アップルやグーグルはなぜ配車アプリに投資するのか

アップルやグーグルはなぜ配車アプリに投資するのか

2016.07.12

シリコンバレーのテクノロジー企業が共通して関心を寄せているのが、自動車に関する技術だ。自動運転と並んで、タクシー配車アプリ、ライドシェアリングアプリが注目を集めており、「新しい街の交通システム」を担う可能性が試されている。

その中でも最も活発に活動しているのがグーグルだ。グーグルは独自のタクシー配車アプリを準備していると言われているが、その一方でUberへの投資を行っている。またアップルは中国の滴滴出行に出資しており、ソフトバンクもインドOLAへの投資を行っている。楽天はUberの競合となるLyftに出資している。

テック企業の投資の狙いは何か。そしてテック企業が作り出す「移動の未来」とはどのような姿になるのだろうか。

グーグル、アップル、ソフトバンク、楽天など名だたるテック企業が配車アプリに投資するのはなぜか(写真:PIXTA)

不況とモバイルとのマリアージュ

UberやLyftは、「ライドシェアリングアプリ」に分類される。厳密にはタクシー配車アプリではない。ライドシェアとは、営業運転を行うタクシーと異なり、自家用車の相乗りのためのマッチングを行うためのサービスだ。

車を運転している人と、近辺で移動したい人をリアルタイムでマッチングさせる仕組み、アプリ内で支払いを済ませられる決済システム、顧客やドライバーを相互評価する仕組みが用意されている。

Lyftウェブサイト。スマートフォンからリクエストを送信。乗車、支払いの3ステップとシンプル

これは、スマートフォンが普及した世界でのみ、成立するシステムだったと言える。ドライバーとユーザーの位置をGPSで共有しており、乗りたい人が現れた際、近辺のドライバーに通知して、リクエストに応えられる人を見つける。

そして、ドライバーを客のところまで誘導している間に、顧客は目的地を地図で設定し、ドライバーのアプリのナビを自動的に設定する。目的地まで到着すれば、顧客は車を降りるだけだ。あらかじめ設定してあるクレジットカード、もしくはApple Payなどのモバイル決済で、支払いを済ませることができる。

手が空いている車とドライバーを、移動したい人とマッチングさせる、街の遊休資源の有効活用のアイデア。裏を返せば、車を持っている失業者がいなければドライバーのなり手がいなかったわけで、2008年のリセッション以降の「不況ビジネス」の1つと位置付けることもできよう。時を同じくして、スマートフォンの普及と技術的な向上が起こり、スマホの普及と活用の深化によって実現している。

アップルは中国投資をアピールするため?

テクノロジー企業がライドシェアリングアプリに投資している理由は、それぞれだ。最も意図を汲みやすいのは、アップルによる中国・滴滴出行への投資だ。アップルは、中国政府・当局との関係を良好に保ちたいという意識があり、共産党の幹部ともパイプのある創業者の企業から、同社の将来にわたる戦略に関連しそうなアプリを選択した、という位置付けに見える。

滴滴出行は、中国最大の配車アプリに成長しており、ユーザー数は3億人以上、1日のリクエスト件数は毎日1100万件にものぼり、シェアは87%だ。数年後に米ニューヨーク証券取引所への上場も視野にあるという。

こうした企業がアップルからの10億ドルの投資を受ける必要があったか、と言われると、若干の疑問も浮かぶ。そのため、アップルの中国投資をアピールする材料としての側面を強く意識させるのだ。また滴滴出行としても、中国でも急伸するUberを食い止めるコストがかかっていることも事実。アップルによる支援を断る理由も特に見当たらない。

電気自動運転車のプロジェクトといわれる「Project Titan」の噂がささやかれるアップル。それが実際の自動車を製造する事になるのかは定かではないが、もしApple Carが登場するなら、滴滴出行はその上顧客になり得る。

本気で取り組んでいるグーグル

グーグルは、より現実的に、人々の移動をなんとかしようと考えているようだ。これまでも、Lexus RXをベースにした自動運転車を公道で走らせており、筆者が住むカリフォルニア州バークレー市でも、そのあまりに自然かつスムーズな運転ぶりを見かける。

また2016年5月に開催された開発者会議Google I/O 16には、電気自動運転車のプロトタイプを展示していた。室内にはハンドルはなく、広々とした空間にソファーがあるだけ、といった雰囲気だった。

自動運転の電気自動車を現実のものにしようとするなら、前述の滴滴出行とアップルの関係のように、ライドシェアリングサービスとのマッチングは現実的な活用方法となる。グーグルは、Uber、その競合にあたるLyftに、自動車メーカーのフォード、ボルボを加えて、自動運転車に関する研究開発をスタートさせている。

グーグルは、Googleマップを提供しており、経路検索はスマートフォンアプリの中でもキラーサービスとなっている。渋滞情報、公共交通のデータ、そして買収したWazeによるユーザー投稿のデータを組み合わせて、より早く、確実に目的地にたどり着くことができる情報を提供してきた。

そのGoogleマップとUberの配車情報は統合し、経路検索には、運転、公共交通機関、徒歩、自転車に加え、Uberを利用した場合の到着時間と料金も合わせて表示されるようになった。

Googleマップの経路検索結果にUber利用時の到着時間や料金が表示

グーグルは情報の検索するだけでなく、検索結果で得た情報を、いかにそれを現実のものに変えられるか、に取り組んでいる。情報を行動に変えることが現在のモバイルビジネスにとって重要なのだ。

通信と移動の普遍性とサンフランシスコ特有の事情

ライドシェアサービスは前述の通り、スマートフォンの普及と街の有休資源の増加(不況)がもたらしたサービスだ。スマートフォン自体は通信であり、ライドシェアは人の移動。この2つの要素は、おそらく将来にわたって、人間が活動する限りなくならないだろう。

人の移動はこれまで、道路や鉄道、バス網など、巨大なプロジェクトによって成立してきた。そして、これらは規制産業でもある。交通と通信の融合なんていう生ぬるい話も、確固たる規制の上に成り立っているにすぎない。そのため、これまで相対的に新興産業である通信が主体的に何かを進めることはできなかった。

ライドシェアは、そうした規制のかかった"交通"にメスを入れた突破口であり、通信側、テック業界からは、今後も大切に育まれて行くことになるだろう。

また、UberやLyftは、サンフランシスコ周辺に限らず、米国の各都市が直面してきた「移動の不確実性」という問題の解決に取り組んでいるサービスだ。いうなれば、シリコンバレーの投資家、起業家、エンジニアにとっての「自分ごと」だった。

東京からベイエリアに移り住むと、平日はかろうじて、休日になるとまったく役に立たなくなるボロボロの公共交通機関に愕然とすることになる。そして、流しのタクシーは見つからず、電話で呼んでもちゃんとこないのが普通のことだ。東京やニューヨークのような交通機関とタクシーが潤沢な地域から始めることはできなかっただろう。

通信と移動の普遍性が生む様々な可能性

テック企業のライドシェアサービスへの投資についてまとめると、モバイルによって実現する象徴的なサービスであること、規制産業にテック企業が関与できる突破口であること、そしてサンフランシスコ・シリコンバレーを含むベイエリア地域の人々にとって「交通の解決」が切実な問題であること、という側面を見出すことができる。

ただし、交通の解決については、不十分であることを、当のグーグルもつい最近経験済みだ。前述の開発者会議Google I/O 16は、これまでのサンフランシスコ市内から、グーグルキャンパスの向かいにある屋外劇場に会場が移されて開催された。

グーグルはUberのライドシェアサービス「Uber Pool」の割引コードを配って、サンフランシスコ市内やホテルとの間の交通手段にしようとしたが、数千人が一度に移動する規模のイベントに、周辺道路が大渋滞を引き起こし、またUberの台数も足りておらず、正直なところ、厳しい結果となった。改善の余地は大いにあるのだ。

とはいえ、人の移動に可能性を見出し、その実現を手助けする仕組みは、人の行動に直接的に情報や広告を与えたり、広告の効果測定を人の行動まで含めて行えるようになる。その点はグーグルにとって、非常にメリットが大きいはずだ。

CESで大注目の「折り曲げられるスマホ」、普及の見込みは?

CESで大注目の「折り曲げられるスマホ」、普及の見込みは?

2019.01.18

中国メーカーが自在に折り曲げられるスマホを実現

「大画面×コンパクト」を両立する夢のデバイス、実用性は?

端末の魅力を引き出すアプリ登場が普及のカギか

米ラスベガスで開催された世界最大級の家電見本市「CES 2019」では、2019年のトレンドを先取りする新ガジェットが一堂に会した。その中でも一際大きな注目を浴びたのが「折り曲げられるスマホ」だ。商品化にこぎ着けたのは世界初という。

折り曲げられるスマホ「FlexPai」

スマホの画面サイズが大型化を続ける中、iPhone SEのような小型スマホを求める声は依然として多い。そこで登場した折り曲げられるスマホは、「大画面」と「コンパクト」を両立する夢のデバイスに見える。果たして普及の可能性はあるだろうか。

自在に折り曲げられるスマホ、中国メーカーが実現

折りたためる2画面のスマホというアイデア自体は、実はそれほど目新しいものではない。NTTドコモとZTEが共同開発した「M Z-01K」などは、現行モデルとして国内で販売中だ。

だが、従来の2画面スマホはヒンジを用いて2つの画面をつなげたものに過ぎなかった。その後、液晶とは異なる特性を持つ有機ELが登場したことで、ディスプレイを紙のように自在に折り曲げられることも夢ではなくなった。

有機ELの「曲げに強い」という特性は、多くのスマホに活用されている。サムスン電子のGalaxyシリーズが画面端を曲面にしたスマホを発売後、ソニーモバイルシャープもこの形状を採用している。

これを推し進め、開くとタブレットのような大画面、2つに折り曲げるとスマホサイズという端末の可能性が見えてきた。そして2018年10月、中国のRoyoleが、世界で初めての折り曲げられるスマホ「FlexPai」を商品化したのだ。

中国Royoleのブース。フレキシブルディスプレイを使った様々な製品が並んだ

CES 2019では韓国のLG電子が巻き取り式のテレビを発表するなど、「曲がるディスプレイ」が会場全体で話題になっていた。そうした下地もあって、Royoleの出展ブースには来場者の行列が絶えず、展示機がバッテリー切れを起こすほどの盛況となっていた。

実用性はさておき、スマホの進化の可能性を示した

FlexPaiの特徴は、開いた状態ではタブレットに近い形状になり、そこから自由に折り曲げできる点にある。従来の2画面スマホとは異なり、広げた状態でも画面の境目がないため、タブレットと同じ感覚で利用できる。

広げた状態ではタブレットのように使える

メーカーが挙げるメリットは、複数のニーズごとの端末を1台に集約できることだ。大画面が欲しい人の中には、スマホとタブレットを両方持ち歩いている人もいるだろう。だがFlexPaiなら持ち歩くのは1台で済むというわけだ。

折り曲げた状態では一般的なスマホと同じように使える

折り曲げというギミックから、耐久性に不安を覚えるものの、20万回程度の折り曲げに耐えられるという。ただ、折り曲げると厚みが出るため、スマホのようにコンパクトに持ち歩くことはまだ難しい。

アプリの対応も課題だ。FlexPaiを折り曲げた状態では「表面」と「裏面」に加え、折れ曲がった「エッジ」の3画面を利用できる。FlexPaiの魅力を引き出すには、これら3画面を活用するようなアプリの登場が待ち望まれる。

そこでRoyoleは、FlexPaiをアプリ開発者向けに1,318ドルの価格で先行販売している。まずは開発者にデバイスを手に取ってもらい、どのような活用方法が考えられるか、アイデアを募っていく段階といえる。

会場で実機を試した印象だが、現段階での折り曲げスマホは実用的とまではいえないと思えた。しかしRoyoleという会社の名前を世界に知らしめ、フレキシブルディスプレイの技術を示したという意味では、この発表は大成功を収めたといえるのだろう。

また、サムスン電子など大手スマホメーカーも折りたたみや折り曲げ端末の開発を進めており、グーグルはAndroid OSとして公式サポートを表明している。スマホの次なる進化の可能性を真っ先に示したFlexPaiを、この場の実用性で語るのはお門違いなのかもしれない。

日本車のインテリアには独創的な未来がある? 「1kg展」で感じた可能性

森口将之のカーデザイン解体新書 第12回

日本車のインテリアには独創的な未来がある? 「1kg展」で感じた可能性

2019.01.18

国内主要メーカーの内装デザイナーが集まり展示会を開催

テーマは“1kgの価値”をどこまで高められるか

実車に応用できる? 独創的な作品の数々

国内主要自動車メーカー8社のインテリア・カラーデザイナーが参加する団体「JAID」が初の作品展を開催中だ。“1kg”という重さにこだわり、最新の3Dプリンターを駆使して各社のデザイナーが生み出した作品は独創的で、会場の「GOOD DESIGN Marunouchi」(東京・丸の内)は小さな現代美術館のような雰囲気になっている。

ダイハツ工業のデザイナーが出品した「受け継がれる樹脂」という作品

雑誌の対談が契機となり生まれた「JAID」

「JAID」という名前を初めて目にした人も多いだろう。「ジャパン・オートモーティブ・インテリア・デザイナーズ」の略で、「ジャイド」と読むそうだ。

創立のきっかけとなったのが、自動車雑誌「NAVI CARS」(ナビカーズ)での対談だったと聞いて、「あの号だ!」と即座に思い浮かんだ。クルマのインテリアを特集したナビカーズの2015年7月号で、筆者も別の対談に参加させていただいていたのだ。その号に国内メーカーのインテリアデザイナーが語り合うページがあったことは記憶の片隅に残っていた。

雑誌の売れ行きが落ちているといわれて久しい。それだけに、1つの雑誌の企画からJAIDのようなコミュニティが生まれたことは、モータージャーナリズムに身を置く者として嬉しい気持ちになる。

日産自動車のデザイナーが出品した「∞ Fluff」

価値ある1kgの創造に挑んだデザイナーたち

そのJAIDが企画したのが「1kg展」だ。なぜ“1kg”にこだわるかといえば、クルマの開発に携わる人たちにとって切実な「kg単価」という指標に理由がある。

「kg単価」とは、クルマの開発で使われる値段の単位だ。インテリアデザイナーとしてはkg単価が高い、いわゆる良い素材を使いたいという気持ちは大きいだろう。快適性や安全性の追求、さらには電動化への対応、重量の削減といった視点も持ちながら素材を選んでいるはずだ。

しかし、贅を尽くしてばかりでは車両価格の上昇を招くので、妥協が必要になる。おそらくインテリアデザイナーは、このような状況で悩みながら、新しい素材や仕立て、色などを取り入れるべく、奮闘の毎日を過ごしているのだろうと想像している。

では、そういった制約がなくなったとき、デザイナーたちはこのkg単価をどこまで価値あるものに仕上げられるのだろうか。これが、今回の展示会のテーマだ。最新の3Dプリンターを駆使し、時間や空間、物質としての限界などを飛び越えた作品を独自の着眼点で製作すると同時に、広くカーインテリアデザインの魅力を伝えたい。そんなメッセージのこもった展示会なのである。

ホンダのデザイナーが出品した「風速1kg」

素材と色のコーディネートが味わえる「ハンバーガー」

会場のGOOD DESIGN Marunouchiは、2013年度から通算5回、今年度も含めてグッドデザイン賞の審査員を担当している筆者にとってはなじみ深い場所だ。ところが、「1kg展」の内覧会を訪問した時には、状況がまるで違っていた。いつもは展示物をゆったりと眺めることができる空間なのに、この日はラッシュ時の駅のようにごった返していたのだ。それだけ、インテリアデザイナーの斬新な発想に期待する人が多かったということだろう。

日産のデザイナーが出品した「4D flower」。「1kg展」に作品を持ち寄ったのは、国内大手自動車メーカー7社(ダイハツ工業、ホンダ、三菱自動車、日産自動車、スバル、スズキ、トヨタ自動車)だ

作品の中には、クルマのインテリアデザインとは関係なく、最新の3Dプリンターならではの表現能力の高さをアピールするような作品も見られた。それらを業界の枠を飛び越えた独創的な作品と捉える人もいたようだが、クルマが好きで今の仕事に携わっている(はず)の方々だからこそ、もっとインテリアにこだわって欲しかった。

ただ、クルマのインテリアとの関連性が高い作品が大半を占めていることは確かで、中には独創的な発想や興味深いアイデアも見られた。本稿では独断と偏見で、そのうちの3つを紹介していこう。

まずは、会場の入り口近くに置かれていた「CMFバーガー」だ。「CMF」とはカラー、マテリアル、フィニッシュの頭文字で、ナビカーズでの対談が行われた頃から、自動車に限らずデザイン分野でひんぱんに使われるようになってきた言葉だ。造形だけでなく色や素材、仕立てにも気を配ることで、より完成度の高いデザインが生まれるというような意味が含まれている。

「CMFバーガー」はトヨタのデザイナーが出品

この作品は、CMFのコーディネートを1kgのハンバーガーに見立てて表現したもの。レザーのバンズ、クリアレンズのトマト、加飾素材のチーズやパティ、シート素材のレタスがさまざまな色で用意してあり、好みのバーガーを作り出せる。

3つの作例では、CMFの違いでかなり雰囲気の異なるバーガーを作れることが分かった。バンズを肉抜きタイプにすると総重量が1kgを切るなど、計量化を実感できる仕掛けも盛り込んである。ディーラーが車種別にCMFハンバーガーを用意すれば、顧客は楽しみながらカラーコーディネートを試すことができるかもしれない。

ディーラーに「CMFバーガー」が置いてあったら面白いかも

インテリアをボールにした斬新な作品も

続いて紹介するのは「トランスフォームステアリング」。自動運転が実用化された未来を想定した変形機構を持つステアリングで、手動モードでは伸びて操舵できる状態となり、自動モードでは縮めて格納しておける。全てがマットブラック仕上げだが、グリップ部分、変形部分、外枠部分を別のメーカーのプリンターで製作することで、素材の違いを表現している。

トヨタのデザイナーが出品した「トランスフォームステアリング」

製作したデザイナーはステアリング機能だけを想定していたようだが、左右のグリップをねじることでアクセルやブレーキの操作ができれば、この部分だけで基本的な運転操作ができる合理性の高いインターフェイスになると思った。ペダルがなくなれば、室内レイアウトの自由度も高まりそうだ。

伸ばせば手動運転に使えるし、自動運転中は縮んだ状態で格納しておける

最後は「インテリアボール」だ。写真を見てお分かりのとおり、クルマのインテリアを構成するパーツをボール状のアートとして表現したもので、多くのパーツをまとめ上げ、世の中というフィールドにデザインを“投げ”かけているインテリアデザイナーの仕事をボールの形に込めたのだという。

「インテリアボール」はホンダのデザイナーが手掛けた

展示してあるのは1個だけだが、スポーツの世界では競技によってサイズの違うボールを使うことにも製作者は着目している。使用する材料や加工方法を変えることで、同じ1kgでもサイズや見え方の違った表現ができるそうだ。

しかしながら筆者には、これがボールではなく卵に見えた。卵から生まれる前のクルマ、そのインテリアデザインは、こうなっているのではないかと想像したのだ。同じクルマのエクステリアデザインを卵の殻で表現することで、多くの車種を球形にできれば、一風変わったミニチュアになるのではないだろうか。

JAIDが企画した1kg展の作品群は、それ自体が柔軟かつ斬新な発想から生まれているだけでなく、見ているこちらも創造力が掻き立てられるものだった。この展示会を訪れて、日本の自動車メーカーにインテリアデザインの実力者が多いことに感心するとともに、メーカーには、この実力を引き出して製品に結び付ける能力が求められていることを教えられた。

1kg展の会期は1月25日まで。入場は無料だ。時間に余裕のある方は、一度訪れてみてはいかがだろうか。