところだ。

専用アプリでシンプルかつ便利になった「LINE Pay」

還元率がややトーンダウンした一方、LINEが新たに発表したのがLINE Payの決済専用アプリだ。4月後半のPayトク期間中にこのアプリをコード支払いに使うことで、還元上限が2倍の1万円に増加することからも、見逃せない点だ。

LINE Payの決済専用アプリをリリース

なぜ、通常のLINEアプリとは別に、LINE Pay専用のアプリを出す必要があったのだろうか。背景にはLINEアプリの複雑化がありそうだ。

LINEの月間アクティブユーザーは6,600万人に達しており、日本国内のほとんどのスマホにLINEアプリが入っていることは大きな強みだ。だが、1つのアプリに多数の機能やサービスを盛り込んだことで、目当ての機能を見つけにくいとの指摘は増えている。

もともとQRコード決済はかざすだけのFeliCaに比べて手間がかかるのに加え、LINEアプリ自体の複雑さが面倒さを助長していたといえる。そこで登場したのが、LINE Payの決済専用アプリというわけだ。

LINE Payアプリ。コードの読み取り、コードの表示の両方に対応する

アプリを起動すると、画面の上半分にはQRコードを読み取るためのカメラが、下半分には読み取ってもらうためのバーコードとQRコードが表示される。また、30万円までならFace IDやパスワードによる認証なしで支払えるようになった(認証を必須にする設定も可能)。

ほかにもアプリ内には、LINE Pay対応店舗を表示する地図や、すぐにアクセスできるクーポン画面を備えており、ライバルのPayアプリに見劣りしない使い勝手を実現している。かざすだけのFeliCaより手間はかかるものの、決済だけでなく情報提供もできる点はアプリ決済ならではのメリットだ。

LINE Pay対応店舗の地図機能や、クーポン機能を備える

ただし、Android用アプリを即日提供したのに対し、iPhone用アプリは「近日中」との表現にとどまった。アプリ開発をぎりぎりのスケジュールで回している際にはよくある話だが、アップルの審査を待っているなど、不確定要素が多く明言できない印象だった。

質疑応答にこたえる長福久弘COO。iOS版の提供時期は明言できなかった

4月末までのキャンペーンに利用したいiPhoneユーザーからは不満の声が上がっているものの、長期的な視点ではコード支払いの手間が減ることは大きな前進だ。これをきっかけにQR決済の普及に弾みが続くかどうか、注目したい。

関連記事
NewsInsight 更新終了のお知らせ

NewsInsight 更新終了のお知らせ

2019.06.17

NewsInsightは、諸般の事情により記事更新を終了いたします。

ご愛顧いただいた読者の皆様、また関係者の皆様に、編集部一同、誠に感謝いたします。

なお、NewsInsightに掲載中の記事につきましては、引き続きマイナビニュース(https://news.mynavi.jp)へと掲載場所を移管いたします。

掲載中の連載記事につきましても同様に、マイナビニュースへ移管いたします。各連載記事の新しい掲載URLにつきましては、以下となります。

○安東弘樹のクルマ向上委員会!
https://news.mynavi.jp/series/andy

○森口将之のカーデザイン解体新書
https://news.mynavi.jp/series/cardesign

○清水和夫の自動運転ソシオロジー
https://news.mynavi.jp/series/autonomous_car

○ゲームとともに振り返る“平成”という時代
https://news.mynavi.jp/series/game_heisei

○岡安学の「eスポーツ観戦記」
https://news.mynavi.jp/series/e-Sports_review

○企業戦士に贈る「こむぎのことば」
https://news.mynavi.jp/series/komuginokotoba

○藤田朋宏の必殺仕分け人
https://news.mynavi.jp/series/shiwakenin

○「食べる」をつくる科学と心理
https://news.mynavi.jp/series/food_science

○阿久津良和のITビジネス超前線
https://news.mynavi.jp/series/itbiz

○山下洋一のfilm@11
https://news.mynavi.jp/series/filmat11

○モノのデザイン
https://news.mynavi.jp/series/designofthings

○知って納得、ケータイ業界の"なぜ"
https://news.mynavi.jp/series/mobile_business

○文具ソムリエール・菅未里の「新しいコンパス」
https://news.mynavi.jp/series/bungu

○活字・写植・フォントのデザインの歴史 - 書体設計士・橋本和夫に聞く
https://news.mynavi.jp/series/font-history

○カレー沢薫の時流漂流
https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu

最後になりますが、改めて皆様に感謝いたしますとともに、引き続き、マイナビニュースにてご愛顧いただけましたら幸いです。

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

カレー沢薫の時流漂流 第47回

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

2019.06.17

最近女性の間で「#MeToo」ならぬ「#KuToo」運動がにわかに盛り上がっている。

「#KuToo」とは「靴」と「苦痛」をかけており、職場や就職活動で、足を痛めるパンプスやヒール靴の強要をやめようという運動である。

そもそもそんなの誰も強要してねえよ、と思われるかもしれない。確かに規定として靴の形状やかかとの高さまで定めている会社はレアだろう。しかし、私の元いた会社でも、規則があるわけでも、誰に言われたでもなく、みな一様に黒のパンプスを履いていた。それが「暗黙のルール」であり、それ以外は「非常識」と見られる風潮は確かにあるのである。

これが就職活動になると、パンプスを履いていないだけで「こいつは常識がない」と見なされ不採用になってしまうかもしれない、ということだ。そうなると女子学生は足を負傷してでもパンプスを履かざるを得なくなってしまう。

正直、パンプスは苦痛

パンプスがそんなに苦痛か、というと、靴の中では殺傷能力が高い方である。これは他人への、という意味ではなく自分へのだ。他人を殺傷したいならカウボーイが履いている、かかとにピザカッターがついている奴を履いた方が良い。

狭いつま先に足の指が密集されるため、私もよく爪で隣の指を切って足を血だらけにしていたし、伸縮性にかける素材のため、あわないパンプスだと試着の時点で靴擦れが出来るレベルなのだ。

世の中には素肌に荒縄で亀甲縛りを施し、その上に上等なスーツを羽織って出社している人も多いと思う。とても痛いだろうが、それは強制されたわけではなく、その人が好きで楽しいからやっているのだ。

つまり、好きでもない上にとても痛いパンプスを強制で履かなければいけないというのは、上等なスーツの下が亀甲縛りなことよりも「異常」なことというわけだ。

この運動はすぐに広まり、いきなり国会でも議論されたという。これにより「厚労相がハイヒール強要を容認」という見出しのニュースまで踊り出ることになった。

完全に自由と言われても困るのでは?

「厚生省に、女がハイヒールを履かないと死ぬ病の人が!?」と驚いたが、記事をよく見ると見出しほどのことはなく、厚労相の発言は「これは社会通念に照らして業務上、必要かつ相等な範囲かと、この辺なんだろうと思います」というかなりボンヤリしたものであり、どっちでも良い事を聞かれた私のリアクションに似ている。

しかし「ハイヒールが履けない女は何やってもダメ」などと強い事を言っているわけではないが、「業務上必要ならパンプス履くべきだろ」という「容認」に聞こえなくもない。すぐさま「業務上ハイヒールが必要な仕事って何だよ」という疑問が挙がり、「SMの女王様」「(ハイヒールでキレッキレに踊る)perfume以外ありえない」などの声が相次いだ。

この社会問題がすぐ大喜利になってしまうのは良くも悪くも「ザ・ツイッター」という感じだ。

確かに「業務上必要」となると、まだかかとにピザカッターがついている靴の方が「ピザを食う時」必要な気がする。

ただ、靴や服装を完全に自由化し、何でもOKにすれば良いかというと、それはそれで問題が起きると思う。ファッションに疎くコーディネートが苦手な人間からすれば、職場に何を着ていいのか全く「指針」がないというのは迷子になるし、接する側としても、車を買いにいってディーラーが、イモ―タンジョ―の完コスで出てきたら「キャデラックしか買うことを許されないのか」と委縮してしまう。就活マナー本に「俺の考えた最強の就活ファッションで挑みましょう」とだけ書かれていても逆に困るだろう

着る側としても、それに接する側としても、社会において服装にある程度規定や模範があるというのはメリットでもあるのだ。

そもそも規定や常識というのは、秩序を作ることにより問題を減らすためにあるものなのだ。しかしそれが元で「足を負傷する」という「問題」が起こっているなら本末転倒なので、やはり解消はすべきなのだろう。

極論に流れない寛容さが足りない

おそらく「#KuToo」を提唱している人も「ドラゴン柄のコンバースで就活したい」と言っているわけではないのだ。最近は「パンプスに見えるスニーカー」なども存在するし、パンプスでなくても地味な靴はいくらでもある。そのような靴を履いていても「パンプスじゃないから非常識」と見るのをやめてほしいという話だろう。

ちなみに私が会社員時代履いていたパンプスだが、黒の革靴ではあったが、つま先は限りなく丸く、ヒールはなきに等しい、今思えばあれはパンプスだったのか、70過ぎのババアが旅行に行くときに履くヤツなんじゃないか、という代物であったが、特に何も言われなかった。

「#KuToo」が求めるのも、そのぐらいの「寛容さ」なのではないだろうか。

【お知らせ】
連載「カレー沢薫の時流漂流」の掲載場所を変更します。
→ 新しい掲載場所はこちら https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu