“元祖プロゲーマー”の高橋名人が今のeスポーツプレイヤーに期待すること

“元祖プロゲーマー”の高橋名人が今のeスポーツプレイヤーに期待すること

2019.03.27

「アサヒ からだ十六茶」と「高橋名人の16連射」が夢のコラボ

期間限定で「高橋名人の16連ダッシュ全国大会」というゲームを公開

「ハドソン全国キャラバン」やeスポーツについて話を聞いた

「高橋名人の16 連ダッシュ全国大会」のゲーム画面

アサヒ飲料は、「アサヒ からだ十六茶」のリニューアルを記念して、3月26日~4月16日に高橋名人の16連ダッシュ全国大会」(https://karada16cp.jp/)を開催する。3週間限定で配信されるゲームを使って、ゲームのスコアを競うイベントだ。期間中、記録は日々集計され、毎日のスコア1位のプレイヤーと、キャンペーン終了時のスコア上位16名に賞品が贈られる。

ゲームを監修した高橋名人は34年前に、全国40カ所以上の地域でゲームイベント「ハドソン全国キャラバン」を開催したプロゲーマーの先駆けでもある。「1秒間に16回ボタンを押す」という技術により、連射系シューティングゲームを中心に活動した。ハドソンの社員という立場ながら、テレビや雑誌などに多く出演し、自社のゲームだけでなく、ゲーム市場全体の地位向上に寄与したレジェンド的存在だ。

今回、高橋名人に直接話を伺う機会を得たので、コラボのきっかけやeスポーツの先駆けともいえる「ハドソン全国キャラバン」の裏話、そして今のeスポーツに感じていることなどについて伺った。

20年以上を経て実現した「16」つながりのコラボ

――まずは今回「アサヒ からだ十六茶」とコラボしたきっかけを教えてください。

高橋名人(以下名人):単純な話ですよ。いわゆる「16」つながりです。アサヒ飲料のほうは、商品名そのまま「十六」茶。私は代名詞でもある「16」連射です。ただ、十六茶も20年以上前に発売した商品なので、もっと早くコラボの話を持ってきてくれればよかったんですけどね(笑)。20年かかってようやく到達したっていうのも感慨深いですが。

20年越しのコラボが実現した「十六茶」を見つめる高橋名人

――たしかに(笑)。むしろ今までなかったのが不思議ですね。

名人:昔、十六茶を持ってきて、「こんなお茶があるんですけど、名人の許可とっているんですか」って、聞いてきたファンの方がいましたね(笑)。

――名人の16連射は30年以上前に定着したイメージですが、現在においても16から連想される人物で高橋名人を超える人はいないかもしれません。

名人:そうですかね。まあ、ありがたいことですけど、そろそろほかにイメージされる方が出てくれてもいいんじゃないでしょうか。

――16つながりでコラボが実現したということですが、どのような内容のコラボなのでしょうか。

名人:まず、私とのコラボなので「簡単なゲームを作って、みんなで遊んでもらいたい」と思いました。そして、対象商品が「からだ 十六茶」。それらの要素から、ため込んでしまうと身体によくない糖や脂肪などを避けつつ、ときどき現れる「からだ 十六茶」を手に入れるというゲームを考案しました。

糖や脂肪に当たるとダメージを受けて、「からだ 十六茶」をゲットすると体力が回復するというシステムなのですが、体力がなくなってゲームオーバーになっても、1度だけ復活のチャンスがあるんです。「16連射復活」というモードに突入し、そこでみごと16連射を決めればライフポイントが回復します。

――そこで16連射するんですね。ゲーム内で移動した距離を集計して、毎日、賞品を出すと伺いました。

トータルスコア上位16人が受け取ることができるトレーナー

名人:私が昔参加していたゲーム大会「ハドソン全国キャラバン」では、地域ごとに優勝者を決めて賞品を配布していましたが、今回はブラウザゲームなので、地域ではなく日ごとに優勝者を決めるようにしました。

あと、キャンペーンの期間が終了したらトータルでのランキングも集計して、「トップ16」の人にはトレーナーをプレゼントします。これは、私が毛利名人と映画『GAME KING 高橋名人VS毛利名人 激突!大決戦』で対決したときに着ていたトレーナーの復刻盤ですね。高価なものではないかもしれませんが、多くの人に賞品が行きわたってほしかったんです。

――いやいや、これは金額じゃ計れない価値がありますよ。そう思える人は多くいると思います。特にアラフォーとか。

名人:アラフォーばかり参加しちゃうかもしれませんね。

“元祖eスポーツ”は子どもたちの夢の舞台

――ゲームのイベントといえば、高橋名人は「ハドソン全国キャラバン」のイメージが強いと思います。キャラバンはeスポーツの先駆けのような存在ともいえると思いますが、当時はどんな感じだったのでしょうか。

名人:当然、当時はeスポーツなんて言葉はありませんでした。今のeスポーツとも違う点はあるのですが、全国各地で行ったゲーム大会としてはキャラバンが初めてだったのではないでしょうか。

――ほぼ毎日開催して、名人がそれぞれの会場に訪れていたんですよね。まさにライブの全国ツアーのような感じがします。

名人:どちらかと言うと、プロレスの興行みたいな感じかな。10台のモニターを用意して、250人くらいの参加者で、毎日2回大会を開いていました。予選から本戦まで、大体2時間半で終わるように設定していたんですけど、それでも最後の方はあぶれて参加できない子供たちもいましたね。

キャラバンは、南から北上するチームと北から南下する2チームが同時に行っていたんですが、大阪ではモニターを倍増させました。2回で700人くらい参加したんじゃないかな。たしか、大阪での開催場所は阪急デパートで、待機列がデパートを3周半くらいしていたって聞いています。翌年の開催では、500~700人くらいの参加だったと記憶してますが、3000人くらいの応募がありました。参加するだけでも大変なイベントになりましたね。

――スケジュールもハードですよね。

名人:朝6時に起きて、7時に設営を開始し、10時から大会を始めて、12時半くらいに終わる。30分くらい休んで、2回目が始まって、16時くらいから撤収するんです。そこから、スタッフは機材を運ぶ車で次の開催地に移動。僕はアシスタントと一緒に電車で移動していました。夕飯を食べつつ反省会をして、12時には就寝し、また翌日は6時から活動する感じですね。これを40日間繰り返すんです。

その間、一度だけ3日間のお休みをもらって東京に戻ってきたんですけど、そのうち1日はテレビ番組の『おはスタ』に出演し、もう1日は会社で現状の報告と反省会が入っていて、結局、家に居られたのは1日だけでした。

――南下ルートは高橋名人のライバル的ポジションにいた毛利名人が担当していたんですよね。

名人:そうです。毛利君は当時大学生でした。同人誌でゲームの攻略本を作っていて、僕に見せに来たんですよね。そこで「君、ゲーム好きなんだ、うまいの?」って聞いたら、うまいっていうので、『スターソルジャー』をプレイしてもらったら、本当にうまかった。そこで、「夏休みヒマ?」って聞いたら、ヒマだと言うので巻き込んじゃいました(笑)

――人生変えちゃいましたね。

名人:まあ、僕自身も変えられちゃったんですけどね(笑)。その後もキャラバンは毎年開催し、多くの人に参加していただいたんですけど、そのうち、キャラバン小僧と呼ばれる人たちが出てきました。キャラバンが終わったら、次のキャラバンまでにアルバイトとかしてお金を貯めるんです。そして、キャラバンが始まったら、僕らと一緒にキャラバンについてきて、ほとんどの大会に参加するんですよ。当然スタッフとかとも仲良くなって盛り上がっていくんですけど、どの大会でも彼らが上位に入賞してしまい、現地の子供たちがベスト10に誰も入れない状態になってしまいました。そこで結局、一度入賞した人は「参考記録」にしようという形になりましたね。やはり、その土地でのチャンピオンを決めたかったので、そういう措置をとりました。

88年大会は初めてPCエンジンを使ってキャラバンを行いました。タイトルは野球ゲームの『パワーリーグ』。これまでは大会ごとの優勝者を決めていただけですが、このときは各地の1位選手を東京に集めて全国大会を行ったんです。地方から飛行機で来てもらったのですが、空港からはホテルに直行。ホテルで大会を開催し、終わったらまたすぐ空港に直行ですよ。東京で子どもたちを自由に遊ばせて、何かあったら大変なので、とにかく気を遣いました。

高橋名人は今のeスポーツに何を思う?

――そこまでの規模になると、現在のeスポーツと近いものがありますね。そういう経験を30年以上前に経験した高橋名人にとって、eスポーツはどのように見ていますか。

名人:1つの大会を行うのにも賞金や法律の問題がありますからね。まだまだクリアしないといけないことは多いイメージです。

たとえば、1000万円の優勝賞金の大会を開く場合、少なくとも5000万円くらいの予算が必要になるんですが、メーカー主導だと、プロモーション費と考えてもなかなか出せるものではありません。しかし、プロゲーマーが職業として活動していくためには、このクラスの大会が最低でも月に1回はないとつらいわけです。

海外の場合、参加費や課金キャラクターの代金の数パーセントを賞金に当てるということで、運営できているんですが、日本だと賭博法や景品表示法に抵触してしまうので、そのやり方ではできません。このあたりは早く改正してほしいと思います。

――キャラバンなどのイベントが「元祖eスポーツ」だとすると、名人は元祖eスポーツプレイヤーとなるわけですが、プレイヤーとして選手に対して思うところはありますか。

名人:僕は結局、会社員で、宣伝することが仕事でした。たとえば、会社にとってみれば15秒のCMには莫大なお金がかかりますが、10分のテレビ番組に出演できればCM40本分の価値があるわけです。なので、僕はどちらかというと、腕前を競うよりも、見せ方がうまくなるように考えていました。そのため、僕はゲームの腕がそこそこでも良かったんですけど、今のプロプレイヤーはそこそこではダメなので大変ですよね。

先ほども言いましたが賞金額が上がってきているとはいえ、大会の回数は少ないので、一部の人しか稼げていないわけです。ゴルフのように大会数も多く、さらにコーチの仕事もあるという状態になっていかないと、多くのプロは生活できないでしょう。

賞金総額3000万円くらいの大会が、月に1回あるといいでしょうね。平均100万円ずつでも獲得できれば、年間1200万円になるので、最低でもそれくらいはないと。

――プロプレイヤーになると、大会の結果だけでなくタレント性も求められますが、そのあたりはいかがでしょうか。

名人:僕が当時、気をつけていたのは、子どもたちに好かれる以上に、お母さんに好かれることです。家計を握っているのはお母さんですし、しつけをするのもお母さんでしたから。僕が言っていた「ゲームは1日1時間」というセリフも、子どもたちに向けているようで、6割くらいはお母さんに向けていたんですよね。「高橋名人が1時間って言っているでしょ」って子どもに言ってくれたらそれでもう目的は果たせているわけです。

また、僕を理由にしてくれることで、もし、子どもが新しいゲームを欲しくなったとき、「高橋名人が推しているのであればしょうがないな」ってなりがちですからね。

そうやって、ゲームをやる人だけじゃなく、その周りの人に好かれて、気になってもらえる存在になってほしいと思います。僕のころも「名人」と呼ばれる人はたくさんいましたが、現状で名人と呼ばれる人が今どれくらい残っているか考えれば、どのようなやり方が正しかったのかわかるでしょう。

今、eスポーツやゲームを取り扱う番組が増えてきて、ゲームプレイヤーも多く出演していますが、ゲームとは関係のない番組にも呼ばれるようになってほしいです。そして、たとえば、野球のイチロー選手のように、有名になればなるほど、子どもたちの中により入りこんでいって、一層強い憧れを抱かれるような選手になってくれればうれしいですね。

――高橋名人は、eスポーツを運営する側でもありましたが、運営側に対して感じることはありますか?

名人:今は注目されているので、eスポーツに関することをすれば儲かるって思っている人も多いでしょう。でも、現状では簡単に儲けることは難しい。2~3年は、先行投資として、宣伝のためと思って大会を運営してもらい、長期スパンで考えてほしいなと思います。

――最後に、今回の「高橋名人の16連ダッシュ全国大会」は、1度ゲームオーバーになると復活するために連射をする必要がありますが、現在でも16連射はいけるのでしょうか。

名人:今は無理ですねー(笑)。たぶん12連射くらいがいいところじゃないですか。キャラバンのように5分間プレイするとなると、平均8~10連射くらいになってしまうかもしれないです。連射のピークは27歳のころだったんですよ。当時、連射の様子を撮影してもらったことがあるのですが、10秒間で174発撃っていたのが確認されました。17.4連射ですね。

――常人は5分間連射し続けることがすでに無理なので、まさに名人健在って感じですね。ありがとうございました!

実際に連射を見せてもらった。謙遜していたが、そのスピードはまさに“名人”だった
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給食「完食指導」は適者生存の虐待か? 子どもへの悪影響に賛否

カレー沢薫の時流漂流 第44回

給食「完食指導」は適者生存の虐待か? 子どもへの悪影響に賛否

2019.05.27

漫画家・コラムニスト カレー沢薫さんの社会派連載!

第44回は、子供のトラウマ「完食指導」問題について

給食の完食指導が問題になっている。

「お残しは許しまへんで!」

アニメ『忍たま乱太郎』に出てくる食堂のおばちゃんの有名な決めセリフである。

彼女はそのセリフの通り、それを破る者には烈火の如く怒り、時には一週間食事抜き、掃除をさせる等の罰も辞さないという、「食事を残す者を地獄の業火で焼く人物」として描かれている。

あくまでフィクションであるし、何せ彼女が飯を与えているのは忍者の卵である、今後おそらく山田風太郎の世界で活躍しなければいけない面々だ。適切に調理された食堂の飯が食えないようではやっていけるはずがない。

しかし、忍たま乱太郎の世界ではあれが適切としても、将来、忍にならない子ども相手にそれをやるのは問題なのではという声が挙がっている。

令和になっても残ってしまったトラウマ給食

石でも甘辛くしてもらえれば食える、という偏食のない人間には無縁な話だろうが、そうでない者には「給食のトラウマ」の一つや二つあるのではないだろうか。

一番多いのは「完食するまで帰れま10」だ。これが表題にもなっている「完食指導」である。食べきるまで昼休みに入らせなかったり、居残りをさせたりというものだが、中には「食べ物を無理やり口に詰め込まれて嘔吐」というストロングスタイルの指導を受けた者もいる。

ここまでなら、まだ個の問題だが「みんなが食べきるまで全員昼休みに入らせない」という、齢10にもいかない内から連座制の厳しさを叩きこむ学校もあるようだ。

これらは全て、トラウマとして残る。私でさえ、保育園の時、とりあえず口には入れたが長考したのち「やはり無理」と吐いたほうれん草の白和えのポップなビジュアルを未だ覚えているぐらいなので、無理やり口に入れられた人が忘れるわけがない。

漫画家の清野とおる先生も保育園の時、カワイイ女の子が無理やり嫌いなものを食べさせられ嘔吐したのがトラウマになっていると書いていたので、当事者でなくても同胞が目の前で嘔吐するというのは恐怖なのである。

その結果、傷を負い、登校拒否になったり体調不良を起こしたりする児童がおり、またこの経験から大人になっても「人と食事をするのが怖い」と感じる人もいるという。

そういった強制的完食指導に意味があるかというと、私はないと思う。なぜなら、未だにほうれん草の白和えが嫌いだし、義実家での食卓で姑が「今日の推し」と言わない限りは食わない気がするからだ。無理やり食わされても、大人なのでさすがに嘔吐はしないと思うが、代わりに耳あたりから出てくると思う。

このようにアレルギーでなくても「生理的に無理」な食べ物は存在する。生理的に無理な人の指が口の中に入ってくるところを想像して欲しい。「無理」としか言いようがないだろう。そのレベルでダメなものを飲みこませることが、人間にとってプラスになるとは思えない。

しかし、そこを慮りすぎて「好きな物しか食べない人間」になるのも問題である。「大して好きじゃない物」や「苦手な物」程度なら「感情を無にして食える」練習をしておいた方が、社会に出た時や義実家などでトラブルが起こりづらいのも確かである。

食育に力を入れている小学校では、生徒個人に合わせて最初から食べる量を増減させたり、または無理やり食べさせるのではなく、生徒自身が「今日俺ニンジン食っちゃうよ?」という気になるような給食環境づくりに取り組んだりしているという。

食事は「楽しい」ことが一番

昭和のトラウマランチタイムをサバイヴしてきた人間からすると、これらのやり方は「スイート」に感じられるかもしれない。

しかし、上記の食育に力を入れている学校の校長曰く「食事が楽しくなくなるのが一番ダメ」だそうだ。確かに、食事以外に楽しいことが一つもない、という人間は私含め大勢いるし、今の子どもの65%ぐらいはそういう大人になるはずである。(当社調べ)

そんな65%の唯一の楽しみを子どものころから奪うというのは、虐待と言っても過言ではないし、何のために生まれて来たのかさえわからなくなってしまう。

ちなみに私には90歳になる祖母がいるのだが、そのババア殿は一時期、シュークリームのクリームとジュースしか飲まないという、妖精みたいな生活を送っていたが、普通に生きている。何故なら、そのジュースが妖精になった老人用に作られたメチャクチャ栄養があるジュースだからである。このように、昔だと食事=適切な栄養を取る行為であったが、最近では食事からじゃなくても栄養はとれるようになってしまった。

ならば、食事をただの生命維持活動ではなく、「楽しみ」として重視していくのも自然の流れなのかもしれない。

もちろん、作ってくれた人への感謝など、倫理的なことを言えばやはり、偏食なく、出された物は何でも食えた方が良い。

よって、偏食が多い人も「これだけ嫌いなものがあるから出すな」「嫌いなものを食べさせようとするのはハラスメント」と己の権利を主張するだけでは、協調性がないと取られてしまう。

自分で作る、1人で食う、食事会でも自分が幹事をやって店を選ぶ、など嫌いな物を食べず、なおかつ周りにも不快感を与えない方法を考えていくべきだろう。この方法で、私は1年中300日ペペロソチーノだけを食い続けたが、特にトラブルはなかった。

と言いたいが夫に「くさい」と言われたので、自分の食を楽しみつつ、周りに迷惑をかけないのは、なかなか大変ことなのである。

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渦中のファーウェイ、スマホ新製品も発売延期が相次ぐ

渦中のファーウェイ、スマホ新製品も発売延期が相次ぐ

2019.05.24

米国政府がファーウェイを輸出規制リストに追加した

ファーウェイ製品の発売延期を決定する事業者が続出

輸出規制は世界経済の混乱を招く事態に……

米国政府がファーウェイを輸出規制リストに追加したことで、米中の貿易摩擦が加速している。5月21日には国内向けにスマホ新製品の発表会を開催したものの、発売を延期する事業者が相次ぐ事態となっている。

ファーウェイはスマホ新製品を発表したが、販路の多くで発売延期に

スマホ世界シェア2位に躍り出るなど、破竹の勢いで成長してきたファーウェイだが、果たして打開策はあるのだろうか。

世界シェアは再び2位に、国内でも攻勢に

ファーウェイはスマホ世界シェアでアップルと2位争いを繰り広げている。年末商戦シーズンにはアップルが2位に返り咲いたものの、2019年第1四半期にはファーウェイが前年比50%増となる5900万台を出荷したことで、再び2位に戻る形になった。

新製品発表会に登壇したファーウェイ デバイス 日本・韓国リージョン プレジデントの呉波氏

スマホ市場が伸び悩む中で、なぜファーウェイは劇的な成長を遂げたのだろうか。2018年後半から米中貿易摩擦が報じられる中、買い控える動きもある一方で、世界的な露出の増加によって、製品を手に取ってみる人が増えたことが背景にあるとファーウェイは見ている。

国内でも順調に伸びてきた。依然としてiPhoneはシェアの半数近くを占めるものの、直近1年間で最も売れたAndroidスマホはファーウェイの「P20 lite」だという(BCN調べ)。コスパの良さが高く評価されているのが特徴だ。

2019年夏モデルでは、NTTドコモがフラグシップ「P30 Pro」を、KDDIは「P30 lite PREMIUM」の取り扱いを発表。MVNOやオープン市場には「P30」と「P30 lite」を投入するなど、あらゆるセグメントに向けて最新ラインアップを一挙投入する予定だった。

ベストセラーの後継モデルとして期待される「HUAWEI P30 lite」

だが、こうしたファーウェイの快進撃に待ったをかけたのが、米商務省が発表した輸出規制リストへの追加だ。

複数の企業が取引を停止、国内で発売延期も相次ぐ

米商務省が5月15日にファーウェイを輸出規制リストに追加したことで、米国の製品やサービスをファーウェイに対して輸出することが同日より規制された。米国製の半導体やソフトウェアなどを利用できないのは大きな痛手だ。

その後、重要なサービスにファーウェイ製品を用いる企業向けに90日の猶予期間が設けられたものの、これからどうなるかは不透明な状況だ。グーグルやクアルコムなど米国企業をはじめ、米国技術に大きく依存している英Armもファーウェイとの取引を停止すると報じられている。

国内では早いものでは5月24日からP30シリーズのスマホが販売される予定だったが、大手キャリアやMVNO、量販店などが相次いで発売延期や予約停止を発表。既存のファーウェイ製品については販売が続いている状況だ。

NTTドコモが今夏発売予定の「HUAWEI P30 Pro」は予約受付を停止
KDDIの「HUAWEI P30 lite PREMIUM」の発売を延期した

ファーウェイは米国に頼らず必要な部品を調達する構えも見せているが、ファーウェイ包囲網は世界的に広がりつつある。OSであるAndroidはオープンソース版を自由に利用できるものの、グーグルのサービスがなければ海外展開は困難だ。

独自のKirinプロセッサーを有しているとはいえ、Armのライセンスがなければ開発継続は不可能とみられる。スマホ以外にも基地局などの通信インフラでファーウェイのシェアは高く、輸出規制が長引けば世界的に混乱を招きそうだ。

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