BMWの新型「3シリーズ」に試乗! 性能は正当進化、気になる点は…

BMWの新型「3シリーズ」に試乗! 性能は正当進化、気になる点は…

2019.03.15

7代目となった新型「3シリーズ」に試乗

走り出しから「駆けぬける歓び」を実感できる性能に納得

デジタル化と大型化がトレンドの自動車業界に感じる違和感

BMWの「3シリーズ」が7年ぶりにフルモデルチェンジし、7代目となった。「駆けぬける歓び」を標榜するBMWの主力商品だけあって、先代より大型化したボディサイズは決して鈍重な印象を与えず、走り出しから力を発揮するエンジンの性格もあり、走りは軽やかだ。ただ、気になる点があったのも事実なので、そのあたりも含めて試乗の感想をお伝えしたい。

BMWの新型「3シリーズ」に試乗した

運転の楽しさを宿命づけられたBMWの“小型”モデル

初代3シリーズは1975年に誕生した。そのルーツとなっているのは「2002系」と呼ばれた小型セダンであり、始祖は1966年に発売となった「1600-2」という2ドアセダンである。1968年に生まれた「2002」は「マルニー」などと呼ばれて日本でも愛好され、ことに1973年の「2002 ターボ」は、まだターボチャージャーが稀だった当時、スポーツカーではなくセダンに高性能エンジンを搭載したことで話題となった。

戦後、BMWの主力となったのはこうした小型セダンだった。ドイツ車の中でも、運転を楽しむクルマとして、BMWの価値が決定づけられたといえるだろう。従って、3シリーズはBMWの主力として、運転の楽しいセダンあるいはステーションワゴン(BMWではツーリングと呼ぶ)であることが求められ続けている。

新型3シリーズも、車体こそ大柄になったとはいえ、運転の歓びを感じさせる作りであることに変わりはなかった。

新型「3シリーズ」のボディサイズは全長4,715mm、全幅1,825mm、全高はグレードによって異なり、「320i」が1,440mm、「330i」が1,430mmとなっている

BMWの象徴であるキドニーグリルは、従来よりも立体的な造形となり、フロントボンネットフードを長く見せている。逆にリアは、流れるような姿とすることで、速さを造形においても伝えてくる。

前後タイヤ間のホイールベースは先代より40mm長くなったが、同時にトレッド(左右タイヤ間の距離)を拡大することで、踏ん張りの効いた動きの鋭さを高めている。重心は10mm下げて、安定性を向上させた。ボディサイズは大型化しているものの、重量は約55kgも軽く仕上がっている。

こうした改良により、BMWは新型3シリーズを大型化しながら、決して鈍重ではなく、軽快で運転の楽しい4ドアセダンに仕立てたとの説明である。

2.0リッターの直列4気筒ガソリン直噴ターボエンジンを積む新型3シリーズは、BMWの伝統にもなっているフロントエンジン・リアドライブ(FR)を踏襲する。最大出力は日本専用の「320i」というグレードで184ps、「330i」で258psだ。

2.0リッターの直列4気筒ガソリン直噴ターボエンジンを搭載

発進・停止を繰り返すシーンでも感じる優れた走行性能

試乗したのは、市販されている車種では現時点で最上級に位置づけられる「330i M Sport」だ。運転を始めてすぐ、軽やかに走るクルマであるとの印象を受けた。

BMWは重量配分で前後が50:50となる設計にこだわっている。試乗車の車両重量は1,630kgで、重量配分は前が830kg、後ろが800kgだった。一般的に、FRのクルマは前後の重量配分が6:4くらいであることが多い。前後重量の調和はBMWにとって、クルマを軽快に仕上げる上で欠かせない要素の1つだ。

新型「3シリーズ」の価格をグレード別に見ていくと、「320i SE」(2019年半ば頃に発売、受注生産)が452万円、「320i Standard」が523万円、「320i M Sport」が583万円、「330i M Sport」が632万円となっている。試乗車はオプションを含め計724万2,000円だった

エンジンは最大出力258psを発生する高性能仕様だ。このクルマは毎分1,550回転(rpm)、つまり、アイドリングの少し上の領域から最大のトルクを発生する特性を与えられているので、アクセルペダルを少し踏み込むだけで、大きな力を発揮した。操作にも遅れはなく、軽快に走り出すことができる。

クルマに乗っていると、市街地で発進・停止を繰り返すシーンに遭遇する機会は多い。車体の軽さや、低い回転でも存分に力を出すエンジンは、そういった場面に快適さをもたらす。暮らしの中でも、BMWのブランドメッセージである「駆けぬける歓び」を実感できるのが新型「3シリーズ」だ。

高速道路へ入り速度が上がると、走行感覚は落ち着いた感じになる。肩の力を抜き、安心して運転を続けられるのは、欧州車に共通する乗車感覚だ。欧州では、クルマを高速で走らせる場面が多いことを実感させる。

新型「3シリーズ」は日々の暮らしの中でも走行性の高さを感じさせてくれるクルマだ

この新型3シリーズからBMWは、運転支援のためのセンサーに「3眼カメラ」を採用している。その効果もあってか、車線維持機能は格段に精度が上がった。車線維持の的確さも、高速走行時の安心感につながる。

これまでの3シリーズに比べると、後席にゆとりをより感じるようになっているのも新型の特徴だ。十分な大きさの座席に体をゆだねられるだけでなく、前の席の下へ爪先を差し入れることができるので、くつろいだ体勢でいられる。車内は静粛性に優れているので、前席との会話も楽しい。

荷室は見るからに広く、後席中央に通じる開け口があるので細長い荷物も積み込める。4ドアセダンとしての実用性にもぬかりがなく、細部にわたって配慮のきいた仕立てであることに満足できるだろう。

荷室は広く、細長い荷物も積み込める

デジタル化の弊害? 気になったのは視認性

一方で、気になる点もあった。まず、車体の寸法が大きくなったというだけでなく、運転中に車幅を確認しにくいため、車体の左端をガードレールや歩道の段差にぶつけないかと、運転中は常に不安だった。

車体の中心を知る目印が分かりにくいせいかと思ったが、実は、左端の様子を確認する時に1つの目安となるフロントウィンドウの支柱が、目の端で捉えられないせいだと気づいた。この傾向は、アウディ「A7」や「A8」にもいえることだ。

走行性能に優れていたり、速く走れるクルマであったりする印象を持たせるため、近年のクルマづくりでは、外観の造形でフロントボンネットフードを長く見せる手法が使われがちだ。その分、フロントウィンドウの支柱は乗員側へ寄ることになる。それにより、フロントウィンドウ全体が運転席に近づき、助手席側の支柱が目の隅で捉えにくくなるのである。

人間は、実際にそこへ目の焦点を合わせていなくても、目の端に様子が捉えられたり、あるいはそこに何かがあるという気配を感じられたりすると、安心するものだ。だが、その何かを視界に捉えられなかったり、例え首を回して見ても視界が遮られていたりすると、気配さえ感じられず、不安になる。

フロントウィンドウの視認性は気になる点だ

また、斜め右前方の視界が、フロントウィンドウの太い支柱と大きなドアミラーとによって遮られて死角となることで、対向車が迫り来るのを見損なったり、右カーブの先が判別しにくかったりもした。これも、運転に集中できなくする要因の1つだ。

新型3シリーズでは、速度やエンジン回転数を表示するメーターの中央に、カーナビゲーションの地図などを表示する仕様となっている。そのため、速度計は左側、エンジン回転計(タコメーター)は右側に配置されるのだが、タコメーターは、逆時計回りに針が回る方式となった。永年親しんできたメーターとは逆回転となるので、これも認識しにくい。なぜなら、針の回転し始めが右端となるため、運転中の視界の端で、その様子を捉えられないからだ。

慣れの問題かもしれないが、逆時計回りで針が回るタコメーターはエンジン回転数を認識しづらかった

左ハンドルであれば、運転者は車体の中央よりに目線を送って視野を確保するので、右側にあるタコメーターを視界に捉えられるのかもしれない。だが、右ハンドルでは、運転席側のドアミラーを確認する以外、右側を意識する機会が少ないので、タコメーターの動きを捉え損なうのである。

これら一連の不都合は、開発にコンピューターを活用する現代のクルマづくりに負う面があるのではないかと考えられる。コンピューターの画面上で多くのことを検証できる一方、他のクルマや二輪車、あるいは歩行者が存在する現実の道路状況の中で、運転者がその都度、何に注意を払い、どこへ目線を動かしているかまで、十分に検証できていないのではないだろうか。そして、いざ実験車両を使った走行試験を行ってみると、根本的な不具合に気がつく。そんな不具合や不都合を感じる新型車に試乗で出会うことがある。

「3シリーズ」試乗で考えたクルマづくりのこれから

今回の新型は、3シリーズの伝統を損なうことなく機能や性能を大幅に向上させ、「駆けぬける歓び」を体現する魅力を備えている。だが、実際に運転をしてみると、そうした機能や性能に没頭し切れない不安や不便を感じさせる部分があった。

車体寸法についても、前型に比べ当然のごとく大きくなり、1990年代後半から2000年代初頭に販売されていた「5シリーズ」に近くなっている。このように、新型車が登場するたびに大型化し、少し前の上級車種とサイズ的に同等になっていく昨今の傾向には懸念を覚える。それはBMWに限ったことではなく、世界の自動車メーカーについていえることだ。

大柄なクルマがあることに異論はない。だが、例えば3シリーズのように、運転することを嬉しく思わせる小型セダンであり、なおかつ、その俊敏性や機敏性が特徴であったような車種を、あえて大きくする意味がどこにあるのだろう。多少の大型化はあるとしても、そろそろ限度を超えていないだろうか。

「3シリーズ」に限った話ではないが、多くのクルマが当たり前のように大型化していく現状には疑問がある

世界の小型車の規範とさえいわれたフォルクスワーゲン「ゴルフ」も、現行の7代目については「大きすぎる」という声が聞こえ始めている。格下とされてきた同社の「ポロ」で十分だと考える人もいるようだ。メルセデス・ベンツは「Cクラス」を大きくする一方で、格下のAクラスにまで4ドアセダンを追加する予定だという。日本で“小ベンツ”と呼ばれた「190E」を源流とするCクラスの存在意義は、どこへいくのだろうか。

競合他社との比較にばかり目を奪われ、次々に新車を大型化していきながら、より小さなクルマを求める消費者に対しては、新たな小型車を提供する。こうした戦略では販売車種が増えるばかりで、営業の最前線では、売りやすいクルマしか売らないという結果になってしまうのではないだろうか。今後は、己の存在意義をしっかりと主張し、消費者に本物の価値を訴えかけるようなクルマが求められてくるのではないかと思う。

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20日、NTTドコモが特定の端末の購入を条件に通信料金を割り引く「docomo with」、購入する端末に応じて通信料金を割り引く「月々サポート」を終了する方針を固めたという報道が話題となっている。

国内のモバイル業界では携帯電話料金見直しが進んでおり、3月5日には総務省が中心に進めてきた端末代金と通信料金の分離が閣議決定された。NTTドコモは分離プランを軸とした新料金プランを4月に発表する見込みだ。

日本のモバイル市場を大きく変えるこの動きを「歴史的チャンス」と見ているのがファーウェイだ。2018年末から米中対立が加速する中、ファーウェイが打ち出すメッセージも語気を強めている。果たして日本市場でシェアを拡大できるのだろうか。

逆風吹けども、依然として業績は好調

今年に入り、ファーウェイの周辺が騒がしい。3月7日には、ファーウェイは米国政府を相手取って訴訟を起こした

さらにその内容をFacebookでライブ配信するなど、米国以外の世界市場に向けたメッセージにもしており、そのメッセージをまとめたウェブサイト「Huawei Facts」は、わざわざ日本語版も用意している。

2018年末から続く米中対立を巡る報道は、ファーウェイの業績にどのような影響を与えたのか。MWC19でインタビューに応じたファーウェイ・ジャパンの呉波氏は、「一部の消費者は影響を受けたが、2019年に入ってから売上は大幅に伸びている」と語った。

ファーウェイ デバイス 日本・韓国リージョン プレジデントの呉波(ゴ・ハ)氏

話題の「折りたたみスマホ」でもファーウェイは先行する。

ファーウェイに先立って折り畳みスマホを発表したサムスンだが、こちらはMWCではガラスケース内での「展示」のみにとどまったのに対し、ファーウェイは「Mate X」の実機を用いて報道関係者に折り曲げを試させるなど、製品化で一歩先を行っていることをアピールした。

ファーウェイの折りたたみスマホ「Mate X」。報道陣には手に取って折り曲げてみる機会も用意された

Mate Xは次世代移動通信の「5G」にも対応しており、日本では5Gサービスの開始を待って投入時期を見極める方針だという。

ちなみに3月26日に発表予定のフラグシップ機「HUAWEI P30」シリーズは、例年通りのタイミングで日本市場に投入するようだ。SIMフリーでの発売だけでなく、ドコモが採用した「HUAWEI P20 Pro」のように大手キャリアによる採用があるかどうかも注目したい。

分離プランを「歴史的チャンス」と捉えるワケ

一方、2019年の国内モバイル市場で話題となっているのが携帯料金における「分離プラン」の導入だ。KDDIとソフトバンクはすでに導入済みだが、NTTドコモは4月に発表する新料金プランから本格導入するとみられている。

分離プランの特徴は、NTTドコモの「月々サポート」のように回線契約と紐付けた端末の割引が禁止される点だ。端末の割引自体が禁止されるわけではないというものの、大幅な割引は難しくなる。その結果、10万円を超えるようなハイエンド機ではなく、3〜4万円で一括購入しやすいミッドレンジ機の需要が高まるとの見方が有力だ。

この動きをファーウェイはどう見ているのか。

呉氏は「非常に重要視している。スマホが登場したときや、SIMフリー市場が始まったときのインパクトに引けを取らない、歴史的な瞬間になる」と興奮気味に語る。

日本のSIMフリー市場でベストセラーとなった「HUAWEI P20 lite」を始め、ファーウェイのミッドレンジ機のラインアップは厚い。モデルによってはフラグシップと同じCPUでミッドハイの価格を実現するなど、コスパの高さも特徴だ。大手キャリア向けにさまざまな提案ができる体制といえる。

フラグシップと同じ「Kirin 980」搭載でミッドハイ価格の「HONOR View 20」

また、5G対応も順調だ。

モバイルWi-Fiルーターに強みを持つファーウェイは、MWC19でも5G対応ルーターを多く出展していた。日本ではまだ周波数の割り当てが終わっていないものの、国内大手キャリアは2019年内にもプレサービスを始める動きがある。5Gスマホが普及するまでの間、5Gルーターの需要は高まる可能性がある。

5G対応のモバイルWi-Fiルーターも出展していた

ミッドレンジ市場の拡大を狙って、今年はシャープやサムスン以外にも、ソニーモバイルの参入も予想されている。

この価格帯が激戦区になることは間違いないが、ファーウェイはその中で高コスパの製品ラインアップや、国内での地道な販促活動やブランドメッセージの打ち出しによって対抗していく構えだ。

ヨドバシカメラ梅田店での販促イベントの様子
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3月19日、米国で開催中のゲーム開発者会議「GDC 2019」の会場で、Googleがクラウドベースのゲーミングプラットフォーム「STADIA」を発表した。特定のゲーム機に縛られず、ネットに接続したスマホやパソコン、テレビを通してストリーミング(配信)形式でゲームをプレイできる。

この事業を担当するバイスプレジデントとして、STADIAを発表するフィル・ハリソン(Phil Harrison)氏。そもそも彼からして、元はソニーのプレイステーション立ち上げの主要メンバーで、その後Microsoftに移りXboxを担当したという経歴の持ち主

かねてより、MicrosoftのXbox事業のトップマネージャーを引き抜いた、ソニーでPlayStationのハード開発にかかわったエンジニアが転職したといった噂が頻繁に流れており、「Googleがゲーム市場に本格参入する」という憶測は強まっていた。実際に2018年には、Googleは「Project Stream」と呼ばれるストリーミング形式のゲーム基盤の計画を発表し、米国内でベータテスターを募って技術テストを行っていた。

STADIAは、Project Streamの延長線上にあるサービスと見られる。ユーザーは特定のゲーム機を持っている必要がなく、従来のゲーム機の役割をするのはGoogleの設置するデータセンターだ。簡単に言えばクラウドサービスのように、実際にゲームタイトルが動作しているのはデータセンター側で、ユーザーはインターネットを介してゲームを遠隔でプレイする。

STADIAのデータセンターから配信されたゲームをパソコンでプレイしている様子
パソコンで遊んでいたのと同じゲームを、タブレットやテレビでも同じように遊ぶことができる

このプラットフォームの特徴によって、例えばYouTubeで新作ゲームのトレーラー動画を見ていて気に入ったときには、そのページ内の「プレイする」ボタンを押すだけで、インストールすら不要で、動画を再生するかのようにそのゲームをプレイできるようになる。

そして、STADIAのデータセンターが持つゲーム機としてスペックは、サービス開始時のものとして、GPUの演算性能は10.7テラFlopsに達するといい、これはPlayStation 4 Proの4.2テラFlopsや、Xbox One Xの6.0テラFlopsを大きく上回る。映像品質も4K/60fpsのストリーミングに対応し、将来は8K/120fps対応も予定しているという。

STADIA用の「STADIAコントローラー」も販売する。SNSアップ用のボタンや、Googleアシスタントボタンが備わっている

Googleは2019年中にSTADIAをローンチする予定で、まずは米国、カナダ、欧州でサービスを開始すると説明している。発表を受けた翌20日の東京株式市場では、任天堂とソニーの株価が揃って大きく下落した。投資家たちが、GoogleのSTADIAによって、Nintendo SwitchやPlayStationのビジネスが脅かされると考えたからだ。

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