KDDIがスマートマネー構想で大勝負へ、6兆円規模のau経済圏が実現か

KDDIがスマートマネー構想で大勝負へ、6兆円規模のau経済圏が実現か

2019.02.13

KDDIはスマホ金融を促進し、通信との融合を目指す

グループ金融サービス会社のブランドを「au」に統一

スマホ決済強化に、au IDのキャリアフリー化も進める

KDDIの高橋誠社長が12日、「スマートマネー構想」として金融・決済サービスをさらに強化する戦略を発表した。今年4月に新たに中間金融持ち株会社を設立して、グループ内の金融サービス事業者を集約し、金融・決済サービスを促進していく。高橋社長は「スマートフォン・セントリックな金融、スマホ金融が今後重要になる」と指摘し、スマートフォンをベースにして通信・金融・決済の融合を目指していく考えだ。

KDDIの高橋誠社長

金融持ち株会社を新設しブランドを統一

新たに設立されるのはauフィナンシャルホールディングス。傘下には銀行としてじぶん銀行、決済としてKDDIフィナンシャルサービス、ウェブマネー、投資運用としてKDDIアセットマネジメント、再保険のKDDI Reinsuranceをそれぞれ移管する。同時に、従来は三菱UFJ銀行と折半していたじぶん銀行の出資比率を63.78%まで引き上げ、KDDIの連結子会社化する。カブドットコム証券も公開買付によって子会社化する。

じぶん銀行の連結子会社化などを含めて、金融・決済サービスを「整理整頓」(高橋社長)して金融持ち株会社に移管する
カブドットコム証券を含めた金融・決済サービス各社のブランドを統一する

損害保険のau損保とカブドットコム証券はauフィナンシャルホールディングスの傘下ではないが、auフィナンシャルホールディングス傘下の5社にこの2社を含めた7社は、auブランドを冠した社名に変更する。じぶん銀行はauじぶん銀行、KDDIフィナンシャルサービスはauフィナンシャルサービス、ウェブマネーはau PAY、カブドットコム証券はauカブコム証券などとなり、auブランドをさらに押し出す。

元来、金融サービスに積極的だったKDDI

KDDIは、従来から金融サービスを重視してきた。2008年にはじぶん銀行を設立し、決済サービスでは2010年のauかんたん決済を開始。2014年にはau WALLET構想を打ち出し、サービスの強化を図った。

これまでの同社の金融・決済サービス

au WALLET構想では、「グッバイ・おサイフ!」というスローガンで決済サービスを提供。ポイントサービスの強化、プリペイドカードの提供、じぶん銀行との連携などを進めてきたが、2018年にはau WALLET会員が2,000万を突破。この2,000万の会員が全て決済用口座を所有していることになり、高橋社長は「これが大事なこと」と強調する。

伸び率は低下しているが、すでに2,000万会員を獲得しているau WALLET
約4,000万のauユーザーが利用することで、ポイントを含めてすでに1,000億円以上の残高があるという

多くの企業がQRコード決済をリリースして話題になっているが、この決済サービスに紐付く決済口座が必要で、これに2,000万口座を活用するというのが同社の戦略だ。すでにプリペイドカードのau WALLETカードに現金をチャージしたり、ポイントを貯めたりしている分で、この2,000万口座に「控えめに言って」(高橋社長)1,000億円以上が貯められているという。

「これをベースにして、金融の循環をどうしてもらうかが課題」と高橋社長。実店舗での決済、オンライン決済などでau WALLET口座から決済してもらい、同社サービスなどで構築された「au経済圏」の拡大を図る。

金融商品やeコマースなど、auユーザーを中心としたau経済圏は2.5兆円規模に達している

鍵握る「スマホ金融」、キャリアフリー化してでも拡大

この戦略の鍵となるのが「スマホ金融」だ。まずはスマートフォン決済の強化として、QRコード決済の「au PAY」を4月に開始。従来のau WALLETカードなども継続するが、中小型店舗への導入に適したQRコード決済を提供することで、au経済圏の拡大を図る。19年度早々には、おサイフケータイ、非接触決済のQUICPay、QRコード決済といったスマートフォン決済全体で100万カ所の対応店へ拡大する。

スマートフォンだけで完結する金融商品を強化することで、au経済圏をさらに拡大する

KDDIの営業による加盟店開拓を行うほか、楽天との協業によって楽天ペイ対応店への拡大に加え、食べログとも連携し、飲食店への加盟店開拓を強化していく。「すでに100万カ所(の加盟店拡大)は見えている。QRコード決済(対応店)だけで数十万カ所はできるのでは」と高橋社長。同様の加盟店数は、例えばLINE Payも100万カ所を達成しており、大型店以外にどれだけ拡大できるかが鍵になるだろう。

決済ではすでにクレジットカードやプリペイドカードもあるが、QRコード決済で中小店舗にも拡大する
食べログとの連携では、加盟店への送客などでも貢献したい考え

こうした戦略において、会員IDのau IDがキャリア限定となっている点も課題で、今夏にもキャリアフリー化を実施する。同時に、決済、ポイントの各サービスもキャリアフリー化し、誰でも会員となり、決済/ポイントサービスが利用できるようになる。長く携帯電話のauユーザー向けのサービスとしていただけに、「我々にとっては一大イベント」と高橋社長は力を込める。

ID、決済、ポイントをauユーザー以外にも開放する

中心となるのはスマートフォンで、従来のau WALLETアプリを拡張して主力に据える。預金・送金、カード、投資、ローン、保険などの契約が、全てau WALLETアプリ経由でスマートフォンから行えるようにする。

スマートフォンで完結する決済・金融サービスをau WALLETアプリを中心に提供する

au WALLETアプリではポイントやチャージした残高が確認でき、そこからQR決済やeコマース、各種の金融商品へ誘導することで、経済圏での利用を促進する。じぶん銀行による個人間送金や残高の払い出しが可能なほか、出金・送金機能はさらに拡充する。auのiDeCo、ポイント運用、お釣り投資、少額ローンといったサービス拡充も続ける。

au WALLETアプリの例
すでに対応しているサービス以外にも、今後ポイント運用などのサービスを随時提供していく

KDDIの柱と位置づけ、6兆円規模の金融サービスへ

KDDIは、「通信とライフデザインの融合」を戦略の柱としてきた。中心となるのはユーザーと通信であることには変わりないが、ライフスタイルをデザインするサービスを提供することで、ユーザーとの繋がりを強化し、通信の長期利用に繋げるという戦略だ。

au WALLETから一連の金融・決済サービスへと拡大する戦略

その中で金融・決済サービスは重要な位置づけだ。通信会社として「これだけ金融関係のサービスを準備しているのはKDDIだけ」であり、固定・携帯の通信サービスを使えば自動的に貯まるポイントを活用できる仕組みは「通信会社ならでは」だ。そしてauユーザー4,000万という顧客基盤があり、しかもすべてのユーザーが通信料金を支払っているという意味で「口座がアクティブに生きている」。この3点を強みとして、2021年度には決済・金融取扱高を6兆円規模まで拡大することを狙う。

同じ通信事業者としては、新たに携帯事業に参入する楽天も多くの顧客基盤と巨大な経済圏を抱えていて、銀行業参入が近づくLINEも同様だ。こうした中、QR決済としては後発のKDDIが、いかに利用拡大に繋げられるか。今後の舵取りに注目したい。

NewsInsight 更新終了のお知らせ

NewsInsight 更新終了のお知らせ

2019.06.17

NewsInsightは、諸般の事情により記事更新を終了いたします。

ご愛顧いただいた読者の皆様、また関係者の皆様に、編集部一同、誠に感謝いたします。

なお、NewsInsightに掲載中の記事につきましては、引き続きマイナビニュース(https://news.mynavi.jp)へと掲載場所を移管いたします。

掲載中の連載記事につきましても同様に、マイナビニュースへ移管いたします。各連載記事の新しい掲載URLにつきましては、以下となります。

○安東弘樹のクルマ向上委員会!
https://news.mynavi.jp/series/andy

○森口将之のカーデザイン解体新書
https://news.mynavi.jp/series/cardesign

○清水和夫の自動運転ソシオロジー
https://news.mynavi.jp/series/autonomous_car

○ゲームとともに振り返る“平成”という時代
https://news.mynavi.jp/series/game_heisei

○岡安学の「eスポーツ観戦記」
https://news.mynavi.jp/series/e-Sports_review

○企業戦士に贈る「こむぎのことば」
https://news.mynavi.jp/series/komuginokotoba

○藤田朋宏の必殺仕分け人
https://news.mynavi.jp/series/shiwakenin

○「食べる」をつくる科学と心理
https://news.mynavi.jp/series/food_science

○阿久津良和のITビジネス超前線
https://news.mynavi.jp/series/itbiz

○山下洋一のfilm@11
https://news.mynavi.jp/series/filmat11

○モノのデザイン
https://news.mynavi.jp/series/designofthings

○知って納得、ケータイ業界の"なぜ"
https://news.mynavi.jp/series/mobile_business

○文具ソムリエール・菅未里の「新しいコンパス」
https://news.mynavi.jp/series/bungu

○活字・写植・フォントのデザインの歴史 - 書体設計士・橋本和夫に聞く
https://news.mynavi.jp/series/font-history

○カレー沢薫の時流漂流
https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu

最後になりますが、改めて皆様に感謝いたしますとともに、引き続き、マイナビニュースにてご愛顧いただけましたら幸いです。

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

カレー沢薫の時流漂流 第47回

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

2019.06.17

最近女性の間で「#MeToo」ならぬ「#KuToo」運動がにわかに盛り上がっている。

「#KuToo」とは「靴」と「苦痛」をかけており、職場や就職活動で、足を痛めるパンプスやヒール靴の強要をやめようという運動である。

そもそもそんなの誰も強要してねえよ、と思われるかもしれない。確かに規定として靴の形状やかかとの高さまで定めている会社はレアだろう。しかし、私の元いた会社でも、規則があるわけでも、誰に言われたでもなく、みな一様に黒のパンプスを履いていた。それが「暗黙のルール」であり、それ以外は「非常識」と見られる風潮は確かにあるのである。

これが就職活動になると、パンプスを履いていないだけで「こいつは常識がない」と見なされ不採用になってしまうかもしれない、ということだ。そうなると女子学生は足を負傷してでもパンプスを履かざるを得なくなってしまう。

正直、パンプスは苦痛

パンプスがそんなに苦痛か、というと、靴の中では殺傷能力が高い方である。これは他人への、という意味ではなく自分へのだ。他人を殺傷したいならカウボーイが履いている、かかとにピザカッターがついている奴を履いた方が良い。

狭いつま先に足の指が密集されるため、私もよく爪で隣の指を切って足を血だらけにしていたし、伸縮性にかける素材のため、あわないパンプスだと試着の時点で靴擦れが出来るレベルなのだ。

世の中には素肌に荒縄で亀甲縛りを施し、その上に上等なスーツを羽織って出社している人も多いと思う。とても痛いだろうが、それは強制されたわけではなく、その人が好きで楽しいからやっているのだ。

つまり、好きでもない上にとても痛いパンプスを強制で履かなければいけないというのは、上等なスーツの下が亀甲縛りなことよりも「異常」なことというわけだ。

この運動はすぐに広まり、いきなり国会でも議論されたという。これにより「厚労相がハイヒール強要を容認」という見出しのニュースまで踊り出ることになった。

完全に自由と言われても困るのでは?

「厚生省に、女がハイヒールを履かないと死ぬ病の人が!?」と驚いたが、記事をよく見ると見出しほどのことはなく、厚労相の発言は「これは社会通念に照らして業務上、必要かつ相等な範囲かと、この辺なんだろうと思います」というかなりボンヤリしたものであり、どっちでも良い事を聞かれた私のリアクションに似ている。

しかし「ハイヒールが履けない女は何やってもダメ」などと強い事を言っているわけではないが、「業務上必要ならパンプス履くべきだろ」という「容認」に聞こえなくもない。すぐさま「業務上ハイヒールが必要な仕事って何だよ」という疑問が挙がり、「SMの女王様」「(ハイヒールでキレッキレに踊る)perfume以外ありえない」などの声が相次いだ。

この社会問題がすぐ大喜利になってしまうのは良くも悪くも「ザ・ツイッター」という感じだ。

確かに「業務上必要」となると、まだかかとにピザカッターがついている靴の方が「ピザを食う時」必要な気がする。

ただ、靴や服装を完全に自由化し、何でもOKにすれば良いかというと、それはそれで問題が起きると思う。ファッションに疎くコーディネートが苦手な人間からすれば、職場に何を着ていいのか全く「指針」がないというのは迷子になるし、接する側としても、車を買いにいってディーラーが、イモ―タンジョ―の完コスで出てきたら「キャデラックしか買うことを許されないのか」と委縮してしまう。就活マナー本に「俺の考えた最強の就活ファッションで挑みましょう」とだけ書かれていても逆に困るだろう

着る側としても、それに接する側としても、社会において服装にある程度規定や模範があるというのはメリットでもあるのだ。

そもそも規定や常識というのは、秩序を作ることにより問題を減らすためにあるものなのだ。しかしそれが元で「足を負傷する」という「問題」が起こっているなら本末転倒なので、やはり解消はすべきなのだろう。

極論に流れない寛容さが足りない

おそらく「#KuToo」を提唱している人も「ドラゴン柄のコンバースで就活したい」と言っているわけではないのだ。最近は「パンプスに見えるスニーカー」なども存在するし、パンプスでなくても地味な靴はいくらでもある。そのような靴を履いていても「パンプスじゃないから非常識」と見るのをやめてほしいという話だろう。

ちなみに私が会社員時代履いていたパンプスだが、黒の革靴ではあったが、つま先は限りなく丸く、ヒールはなきに等しい、今思えばあれはパンプスだったのか、70過ぎのババアが旅行に行くときに履くヤツなんじゃないか、という代物であったが、特に何も言われなかった。

「#KuToo」が求めるのも、そのぐらいの「寛容さ」なのではないだろうか。

【お知らせ】
連載「カレー沢薫の時流漂流」の掲載場所を変更します。
→ 新しい掲載場所はこちら https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu