eスポーツ部の発足を促進させた「全国高校eスポーツ選手権」の功績

岡安学の「eスポーツ観戦記」 第2回

eスポーツ部の発足を促進させた「全国高校eスポーツ選手権」の功績

2019.04.10

毎日新聞社は「全国高校eスポーツ選手権」の決勝大会を開催

全国規模で行われる高校生対象のeスポーツ大会は初

通信高校でも活動できる「eスポーツ部」の発足に大きく貢献

3月23・24日に、幕張メッセにて、「全国高校eスポーツ選手権」のオフライン決勝大会が開催された。同大会は、全国の高校生が『ロケットリーグ』と『リーグ・オブ・レジェンド(LoL)』で競い合う、いわばeスポーツのインターハイ。主催者は、選抜高校野球大会(センバツ)を手がける毎日新聞社だ。

最近ではテレビ東京と電通が高校生対象のeスポーツ大会『STAGE:0』の開催を発表したり、ルネサンス高校新宿代々木キャンパスがeスポーツコースを開設したりと、高校生とeスポーツとの接点が増えている。

なかでも、全国高校eスポーツ選手権は今回が初の試み。高校生が対象のeスポーツ大会としても初の開催だ。伝統的なメディアの新聞社が行うことでも話題になった。

通信高校では難しかった「部としての活動」を実現

今大会にエントリーしたのは、LoL部門が93チーム、ロケットリーグ部門が60チームだ。最終的に、ロケットリーグ部門は佐賀県の佐賀県立鹿島高校「OLPiXと愉快な仲間たち」が、LoL部門は東京都の学芸大附属国際「ISS GAMING」が優勝した。

予選はすべてオンラインの試合だったので、オフラインで、しかも大勢のオーディエンスの前で試合するのは決勝大会が初。物怖じしない生徒もいたが、場慣れしていない生徒も多く、緊張した面持ちで大会に参加している様子が見受けられた。

優勝した学芸大付属国際「ISS GAMING」

同大会の予選は12月で、本戦は3月。受験シーズンと重なるので、本選出場が決まったチームの3年生は受験勉強をしながら練習しただろう。また、過去に例のない試みということもあり、学校側への申請や参加表明など、慣れないことも多かったはずだ。高校生にとって、それらは決して簡単なことではない。それでも延べ150チーム以上が参加したことを考えれば、今回の取り組みがいかに高校生から受け入れられたかがわかる。

プロのeスポーツイベントさながらの豪華なステージで対戦。会場は大いに盛り上がった

なかでも、注目したいのが、通信制高校の参加の多さだ。通信制高校には、通学制と通信制があり、通信制の場合、基本的に学校へ通うことはない。『LoL』の決勝大会に進出したN高校は心斎橋キャンパスからの登録だったが、大阪近辺に住んでいる生徒ばかりではなく、全国からオンラインで授業を受けている生徒もいる。

したがって、高校に通っていても、同級生と出会うことは少なく、1つの場所に集まって行う部活も基本的にできない。特に運動系はそうだろう。しかし、eスポーツであれば、基本オンラインで集まり、一緒にプレイすることができる。

つまり、通信制高校では諦めることの多い部活動を、eスポーツが実現させてくれたと言ってもいいだろう。そして、部活をする以上、ほかの高校と競い合うという大会は大きなモチベーションになるものだ。

N高校の生徒たちも会場に駆け付けた。多くの生徒が選手たちと顔を合わせたことがないなかで、横断幕を掲げて応援していた

今回の大会はeスポーツ部の発足にも寄与

今回参加したチームは、パソコン部など、普段はほかの活動をしている部であったり、大会のために急遽集まった有志であったり、同好会的なものであったりと、正式な「eスポーツ部」でないケースも多い。

『LoL』の決勝大会に進出した岡山共生高校はeスポーツ部としての参加だったが、大会が開催されるまでは「同好会扱い」で、大会出場に際して、学校側へ交渉した結果、部として認めてもらったのだという。

岡山共生高校の応援団。岡山から応援に駆けつけた

最近、公費でゲームやパソコンを購入したり、部活でゲームをしたりすることに嫌悪感を抱く教師がいるというニュースを耳にする。しかし、高校生がこれだけ自主的に行動し、そして通信制の場合は諦めることの多かった部活に参加できる喜びがあるのであれば、後押ししたいと思うものではないだろうか。

全国高校eスポーツ選手権は次回の開催も発表されている。学校でeスポーツ部を発足させるハードルが高い学校もあるかもしれないが、今年のがんばりを見せた参加校のおかげで、そのハードルは多少なりとも低くなっていくはずだ。

最初に述べたが、全国高校生eスポーツ選手権は毎日新聞社が主催の大会。つまり、センバツや全国高校ラグビー、全国高校駅伝競走大会、全日本学生音楽コンクールなど、高校生のためのスポーツ、文化事業を支えるイベントであるということは変わりないはずなのだ。

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給食「完食指導」は適者生存の虐待か? 子どもへの悪影響に賛否

カレー沢薫の時流漂流 第44回

給食「完食指導」は適者生存の虐待か? 子どもへの悪影響に賛否

2019.05.27

漫画家・コラムニスト カレー沢薫さんの社会派連載!

第44回は、子供のトラウマ「完食指導」問題について

給食の完食指導が問題になっている。

「お残しは許しまへんで!」

アニメ『忍たま乱太郎』に出てくる食堂のおばちゃんの有名な決めセリフである。

彼女はそのセリフの通り、それを破る者には烈火の如く怒り、時には一週間食事抜き、掃除をさせる等の罰も辞さないという、「食事を残す者を地獄の業火で焼く人物」として描かれている。

あくまでフィクションであるし、何せ彼女が飯を与えているのは忍者の卵である、今後おそらく山田風太郎の世界で活躍しなければいけない面々だ。適切に調理された食堂の飯が食えないようではやっていけるはずがない。

しかし、忍たま乱太郎の世界ではあれが適切としても、将来、忍にならない子ども相手にそれをやるのは問題なのではという声が挙がっている。

令和になっても残ってしまったトラウマ給食

石でも甘辛くしてもらえれば食える、という偏食のない人間には無縁な話だろうが、そうでない者には「給食のトラウマ」の一つや二つあるのではないだろうか。

一番多いのは「完食するまで帰れま10」だ。これが表題にもなっている「完食指導」である。食べきるまで昼休みに入らせなかったり、居残りをさせたりというものだが、中には「食べ物を無理やり口に詰め込まれて嘔吐」というストロングスタイルの指導を受けた者もいる。

ここまでなら、まだ個の問題だが「みんなが食べきるまで全員昼休みに入らせない」という、齢10にもいかない内から連座制の厳しさを叩きこむ学校もあるようだ。

これらは全て、トラウマとして残る。私でさえ、保育園の時、とりあえず口には入れたが長考したのち「やはり無理」と吐いたほうれん草の白和えのポップなビジュアルを未だ覚えているぐらいなので、無理やり口に入れられた人が忘れるわけがない。

漫画家の清野とおる先生も保育園の時、カワイイ女の子が無理やり嫌いなものを食べさせられ嘔吐したのがトラウマになっていると書いていたので、当事者でなくても同胞が目の前で嘔吐するというのは恐怖なのである。

その結果、傷を負い、登校拒否になったり体調不良を起こしたりする児童がおり、またこの経験から大人になっても「人と食事をするのが怖い」と感じる人もいるという。

そういった強制的完食指導に意味があるかというと、私はないと思う。なぜなら、未だにほうれん草の白和えが嫌いだし、義実家での食卓で姑が「今日の推し」と言わない限りは食わない気がするからだ。無理やり食わされても、大人なのでさすがに嘔吐はしないと思うが、代わりに耳あたりから出てくると思う。

このようにアレルギーでなくても「生理的に無理」な食べ物は存在する。生理的に無理な人の指が口の中に入ってくるところを想像して欲しい。「無理」としか言いようがないだろう。そのレベルでダメなものを飲みこませることが、人間にとってプラスになるとは思えない。

しかし、そこを慮りすぎて「好きな物しか食べない人間」になるのも問題である。「大して好きじゃない物」や「苦手な物」程度なら「感情を無にして食える」練習をしておいた方が、社会に出た時や義実家などでトラブルが起こりづらいのも確かである。

食育に力を入れている小学校では、生徒個人に合わせて最初から食べる量を増減させたり、または無理やり食べさせるのではなく、生徒自身が「今日俺ニンジン食っちゃうよ?」という気になるような給食環境づくりに取り組んだりしているという。

食事は「楽しい」ことが一番

昭和のトラウマランチタイムをサバイヴしてきた人間からすると、これらのやり方は「スイート」に感じられるかもしれない。

しかし、上記の食育に力を入れている学校の校長曰く「食事が楽しくなくなるのが一番ダメ」だそうだ。確かに、食事以外に楽しいことが一つもない、という人間は私含め大勢いるし、今の子どもの65%ぐらいはそういう大人になるはずである。(当社調べ)

そんな65%の唯一の楽しみを子どものころから奪うというのは、虐待と言っても過言ではないし、何のために生まれて来たのかさえわからなくなってしまう。

ちなみに私には90歳になる祖母がいるのだが、そのババア殿は一時期、シュークリームのクリームとジュースしか飲まないという、妖精みたいな生活を送っていたが、普通に生きている。何故なら、そのジュースが妖精になった老人用に作られたメチャクチャ栄養があるジュースだからである。このように、昔だと食事=適切な栄養を取る行為であったが、最近では食事からじゃなくても栄養はとれるようになってしまった。

ならば、食事をただの生命維持活動ではなく、「楽しみ」として重視していくのも自然の流れなのかもしれない。

もちろん、作ってくれた人への感謝など、倫理的なことを言えばやはり、偏食なく、出された物は何でも食えた方が良い。

よって、偏食が多い人も「これだけ嫌いなものがあるから出すな」「嫌いなものを食べさせようとするのはハラスメント」と己の権利を主張するだけでは、協調性がないと取られてしまう。

自分で作る、1人で食う、食事会でも自分が幹事をやって店を選ぶ、など嫌いな物を食べず、なおかつ周りにも不快感を与えない方法を考えていくべきだろう。この方法で、私は1年中300日ペペロソチーノだけを食い続けたが、特にトラブルはなかった。

と言いたいが夫に「くさい」と言われたので、自分の食を楽しみつつ、周りに迷惑をかけないのは、なかなか大変ことなのである。

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渦中のファーウェイ、スマホ新製品も発売延期が相次ぐ

渦中のファーウェイ、スマホ新製品も発売延期が相次ぐ

2019.05.24

米国政府がファーウェイを輸出規制リストに追加した

ファーウェイ製品の発売延期を決定する事業者が続出

輸出規制は世界経済の混乱を招く事態に……

米国政府がファーウェイを輸出規制リストに追加したことで、米中の貿易摩擦が加速している。5月21日には国内向けにスマホ新製品の発表会を開催したものの、発売を延期する事業者が相次ぐ事態となっている。

ファーウェイはスマホ新製品を発表したが、販路の多くで発売延期に

スマホ世界シェア2位に躍り出るなど、破竹の勢いで成長してきたファーウェイだが、果たして打開策はあるのだろうか。

世界シェアは再び2位に、国内でも攻勢に

ファーウェイはスマホ世界シェアでアップルと2位争いを繰り広げている。年末商戦シーズンにはアップルが2位に返り咲いたものの、2019年第1四半期にはファーウェイが前年比50%増となる5900万台を出荷したことで、再び2位に戻る形になった。

新製品発表会に登壇したファーウェイ デバイス 日本・韓国リージョン プレジデントの呉波氏

スマホ市場が伸び悩む中で、なぜファーウェイは劇的な成長を遂げたのだろうか。2018年後半から米中貿易摩擦が報じられる中、買い控える動きもある一方で、世界的な露出の増加によって、製品を手に取ってみる人が増えたことが背景にあるとファーウェイは見ている。

国内でも順調に伸びてきた。依然としてiPhoneはシェアの半数近くを占めるものの、直近1年間で最も売れたAndroidスマホはファーウェイの「P20 lite」だという(BCN調べ)。コスパの良さが高く評価されているのが特徴だ。

2019年夏モデルでは、NTTドコモがフラグシップ「P30 Pro」を、KDDIは「P30 lite PREMIUM」の取り扱いを発表。MVNOやオープン市場には「P30」と「P30 lite」を投入するなど、あらゆるセグメントに向けて最新ラインアップを一挙投入する予定だった。

ベストセラーの後継モデルとして期待される「HUAWEI P30 lite」

だが、こうしたファーウェイの快進撃に待ったをかけたのが、米商務省が発表した輸出規制リストへの追加だ。

複数の企業が取引を停止、国内で発売延期も相次ぐ

米商務省が5月15日にファーウェイを輸出規制リストに追加したことで、米国の製品やサービスをファーウェイに対して輸出することが同日より規制された。米国製の半導体やソフトウェアなどを利用できないのは大きな痛手だ。

その後、重要なサービスにファーウェイ製品を用いる企業向けに90日の猶予期間が設けられたものの、これからどうなるかは不透明な状況だ。グーグルやクアルコムなど米国企業をはじめ、米国技術に大きく依存している英Armもファーウェイとの取引を停止すると報じられている。

国内では早いものでは5月24日からP30シリーズのスマホが販売される予定だったが、大手キャリアやMVNO、量販店などが相次いで発売延期や予約停止を発表。既存のファーウェイ製品については販売が続いている状況だ。

NTTドコモが今夏発売予定の「HUAWEI P30 Pro」は予約受付を停止
KDDIの「HUAWEI P30 lite PREMIUM」の発売を延期した

ファーウェイは米国に頼らず必要な部品を調達する構えも見せているが、ファーウェイ包囲網は世界的に広がりつつある。OSであるAndroidはオープンソース版を自由に利用できるものの、グーグルのサービスがなければ海外展開は困難だ。

独自のKirinプロセッサーを有しているとはいえ、Armのライセンスがなければ開発継続は不可能とみられる。スマホ以外にも基地局などの通信インフラでファーウェイのシェアは高く、輸出規制が長引けば世界的に混乱を招きそうだ。

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