新元号「令和」が公表された日に新社会人! 資生堂の入社式を見学

新元号「令和」が公表された日に新社会人! 資生堂の入社式を見学

2019.04.02

ド派手で有名な資生堂入社式、今年も注目

画一的な会社員ではなく、個性の発揮に期待

4月1日、全国各地の企業で入社式が行われた。これから社会人として活躍する彼ら彼女らは希望に満ちあふれていることだろう。そしてこの日、元号が「令和」と5月1日から改められると発表があった。“入社初年に元号が変わる”……これは、例年の新社会人では味わえないことといえる。

資生堂入社式のオープニング

そんな日に、ある企業の入社式を取材した。化粧品大手の資生堂だ。その最大の理由は“ド派手”だからだ。

会場は、2,000席以上の客席数を誇るアンフィシアター舞浜。大きな舞台を備え、普段は観劇やコンサートなどに使われている施設だ。それがこの日、資生堂の社員で埋め尽くされた。

なお、2019年の資生堂の新入社員は850名(新卒)ほど。「2,000名規模の会場が要るのか?」という疑問を持った方もいらっしゃるだろうが、新入社員を迎えたいという先輩社員も集まる。本来ならば就業中であるはずの先輩社員も参加するのだ。

そして、入社式が始まった。これは、毎年恒例のことだが、資生堂 代表取締役 社長 兼 CEOの魚谷雅彦氏が観客席の通路に立ち、入場してくる新入社員とハイタッチを交わす。新入社員約850名+中途採用約400名とのハイタッチだ。魚谷社長の手がどうなってしまうのか、心配になる。

新入社員とハイタッチを交わす魚谷社長

魚谷社長は、手のひらの痛みと闘うことになるが、新入社員にとってはこれほどの思い出はない。会社トップといきなりコミュニケーションが行えるからだ。取材しているこちらも、新入社員の楽しそうな笑顔をみていると、なぜだか昂揚してくる。

ハイタッチが終わったあと、いよいよ魚谷社長のプレゼンテーションだ。それまで、楽しそうに入場してきた新入社員たちの顔が、いくぶん引き締まってみえる。

魚谷社長がまず触れたのが、資生堂はグローバルな企業だということ。日本国内で約23,000人、そして海外でも約23,000人が活躍しているという。ちなみに、今年の新入社員は12カ国から受け入れたそうだ。さらなるグローバル化を目指す企業らしいといえる。

印象に残ったのは「資生堂はグローバルで業績を上げなくてはならない」と意気込みを語った直後の魚谷社長の発言。突然「新入社員のみなさん。急ですが、明日からドバイ(アラブ首長国連邦)で、研修していただくことになります」と告げたのだ。会場が一瞬ザワついたが、実はこれは魚谷社長の冗談。何せこの日は4月1日、つまりエイプリルフールだ。ただ、グローバル企業であるという自覚を新入社員に持たせるには、そこそこの効果はあったかもしれない。

プレゼンを行う魚谷社長。年限は明言しなかったが、売上2兆円、経常利益3,000億円を目指すとした

そして魚谷社長は表情を引き締めて、こう続けた。「これからの大事な人生をどう生きるのか。これからの社会は変化が大きい。特にグローバルという概念はなくなることは明らかでしょう」。これは“国境”というのが、ビジネスにおいては無用になっていく、ということを示唆しているのだろう。さらに、会社に埋もれない個性を発揮してほしいと、新入社員に訓示した。

実は、この個性を重視するある演出があったのだ。これまでの資生堂の入社式では、新入社員は皆、赤いバラの胸飾りをつけていた。ところが今年は、色とりどりのバラの胸飾りをつけている。自分の個性を表す色のバラを選んだことが想像できる。さらに、スーツの個性も目立った。広報担当者によると「例年の入社式はリクルートスーツばかりでしたが、ようやく自由度の高い服装による入社式になりました」と笑みをみせる。こうした個性を重視する企業だからこそ、就活生に高い人気があるのだろう。

1人5秒で資生堂での目標を発表する新入社員たち。胸飾りのバラが何色用意されていたのか確認できなかったが、写真中央の女性は黄色いバラをつけていた
資生堂の入社式といえば、同社のCMキャラクターがサプライズで登場するのが通例となっている。今年も例外ではなく、「インテグレート」のCMに出演中の小松菜奈さん、以前「シーブリーズ」のCMに出演していた中川大志さんが登場。会場は割れんばかりの歓声に包まれていた
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2019.06.17

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放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

カレー沢薫の時流漂流 第47回

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

2019.06.17

最近女性の間で「#MeToo」ならぬ「#KuToo」運動がにわかに盛り上がっている。

「#KuToo」とは「靴」と「苦痛」をかけており、職場や就職活動で、足を痛めるパンプスやヒール靴の強要をやめようという運動である。

そもそもそんなの誰も強要してねえよ、と思われるかもしれない。確かに規定として靴の形状やかかとの高さまで定めている会社はレアだろう。しかし、私の元いた会社でも、規則があるわけでも、誰に言われたでもなく、みな一様に黒のパンプスを履いていた。それが「暗黙のルール」であり、それ以外は「非常識」と見られる風潮は確かにあるのである。

これが就職活動になると、パンプスを履いていないだけで「こいつは常識がない」と見なされ不採用になってしまうかもしれない、ということだ。そうなると女子学生は足を負傷してでもパンプスを履かざるを得なくなってしまう。

正直、パンプスは苦痛

パンプスがそんなに苦痛か、というと、靴の中では殺傷能力が高い方である。これは他人への、という意味ではなく自分へのだ。他人を殺傷したいならカウボーイが履いている、かかとにピザカッターがついている奴を履いた方が良い。

狭いつま先に足の指が密集されるため、私もよく爪で隣の指を切って足を血だらけにしていたし、伸縮性にかける素材のため、あわないパンプスだと試着の時点で靴擦れが出来るレベルなのだ。

世の中には素肌に荒縄で亀甲縛りを施し、その上に上等なスーツを羽織って出社している人も多いと思う。とても痛いだろうが、それは強制されたわけではなく、その人が好きで楽しいからやっているのだ。

つまり、好きでもない上にとても痛いパンプスを強制で履かなければいけないというのは、上等なスーツの下が亀甲縛りなことよりも「異常」なことというわけだ。

この運動はすぐに広まり、いきなり国会でも議論されたという。これにより「厚労相がハイヒール強要を容認」という見出しのニュースまで踊り出ることになった。

完全に自由と言われても困るのでは?

「厚生省に、女がハイヒールを履かないと死ぬ病の人が!?」と驚いたが、記事をよく見ると見出しほどのことはなく、厚労相の発言は「これは社会通念に照らして業務上、必要かつ相等な範囲かと、この辺なんだろうと思います」というかなりボンヤリしたものであり、どっちでも良い事を聞かれた私のリアクションに似ている。

しかし「ハイヒールが履けない女は何やってもダメ」などと強い事を言っているわけではないが、「業務上必要ならパンプス履くべきだろ」という「容認」に聞こえなくもない。すぐさま「業務上ハイヒールが必要な仕事って何だよ」という疑問が挙がり、「SMの女王様」「(ハイヒールでキレッキレに踊る)perfume以外ありえない」などの声が相次いだ。

この社会問題がすぐ大喜利になってしまうのは良くも悪くも「ザ・ツイッター」という感じだ。

確かに「業務上必要」となると、まだかかとにピザカッターがついている靴の方が「ピザを食う時」必要な気がする。

ただ、靴や服装を完全に自由化し、何でもOKにすれば良いかというと、それはそれで問題が起きると思う。ファッションに疎くコーディネートが苦手な人間からすれば、職場に何を着ていいのか全く「指針」がないというのは迷子になるし、接する側としても、車を買いにいってディーラーが、イモ―タンジョ―の完コスで出てきたら「キャデラックしか買うことを許されないのか」と委縮してしまう。就活マナー本に「俺の考えた最強の就活ファッションで挑みましょう」とだけ書かれていても逆に困るだろう

着る側としても、それに接する側としても、社会において服装にある程度規定や模範があるというのはメリットでもあるのだ。

そもそも規定や常識というのは、秩序を作ることにより問題を減らすためにあるものなのだ。しかしそれが元で「足を負傷する」という「問題」が起こっているなら本末転倒なので、やはり解消はすべきなのだろう。

極論に流れない寛容さが足りない

おそらく「#KuToo」を提唱している人も「ドラゴン柄のコンバースで就活したい」と言っているわけではないのだ。最近は「パンプスに見えるスニーカー」なども存在するし、パンプスでなくても地味な靴はいくらでもある。そのような靴を履いていても「パンプスじゃないから非常識」と見るのをやめてほしいという話だろう。

ちなみに私が会社員時代履いていたパンプスだが、黒の革靴ではあったが、つま先は限りなく丸く、ヒールはなきに等しい、今思えばあれはパンプスだったのか、70過ぎのババアが旅行に行くときに履くヤツなんじゃないか、という代物であったが、特に何も言われなかった。

「#KuToo」が求めるのも、そのぐらいの「寛容さ」なのではないだろうか。

【お知らせ】
連載「カレー沢薫の時流漂流」の掲載場所を変更します。
→ 新しい掲載場所はこちら https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu