フランス発・冷凍食品スーパー「Picard」が都外に初出店 共働き需要つかみ拡大なるか

フランス発・冷凍食品スーパー「Picard」が都外に初出店 共働き需要つかみ拡大なるか

2019.03.18

フランスの冷凍食品専門スーパー「Picard(ピカール)」が横浜に出店

路面店ではなくSC入居、イートイン併設で狙う「使われ方」

高品質な冷凍食品で共働き需要をつかめるか

フランスの冷凍食品専門スーパー・「Picard(ピカール)」が2016年11月に日本に上陸して以来2年あまり。第一号店の青山骨董通り店(東京・港区)を皮切りに都内8店舗、スーパーイオン内に2店舗と着実に拡大を続ける中、3月14日、都内以外で初出店となる「ピカール 横浜ベイクォーター店」(横浜市神奈川区)をオープンした。

横浜駅に隣接する大型商業施設・横浜ベイクォーター3階にオープンした「Picard横浜ベイクォーター店」。営業時間は10時~21時

横浜では商業施設内へ出店、その狙いは

新店舗は、都外への進出のみならず、日本におけるピカールとしては初の試みが多い。まずは、大型商業施設内への出店(※小型店舗「Petit Pocard」除く)。開店前日の報道陣向けの内覧会に出席した、ピカールの運営企業であるイオンサヴール代表取締役社長の小野倫子氏は、出店の理由を「立地はもちろん、駐車場も併設している点が大きい」と説明。ファミリー層を中心に普及拡大を図りたい意向だ。

同店の売れ筋商品として"クロワッサン"を挙げた、イオンサヴール代表取締役社長の小野倫子氏。毎月6の付く日は1袋100円引きとなるプロモーションを各店舗で実施しているという

入居先の横浜ベイクォーターと言えば、2006年8月に横浜駅東口に開業した商業施設。横浜駅前という好立地でありながら、隣接地には超高層オフィスビルとタワーマンションが立ち並び、観光スポットであると同時に住宅エリアでもある。しかも、トレンドの発信地でもあり、情報感度の高い層が集まる場所だ。

これまでは本国・フランス同様に路面店への出店が多かった。横浜店の立地は、近隣住民のみならず、観光客を含めた多くの人にピカールブランドを認知してもらうには格好の場所とも言えるだろう。

フランス本国のピカールでは、2018年11月から店舗デザインを"マルシェ"(市場)をテーマにしたものに刷新しているが、新店舗では日本では初となる木目調であたたかみのあるデザインを採用。従来の店舗に比べると、スーパーというよりもコンビニエンスストアのような、親しみの持てる明るい雰囲気だ。

売場面積は約120平米。木目調のショーケースやディスプレーを採用し、日本における既存の店舗とは趣の異なる親しみやすい雰囲気となっている

さらに、同店ではイートインコーナーを併設。店内に電子レンジを設置して、購入した商品をその場で食べることができる他、既に一部店舗で実験的に導入していた、カフェコーナーも本格的に開始。人気商品であるクロワッサンやデザート、スナックとドリンクを組み合わせたセットメニューを提供し、買い物客が手軽に利用できる飲食需要にも応える。

店内の一角と店舗外に全部で18席の飲食スペースを併設。店内には自由に使える業務用の電子レンジが2台置かれ、購入した商品をその場で食べることができる
店内にあるカフェコーナー。購入した商品と一緒に楽しめるコーヒー、紅茶、オレンジジュースを販売する他、店内で焼き上げたクロワッサンなどとドリンクをセットにした「クロワッサンセット」(税抜278円)など、セットメニューも用意。オレンジジュースは店頭のジューサーでその場で作られる生絞りを提供する

また、ピカールとしては完全初の試みとなる、冷凍用のロッカーを設置。購入した商品を一時保管しておき、他店での買い物への利便性を高める。ロッカーは返却式のコイン型で、21時の営業終了後も23時まで利用できる。80リットル相当の容量のボックスが6つ設けられている。

専用のコインロッカー。店舗の外にあるため、21時の営業終了後も23時まで利用できる

商品配置の変更で「わかりやすさ」を向上

フランス発祥のピカールは、現在はイタリア、スイスなどヨーロッパ8カ国で1000店舗以上を展開。パンをはじめ、前菜、野菜など約1000品目を取りそろえるフランスに対して、日本で販売されているのは約360品目ほど。同店では国内の取り扱い品目のうち、ほぼすべてのアイテムを取り揃えるという。

「ラインアップは既存の店舗と同様ですが、すぐに食べられるデリ系の食品を目立つように置くなど、商品の配置を変更しています。野菜がたくさん食べられるメニューも提案していきたいです」(代表取締役社長・小野氏)とのことだ。

約360点ある商品は、野菜、ミート、シーフード、パン、デザートなどカテゴリー別に分類され、日本人にとってもわかりやすい商品展示
"アペリティフ(おつまみ)"や"取り分け料理(大皿料理)"のラインナップが充実しているのは、フランス発祥の冷凍食品スーパーならでは

共働き需要、ピカールの追い風となるか

フランスをはじめとする欧米諸国と同様に、日本でも近年、共働き世帯が増え、数年前についに有職主婦と専業主婦の割合が逆転した。

筆者が10余年前にフランスに在住していた時代から、多くの家庭で親しまれていたピカールの日本上陸は、個人的に大歓迎だった。だが、文化も食生活も大きく異なる日本において、どのように商品が消費者に受け入れられるかは、正直未知数であるという印象を当初持っていた。

聞くところによると、フランス本国においてもピカールは2年ほど前から積極的なイメージの刷新を図っているとのこと。横浜ベイクォーター店は、本国の路線をそのまま辿ったかたちで、"新しいピカール"を日本でいち早く取り入れた店舗ということになる。

アルコール類として、フランスのビールやワインを各種取り揃えているのもフランス発の店舗らしい

共働き世帯の増加に伴い、各家庭において家事の効率化や時短が求められる中、手軽に食べることができ、保存性も高い冷凍食品は有効な手段の1つ。その需要が今後日本においてもますます高まるのは必至だ。

日本のこうした社会構造の変化を追い風に受け、ピカールが日本の食卓にどのように浸透していくか。イオンサヴールの今後の戦略や取り組みに期待と注目が集まる。

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2019.06.17

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放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

カレー沢薫の時流漂流 第47回

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

2019.06.17

最近女性の間で「#MeToo」ならぬ「#KuToo」運動がにわかに盛り上がっている。

「#KuToo」とは「靴」と「苦痛」をかけており、職場や就職活動で、足を痛めるパンプスやヒール靴の強要をやめようという運動である。

そもそもそんなの誰も強要してねえよ、と思われるかもしれない。確かに規定として靴の形状やかかとの高さまで定めている会社はレアだろう。しかし、私の元いた会社でも、規則があるわけでも、誰に言われたでもなく、みな一様に黒のパンプスを履いていた。それが「暗黙のルール」であり、それ以外は「非常識」と見られる風潮は確かにあるのである。

これが就職活動になると、パンプスを履いていないだけで「こいつは常識がない」と見なされ不採用になってしまうかもしれない、ということだ。そうなると女子学生は足を負傷してでもパンプスを履かざるを得なくなってしまう。

正直、パンプスは苦痛

パンプスがそんなに苦痛か、というと、靴の中では殺傷能力が高い方である。これは他人への、という意味ではなく自分へのだ。他人を殺傷したいならカウボーイが履いている、かかとにピザカッターがついている奴を履いた方が良い。

狭いつま先に足の指が密集されるため、私もよく爪で隣の指を切って足を血だらけにしていたし、伸縮性にかける素材のため、あわないパンプスだと試着の時点で靴擦れが出来るレベルなのだ。

世の中には素肌に荒縄で亀甲縛りを施し、その上に上等なスーツを羽織って出社している人も多いと思う。とても痛いだろうが、それは強制されたわけではなく、その人が好きで楽しいからやっているのだ。

つまり、好きでもない上にとても痛いパンプスを強制で履かなければいけないというのは、上等なスーツの下が亀甲縛りなことよりも「異常」なことというわけだ。

この運動はすぐに広まり、いきなり国会でも議論されたという。これにより「厚労相がハイヒール強要を容認」という見出しのニュースまで踊り出ることになった。

完全に自由と言われても困るのでは?

「厚生省に、女がハイヒールを履かないと死ぬ病の人が!?」と驚いたが、記事をよく見ると見出しほどのことはなく、厚労相の発言は「これは社会通念に照らして業務上、必要かつ相等な範囲かと、この辺なんだろうと思います」というかなりボンヤリしたものであり、どっちでも良い事を聞かれた私のリアクションに似ている。

しかし「ハイヒールが履けない女は何やってもダメ」などと強い事を言っているわけではないが、「業務上必要ならパンプス履くべきだろ」という「容認」に聞こえなくもない。すぐさま「業務上ハイヒールが必要な仕事って何だよ」という疑問が挙がり、「SMの女王様」「(ハイヒールでキレッキレに踊る)perfume以外ありえない」などの声が相次いだ。

この社会問題がすぐ大喜利になってしまうのは良くも悪くも「ザ・ツイッター」という感じだ。

確かに「業務上必要」となると、まだかかとにピザカッターがついている靴の方が「ピザを食う時」必要な気がする。

ただ、靴や服装を完全に自由化し、何でもOKにすれば良いかというと、それはそれで問題が起きると思う。ファッションに疎くコーディネートが苦手な人間からすれば、職場に何を着ていいのか全く「指針」がないというのは迷子になるし、接する側としても、車を買いにいってディーラーが、イモ―タンジョ―の完コスで出てきたら「キャデラックしか買うことを許されないのか」と委縮してしまう。就活マナー本に「俺の考えた最強の就活ファッションで挑みましょう」とだけ書かれていても逆に困るだろう

着る側としても、それに接する側としても、社会において服装にある程度規定や模範があるというのはメリットでもあるのだ。

そもそも規定や常識というのは、秩序を作ることにより問題を減らすためにあるものなのだ。しかしそれが元で「足を負傷する」という「問題」が起こっているなら本末転倒なので、やはり解消はすべきなのだろう。

極論に流れない寛容さが足りない

おそらく「#KuToo」を提唱している人も「ドラゴン柄のコンバースで就活したい」と言っているわけではないのだ。最近は「パンプスに見えるスニーカー」なども存在するし、パンプスでなくても地味な靴はいくらでもある。そのような靴を履いていても「パンプスじゃないから非常識」と見るのをやめてほしいという話だろう。

ちなみに私が会社員時代履いていたパンプスだが、黒の革靴ではあったが、つま先は限りなく丸く、ヒールはなきに等しい、今思えばあれはパンプスだったのか、70過ぎのババアが旅行に行くときに履くヤツなんじゃないか、という代物であったが、特に何も言われなかった。

「#KuToo」が求めるのも、そのぐらいの「寛容さ」なのではないだろうか。

【お知らせ】
連載「カレー沢薫の時流漂流」の掲載場所を変更します。
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