【NTTドコモ】海外でのM&Aの失敗を国内のM&Aに生かす

【NTTドコモ】海外でのM&Aの失敗を国内のM&Aに生かす

2016.07.13

【NTTドコモ】海外でのM&Aの失敗を国内のM&Aに生かす

国内最大の移動体通信業者

 NTTドコモ<9437>は、親会社のNTT(旧日本電信電話公社)によりサービスが開始された無線呼出(ポケットベル)の事業をルーツとしており、1991年8月にエヌ・ティ・ティ・移動通信企画株式会社として設立された。ドコモという社名の由来は、Do Communications Over The Mobile Network(移動通信網で実現する、積極的で豊かなコミュニケーション)の、頭文字をつづったものである(NTTドコモHP参照:https://www.nttdocomo.co.jp/corporate/about/outline/identity/)。

 92年には政府措置によりNTTから分離され、98年10月に東京証券取引所第一部に上場した。「iモード」の大ヒットなどにより、ITバブル期の2000年には、時価総額40兆円を超え営業利益は1兆円にも達した。そして現在、ドコモの携帯電話市場シェアは16年3月時点で国内トップの約45%である。

もろくも崩れた海外でのM&A戦略

 98年に上場したドコモは、00年のITバブルにかけて国内移動体通信事業者だけでなくIT企業として国内では圧倒的強さを誇っていた。98年に上場して以降、00年にかけてITバブルとともに株価は跳ね上がり、上場時約8.8兆円だった時価総額はわずか2年後の00年には4倍以上の40兆円にまで達した。この時、親会社のNTTの時価総額を10兆円以上引き離し日本企業トップとなった。

 当時、携帯電話事業はおろかヤフーBBのサービスを始める前のソフトバンクですら時価総額21兆円で、同時期のトヨタ自動車の時価総額が16兆円程度だったことを考慮すると、IT関連株の株価の高騰は異常だったことがよく分かる。

 また、この時のドコモの株価収益率(PER)[注1] は150倍以上、EV/EBITDA倍率[注2]は30倍以上であり、同時期の日経平均のPERが70倍前後(近年は15倍~20倍前後)とITバブルの影響もあり水準こそ高いものの、ドコモのような巨大企業がPER150倍以上になることは通常であれば極めて稀なことである。 [注1] : Price Earnings Ratioの略称。株価収益率。 株価と企業の収益力を比較することで株式の投資価値を判断する際に利用される。時価総額÷純利益、もしくは、株価÷1株当たり利益(EPS)で算出される。[注2]:「簡易買収倍率」ともよばれ、企業の割安性を測る指標。 EV(企業価値)がEBITDA(営業利益+減価償却費)の何倍になっているかを測る 。

 こういった株高を背景に、ドコモの海外でのM&Aは00年前後のITバブル期に集中している。例えば、英ハチソンテレフォン、蘭KPNモバイル、米AT&Tなど、1千億円を優に上回る巨額のM&Aを集中して行っている。

■NTTドコモの行った主なM&A
年月 概要
1999.12 香港のハチソンテレフォンカンパニーに2,000億円出資し、株式の19%取得。
2000.05
オランダの携帯電話会社KPNモバイルに5,000億円出資し、株式の15%取得。
2000.11 米AT&Tの携帯電話事業部門であるAT&Tワイヤレスへ1兆800百億円出資し、株式の16%取得。
2001.01
ビットワレット(現楽天Edy)にソニーなどとともに57億円出資し、株式の5%取得。
2005.04
三井住友カードに増資引き受け等を通じて987億円出資し、株式の34%取得。
2005.11 タワーレコード(東京)に業務提携を目的とし128億円出資し、株式の42%取得。
2005.12 韓国2位の移動体通信事業者KTに増資引き受け等を通じて655億円出資し、株式の6%取得。
2006.01 フジテレビジョンの株式2.6%を207億円で取得。
2006.01 フィリピンの通信事業者PLDT社へ、筆頭株主から株式6.4%を1700億円出資し取得。
2006.03 グアム島および北マリアナ諸島の移動体通信事業者であるグアムセイラー社およびグアムワイアレス社を83億円で株式100%取得し買収。
2006.04 ローソンへ自己株式の譲受により株式の2%を91億円で取得し資本参加。
2006.12 角川グループホールディングスの株式4%を40億円出資し取得。
2007.01 日本テレビ放送網の株式3%を134億円で取得。
2007.06 ゼンリンの高品質な地図データベースと高度な地図データ配信技術を有するゼンリンデータコムの株式10.3%を取得。
2007.06 ファミリーマートの自己株式譲受により株式の3%を90億円で取得。
2009.02 ドコモとエイベックス・エンタテインメントは、新たにエイベックス通信放送を共同出資により設立。ドコモの出資比率は30%で取得価額21億円。
2009.03 インドのタタ・グループ持株会社タタ・サンズ、およびタタ・サンズ傘下の通信事業者TTSLの株式27%を2,667億円出資し取得。
2009.04 エクササイズ商材や健康食品、CD等、ネット通信販売会社オークローンマーケティングの株式51%を310億円出資し子会社化。
2011.12 2009年共同出資により設立されたmmbiへ300億円追加出資し株式の9.5%を追加取得。
2012.03 有機、低農薬野菜と無添加食品の会員制宅配サービスを展開している、らでぃっしゅぼーやを公開買付により69億円で株式の14%取得し買収。
2012.06 2005年に出資していたタワーレコードの株式8.2%を買い増し子会社化。
2013.03 ファッションサイト「MAGASEEK」などを運営するマガシークの株式を公開買付により20億円で株式の71%取得。
2013.05 メディカルデータベース事業を展開する日本アルトマークの株式77.5%を26億円で取得。
2013.08 東京放送ホールディングス及びTBSテレビと業務提携により株式の3%を70億円で取得。
2014.01 料理教室最大手「ABCクッキングスタジオ」を運営するABC HDの発行済普通株式取得により株式51%を200億円で取得。

 00年には、国内携帯電話市場では99年2月から開始したデータ通信サービス「iモード」の大ヒットによりドコモは圧倒的なシェアを持っていた。

 しかし、既に飽和状態になりつつある国内市場において、ドコモにとって海外への進出は必須の課題だった。また、01年にはこれまで国や地域ごとに異なっていた通信方式が次世代携帯電話で統合されるという差し迫った問題もあった。

 こうした状況下、世界市場を攻略するには携帯電話会社のグループ化とネットワークを共同構築することが必要だった。そのため、ドコモは資本参加する際の出資比率を20%以下に抑える一方、次世代サービスに向けた先進技術・ノウハウを供与するという戦略を打ち出した。データ通信性能が高い次世代携帯電話ではiモードのようなネット接続サービスが中心となると考え、必要となる無線通信技術と運営ノウハウを提携関係の担保とする戦略であった。

 ドコモが海外での提携関係を築こうとする中、ライバルの英ボーダフォン・グループは米エアタッチを約6兆2千億円で買収。さらに、米通信大手ベル・アトランティックとの米携帯電話事業を統合し、約17兆7千億円規模で独マンネスマンを買収と、巨額のM&Aにより英独米の三市場を制していた。

 こういったライバル企業の動向が、「iモード」で世界の携帯市場の主導権を握りたいドコモにとって、00年前後の巨額M&Aを急がせる動機となり、それとともに00年以降ドコモは手許資金が減少し、借入の割合が増加している。

■現預金・借入の割合推移

※2003年3月期より米国会計基準へ変更

■自己資本比率

 しかしながら、ドコモに限らずこの時期に行われた巨額M&Aの大半は結局失敗に終わっている。

 M&Aで先行していた英ボーダフォン・グループについては、01年3月期に約1兆6千7百億円の最終赤字を計上し、同じくドコモについても、累計2兆円近くを欧米、アジアの通信会社に投じ、その後、AT&Tなど出資先4社の収益環境の悪化に対応し、1兆円を超す損失を出し株式売却を余儀なくされている。

 ドコモは当初、経営権を握れない部分出資でも、「iモード」などの技術供与料や出資先の会社が株式を上場した時の株式売却益などで投資のリターンは十分確保できると見ていたが、ITバブルの崩壊とともに巨額M&Aを繰り返してきた欧米各社が行き詰まり、それに続く形でドコモも巨額M&Aの減損処理に追い込まれたのである。

海外M&Aの失敗を教訓に、国内M&Aでは事業の多角化を図る

 度重なる海外でのM&Aの失敗の経験から、ドコモは通信会社としてではなく、携帯電話を核とする総合サービス企業に転身を図ろうとしている。

 09年、テレビ通販「オークローンマーケティング」を皮切りに、有機野菜宅配サービス「らでぃっしゅぼーや」、CD販売「タワーレコード」と異業種の買収・子会社化を積極的に展開している。これらのM&Aでは、提携先とのシナジーを発揮するだけでなく、ドコモのサービスそのものへの取り込みも行われている。

 その一例が、dショッピングである。ここではオークローンマーケティングの通販商品や、らでぃっしゅぼーやの有機野菜を取り扱う。また、dショッピングからタワーレコードのオンラインショップへのリンクも用意している。

 こういったM&Aの方針転換は、将来的には音声通話収入の減少や、スマートフォンのデータ通信料の伸び悩みも見据えたものであり、ドコモは音声通話とデータ通信に頼らない収益構造の構築を急いでいる。

■上場来業績推移

※2003年3月期より米国会計基準へ変更

 ドコモ財務内容を見ると、自己資本比率はITバブル以降も非常に高い水準を保っている。営業収益こそ年々減少傾向にあるものの、利益水準は維持しており、収益構造の効率化が見受けられる。また、株価についてはITバブル期の異常なPERを除き近年は15倍~20倍前後と比較的安定しており、国内携帯電話キャリアNo.1の企業であり、かつ安定した高配当銘柄として、株主も安定していることが伺える。

■各社年度末シェア 推移

※一般社団法人 電気通信事業者協会データベース(http://www.tca.or.jp/database/)より

 海外のM&Aの失敗から国内のM&Aに回帰した感のあるドコモであるが、どちらかというと守りのM&Aを行っているように見える。海外での大胆なM&Aがことごとく失敗したため、地に足の付いたM&Aを行っていくことが今のドコモにとって最善という結論に至ったのかも知れない。

変わりゆく国内携帯電話市場

 近年、音声通話の定額プランや仮想移動体通信事業者(MVNO)[注3]による格安携帯、2年契約の途中解約における違約金の解除など、携帯電話市場は大きな転換期にあり、これまでほぼ独占状態にあったドコモをはじめとする大手携帯電話会社各社にとって収益構造の多角化や事業展開の工夫が求められている。[注3]:「Mobile Virtual Network Operator」、日本語では「仮想移動体通信事業者」。 大手キャリアなどから無線通信基盤を借り受け、独自サービスを加えて提供する企業のこと。

 15年春、携帯電話に挿入されているSIMカードのロックが解除できるSIMロックの解除が義務化された。SIMロックとは、携帯電話利用者が購入したキャリアのSIMカードしか読み込まないようにする仕組みのことで、これによってユーザーの囲い込みができるといわれている。

 しかし、今回SIMロックの解除が義務化されたことで、例えばスマートフォンの中に入れるICチップを交換するだけで今までと異なるキャリアでスマートフォンを利用できるようになった。

 これを機に、ドコモなどの大手キャリアから回線を借りて格安SIM・格安スマホを展開するMVNOが急激に増加、契約者数も同様に増えている。大手携帯キャリアに対してMVNOは、初期費だけでなく利用料も安いことが、消費者心理に大きな影響をもたらしている。。

 これまで多くのユーザーが携帯電話を買う際には、割賦(分割払い)を利用しており、大手キャリアのほとんどは24回にわたって通信料を割り引くことでスマートフォンなどの実質価格を抑えていた。しかし今後は、携帯電話はそのままにキャリアだけ乗り換えるといったことが当たり前になると考えられる。

 政府主導の携帯電話市場の自由化により利用者にとってはより安くより便利に、これまでほぼ市場を独占してきた大手キャリア3社にとって、これまで以上にM&Aを視野に入れた経営戦略、それに伴う業態転換や経営の効率化が求められるようになった。

 急激に市場が変化していく中で、ドコモのこれまでのM&A戦略が正しいかどうかを見極めるのは時期尚早と言えそうだが、携帯電話利用者の立場からすれば、過去の海外での巨額M&Aの失敗経験を生かし、より安くより便利にサービスを受けられることにつながるような今後のM&A戦略に期待したい。

この記事は、企業の有価証券報告書などの開示資料、また新聞報道を基に、専門家の見解によってまとめたものです。

まとめ:M&A Online編集部

NewsInsight 更新終了のお知らせ

NewsInsight 更新終了のお知らせ

2019.06.17

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最後になりますが、改めて皆様に感謝いたしますとともに、引き続き、マイナビニュースにてご愛顧いただけましたら幸いです。

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

カレー沢薫の時流漂流 第47回

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

2019.06.17

最近女性の間で「#MeToo」ならぬ「#KuToo」運動がにわかに盛り上がっている。

「#KuToo」とは「靴」と「苦痛」をかけており、職場や就職活動で、足を痛めるパンプスやヒール靴の強要をやめようという運動である。

そもそもそんなの誰も強要してねえよ、と思われるかもしれない。確かに規定として靴の形状やかかとの高さまで定めている会社はレアだろう。しかし、私の元いた会社でも、規則があるわけでも、誰に言われたでもなく、みな一様に黒のパンプスを履いていた。それが「暗黙のルール」であり、それ以外は「非常識」と見られる風潮は確かにあるのである。

これが就職活動になると、パンプスを履いていないだけで「こいつは常識がない」と見なされ不採用になってしまうかもしれない、ということだ。そうなると女子学生は足を負傷してでもパンプスを履かざるを得なくなってしまう。

正直、パンプスは苦痛

パンプスがそんなに苦痛か、というと、靴の中では殺傷能力が高い方である。これは他人への、という意味ではなく自分へのだ。他人を殺傷したいならカウボーイが履いている、かかとにピザカッターがついている奴を履いた方が良い。

狭いつま先に足の指が密集されるため、私もよく爪で隣の指を切って足を血だらけにしていたし、伸縮性にかける素材のため、あわないパンプスだと試着の時点で靴擦れが出来るレベルなのだ。

世の中には素肌に荒縄で亀甲縛りを施し、その上に上等なスーツを羽織って出社している人も多いと思う。とても痛いだろうが、それは強制されたわけではなく、その人が好きで楽しいからやっているのだ。

つまり、好きでもない上にとても痛いパンプスを強制で履かなければいけないというのは、上等なスーツの下が亀甲縛りなことよりも「異常」なことというわけだ。

この運動はすぐに広まり、いきなり国会でも議論されたという。これにより「厚労相がハイヒール強要を容認」という見出しのニュースまで踊り出ることになった。

完全に自由と言われても困るのでは?

「厚生省に、女がハイヒールを履かないと死ぬ病の人が!?」と驚いたが、記事をよく見ると見出しほどのことはなく、厚労相の発言は「これは社会通念に照らして業務上、必要かつ相等な範囲かと、この辺なんだろうと思います」というかなりボンヤリしたものであり、どっちでも良い事を聞かれた私のリアクションに似ている。

しかし「ハイヒールが履けない女は何やってもダメ」などと強い事を言っているわけではないが、「業務上必要ならパンプス履くべきだろ」という「容認」に聞こえなくもない。すぐさま「業務上ハイヒールが必要な仕事って何だよ」という疑問が挙がり、「SMの女王様」「(ハイヒールでキレッキレに踊る)perfume以外ありえない」などの声が相次いだ。

この社会問題がすぐ大喜利になってしまうのは良くも悪くも「ザ・ツイッター」という感じだ。

確かに「業務上必要」となると、まだかかとにピザカッターがついている靴の方が「ピザを食う時」必要な気がする。

ただ、靴や服装を完全に自由化し、何でもOKにすれば良いかというと、それはそれで問題が起きると思う。ファッションに疎くコーディネートが苦手な人間からすれば、職場に何を着ていいのか全く「指針」がないというのは迷子になるし、接する側としても、車を買いにいってディーラーが、イモ―タンジョ―の完コスで出てきたら「キャデラックしか買うことを許されないのか」と委縮してしまう。就活マナー本に「俺の考えた最強の就活ファッションで挑みましょう」とだけ書かれていても逆に困るだろう

着る側としても、それに接する側としても、社会において服装にある程度規定や模範があるというのはメリットでもあるのだ。

そもそも規定や常識というのは、秩序を作ることにより問題を減らすためにあるものなのだ。しかしそれが元で「足を負傷する」という「問題」が起こっているなら本末転倒なので、やはり解消はすべきなのだろう。

極論に流れない寛容さが足りない

おそらく「#KuToo」を提唱している人も「ドラゴン柄のコンバースで就活したい」と言っているわけではないのだ。最近は「パンプスに見えるスニーカー」なども存在するし、パンプスでなくても地味な靴はいくらでもある。そのような靴を履いていても「パンプスじゃないから非常識」と見るのをやめてほしいという話だろう。

ちなみに私が会社員時代履いていたパンプスだが、黒の革靴ではあったが、つま先は限りなく丸く、ヒールはなきに等しい、今思えばあれはパンプスだったのか、70過ぎのババアが旅行に行くときに履くヤツなんじゃないか、という代物であったが、特に何も言われなかった。

「#KuToo」が求めるのも、そのぐらいの「寛容さ」なのではないだろうか。

【お知らせ】
連載「カレー沢薫の時流漂流」の掲載場所を変更します。
→ 新しい掲載場所はこちら https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu