【スタートトゥデイ】ファッションECを軸にM&Aで業態拡大

【スタートトゥデイ】ファッションECを軸にM&Aで業態拡大

2016.07.09

【スタートトゥデイ】ファッションECを軸にM&Aで業態拡大

 スタートトゥデイ<3092>は、「世界中をカッコよく、世界中に笑顔を。」という企業理念の下、日本最大級のファッションECサイト「ZOZOTOWN」および、ファッションコーディネートアプリ「WEAR」の運営を中心に事業を行っている。

 社長自身が元ミュージシャンという異色の経歴であり、自身のライブの会場での物販スペースで、趣味で集めていた輸入レコードやCDを販売したことが起業のきっかけという。

 カタログ通販を開始し、同社を設立。2000年には、カタログ通販からネット通販へと移行した。その後、音楽同様に代表の関心が高かったアパレルについてもネット上にセレクトショップをオープンし、これが現在の「ZOZOTOWN」の原型となっている。

 順調に業績を伸ばし、07年12月に東証マザーズに上場。その後も自社でのサービス展開を図ってきたが、11年からは立て続けにM&Aを実施。12年に東証一部に市場変更、ファッションECを核としつつ業態を広げ、増収増益を続けている。

■スタートトゥデイの行った主なM&A

年月 概要
2010.4 ファッションのオークションサイトを運営しているクラウンジュエルに30%出資
2011.5 クラウンジュエル株式を約7億円で追加取得し、完全子会社化
2013.8 ネットショップ作成サービスを提供しているブラケットを株式交換(約6億5000万円)で子会社化
2014.10 電子雑誌を提供しているヤッパを株式交換(約9億円)で子会社化
2015.5 ECサイト構築サービスを提供しているアラタナを株式交換(約30億円)で子会社化

 はじめのM&Aはファッションアイテムのオークションサイト「CROWN JEWEL」を運営するクラウンジュエルの案件である。市場規模の拡大が予測されているアパレル二次流通事業の強化を狙い、まず10年4月に30%を出資。ZOZOTOWNの会員向けにCROWN JEWELのPRを行うなど連携を実施した結果、ZOZOTOWNで商品を購入した顧客がCROWN JEWELで売り、その代金で再度新しい商品を購入するというサイクルが生じてきた。そこで、相乗効果をさらに高めるため11年6月に残り70%に当たる2万2200株を6億9900万円で取得し、完全子会社化した(その後12 年 11 月にサービス名をCROWN JEWELからZOZOUSEDに変更)。下記セグメント別売り上げ推移にあるように、ZOZOUSEDの売り上げは、完全子会社後の12年3月期には20億円弱だったのに対し、16年3月期には80億円弱と4倍に成長している。

■セグメント別売上推移

(スタートトゥデイ平成28年3月期 通期決算説明会資料より)

 次のM&Aは13年8月。ネットショップ作成サービス「STORES.jp」を運営するブラケットを株式交換により全株式を取得(約6億5千万円)し、完全子会社化した。この提携により、STORES.jpでストアを開設しているファッションブランドがZOZOTOWNへの出店を希望する場合、あるいは逆にZOZOTOWNに出店しているブランドが自社オンラインストアをSTORES.jp上で開設希望する場合、いずれも商品・在庫情報を連携した上で各サイトに簡単に出店ができ、在庫ロスによる機会損失を抑えることも可能となった。13年7月の買収当時は約4万店だった利用者は、14年7月に10万ストアを突破、15年2月には20万ストアを突破し、急拡大している。

 さらに1年後の14年7月、スマートフォンやタブレット向けのアプリケーション開発やシステム開発事業を行っているヤッパを株式交換で子会社化(約9億円)。ヤッパは900 誌以上の電子雑誌を扱う書店として知られる「マガストア」を主力サービスとして展開していた会社である。その後ヤッパの社名を「スタートトゥデイ工務店」に改め、スタートトゥデイ及びヤッパのエンジニア、デザイナー100名以上を集約し、スタートトゥデイグループが手がけるプロジェクトのシステム開発・WEBデザイン、CRMに取り組んでいる。技術陣を一社に集約することで、ZOZOTOWNやWEARをはじめ各プロジェクトをより効率的に推進できるようになり、さらに両社のノウハウ共有により、エンジニア・デザイナーの更なる技術向上が期待される。

 そして15年3月にはECサイト構築などを手掛けるアラタナを株式交換により買収(約30億円)し、完全子会社化した。多様化するニーズに対応するためEC支援事業を強化することが目的のようだ。アラタナは宮崎を拠点に、国内800以上のECサイト構築などを手掛けてきた。一方、スタートトゥデイは7年近く自社EC支援事業を手掛けており、立ち上げ当初はZOZOTOWNの物流やシステムなどのインフラが使えることを価値として、数十のサイトを立ち上げてきた。

 昨今EC立ち上げサービスはコモディティー化し、価格競争が始まっている。そのため、ZOZOTOWNのインフラの枠にはまらないニーズも出てきていた。アラタナの加入により、パッケージ型で低価格のSTORES.jpと、顧客ニーズにきめ細かく対応できるアラタナタイプとの2枚看板で対応することとした。ZOZOTOWNで構築してきたEC運営ノウハウおよび、アラタナが持つECソリューションの相互連携を行うことで、EC支援事業のさらなる拡大成長が見込まれる。

■事業系統図

(スタートトゥデイ平成28年6月有価証券報告書より)

 同社は、買収前後で顧客・取引先が離れていかぬようソフトランディングを図りつつ、人材の交流も行い、適切なタイミングで社名変更・ブランドの統一を図っているように見受けられる。今後もファッションEC市場に軸足を置きつつ、ZOZOTOWNの拡大を進める一方、EC支援により他の領域への展開も加速させていくことだろう。

 なお同社は日本国内だけでなく、昨今は海外のECプラットフォーム企業への出資も進めている。具体的にはアメリカのMaterial Wrld、タイのWearYouWant、マレーシアのFASHIONVALETへの出資が挙げられる。

 それらの企業を含め、今後は日本におけるZOZOTOWNにて培ったファッションECのノウハウを海外にも展開するため、クロスボーダーでの買収も行い、海外での事業展開を拡大することが期待される。

この記事は、企業の有価証券報告書などの開示資料、また新聞報道を基に、専門家の見解によってまとめたものです。

まとめ:M&A Online編集部

マーケティングと恋愛が似てるってどういうコト?Facebookで聞いてきた

恋するSNSマーケティング講座 第1回

マーケティングと恋愛が似てるってどういうコト?Facebookで聞いてきた

2018.11.14

Facebook社員に「マーケティングのイロハ」を聞く新連載!

第1回は、講師の紹介と「マーケティングと恋愛」の関係性について

フェイスブック ジャパンのSNS運用コンサルタントに「SNSマーケティング」について聞く短期連載。初心者~中級者に知ってほしい「マーケティングの考え方」について、全5回にわたって説明します。

キーワードは「恋愛」。とっつきづらいマーケティングも、恋愛に喩えて考えてみると、意外とわかりやすいようです。

「恋愛とマーケティングは似ていると思うんです」

FacebookやInstagram、TwitterなどのSNSを活用したマーケティングは今や企業にとって欠かせないものになっている。

一方で、「どこから始めればいいのかわからない」「そもそもSNSマーケティングって?」といった疑問もまだまだあるだろう。そこで今回は、フェイスブック ジャパンのクライアントソリューションズマネージャ リードを務める丸山祐子さんを講師に迎え、SNSマーケティングを“恋愛”に喩えてわかりやすく解説してもらうことにした。

フェイスブック ジャパンのクライアントソリューションズマネージャ リード 丸山祐子さん

なぜ“恋愛”なのか。それは「日々のお客様とのやりとりの中で、恋愛とマーケティングは似ていると感じることが多かったから」と丸山さんは言う。

丸山さん自身も現在婚活中の身。これまで仕事最優先で生きてきたが、最近になってパートナーを探すべく婚活を開始したという。その過程で感じたのが、前述の恋愛とマーケティングの共通点だったというわけだ。

「流行」は人の手でつくられるモノ

今回は連載初回ということもあるので、まずは講師である丸山さんの経歴から紹介しよう。

東京で生まれ育った丸山さんは、中高大一貫校に通っていた。小学生時代から「自分の知らない世界に行ってみたかった」という丸山さんは、高校時代に初海外となるカナダを訪れる。

「知らない言語で話しかけられたり、東京では見られない地平線や水平線を見たりして、私の知っている世界はなんて狭いんだろうと思いました」(丸山)

海外に魅了された丸山さんは、一念発起してカリフォルニアの大学に進学。そのころ、「ファッションの流行は自然に生まれるのではなく、必ず裏には仕掛人がいる」ということを実感したのがキッカケとなり、「自分も人の心を動かす仕事がしたい」と考えるようになった。

大学卒業後は日本に戻り、人材業界で働くことに。長くアメリカで過ごしていたこともあり、日本の業界事情がつかめない中、「まずはいろいろな業界を知りたい」と考えたためだ。

その後、「リーマンショック」が起こり人材業界の業績が悪化したこともあり、業務を通して興味を持つようになったデジタル業界への転職を決意。転職先は、IT業界を中心にメディアプランニングなどを行う電通の子会社。メディア担当として、デジタル広告のイロハを学んだ。

そこで担当していたクライアントが、当時日本に上陸したばかりのFacebookだった。その後、それまで培ったデジタル広告のノウハウをより活かすべく、フェイスブック ジャパンへ転職し、現在に至る。

広告はラブレター「相手に届かないと意味がないんです」

丸山さんは現在、FacebookやInstagramの広告メニューについて、運用コンサルやメディアプランニングなどを行っている。また、Instagramをより企業に活用してもらうためのプロジェクトメンバーとしても活動しているそうだ。

さて、そんな丸山さんがFacebookのコンサル業務を通して常々感じていたのが「恋愛とマーケティングの共通点」である。

どんな業界でもそうだが、良い製品だからといって何もせずに売れるわけではない。“届けたいメッセージを届けたい相手にちゃんと伝える”必要がある。これがマーケティングの目的だ。

「広告はよくラブレターに例えられます。いくらラブレターを書いても、それがちゃんと届けたい人に、その人の心に響くかたちで届かないと意味がありませんよね。ラブレターを届けるために恋愛にもマーケティングが必要なんです」(丸山)

婚活において“ラブレターを届けるべき相手”とは、まだ見ぬ将来のパートナーだ。その相手はどこかに存在しているはずだが、まだ出会ってはいない状態である。運命の相手と出会うために重要なことの1つは「とにかく出会いの数を増やすこと」だという。

「1人と会ってみて、その人が運命の相手ならラッキーですし、そういうケースもあるでしょう。でも、そうでない場合には、たとえば運命の相手と出会える確率が1/100だとして、10人と会うのと100人と会うのではどちらの方が出会える確率が高いか、言うまでもありません」(丸山)

これはそのままマーケティングに置き換えても同じことが言える。自社の製品を購入してくれる潜在的な顧客の態度変容効果が一緒であるなら、できるだけ多くの人数に広告を届けた方が売上は伸びるはずだ。

「そう考えると、婚活でもせっかくの週末に部屋にこもっているのはもったいないなと思いますよね。積極的に行動をおこして、多くの人に出会う機会を増やすことが大事なんです」(丸山)

一方で、重要なのは数だけではないと丸山さんは言う。多くの人にリーチすることは大前提として、そこからさらに“出会いの効率”を上げていく必要があるのだ。

では「数」に続いて大事なこととは? 次回は効率を上げるために必要な「ターゲティング」について、これまた恋愛と絡めて聞いていく。

第2回「恋するSNS講座」は11月20日に掲載予定です。

クルマ新時代の駐車場は何を目指す? 「CASE」で見えてきた未来像

クルマ新時代の駐車場は何を目指す? 「CASE」で見えてきた未来像

2018.11.14

日本自動車研究所が「自動バレーパーキング」の実証実験

駐車をシステム任せにできる仕組みとは?

未来の駐車場はクルマの“ハブ”になる

自動運転、電動化、カーシェアリングなど、新たな技術・サービスの登場により変革期を迎える自動車業界。クルマの乗り方、使い方を根本的に変えるかもしれないこれらの要素をまとめて「CASE」というが、この文字を目にする機会も増えてきた。クルマが変わればクルマに関連するモノや場所も変わりそうだが、例えば駐車場は、どのような姿になっていくのだろうか。日本自動車研究所(JARI)の実証実験で、その一端を垣間見た。

「CASE」の進展で駐車場の姿も一変する?

「バレーパーキング」を自動化

「CASE」とは「Connected」(コネクティッドカー)、「Autonomous」(自動運転)、「Shared & Service」(カーシェアリングなど)、「Electric Drive」(クルマの電動化)という4つの言葉の頭文字をとってダイムラーが使い始めた概念のこと。そのうち、コネクトと自動化の2つを使って、JARIが実用化の道を探っているのが「自動バレーパーキング」というシステムだ。

JARIは経済産業省および国土交通省の委託を受け、2016年度から「一般車両による自動バレーパーキングシステムの社会実装に向けた実証」というプロジェクトを進めている。「バレーパーキング」とは、例えばホテルやショッピングセンターなどにクルマで乗りつけたとき、キーを従業員に預けて、代わりにクルマを駐車しておいてもらうサービスのこと。その自動化に向けて、JARIはシステム、制度、事業性などを検証してきた。

JARIは今回、自動バレーパーキングシステムの機能的な確認を行うためとして、東京都港区にある「デックス東京ビーチ」の駐車場で実証実験を実施。その模様を報道陣に公開した。そこではクルマが勝手に動き、定められた駐車スペースに止まり、再び動き出す様子を見ることができたし、自動バレーパーキングを含めた駐車場の未来像に関する話も聞くことができた。

JARIはデックス東京ビーチ駐車場の2階で実証実験を実施した

自動バレーパーキングとはどんなシステムなのか

自動バレーパーキングをドライバー目線で説明するのは簡単だ。例えばショッピングセンターのエントランスにクルマで乗りつけたならば、降車してスマートフォンのアプリで「入庫」を指示し、そのまま買い物にでも食事にでも向かえばいい。用事が済んだ頃に「出庫」ボタンを押して出口に向かえば、クルマ寄せには愛車が迎えに来ている。

自動バレーパーキングの指示はスマホで行う

では、そのシステムはどのようなものなのか。自動バレーパーキングは「クルマ」「管制センター」「駐車場」の3者による協調で機能する。駐車場の構造を把握している「管制センター」は、ドライバーから入庫の要請を受けると、安全性や効率を考慮して駐車場所とそこへ向かう経路を決め、「クルマ」に無線で指示する。「クルマ」は「駐車場」にあるランドマーク(目印)をカメラやセンサーなどで読み取り、「管制センター」が持つ駐車場の構造情報(地図)と擦りあわせて自らの位置と経路を確認し、指示された駐車スペースに向かう。そんな流れだ。

自動バレーパーキングの様子。運転席に人は乗っているが、ハンドルからは手を離している

同システムが実用化となれば、駐車場の「利用者」は手間を省けるし、「事業者」は駐車効率の向上を図れる。無人で自動運転を行うクルマであれば、ドアの開閉スペースは不要だし、ぶつけたりこすったりする心配もないはずなので、クルマをギュウギュウに詰め込めるからだ。JARIによれば、駐車効率は従来比で20%向上する可能性があるという。また、自動車事故の3割は駐車場で発生しているので、自動化は事故削減にもつながる。

ただ、実用化には当然ながら、いろんなハードルがある。自動バレーパーキングの実用化に向けて動いているのは日本だけではないが、JARIとしてはまず、同システムの国際標準化に向けた手続きを進めたい考え。2021年のISO国際標準化に向け、各国と協議を重ねているところだ。

また、システムが実用化となったとしても、最初から全てのクルマが自動バレーパーキングを利用できるわけではない。まず、通信機能が備わっていないクルマはアウトだし、通信できたとしても、管制センターの指示通りに自動運転をこなせるクルマでなければ、やはり同システムの恩恵は受けられない。

JARIの考えでは、まずは同システムが求める要件を満たすクルマだけが使える専用の駐車場を実用化し、段階的に「混在型」を目指すのが現実的だそう。ただし、混在型を実現するためには、人が運転するクルマと自動運転のクルマを駐車場内でうまく交通整理する工夫が必要になるだろう。

未来の駐車場はクルマの「ハブ」になる?

自動バレーパーキングの実用化には時間が掛かりそうな雰囲気だが、その先の駐車場の在り方についてもJARIは考えをめぐらせている。JARIのITS研究部に所属する深澤竜三さんによると、未来の駐車場が目指すのはクルマのハブ、つまり、クルマにまつわるさまざまなサービスの結節点だ。

JARIが描く未来の駐車場の姿

ハブ駐車場とはどのような施設なのか。深沢さんの描写はこんな具合だ。

「自動バレーパーキングで、勝手に駐車しておいてくれるのはもちろんですが、そこが自動車整備の拠点としての役目を果たしたり、電気自動車(EV)であれば、勝手に充電しておいてくれるとか。買い物が終わる頃には充電が済んでいるというのが理想ですね。あとは、観光地であれば情報配信拠点としての機能も想定できます」

「ほかのアイデアとしては、クルマを駐車しておいたら、宅配便がトランクに届いている、といったような使い方も考えられます。その場合は、トランクを開けられるような仕組みが必要にはなりますが、届け先を1件ずつ回る必要がなくなるので、配送業者の方も楽ですよね」

未来の駐車場は、クルマにまつわるいろんな機能を提供する拠点になるかもしれない

深澤さんの話を聞いていると、おそらくハブ駐車場はホテルに1つ、ショッピングセンターに1つという具合にではなく、地域に1つ、しかも大型の施設として存在するもののように想像できた。用事で近くまで来た人も使えば近隣の住人も使うし、カーシェアやレンタカーなどのクルマも混在している大きな駐車場。そんなイメージだ。

こういう駐車場が必要かどうかについては、地域によって状況が違うだろう。コンビニエンスストアですら広大な駐車場を備える地域がある一方で、例えば銀座のように、数台しか止められないけれど、短時間で驚くべき値段になるコインパーキングが稼動している場所もある。おそらく、ハブ駐車場が必要になるのは後者の方だ。

銀座に大きなハブ駐車場を作る余地があるかどうかは別としても、クルマの駐車以外には使いみちがないという点で「デッドスペース」化している駐車場に、さまざまな機能を持たせるというJARIの構想には可能性を感じた。一般道の自動運転も実用化となれば、例えば東京オリンピックの後、有明かどこかに残された広いスペース(会場の跡地)に大きなハブ駐車場を作り、そこと銀座などの繁華街を結ぶということも、夢のようではあるが不可能ではないはずだ。