「ミニ」とフィアット「500」がコンパクトなのに大人に見える理由

森口将之のカーデザイン解体新書 第13回

「ミニ」とフィアット「500」がコンパクトなのに大人に見える理由

2019.02.28

プレミアムコンパクトの両雄に見るデザイン戦略

勘所を押さえた引き算の美学

各所に盛り込まれたヘリテージ性が独特の存在感を生み出す

英国の「ミニ」とイタリアのフィアット「500」は、ともにレトロタッチのコンパクトカーとして根強い人気を誇る。なぜ、この2台は日本のコンパクトカーと違って見えるのだろうか。デザイン面から考えてみた。

「ミニ」(画像は「5ドア」)とフィアット「500」は独特の雰囲気を持つコンパクトカーだ

ミニが大人っぽく見えるワケ

今年は「大英帝国の小さな巨人」とかつて言われたコンパクトカー「ミニ」が誕生して60周年という記念すべき年だ。

ミニは1959年、当時のBMC(ブリティッシュ・モーター・コーポレーション)が生み出したクルマだ。その後、メーカーが何度か再編されていく中でも生産が続き、現在はBMW傘下のブランドとなっている。

BMW製となって以降、ミニはプレミアムコンパクトへの転身を図り、その戦略は成功した。現在はオリジナルボディの「3ドア」のほか、「5ドア」および「コンバーチブル」、ひとまわりサイズの大きな「クロスオーバー」、ワゴンの「クラブマン」と、全部で5つのボディタイプを持つファミリーに成長している。

ミニ「クラブマン」

同じように、かつてのコンパクトカーがプレミアムコンパクトとして生まれ変わった輸入車というと、イタリアのフィアット「500」が思い浮かぶ。先代の500が生まれたのは1957年とミニの2年前。1977年に生産を終了するが、誕生50周年を迎えた2007年に復活を遂げた。

500にはオリジナルの3ドアのほか、カブリオレの「500C」、やや大柄な5ドアクロスオーバーの「500X」、さらに、わが国での販売はないが500Xと同等のサイズを持つワゴンの「500L」、これのリアを伸ばして3列シートとした「500Lワゴン」がある。

フィアット「500」

BMWプロデュースのミニがデビューした時、筆者は、1987年に日産自動車が当時の「マーチ」をベースに限定販売した「Be-1」を思い出した。丸いヘッドランプや台形のプロポーションなど、Be-1はクラシックミニを参考にしたようなデザインだったが、新生ミニはそのBe-1をモチーフとしたのではないかという気がした。

日産自動車「Be-1」

でも、ミニはBe-1より大人っぽく見えた。理由を今、自分なりに考えてみると、フロントグリルが落ち着きをプラスしていたこと、シックなボディカラーが用意されていたこと、そして、英国車というイメージが大人っぽさを感じさせたということ、この3つがポイントだったのではないかと思っている。

もちろん、クロームメッキのグリルはクラシックミニから継承したものだし、ブリティッシュグリーンをはじめとする渋いボディカラーも、クラシックミニに用意されていたものだ。

エメラルド・グレーのミニ「5ドア」

ついでに言えば、1950~60年代の英国車は華やかな色が少なく、ロンドンの空を思わせるような微妙なカラーが英国車らしさを表現していたとも思っている。それを見越したカラーバリエーションだったなら、さすがというほかない。

しかも、BMWプロデュースのミニは丸目の顔と台形フォルム以外にも、キャラクターラインを持たないボディサイド、縦長のリアコンビランプ、インテリアではインパネ中央の大きく丸いメーターなど、クラシックミニの特徴を継承している。

ミニ「3ドア」ジョンクーパーワークス(JCW)の内装
ミニ「3ドア」ジョンクーパーワークス(JCW)のリアコンビランプ

紛れもなく「500」に見せるデザインの技

クラシックのデザイン哲学に則ったクルマづくりを行っている点はフィアット500も同じだ。パワートレインを見れば、横置きフロントエンジン・前輪駆動というメカニズムを継承したミニに対し、500は先代の縦置きリアエンジン・後輪駆動から横置きフロントエンジン・前輪駆動へと180度以上の方向転換を遂げているが、真横から見たプロポーションに大きな変化はない。昔のフォルムを受け継ぐことに相当こだわったのだろう。素晴らしい仕事だと思う。

それだけではなく、現行500は小動物のような顔つきや、ミニに似た縦長のリアコンビランプ、ボディ同色のインパネなどに加え、正月に飾る鏡餅を思わせる上下2段のスタイリングも先代と同じテイストだ。だから、紛れもなく500に見える。

先代のスタイリングを受け継ぐフィアット「500」

細かく見れば、センターピラーを黒塗りとしているところなど、ミニと500にはクラシックと異なる箇所もけっこうある。でも、多くの人がミニであり、500であると認めるのは、オリジナルで目立つ部分はどこかを研究し、その部分だけを上手に取り込んだメリハリの付け方がなせるわざなのではないかと思っている。

それは、ミニと同じくBMWが開発した英国の超高級車「ロールス・ロイス」や、昨年日本でも復活したフランスの「アルピーヌ」などにも共通する考え方だ。エッセンスだけを取り入れて、あとはシンプルに仕上げている。

左が旧型、右が新型「アルピーヌ」

ミニのクロスオーバーやフィアットの500Xなど、オリジナルには存在しなかったボディを違和感なくラインナップに加えてしまえるのも、勘所を押さえたデザイン戦略があってこそだろう。作り手は、どこがミニらしく、どこが500らしいのかを熟知しているに違いない。

日本車と欧州車のカーデザインで異なるところの1つとして、前者には足し算のデザインが多く、後者には引き算のデザインが多いのではないかと考えている。もちろん例外はあるけれど、より具体的に言えば、日本車は欧州車よりも線が多い傾向があると感じる。

線だけではない。バンパーのインテーク(空気取り入れ口)にしても、インテリアの素材の使い分けにしても、日本車は演出が過ぎると思ってしまう車種が少なくない。やはり、心配性なのだろうか。万人に受け入れてもらおうと思うがゆえに、要素が多くなってしまうのかもしれない。ただ、演出が少ないクルマの方が、落ち着いて見えるのは事実である。

しかも、ミニと500のオリジナルが生まれたのは半世紀以上も前であり、長い歴史を生き抜いてきたブランドだという側面もある。作り手も、そのようなヘリテージ性を各所に盛り込んでいる。それが、単なる可愛らしいコンパクトカーでは終わらない、独特の立ち位置を生み出しているのではないだろうか。

長い歴史を感じさせるヘリテージ性もフィアット「500」の魅力だ

JCWとアバルトにも漂う落ち着き感

それは、2台をベースにしたスポーツモデル、ミニ「ジョンクーパーワークス」(JCW)とアバルト「595/695」についても言える。アバルト695は1.4Lターボから最高出力132kW(180ps)、ミニJCWは2Lターボから同170kW(231ps)を発生させるという高性能車であるが、エアロパーツやストライプ、アルミホイールなどの造形は控えめであり、乗り心地も荒くないので普段使いできる。

ミニ「3ドア」のジョンクーパーワークス(JCW)

以前聞いた話では、アバルト595/695はフィアット500の上級版として購入するユーザーも多いという。ミニJCWもそうだろう。良し悪しは別として、メルセデス・ベンツのAMGのような買い方をする人が多くなっているのだ。

確かに、ミニJCWやアバルト595/695は、高い性能のみならず、そういったユーザーをも満足させるような上質な雰囲気を備えている。高価な値付けに見合う内容なのだ。高性能版というと、リアに巨大なウイングを装着しがちな一部の日本車とは、目指す方向が全く違うことが分かる。

アバルト「695C Rivale」

ミニも500もプレミアムコンパクトという位置付けなので、コンパクトカーではあるが若者向けには仕立てていない。いわば小さな高級車であり、ユーザーの年齢層もそれなりに高いことが想像できる。

自分を含め、そのあたりの年齢のユーザーには、若返りたいという気持ちはあるけれど、若者向けのモノと付き合いたいわけではないという人が多いのではないだろうか。ミニと500に共通する、可愛らしい顔つきと大人っぽい仕立てを両立した姿からは、私たちの嗜好を熟知した作り手の洗練された手腕が見てとれる。

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20日、NTTドコモが特定の端末の購入を条件に通信料金を割り引く「docomo with」、購入する端末に応じて通信料金を割り引く「月々サポート」を終了する方針を固めたという報道が話題となっている。

国内のモバイル業界では携帯電話料金見直しが進んでおり、3月5日には総務省が中心に進めてきた端末代金と通信料金の分離が閣議決定された。NTTドコモは分離プランを軸とした新料金プランを4月に発表する見込みだ。

日本のモバイル市場を大きく変えるこの動きを「歴史的チャンス」と見ているのがファーウェイだ。2018年末から米中対立が加速する中、ファーウェイが打ち出すメッセージも語気を強めている。果たして日本市場でシェアを拡大できるのだろうか。

逆風吹けども、依然として業績は好調

今年に入り、ファーウェイの周辺が騒がしい。3月7日には、ファーウェイは米国政府を相手取って訴訟を起こした

さらにその内容をFacebookでライブ配信するなど、米国以外の世界市場に向けたメッセージにもしており、そのメッセージをまとめたウェブサイト「Huawei Facts」は、わざわざ日本語版も用意している。

2018年末から続く米中対立を巡る報道は、ファーウェイの業績にどのような影響を与えたのか。MWC19でインタビューに応じたファーウェイ・ジャパンの呉波氏は、「一部の消費者は影響を受けたが、2019年に入ってから売上は大幅に伸びている」と語った。

ファーウェイ デバイス 日本・韓国リージョン プレジデントの呉波(ゴ・ハ)氏

話題の「折りたたみスマホ」でもファーウェイは先行する。

ファーウェイに先立って折り畳みスマホを発表したサムスンだが、こちらはMWCではガラスケース内での「展示」のみにとどまったのに対し、ファーウェイは「Mate X」の実機を用いて報道関係者に折り曲げを試させるなど、製品化で一歩先を行っていることをアピールした。

ファーウェイの折りたたみスマホ「Mate X」。報道陣には手に取って折り曲げてみる機会も用意された

Mate Xは次世代移動通信の「5G」にも対応しており、日本では5Gサービスの開始を待って投入時期を見極める方針だという。

ちなみに3月26日に発表予定のフラグシップ機「HUAWEI P30」シリーズは、例年通りのタイミングで日本市場に投入するようだ。SIMフリーでの発売だけでなく、ドコモが採用した「HUAWEI P20 Pro」のように大手キャリアによる採用があるかどうかも注目したい。

分離プランを「歴史的チャンス」と捉えるワケ

一方、2019年の国内モバイル市場で話題となっているのが携帯料金における「分離プラン」の導入だ。KDDIとソフトバンクはすでに導入済みだが、NTTドコモは4月に発表する新料金プランから本格導入するとみられている。

分離プランの特徴は、NTTドコモの「月々サポート」のように回線契約と紐付けた端末の割引が禁止される点だ。端末の割引自体が禁止されるわけではないというものの、大幅な割引は難しくなる。その結果、10万円を超えるようなハイエンド機ではなく、3〜4万円で一括購入しやすいミッドレンジ機の需要が高まるとの見方が有力だ。

この動きをファーウェイはどう見ているのか。

呉氏は「非常に重要視している。スマホが登場したときや、SIMフリー市場が始まったときのインパクトに引けを取らない、歴史的な瞬間になる」と興奮気味に語る。

日本のSIMフリー市場でベストセラーとなった「HUAWEI P20 lite」を始め、ファーウェイのミッドレンジ機のラインアップは厚い。モデルによってはフラグシップと同じCPUでミッドハイの価格を実現するなど、コスパの高さも特徴だ。大手キャリア向けにさまざまな提案ができる体制といえる。

フラグシップと同じ「Kirin 980」搭載でミッドハイ価格の「HONOR View 20」

また、5G対応も順調だ。

モバイルWi-Fiルーターに強みを持つファーウェイは、MWC19でも5G対応ルーターを多く出展していた。日本ではまだ周波数の割り当てが終わっていないものの、国内大手キャリアは2019年内にもプレサービスを始める動きがある。5Gスマホが普及するまでの間、5Gルーターの需要は高まる可能性がある。

5G対応のモバイルWi-Fiルーターも出展していた

ミッドレンジ市場の拡大を狙って、今年はシャープやサムスン以外にも、ソニーモバイルの参入も予想されている。

この価格帯が激戦区になることは間違いないが、ファーウェイはその中で高コスパの製品ラインアップや、国内での地道な販促活動やブランドメッセージの打ち出しによって対抗していく構えだ。

ヨドバシカメラ梅田店での販促イベントの様子
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3月19日、米国で開催中のゲーム開発者会議「GDC 2019」の会場で、Googleがクラウドベースのゲーミングプラットフォーム「STADIA」を発表した。特定のゲーム機に縛られず、ネットに接続したスマホやパソコン、テレビを通してストリーミング(配信)形式でゲームをプレイできる。

この事業を担当するバイスプレジデントとして、STADIAを発表するフィル・ハリソン(Phil Harrison)氏。そもそも彼からして、元はソニーのプレイステーション立ち上げの主要メンバーで、その後Microsoftに移りXboxを担当したという経歴の持ち主

かねてより、MicrosoftのXbox事業のトップマネージャーを引き抜いた、ソニーでPlayStationのハード開発にかかわったエンジニアが転職したといった噂が頻繁に流れており、「Googleがゲーム市場に本格参入する」という憶測は強まっていた。実際に2018年には、Googleは「Project Stream」と呼ばれるストリーミング形式のゲーム基盤の計画を発表し、米国内でベータテスターを募って技術テストを行っていた。

STADIAは、Project Streamの延長線上にあるサービスと見られる。ユーザーは特定のゲーム機を持っている必要がなく、従来のゲーム機の役割をするのはGoogleの設置するデータセンターだ。簡単に言えばクラウドサービスのように、実際にゲームタイトルが動作しているのはデータセンター側で、ユーザーはインターネットを介してゲームを遠隔でプレイする。

STADIAのデータセンターから配信されたゲームをパソコンでプレイしている様子
パソコンで遊んでいたのと同じゲームを、タブレットやテレビでも同じように遊ぶことができる

このプラットフォームの特徴によって、例えばYouTubeで新作ゲームのトレーラー動画を見ていて気に入ったときには、そのページ内の「プレイする」ボタンを押すだけで、インストールすら不要で、動画を再生するかのようにそのゲームをプレイできるようになる。

そして、STADIAのデータセンターが持つゲーム機としてスペックは、サービス開始時のものとして、GPUの演算性能は10.7テラFlopsに達するといい、これはPlayStation 4 Proの4.2テラFlopsや、Xbox One Xの6.0テラFlopsを大きく上回る。映像品質も4K/60fpsのストリーミングに対応し、将来は8K/120fps対応も予定しているという。

STADIA用の「STADIAコントローラー」も販売する。SNSアップ用のボタンや、Googleアシスタントボタンが備わっている

Googleは2019年中にSTADIAをローンチする予定で、まずは米国、カナダ、欧州でサービスを開始すると説明している。発表を受けた翌20日の東京株式市場では、任天堂とソニーの株価が揃って大きく下落した。投資家たちが、GoogleのSTADIAによって、Nintendo SwitchやPlayStationのビジネスが脅かされると考えたからだ。

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