オリンピック参加より国際カップの拡大のほうが健全? 『ストV』対抗戦を終えて

オリンピック参加より国際カップの拡大のほうが健全? 『ストV』対抗戦を終えて

2019.02.12

JeSUは4つのタイトルでeスポーツの国際チャレンジカップを開催

『ストV AE』では勝ち星を積みあげる3対3のチーム戦を開催

参加選手の試合後コメントも掲載

既存イベント参加よりも国際カップ拡大のほうが健全?

日本eスポーツ連合(JeSU)は1月26日と27日に、「eSPORTS 国際チャレンジカップ」を開催した。競技タイトルに採用されたのは『ストリートファイターVアーケードエディション(ストV AE)』『鉄拳7』『ウイニングイレブン 2019』『オーバーウォッチ』の4つ。本稿ではそのうち、27日に行われた最後の試合である『ストV AE』についてフォーカスする。

『ストV AE』は、対戦格闘ゲームの火付け役である『ストリートファイター』シリーズの2D対戦格闘ゲームだ。

国際チャレンジカップの様子

1戦1戦の積み重ねが結果に響くチーム戦のルール

『ストV AE』の日本選抜は、ときど選手、ネモ選手、ふ~ど選手の3名。東京ゲームショウ2018にて開催された「CAPCOM Pro Tour ジャパンプレミア2018大会」(JeSU公認大会)の、上位入賞者から選ばれた。対するアジア選抜は、台湾のOil King選手、韓国のNL選手、中国・香港のHumanbomb選手の3名。こちらも国際大会で活躍する精鋭たちだ。

日本国旗を掲げ登場する日本選抜チーム
各国の国旗を掲げ登場するアジア競技チーム

試合形式は3対3の団体戦。BO2(3本中2先取で勝利)の星取戦方式で、先鋒、中堅、大将に分かれてそれぞれ3試合ずつ対戦し、取得セット数の総計でチームの勝敗が決定する。例えば、先鋒と中堅がそれぞれ2-1のセット数で勝利したものの、大将が0-2のセット数で敗北した場合、結果は4-4のドロー。それを3回繰り返し、合計のセット数をカウントする。つまり、ストレート負けやストレート勝ちが大きな差を生むというわけだ。チームオーダーは試合ごとに変更可能で、対戦相手の得意不得意を考慮しながら、チームで相談しながら話し合って決める。

チーム戦においてはオーダーも重要。全員で話し合い、出場順を決める

1試合目の先鋒戦はときど選手(豪鬼)対Oil King選手(ラシード)。「CAPCOM Pro Tour ジャパンプレミア2018大会」での対戦の再現となった。そのときの対戦ではときど選手が逆転勝利を収めているものの、今回はOil King選手らしい攻撃的な試合運びとリスク覚悟の無敵技がハマり、2-0でアジア選抜が勝利する。日本代表としては不安なスタートになってしまった。

ときど選手
Oil King選手

次鋒戦はネモ選手(ユリアン)対Humanbomb選手(春麗)の対戦。2試合ともラウンドは取られたものの、終始試合を支配していたネモ選手が、先鋒戦のお返しとばかりに2-0で勝利する。

ネモ選手
Humanbomb選手

大将戦はふ~ど選手(バーディ)対NL選手(キャミィ)との対戦だ。ふ~ど選手は前シーズンまではレインボーミカを使用していたが、シーズン4(2018/12/17~)になってからバーディを使用。一般的なバーディ使いがあまり使わない「VトリガーII」(キャラクターを選択する際に決める技のモード。同じキャラクターでも、IとIIではトリガー発動中に使える技が異なる)で有効な活用法を開発するほどのやり込み具合だ。そのVトリガーIIによる高い火力でNL選手を圧倒し、2-0でふ~ど選手が勝利。これで1試合目は、勝利数2-1、セット数4-2の日本選抜優位で終了した。

ふ~ど選手
NL選手

2試合目の先鋒戦は1試合目と同じく、ときど選手対Oil King選手の対戦。多彩なジャンプ攻撃と投げ抜けを誘発しての反撃が有効打となり、ときど選手が2-0で勝利。1試合目の雪辱を果たす。

次鋒戦はネモ選手対NL選手。ネモ選手はシーズン4から使い始めたコーリンを選択。ラウンドを1本取り、善戦を見せるものの、NL選手のキャミィの前に沈むネモコーリン。次のセットからネモ選手は使い慣れているユリアンに変更すると、2、3セット目を勝ち取り、2-1のスコアで逆転勝利した。

大将戦はふ~ど選手対Humanbomb選手。ふ~ど選手はHumanbomb選手が使う春麗との相性を考え、レインボーミカを選択した。最初のラウンドをパーフェクトで勝利すると、そのままの勢いで一気にたたみかけ、2-0でふ~ど選手の勝利。日本選抜の5戦連続勝利で、セット数10-3という結果になる。3試合目をアジア選抜がすべて2-0で勝利してもセット数が追いつかないので、この時点で日本選抜の勝利が確定した。

3試合目の先鋒戦はふ~ど選手とNL選手の組み合わせ。再びバーディを選択したふ~ど選手のVトリガーIIが、NL選手を苦しめ、2-0で勝利する。次鋒戦はときど選手とHumanbomb選手の対戦だ。試合全体を掌握していた印象のときど選手に対して、1セット取り返すのがやっとだったHumanbomb選手。ここでも2-1で日本選抜が勝利した。最後の大将戦はネモ選手対Oil King選手。Oil King選手らしい攻めの戦術でネモ選手を攻めるが、お互い1-1で迎えた最終戦、相手の攻めを読みきったネモ選手が勝利した。

最終的な結果は、8勝1敗、セットカウントは16-5で、日本選抜チームの圧勝となった。

ネモ選手が勝因分析、「オーダーがうまくかみ合った結果」

試合終了後には、選手たちにインタビューを実施。国を背負っての戦いを振り返ってもらった。

まず、アジア選抜のなかで一番の活躍を見せていたOil King選手は「国を背負っての試合だったので、プレッシャーを感じていました。ただ、いざ試合が始まってしまえば個人戦なので、自分自身が頑張るしかないと思い、いつもと一緒の感じでプレイできたと思います。国を背負う以上に、今回は仲間のいるチーム戦だったので、チームとして負けてしまったのは個人で負けるよりも悔しさが大きかったですね」と悔しさを見せた。

初戦で勝利したNL選手は「初めて代表として試合に臨んだので、プレッシャーはありました。いつも通りの実力を出したかったんですが、出し切ることはできませんでしたね。日本選抜は本当に強かったです。リベンジをしたいので、次回の開催を希望します」と、雪辱を誓う。

代表の経験者であるHumanbomb選手は「6年前に一度、代表として試合に出場したことがありますので、今回はそのこと以上に、チーム戦であることが重圧になりました」と敗因を語った。

アジア選抜チーム

日本選抜のネモ選手は「代表としてのプレッシャーはあまり感じなかったのですが、対戦相手が非常に強いメンツだったので、そちらの方が気になりました。試合形式としては、巻き返しができるルールで、普段のチーム戦とは違いましたね。結果として圧勝のような形で終わりましたが、オーダーがうまくかみ合った感じです。これだけの差がつくとは思ってなかったですね」と、勝因を分析した。

また、ふ~ど選手は「国を背負うとか、そういうのはあまり考えなかったです。最初ときどが負けたとき、このまま一気にやられてしまう負けルートに入ったかなと思ったくらい、余裕はありませんでしたね。まあ、(ときど選手は)攻略負けではなく、ミスで負けていたので、引きずるようなものではないとも思いましたけど」と、振り返った。

日本選抜チーム

今回の国際チャレンジカップは、4つのタイトルいずれも日本選抜チームが勝利するという結果に終わった。ただし、エキシビションの様相もあったので、試合結果はある意味二の次だったのかもしれない。それよりも、国際交流として、日本で海外の強豪選手の戦いを目の当たりにできたことが大きかったのではないだろうか。

今後、アジア選抜をそれぞれの国の選抜選手にしていけば、国際大会としてしっかりとポジションを確立できそうである。徐々に参加国を増やしていき、アジアのみならず全世界が対象になれば、一大eスポーツイベントとなりうるだろう。

オリンピックやアジア競技大会のような、既存の畑違いのイベントの末席に入れてもらうくらいであれば、独自の国際イベントを開催するほうがよっぽど健全なのではないかと感じた国際チャレンジカップだった。

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2019.06.17

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放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

カレー沢薫の時流漂流 第47回

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

2019.06.17

最近女性の間で「#MeToo」ならぬ「#KuToo」運動がにわかに盛り上がっている。

「#KuToo」とは「靴」と「苦痛」をかけており、職場や就職活動で、足を痛めるパンプスやヒール靴の強要をやめようという運動である。

そもそもそんなの誰も強要してねえよ、と思われるかもしれない。確かに規定として靴の形状やかかとの高さまで定めている会社はレアだろう。しかし、私の元いた会社でも、規則があるわけでも、誰に言われたでもなく、みな一様に黒のパンプスを履いていた。それが「暗黙のルール」であり、それ以外は「非常識」と見られる風潮は確かにあるのである。

これが就職活動になると、パンプスを履いていないだけで「こいつは常識がない」と見なされ不採用になってしまうかもしれない、ということだ。そうなると女子学生は足を負傷してでもパンプスを履かざるを得なくなってしまう。

正直、パンプスは苦痛

パンプスがそんなに苦痛か、というと、靴の中では殺傷能力が高い方である。これは他人への、という意味ではなく自分へのだ。他人を殺傷したいならカウボーイが履いている、かかとにピザカッターがついている奴を履いた方が良い。

狭いつま先に足の指が密集されるため、私もよく爪で隣の指を切って足を血だらけにしていたし、伸縮性にかける素材のため、あわないパンプスだと試着の時点で靴擦れが出来るレベルなのだ。

世の中には素肌に荒縄で亀甲縛りを施し、その上に上等なスーツを羽織って出社している人も多いと思う。とても痛いだろうが、それは強制されたわけではなく、その人が好きで楽しいからやっているのだ。

つまり、好きでもない上にとても痛いパンプスを強制で履かなければいけないというのは、上等なスーツの下が亀甲縛りなことよりも「異常」なことというわけだ。

この運動はすぐに広まり、いきなり国会でも議論されたという。これにより「厚労相がハイヒール強要を容認」という見出しのニュースまで踊り出ることになった。

完全に自由と言われても困るのでは?

「厚生省に、女がハイヒールを履かないと死ぬ病の人が!?」と驚いたが、記事をよく見ると見出しほどのことはなく、厚労相の発言は「これは社会通念に照らして業務上、必要かつ相等な範囲かと、この辺なんだろうと思います」というかなりボンヤリしたものであり、どっちでも良い事を聞かれた私のリアクションに似ている。

しかし「ハイヒールが履けない女は何やってもダメ」などと強い事を言っているわけではないが、「業務上必要ならパンプス履くべきだろ」という「容認」に聞こえなくもない。すぐさま「業務上ハイヒールが必要な仕事って何だよ」という疑問が挙がり、「SMの女王様」「(ハイヒールでキレッキレに踊る)perfume以外ありえない」などの声が相次いだ。

この社会問題がすぐ大喜利になってしまうのは良くも悪くも「ザ・ツイッター」という感じだ。

確かに「業務上必要」となると、まだかかとにピザカッターがついている靴の方が「ピザを食う時」必要な気がする。

ただ、靴や服装を完全に自由化し、何でもOKにすれば良いかというと、それはそれで問題が起きると思う。ファッションに疎くコーディネートが苦手な人間からすれば、職場に何を着ていいのか全く「指針」がないというのは迷子になるし、接する側としても、車を買いにいってディーラーが、イモ―タンジョ―の完コスで出てきたら「キャデラックしか買うことを許されないのか」と委縮してしまう。就活マナー本に「俺の考えた最強の就活ファッションで挑みましょう」とだけ書かれていても逆に困るだろう

着る側としても、それに接する側としても、社会において服装にある程度規定や模範があるというのはメリットでもあるのだ。

そもそも規定や常識というのは、秩序を作ることにより問題を減らすためにあるものなのだ。しかしそれが元で「足を負傷する」という「問題」が起こっているなら本末転倒なので、やはり解消はすべきなのだろう。

極論に流れない寛容さが足りない

おそらく「#KuToo」を提唱している人も「ドラゴン柄のコンバースで就活したい」と言っているわけではないのだ。最近は「パンプスに見えるスニーカー」なども存在するし、パンプスでなくても地味な靴はいくらでもある。そのような靴を履いていても「パンプスじゃないから非常識」と見るのをやめてほしいという話だろう。

ちなみに私が会社員時代履いていたパンプスだが、黒の革靴ではあったが、つま先は限りなく丸く、ヒールはなきに等しい、今思えばあれはパンプスだったのか、70過ぎのババアが旅行に行くときに履くヤツなんじゃないか、という代物であったが、特に何も言われなかった。

「#KuToo」が求めるのも、そのぐらいの「寛容さ」なのではないだろうか。

【お知らせ】
連載「カレー沢薫の時流漂流」の掲載場所を変更します。
→ 新しい掲載場所はこちら https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu