ファーウェイの米政府提訴、落しどころが無い? 混乱に拍車

ファーウェイの米政府提訴、落しどころが無い? 混乱に拍車

2019.03.08

ファーウェイが米政府を提訴、要旨をまとめる

5G時代を主導するファーウェイを排除できるのか

対立は収束の目途立たず、鍵を握るのはトランプ大統領?

中国Huawei TechnologiesとHuawei Technologies USA(以下、ファーウェイ)が、米国政府を相手取って、米連邦地裁に訴えを起こした。

米国市場でのファーウェイ製品排除を定めた米国防権限法が、米合衆国憲法に違反しているとの訴えで、該当する条項の撤回を求めている。昨年から続く米政府とファーウェイの係争は新たな局面を迎えたことになる。

ファーウェイ取締役副会長兼輪番会長 郭平氏(左から5番目)、同 上級副社長兼最高法務責任者 宋柳平氏(左から4番目)

提訴の要旨とファーウェイの主張

ファーウェイが提訴したのは、米連邦議会が国防予算のために策定する国防権限法の2019年度版(NDAA2019)の889条だ。これは、米政府機関において、中国ハイテク企業からの調達禁止などを定めており、この条項がファーウェイを狙い撃ちにしていて憲法違反というのが提訴の理由だ。

特に同社は、米政府機関が直接ファーウェイ製品を調達した場合だけでなく、ファーウェイ製品を導入している企業が政府機関と契約を結ぶことすらも禁止する点を問題視。仮に米政府と関係のない取引であっても制限される可能性があることから、「不当な攻撃であり、懲罰的」とファーウェイの最高法務責任者である宋柳平氏は訴える。

そもそも、889条を「多くの誤り、検証や証明を経ていない主張にもとづいて定められている」と批判している。889条の適用に当たり、裏付けとなる具体的な証拠が何一つ提示されていないことを問題視し、法ではなく政治的な意図があるのではないかと疑念の目を向ける。

米議会で同法適用を採決する際に、議員からファーウェイを攻撃する発言があったことに対しても、「意図的で懲罰的で、ファーウェイの名誉を損ね、弁明の機会も与えられていない」と批判する。

「他国が(ファーウェイ製品によって)高度な5G技術を使い、米国を追い越すことが心配なのだろうか。もしかしたら、ファーウェイを封じ込めることで何らかの利益が得られると誤った認識を持っているのではないか」(ファーウェイ 取締役副会長兼輪番会長 郭平氏)。

米政府が懸念する中国政府との関係について、「ファーウェイが中国政府の影響を受けており、安全保障上の懸念がある」としているのは、「中傷である」と切って捨てる。同社は「まったく事実に反しており、ファーウェイは中国政府が所有するわけではなく、支配や影響も受けていない」という立場を強調する。

建前上の争点となっているセキュリティ上の懸念については、ここ数年のデータとして、セキュリティホールが最も多い企業10社のうち、9社が米国企業だったことや、WannaCry(ランサムウェア)問題、Intel、AMD、ARMのCPUに発生した脆弱性も例に挙げつつ、「こうした問題でファーウェイと関係のあったものは一つもない」と反論。

そしてファーウェイはセキュリティを重視する企業だと改めて強調し、「170以上の国や地域で事業を行い、30年の間、セキュリティ上の問題を起こしたことはない。今までも、これからも、ファーウェイ製品にバッグドアを設けることはない」と、セキュリティ面を強調した。

ファーウェイ排除は業界全体に打撃?

そもそも、「ファーウェイ製品」と言っても、グローバル化したサプライチェーンにおいては、さまざまな国の部品やサービスから成り立っている。同社は「通常、ファーウェイの製品に使われているファーウェイ製の部品は30%しかない」と説明しており、実際、2018年の日本からの部品調達額などは60億ドルにも上ったという。

また逆に、「欧米メーカーの製品」であっても、その内部には中国企業の部品が多く使われていたり、生産工場が中国だったりする。例えば、2016年でのAppleサプライヤーは766社あり、そのうちの約半数、実に364社は中国にある会社であったという。iPhoneの半分は中国製なのだ。

ファーウェイの最新スマホ「Mate X」。5Gに対応し、本体を折りたたむこともできる

同社は、「より重要なのは、ファーウェイの顧客に損害を与えた点。米政府と取引を行う企業が、先進的なファーウェイの技術を利用できなくなることで、米国の消費者も最先端の技術が利用できなくなる」と主張する。

5G時代の影響が懸念されることからも、ファーウェイは譲らない。同社は5Gの研究開発で世界をリードしており、関連する基礎特許の取得数は2570件を超えた。2019年には、50以上の国や地域で5G電波の割り当てが行われるが、そのうち1/3は同社がカバーするという。同社はすでに30以上の5G商用契約を結び、4万局以上の5G基地局を出荷する世界最大の5Gベンダーになってしまっている。

同社は「ファーウェイがいなくなれば、米国民は5Gネットワークの本来不要だったコストを負担することになる」と訴えている。

ついに明確な対立が始まり、落しどころ見えず

米中の経済摩擦に端を発して、中国の代表的ハイテク企業であるファーウェイに対する締め付けが緩む気配は無い。かつての日本がそうだったように、米政府は経済的な摩擦の問題に対して、規制を強めることで対処する傾向がある。一方の中国は中国で、いまでも企業に対する国家による統制が根強く、信頼が高いとは言えない。

ファーウェイはこれまで、中国政府とは無関係であり、グローバルでビジネスを展開していても問題がなかったと主張する程度で、積極的に対応措置をとるほどには動いていなかった。今回は同社の郭平副会長が「これまでできる限りの努力をしてきたが、法廷で争うしか選択肢がない」と話すところまで追い込まれており、全面的に米政府と対決する意向を示した。

米政府は貿易摩擦に不満を持つ米国民の世論を味方にファーウェイ排除を進めてきたが、ファーウェイ側も889条によって米国民に損害が出るという点を強調することで米世論に訴え、法廷を有利に進めたいという思惑が透ける。

ファーウェイは現時点で5Gネットワークを先導する立場であり、排除は米国の不利益に繋がるというロジックだが、排除が米国以外にも拡大すれば、5Gを主導する立場さえも揺るぎかねないという危機感がある。このタイミングで訴えを起こすことで、これ以上の排除拡大を防ぎたい狙いもありそうだ。

今後の行方はまったく不透明だ。少なくとも物事の正当性だけで決まる単純な争いにはならない。ファーウェイは米議会の889条決定について、「トランプ大統領も米議会の越権行為を懸念する表明をしていた」と指摘するが、表明云々とは裏腹に、現実としてトランプ大統領はすでに署名を済ませ889条を承認してしまっている。ファーウェイの訴訟に対して改めて「あの大統領」がどう動くかなどは、だれにも分からない。行方を見守るしかない状況だ。

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20日、NTTドコモが特定の端末の購入を条件に通信料金を割り引く「docomo with」、購入する端末に応じて通信料金を割り引く「月々サポート」を終了する方針を固めたという報道が話題となっている。

国内のモバイル業界では携帯電話料金見直しが進んでおり、3月5日には総務省が中心に進めてきた端末代金と通信料金の分離が閣議決定された。NTTドコモは分離プランを軸とした新料金プランを4月に発表する見込みだ。

日本のモバイル市場を大きく変えるこの動きを「歴史的チャンス」と見ているのがファーウェイだ。2018年末から米中対立が加速する中、ファーウェイが打ち出すメッセージも語気を強めている。果たして日本市場でシェアを拡大できるのだろうか。

逆風吹けども、依然として業績は好調

今年に入り、ファーウェイの周辺が騒がしい。3月7日には、ファーウェイは米国政府を相手取って訴訟を起こした

さらにその内容をFacebookでライブ配信するなど、米国以外の世界市場に向けたメッセージにもしており、そのメッセージをまとめたウェブサイト「Huawei Facts」は、わざわざ日本語版も用意している。

2018年末から続く米中対立を巡る報道は、ファーウェイの業績にどのような影響を与えたのか。MWC19でインタビューに応じたファーウェイ・ジャパンの呉波氏は、「一部の消費者は影響を受けたが、2019年に入ってから売上は大幅に伸びている」と語った。

ファーウェイ デバイス 日本・韓国リージョン プレジデントの呉波(ゴ・ハ)氏

話題の「折りたたみスマホ」でもファーウェイは先行する。

ファーウェイに先立って折り畳みスマホを発表したサムスンだが、こちらはMWCではガラスケース内での「展示」のみにとどまったのに対し、ファーウェイは「Mate X」の実機を用いて報道関係者に折り曲げを試させるなど、製品化で一歩先を行っていることをアピールした。

ファーウェイの折りたたみスマホ「Mate X」。報道陣には手に取って折り曲げてみる機会も用意された

Mate Xは次世代移動通信の「5G」にも対応しており、日本では5Gサービスの開始を待って投入時期を見極める方針だという。

ちなみに3月26日に発表予定のフラグシップ機「HUAWEI P30」シリーズは、例年通りのタイミングで日本市場に投入するようだ。SIMフリーでの発売だけでなく、ドコモが採用した「HUAWEI P20 Pro」のように大手キャリアによる採用があるかどうかも注目したい。

分離プランを「歴史的チャンス」と捉えるワケ

一方、2019年の国内モバイル市場で話題となっているのが携帯料金における「分離プラン」の導入だ。KDDIとソフトバンクはすでに導入済みだが、NTTドコモは4月に発表する新料金プランから本格導入するとみられている。

分離プランの特徴は、NTTドコモの「月々サポート」のように回線契約と紐付けた端末の割引が禁止される点だ。端末の割引自体が禁止されるわけではないというものの、大幅な割引は難しくなる。その結果、10万円を超えるようなハイエンド機ではなく、3〜4万円で一括購入しやすいミッドレンジ機の需要が高まるとの見方が有力だ。

この動きをファーウェイはどう見ているのか。

呉氏は「非常に重要視している。スマホが登場したときや、SIMフリー市場が始まったときのインパクトに引けを取らない、歴史的な瞬間になる」と興奮気味に語る。

日本のSIMフリー市場でベストセラーとなった「HUAWEI P20 lite」を始め、ファーウェイのミッドレンジ機のラインアップは厚い。モデルによってはフラグシップと同じCPUでミッドハイの価格を実現するなど、コスパの高さも特徴だ。大手キャリア向けにさまざまな提案ができる体制といえる。

フラグシップと同じ「Kirin 980」搭載でミッドハイ価格の「HONOR View 20」

また、5G対応も順調だ。

モバイルWi-Fiルーターに強みを持つファーウェイは、MWC19でも5G対応ルーターを多く出展していた。日本ではまだ周波数の割り当てが終わっていないものの、国内大手キャリアは2019年内にもプレサービスを始める動きがある。5Gスマホが普及するまでの間、5Gルーターの需要は高まる可能性がある。

5G対応のモバイルWi-Fiルーターも出展していた

ミッドレンジ市場の拡大を狙って、今年はシャープやサムスン以外にも、ソニーモバイルの参入も予想されている。

この価格帯が激戦区になることは間違いないが、ファーウェイはその中で高コスパの製品ラインアップや、国内での地道な販促活動やブランドメッセージの打ち出しによって対抗していく構えだ。

ヨドバシカメラ梅田店での販促イベントの様子
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3月19日、米国で開催中のゲーム開発者会議「GDC 2019」の会場で、Googleがクラウドベースのゲーミングプラットフォーム「STADIA」を発表した。特定のゲーム機に縛られず、ネットに接続したスマホやパソコン、テレビを通してストリーミング(配信)形式でゲームをプレイできる。

この事業を担当するバイスプレジデントとして、STADIAを発表するフィル・ハリソン(Phil Harrison)氏。そもそも彼からして、元はソニーのプレイステーション立ち上げの主要メンバーで、その後Microsoftに移りXboxを担当したという経歴の持ち主

かねてより、MicrosoftのXbox事業のトップマネージャーを引き抜いた、ソニーでPlayStationのハード開発にかかわったエンジニアが転職したといった噂が頻繁に流れており、「Googleがゲーム市場に本格参入する」という憶測は強まっていた。実際に2018年には、Googleは「Project Stream」と呼ばれるストリーミング形式のゲーム基盤の計画を発表し、米国内でベータテスターを募って技術テストを行っていた。

STADIAは、Project Streamの延長線上にあるサービスと見られる。ユーザーは特定のゲーム機を持っている必要がなく、従来のゲーム機の役割をするのはGoogleの設置するデータセンターだ。簡単に言えばクラウドサービスのように、実際にゲームタイトルが動作しているのはデータセンター側で、ユーザーはインターネットを介してゲームを遠隔でプレイする。

STADIAのデータセンターから配信されたゲームをパソコンでプレイしている様子
パソコンで遊んでいたのと同じゲームを、タブレットやテレビでも同じように遊ぶことができる

このプラットフォームの特徴によって、例えばYouTubeで新作ゲームのトレーラー動画を見ていて気に入ったときには、そのページ内の「プレイする」ボタンを押すだけで、インストールすら不要で、動画を再生するかのようにそのゲームをプレイできるようになる。

そして、STADIAのデータセンターが持つゲーム機としてスペックは、サービス開始時のものとして、GPUの演算性能は10.7テラFlopsに達するといい、これはPlayStation 4 Proの4.2テラFlopsや、Xbox One Xの6.0テラFlopsを大きく上回る。映像品質も4K/60fpsのストリーミングに対応し、将来は8K/120fps対応も予定しているという。

STADIA用の「STADIAコントローラー」も販売する。SNSアップ用のボタンや、Googleアシスタントボタンが備わっている

Googleは2019年中にSTADIAをローンチする予定で、まずは米国、カナダ、欧州でサービスを開始すると説明している。発表を受けた翌20日の東京株式市場では、任天堂とソニーの株価が揃って大きく下落した。投資家たちが、GoogleのSTADIAによって、Nintendo SwitchやPlayStationのビジネスが脅かされると考えたからだ。

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