自動車業界は「100年に1度」の大変革、100年企業のヤナセはどう向き合うのか

自動車業界は「100年に1度」の大変革、100年企業のヤナセはどう向き合うのか

2019.02.13

ヤナセの吉田多孝社長にインタビュー

新車販売中心からバリューチェーンでの収益創出へ

クルマは「所有」から「利用」へ、輸入車販売に影響は

自動車業界は今、「CASE」と「MaaS」をキーワードとする激変の只中にある。電動化や自動化などでクルマそのものの在り方が変わりつつあり、人とクルマの付き合い方が「所有」から「利用」へと移行するとの未来予想は、いまや規定路線であるかのように語られている。「100年に1度」ともいわれる大変革に、輸入車販売の老舗であり100年を超える歴史を持つヤナセはどう立ち向かうのか。吉田多孝(よしだ・かずたか)社長に話を聞いた。

東京・芝浦のヤナセ本社。三井物産の機械部にいた梁瀬長太郎(やなせ・ちょうたろう)氏が独立し、「梁瀬商会」(後のヤナセ)を設立したのは1915年(大正4年)のことだ

吉田氏がヤナセの第8代社長に就任したのは2018年6月のことだ。伊藤忠商事出身の社長は、現会長の井出健義(いで・たけよし)氏に続き2人目となる。伊藤忠はヤナセに66%を出資する親会社だ。

吉田氏は、伊藤忠への入社後、すぐに自動車部門に配属となった。その後は海外勤務などを経験しながら、執行役員として自動車・建機部門長、機械カンパニープレジデントなどを歴任した。その過程で、ヤナセの社外取締役を務めたこともある。

自動車関連の仕事で長い経験を持つ吉田氏だが、ヤナセの社長として直面するのは、自動車業界に押し寄せる大変革の荒波だ。この先、どのような舵取りを見せてくれるのか。ここからはインタビューの模様をお伝えしたい。

ヤナセの吉田社長

ヤナセの顧客像に変化の兆し

――ヤナセの社長に就任することをどのようにお感じになりましたか?

吉田社長:足掛け38年伊藤忠に在籍し、振り出しが自動車で、2003年に伊藤忠がヤナセに出資した後の2010年には、自動車・建機の部門長を担当しました。社外取締役を数年経験するなど、ヤナセとは浅からぬ縁を感じています。伊藤忠でのサラリーマン生活を卒業するにあたり、縁のある会社で仕事をさせていただけるよい機会と感謝しています。

伊藤忠時代に自動車部門を経験したといっても、ビジネスはB to B(企業間取引)が多かった。ヤナセはB to C(企業対消費者取引)の企業です。伊藤忠でもいくらかの経験はありますが、自然体でいけたらと思います。その中で、何かヤナセに深く根付いたものとは違う、新しい空気や風も送り込めるかもしれません。

ヤナセ本社ビルの1階にあるメルセデス・ベンツのショールーム

――ヤナセの社長に就任して8カ月ほどですが、社内に入っての実感はいかがですか?

吉田社長:ヤナセには、お客様第一主義を深く掘り下げてきた歴史と伝統があります。一方で、消費者の志向や年齢層は時代とともに変化しているので、これまでの伝統と、これからの変革をどう融合していくかを考えています。永年お付き合いいただいている既納客の中にも、「セールスには家まで来てもらわなくてもいい」という感覚が出てきているかもしれません。ましてネットの時代では、事前に情報を収集し、店へは実車の確認に訪れるだけという買い方も増えてきています。

例えば、メルセデス・ベンツをお求めになるお客様に、以前はある一定の顧客像がありましたが、今日では、メーカー側もより若いお客様に向けた商品を供給するようになり、販売の仕方や、お客様との接し方にも多様性が求められるようになっています。

ヤナセ本社ビルの1階にあるアウディのショールーム

――ヤナセは2010年に策定した中長期ビジョンで「筋肉質で収益性の高い企業への体質転換」を掲げました。その成果についてはどのように評価していますか?

吉田社長:バリューチェーンのなかで、収益の「面積」を広げようとしていますが、その意識は定着したと思っています。

かつては「いいものだけを世界から」のスローガンのもと、新車販売を中心としたビジネスを展開していましたが、一方で「売ったら終わり」といったような発想もありました。しかし、20年ほど前からは、クルマを下取りして中古車を販売し、さらにサービスにもつなげるビジネスを行うことで、お客様との関係を強化する意識が芽生えてきました。

販売店において大切なのは、新車販売以外でどれだけ固定費をまかなえるかということです。そこをもっと追求できれば、ヤナセには成長の余力があります。

自動車ディーラーは新車販売の成績が注目されがちだが、中古車販売、保守を行う点検整備や修理(サービス)、自動車損害保険の取り扱いなどが、実質的には販売店を支える事業であるともいわれている。クルマを売るという「点」で収益をあげることにとどまらず、バリューチェーン全体の「面」で稼ぐという姿勢が重要と吉田社長は語る

クルマは「所有」から「利用」へ、ヤナセの対応は?

――「所有」するものだったクルマは、「共有」して「利用」するものへと変わってきたともいわれています。この点については、どう対処していきますか?

吉田社長:「所有から利用へ」という動きは、常に考えています。一方で、登録車の国内販売台数が約300万台に落ち着いた状況の中、輸入車はその10%前後の30万台規模で、販売自体は伸びています。輸入車が伸びている理由は、国産車と違う味があるなど、周りと違うものを求めるお客様に支えられていることです。その傾向は、例えばドイツ車だけでなく、フランス車も増えているといったところにも表れています。

日本の輸入車市場は堅調。ヤナセの販売台数は2017年度実績で新車3万4,305台、中古車4万3,340台だ。2017年度までの5年間の推移を見ると、新車販売は微減している一方で、中古車販売は右肩上がりで増えている

吉田社長:ほかとは違うものが欲しいという嗜好に応える輸入車は、国産車に比べると、必要な時だけ「利用」するというより、「所有」したいと考えるお客様の割合がまだまだ高いだろうと考えています。ヤナセが扱うプレミアムブランドのクルマは、すぐに「利用」中心の需要には移行しません。今の時点で大騒ぎして混乱する必要はないという思いがあります。

しかしながら、「所有から利用へ」の動きを想定した手を打つ必要はあります。例えば販売店は、「利用」の際のコネクティングポイント(接点)になる可能性があるのではないでしょうか。販売店は立地がよく、駐車する場所があり、整備や修理といったサービスを提供できます。個人のお客様同士がクルマを貸し借りする拠点になるかもしれません。この先、販売店をどのように活用できるかは考えています。

ヤナセ本社ビルの道路を挟んで向かい側にあるフォルクスワーゲンのショールーム

――ヤナセは今、“クルマはつくらない。クルマのある人生をつくっている。”というコーポレートスローガンを掲げています。

吉田社長:クルマのある豊かな生活を提供することに、今後も変わりはないと思います。例えば2015年には「ヤナセ プレミアムカー レンタル」をトライアル事業として北海道で開始し、2017年には47都道府県で本格稼働しました。

2017年には福祉車両分野に参入しました。2018年には『ヤナセ クラシックカー センター』を開設し、幅広い年代の旧車の修復と復元を始めています。日本でもクラシックカー文化が根付くといいと思っています。

フォルクスワーゲンのショールームには、輸入第1号車「ビートル」が展示されていた

――今秋の消費増税を機に、自動車関連税制が改訂される動きがあります。税制改訂の内容はまだ固まっていませんが、ヤナセにとってどのような影響があると見ていますか?

吉田社長:前回は5%が8%に上がったわけですが、今回は8%が10%へということですから、消費者心理がどのように働くかについては、見通せないところがあります。とはいえ、自動車税が下がれば、クルマを所有する際の税負担が軽減されるので、所有しやすくなるという意味で追い風にはなりそうです。いずれにしても、今回の改訂が負の要因になることはないはずなので、期待しています。

――2019年年頭の挨拶で吉田社長は、社員の皆さんにスキルアップと社内コミュニケーションの活性化を求めると同時に、社内ではITを使った業務の効率化を進めるとの考えを表明されています。その真意は。

吉田社長:ヤナセでは、従業員の年齢構成がややいびつになっているところがあります。従来、ヤナセは海外自動車メーカーから輸入販売権を取得し、正規販売を行ってきましたが、各メーカーが日本法人を設立したことで輸入権を移行し、販売専門となりました。その際に経営が厳しくなり、新入社員の採用を絞ったことがあり、年齢構成に差が開いたのです。

今は、30代前半から40代前半の“働き盛り”といえる人数が少なくなっています。一般的に、若い社員は少し年上の先輩から仕事を教わることが多いはずですが、先輩が10~15歳も年上ということが多く、従来よりコミュニケーションが減っている拠点もあります。

ヤナセ本社ビルから程近い場所にあるGMのショールーム

吉田社長:一方で、仕事の効率化の面ではITを導入し、タブレットを使った販売も始めていますが、ベテランになると、そういった機器の扱いに不慣れな部分もあります。また、ヤナセは独自でIT化に取り組みましたが、今日では自動車メーカーのシステムと統合することによるシステムの効率化も求められています。こういったIT化をさらに進め、業務の無駄を省くことができれば、空いた時間の使い方を工夫することで、働き方改革につなげることも可能です。

伝統に裏打ちされたヤナセのよさは、上意下達での推進力にありましたが、今後は、上意を受け取った若手から「こういうのはどうですか」とか「こうすればできます」といった話が出てくるようなことも必要でしょう。年齢構成に大きな差がある社員構成であれば、なおのことです。ヤナセのDNAを継承していくという観点からも、相互の意思疎通はより密接であることが大切だと思っています。そして、もっと能率的に働ける人材が、まだたくさんいるとも感じています。

創業から100周年(2015年)までのヤナセの歴史を記したパネル。同社の輸入車販売は「キャデラック」と「ビュイック」からスタートした

――2019年は社長就任から2年目です。抱負は。

吉田社長:バリューチェーンの追求を、もっとやっていきたいと思います。新車以外のところを、どう深掘りしていけるか。そこを具現化していかないと、収益は伸びていかないでしょう。というのも、ヤナセグループには約5,000人の社員(2019年1月現在)と約200の販売店、また100~150のサービス拠点網があり、すべてが国内の事業です。日本というホームグラウンドでしっかり収益を確保できる分野を作っていかなければなりません。バリューチェーンを耕し、整備していきます。

梁瀬次郎さん(梁瀬長太郎氏の次男でヤナセの第2代社長)が作られたヤナセのステッカー(黄色に青字で「YANASE」と書かれたもの)は我々の誇りであり、ヤナセの象徴です。そのステッカーを見たり、社名を聞いたりすれば、多くの人が輸入車販売の会社だと当社のことを認識してくれます。社名を聞いて何をやっているか分かる企業は、実はそんなに多くありません。そういう会社に誇りを持って働くことで、もう一段、強くなれる社員もいます。社員には「自分たちはやれるのだ、ここまでやったんだ」と感じてもらいたい。2019年は結果を出せる1年にしたいと思っています。

社名を聞いただけで事業内容が思い浮かぶ企業は案外少ないと吉田社長は語る

新車累計販売200万台を達成したヤナセのこれから

ヤナセは2018年に創業以来の新車累計販売台数200万台を達成した。これはつまり、輸入乗用車の4台に1台がヤナセのステッカーを貼っているということになる。

クルマの輸入販売権を持ち、「いいものだけを世界から」というビジネスを展開してきたヤナセは今、「クルマはつくらない。クルマのある人生をつくっている。」と語り、バリューチェーン全体での収益創出を図りつつ、次世代に向けた準備を進める企業に変貌を遂げている。ただ、自動車を取り巻く環境に変化はあっても、クルマのある豊かな人生を開拓していく同社の姿勢に変わりはないだろう。

損なのか得なのか? ユーザー目線で考えるトヨタのサブスク「KINTO」

損なのか得なのか? ユーザー目線で考えるトヨタのサブスク「KINTO」

2019.02.20

トヨタがクルマの月額定額サービス「KINTO」を開始

「カローラ スポーツ」が3年で192万円強

このサービスをトヨタが始めることの意義

トヨタが提案する新しいクルマとの関係、それが愛車サブスクリプションサービス「KINTO」(キント)だ。簡単にいえば3年契約の自動車購入プランだが、最大の魅力は“明朗会計”とでもいうべき月額負担のみで、クルマのある生活を手にすることができるところ。この新たな販売形態は、我々にどんなメリットをもたらすのだろうか。ユーザー目線で考えてみた。

トヨタがクルマのサブスクリプションサービス「KINTO」を始める

「プリウス」が月々4万9,788円から乗れる新サービス

トヨタは2019年2月5日、愛車サブスクリプションサービスの運営会社として株式会社KINTOを設立すると発表した。新サービス「KINTO」の名称は、西遊記に登場する「筋斗雲」からインスパイアされたもの。必要な時にすぐに現れ、思いのままに移動できる便利さや自由さを表しているとのことだ。

KINTOの愛車サブスクリプションサービスは3年契約で、毎月定額料金を支払えば、クルマを期間限定で所有できる。単に車両代が定額なのではなく、月々の料金には、登録時の諸費用および税金、メンテナンス費、任意保険、毎年の自動車税までが含まれている。このほかの負担といえば、ガソリン代や洗車代、必要な人には駐車場代くらいで済んでしまう。複雑なクルマのコストをシンプル化したことは同サービスの特筆すべき点といえるだろう。

サービスメニューは、トヨタ車対応の「KINTO ONE」とレクサス車対応の「KINTO SELECT」の2つが用意されている。

KINTO ONEで選べるのは、「プリウス」「カローラ スポーツ」「アルファード」「ヴェルファイア」「クラウン」の5車種。全てハイブリッド仕様となる。選択できるグレードは制限されるが、ボディカラーは自由に選べる(有償色は追加料金)。オプションはパッケージされたものから選択することになるようだ。サービス開始が3月1日からなので、詳しい仕様やオプションパッケージの追加料金などは明かされていないが、最も安いプリウスの場合、月額(税込み)4万9,788円~5万9,832円で手にすることができる。ボーナス併用払いを利用すれば、月々の負担を減らすことが可能だ。

KINTO ONEは「プリウス」(画像)などトヨタ車5車種からクルマを選べる。月額料金は4万9,788円~5万9,832円

KINTO SELECTでは「ES」「IS」「RC」「UX」「RX」「NX」から1台を選ぶ。車種はセダン、クーペ、SUVと豊富だ。選べるのはハイブリッドモデルのみとなる。3年契約であることに変わりはないが、KINTO ONEと違うのは、これら6車種のうち、1台に3年乗るわけではなく、6か月ごとに乗り換えができるところ。月額料金は194,400円と高めだが、こちらも全ての費用が“コミコミ”となっている。

KINTO SELECTは「UX」(画像)などレクサス車6車種からクルマを選べる。月額料金は19万4,400円だ

新車に半年ごとに乗り換えられるのはかなり贅沢といえるが、残念なのは、グレードとカラー、装着オプションまでが完全指定となってしまうこと。これは、納期などの事情を考慮した結果だという。ちなみに、KINTO SELECTは2月6日に始まったばかりだが、2月13日の時点で、すでに契約者が現れているというのには少し驚いた。

なぜハイブリッド車だけのラインアップなのか

車両のラインアップを見て気になったのは、全てがハイブリッド車である点だ。トヨタが先頃、KINTOについての説明会を東京で開催したので、この点について質問してみると、株式会社KINTOの小寺信也社長からは、「DCM(車載通信機)搭載車のみに限定した」との回答が得られた。もちろん、人気や需要を踏まえた点もあるだろう。しかし、リアルなところでは、エコカーに適用される減税の恩恵を考慮したという事情があるのかもしれない。

ただ、トヨタはKINTOがDCM搭載車のみであることを、ユーザーメリットとして還元する手立てについても検討している。それが運転のポイント化だ。通信機能を用いた運転の評価を行い、安全運転やエコ運転など、その乗り手がクルマを大切に扱っていると判断できれば、それを利用料金の値引きという形で還元する手法である。さらに、このデータを、KINTO利用車両の中古車販売時の品質保証にも役立てるようだ。

このほか、KINTOでは販売や追加サービスについても様々な構想を検討している模様。小寺社長によれば、中古車版のKINTOも将来的には検討してみたいアイデアだそうだ。また、地域によっては、冬期のマストアイテムであるスタッドレスタイヤについても、オプションとして対応できるように考えているとのことだった。

KINTOにラインアップされたのは、「クラウン」(画像)などDCMを搭載する車両のみ。いわゆる「コネクティッド技術」を利用すれば、ドライバーの運転を評価し、その評価に合わせたポイントを付与することができる 

KINTO ONEとKINTO SELECTのどちらのサービスも、まずは東京地区から試験的に始めて、今年の夏以降には全国に展開し、秋口にはサービス対象車を拡大していく計画だという。サービス拡大に合わせて、それぞれの車種や仕様など選択肢も増えていくようだ。

KINTOのユーザーメリットとしては、3年間の車両代および維持費というコストを明確化できる点に加え、購入プロセスを簡素化できる点が挙げられる。最終的な契約では販売店に出向く必要があるが、車両のセレクトや見積もりなどはWEBで済ますことが可能だ。ワンプライスのため、値引きを引き出す営業マンとの駆け引きも不要となる。

注目すべきは、自動車任意保険が料金に含まれていることだろう。基本的な対物・対人だけでなく、フルカバーの車両保険である点にも言及しておきたい。また、全年齢に対応しているので、保険料が高くなる若い人ほど大きなメリットが享受できる。車両保険の免責は5万円なので、もしもの際、負担が最小限で済むのも嬉しい。

KINTO ONEで「アルファード」(画像)を選んだ場合の月額料金は8万5,320円~9万9,360円。これは登録時の諸費用や任意保険などを含む価格だ

気になる“お得度”を「カローラ スポーツ」で考える

ただ、やはり気になるのは、同サービスの“お得度”だろう。そこで、今回はグレード構成が分かりやすい「カローラ スポーツ」を例にとって考えてみたい。

対象車である「カローラ スポーツ」のエントリーグレードである「ハイブリッドG“X”」の車両価格は241万9,200円。これに対し、「KINTO ONE」の月額料金の下限は5万3,460円なので、年間で64万1,520円、3年間の総額は192万4,560円とそれなりの金額になる。

比較対象としやすいのが、車両価格の一部を据え置く残価設定型ローンだ。とあるトヨタ販売店のWEBサイトを訪れ、車両本体のみで「カローラ スポーツ」を購入した場合の残価設定ローン(3年契約)を試算してみると、頭金なし、金利4.5%で月々4万7,400円となった。残価設定ローンの場合、一定額を据え置くので、最終回に据え置き額を支払わなければ、クルマは返却しなくてはならないので条件は似ている。これにメンテナンス代、自動車任意保険、2年目以降の自動車税などが加わることを考えると、もしかしたら、KINTOはお得なのかもと思えてきた。

ただし、普通にクルマを購入する際には、値引きや付属品のサービスがある(可能性がある)ことは、忘れてはいけないポイントだ。金利だって、キャンペーンなどでもっと条件が良いこともある。とはいえ、自動車保険のことを考えると、少なくとも若者は、KINTOをトヨタからの魅力的な提案と受け取るかもしれない。

KINTO ONEで「カローラ スポーツ」(画像)を3年間乗る場合、料金は“コミコミ”で192万4,560円だ

トヨタがわざわざ自社でサブスクリプションサービスを展開する狙いは、新たな自動車ユーザーの掘り起こしだけでなく、販売店のネットワーク維持と収益確保にもある。仮にトヨタのクルマを使ったサービスであったとしても、他社のサブスクリプションサービスやリースなどでは、必ずしもトヨタの販売店を利用するとは限らないからだ。

また、KINTOは定額販売なので、販売に必要な人件費が削減できるし、販売後もメンテナンスによる定期的な入庫がある。これがメンテナンスによる収益を生み出し、KINTOユーザーとの関係を築く時間ともなる。その販売店をKINTOユーザーが気に入れば、3年後、次のクルマを選ぶ際、新車購入かKINTOの新契約になるのかなど選択肢は色々あるものの、とにかく同店の顧客となる可能性があるのだ。

また、KINTOは値引きなしのワンプライス販売なので、同サービスが普及すれば、トヨタの収益率向上に寄与するのはもちろんのこと、3年後の中古車価格の向上にもつながるかもしれない。

クルマの月額定額サービスは損なのか得なのか

結局のところ、KINTOは得なのか、損なのか。高級車をコロコロ乗り換えるKINTO SELECTは別格として、KINTO ONEの詳しいメニューが明かされるまで明言しづらい点はあるが、トヨタ自身も手探り状態であり、割高と思われないような価格設定に苦心していることは感じられた。

まだまだテスト段階ともいえるKINTOだが、購入プロセスの簡素化、完全月額定額による分かりやすい価格設定などにより、本来であればまとまった資金が必要となる愛車購入を検討してもらいやすくする上で、トヨタにとって新たなオプションとなるのは間違いなさそうだ。また、3年契約なので、ユーザーはライフスタイルに合わせてクルマを選べるという利点もある。

ただ、自動車自体の完成度は年々高まっており、ユーザーの平均保有期間と自動車の寿命は長くなっているのが現実でもある。コスト面で考えれば、1台を長期保有した方がトータルで安く済むのは間違いない。また、KINTOは定額サービスであるがゆえに、目先のコストだけに捕らわれた結果、身の丈に合わないクルマを選んでしまう危険性もあるだろう。

とはいえ、KINTOというサービスの登場が、とりあえず一度、クルマを持ってみようと考えるきっかけになるケースはあるはずだ。“所有”にこだわらない時代に、まずはクルマと向き合ってみるという機会を作り出すだけでも、トヨタがKINTOを始める意味は大きいのかもしれない。

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2019.02.20

docomo withで新たに「iPhone 7」が選べるように

同プランの対象端末であった「iPhone 6s」は在庫切れ

NTTドコモは、2019年2月27日より「docomo with」の対象端末に「iPhone 7(32GB)」を追加すると発表した。

iPhoneを取り扱うドコモショップや同社Webサイトで予約受付を開始する。一括価格は税別3万9600円。アップルストアの価格が税別5万800円なので、1万円以上お得ということになる。

iPhone 7

docomo withは2017年6月より始まったサービスで、ユーザーが端末を定価で購入することにより、毎月の通信料から1500円を恒久的に割引くというもの。端末購入補助が利用できないため、基本的には端末代金をそのまま支払う必要がある。

月々の利用料金を毎月1,500円割引きする料金サービス「docomo with」

3ブランドのオンラインショップから「6s」が消えた

NTTドコモは昨年9月、同プランに「iPhone 6s」を追加したが、今回の発表時点ですでに同社のWebページ上では「在庫切れ」になっている。

すでにAppleは昨年の「iPhone Xs」「Xs Max」「XR」の登場と同時期にiPhone 6sの販売を終了しており、KDDI(au)のサイトからは販売ページが消え、ソフトバンクのサイトでも「在庫切れ」の状態だ。

これで3大ブランド(ソフトバンク、KDDI、NTTドコモ)からiPhone 6sがなくなった。もちろん、各ブランドショップに在庫が残っている可能性はあるだろう。しかし、それがなくなるのも時間の問題かもしれない。

NTTドコモでは2019年第1四半期に通信料金を値下げした新たなプランを発表した。NTTドコモの吉澤和弘社長は2018年第3四半期の決算会見で「値下げの発表と実施は一緒のタイミングではない。第1四半期の前半で発表を行い、後半でスタートする」とコメントしていることから、今年の4月上旬に発表が行われ、6月あたりに開始という線が濃厚だ。

毎年2〜3月はスマホ業界的には「春商戦」と言われ、1年間で最もスマホが売れる時期とされている。しかし、今年はこうしたキャリア各社の状況を受けて「買い控え」が起こっているのでは、という声もある。春商戦真っただ中で行われた今回のNTTドコモの発表は、この状況に変化をもたらすかもしれない。

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