iPhone一強陰る中、値下げで揺れる携帯3社の思惑

iPhone一強陰る中、値下げで揺れる携帯3社の思惑

2019.02.08

ドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクの決算が出揃う

携帯事業でドコモとKDDIが減収、分離プラン影響か

ソフトバンクは大容量プラン・Y!mobileが好調

「値下げ圧力」の中で各社はどう舵を切るのか?

2月5日にソフトバンクが決算説明会を実施し、携帯3社の2018年第3四半期決算が出揃った。

携帯各社は、政府による値下げ圧力、分離プランの制度化の流れといった経営インパクトに対する懸念材料を抱え、新たな戦略の構築を迫られている。各社の決算発表から、3社それぞれの思惑を探る。

減収のドコモ・KDDI、「分離プラン」はどう影響?

3社のうち、主力の携帯事業で減収となったNTTドコモとKDDIだが、KDDIは特に先行して提供開始した分離プランの「ピタットプラン」「フラットプラン」によって収入が減少した。

前年同期と比べて365億円減という大幅な減収だったが、1ユーザーあたりの平均的売り上げを示すARPA(Average Revenue per Account)は5,870円で底を打ったとの見方で、第4四半期には反転の見込み。

KDDIの高橋誠社長

ドコモも携帯事業の収入が同197億円減となった。全体的な指標は上向きだが、MVNOや低価格プラン利用者増などの影響が考えられる。

さらにドコモでは、2019年第1四半期(4~6月)中には分離プランを導入し、最大4,000億円規模の値下げを敢行する。最大規模になるのは2020年度の見込みだが、それでも大幅な減収要因になるだろう。

NTTドコモの吉澤和弘社長

先行したKDDIは、自社の分離プランの影響が3,800億円規模として、ドコモと同程度の還元額になっているとのスタンス。ドコモがそれ以上の還元を打ち出せば対抗するが、そうでない限りは静観する構えだ。

好調のソフトバンク、複数のブランド展開が奏功

これに対するソフトバンクは、分離プランとして50GBという大容量のウルトラギガモンスター+と動画SNS放題というカウントフリーの仕組みを導入することで、大容量が必要なユーザーが集まり、1アカウントあたりの平均的売り上げを示すARPU(Average Revenue Per User)を押し上げた。

同社の第3四半期までの累計の売上高は対前年同期比5%増の2兆7767億円、営業利益は同19%増の6349億円の増収増益の好決算となった。ソフトバンクの宮内謙社長は、通期目標に対して順調な進捗をアピールするとともに、高い株主還元を強調した。

ソフトバンクの宮内謙・代表取締役社長執行役員兼CEO

同社は低価格プランとして「Y!mobile」「LINEモバイル」の2ブランドを擁しており、ブランドごとにユーザーを振り分ける戦略が現時点では功を奏しているようだ。ドコモの値下げに対しては、Y!mobileも分離プランを導入することで対抗する考えを示す。

SoftBankは大容量、Y!mobileは低価格で中容量、LINEモバイルは低価格で小容量と性格が異なり、ターゲットごとに棲み分けている

大容量プラン、通信以外の収益が重要に

料金プランに関しては、全体的に値下げをしつつ大容量が必要なユーザーを大容量プランに誘導する、というのが各社の思惑だ。ゲーム、動画といったスマートフォンでの大容量データの利用拡大が追い風となり、低容量ユーザーを安価に抑えてもカバーできるとの判断で、現時点では順当に推移しているようだ。

ユーザーの大容量プランへの移行を促すとともに、通信にとらわれない収益を目指す方向性は、各社ともさらに強化する。特にコンテンツ系はデータ容量に直結するため、重要な位置づけだろう。

さらに、各社とも決済サービスを推進している。すでにクレジットカード事業などは展開しているものの、話題性の高いQRコード決済としてドコモはd払い、ソフトバンクはPayPayを提供しており、auも今後au PAYを提供する。こうした通信以外の収益もさらに強化していく考えだ。

「分離プラン」の中で、どう端末を売っていくのか

今後課題となるのは、端末と通信の分離の徹底による端末販売への影響だろう。端末を正価で販売することが前提となるため、販売奨励金などの負担がなくなり、端末販売コストが低減するというメリットもある。こうしたコスト削減も前向きに捉えることもできるだろう。

とはいえ、携帯キャリアにとっては、端末が全く売れないと、端末と一体化したサービス提供ができなくなるという問題が生じる。日本の場合、ネットワークと端末が密接に関わっているほか、サポートも担っているため、「キャリアは端末を販売してはならない」というレベルの完全分離は影響が大きすぎるだろう。

それでも、携帯キャリアが端末代金を何らかの形で負担する方式は認められなくなることから、高額なハイエンド端末の売れ行きは影響を受ける。それに対して、各社ともミドルレンジ以下の購入しやすい価格帯の端末を増やすことを想定している。

一般的な商習慣として、型落ちなどの端末を一定の割引で販売することは認められる可能性があり、こうした柔軟な価格設定も検討する。現状でも、2~4年の割賦販売は行われているが、通信サービス契約と連動しない形であれば商習慣としては一般的なため、維持していく方向で進むだろう。各社とも、「ユーザーが買いやすいような工夫」を模索しており、端末販売へのインパクトを抑えたい考えだ。

各社とも、分離プランを前提とした値下げを進めつつ、大容量プランへの移行や通信サービス以外の収益拡大を図りながら、端末販売については今後の制度化の方向性を見ながら対応するという状況で、しばらく手探りの状態が続くだろう。

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2019.06.17

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放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

カレー沢薫の時流漂流 第47回

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

2019.06.17

最近女性の間で「#MeToo」ならぬ「#KuToo」運動がにわかに盛り上がっている。

「#KuToo」とは「靴」と「苦痛」をかけており、職場や就職活動で、足を痛めるパンプスやヒール靴の強要をやめようという運動である。

そもそもそんなの誰も強要してねえよ、と思われるかもしれない。確かに規定として靴の形状やかかとの高さまで定めている会社はレアだろう。しかし、私の元いた会社でも、規則があるわけでも、誰に言われたでもなく、みな一様に黒のパンプスを履いていた。それが「暗黙のルール」であり、それ以外は「非常識」と見られる風潮は確かにあるのである。

これが就職活動になると、パンプスを履いていないだけで「こいつは常識がない」と見なされ不採用になってしまうかもしれない、ということだ。そうなると女子学生は足を負傷してでもパンプスを履かざるを得なくなってしまう。

正直、パンプスは苦痛

パンプスがそんなに苦痛か、というと、靴の中では殺傷能力が高い方である。これは他人への、という意味ではなく自分へのだ。他人を殺傷したいならカウボーイが履いている、かかとにピザカッターがついている奴を履いた方が良い。

狭いつま先に足の指が密集されるため、私もよく爪で隣の指を切って足を血だらけにしていたし、伸縮性にかける素材のため、あわないパンプスだと試着の時点で靴擦れが出来るレベルなのだ。

世の中には素肌に荒縄で亀甲縛りを施し、その上に上等なスーツを羽織って出社している人も多いと思う。とても痛いだろうが、それは強制されたわけではなく、その人が好きで楽しいからやっているのだ。

つまり、好きでもない上にとても痛いパンプスを強制で履かなければいけないというのは、上等なスーツの下が亀甲縛りなことよりも「異常」なことというわけだ。

この運動はすぐに広まり、いきなり国会でも議論されたという。これにより「厚労相がハイヒール強要を容認」という見出しのニュースまで踊り出ることになった。

完全に自由と言われても困るのでは?

「厚生省に、女がハイヒールを履かないと死ぬ病の人が!?」と驚いたが、記事をよく見ると見出しほどのことはなく、厚労相の発言は「これは社会通念に照らして業務上、必要かつ相等な範囲かと、この辺なんだろうと思います」というかなりボンヤリしたものであり、どっちでも良い事を聞かれた私のリアクションに似ている。

しかし「ハイヒールが履けない女は何やってもダメ」などと強い事を言っているわけではないが、「業務上必要ならパンプス履くべきだろ」という「容認」に聞こえなくもない。すぐさま「業務上ハイヒールが必要な仕事って何だよ」という疑問が挙がり、「SMの女王様」「(ハイヒールでキレッキレに踊る)perfume以外ありえない」などの声が相次いだ。

この社会問題がすぐ大喜利になってしまうのは良くも悪くも「ザ・ツイッター」という感じだ。

確かに「業務上必要」となると、まだかかとにピザカッターがついている靴の方が「ピザを食う時」必要な気がする。

ただ、靴や服装を完全に自由化し、何でもOKにすれば良いかというと、それはそれで問題が起きると思う。ファッションに疎くコーディネートが苦手な人間からすれば、職場に何を着ていいのか全く「指針」がないというのは迷子になるし、接する側としても、車を買いにいってディーラーが、イモ―タンジョ―の完コスで出てきたら「キャデラックしか買うことを許されないのか」と委縮してしまう。就活マナー本に「俺の考えた最強の就活ファッションで挑みましょう」とだけ書かれていても逆に困るだろう

着る側としても、それに接する側としても、社会において服装にある程度規定や模範があるというのはメリットでもあるのだ。

そもそも規定や常識というのは、秩序を作ることにより問題を減らすためにあるものなのだ。しかしそれが元で「足を負傷する」という「問題」が起こっているなら本末転倒なので、やはり解消はすべきなのだろう。

極論に流れない寛容さが足りない

おそらく「#KuToo」を提唱している人も「ドラゴン柄のコンバースで就活したい」と言っているわけではないのだ。最近は「パンプスに見えるスニーカー」なども存在するし、パンプスでなくても地味な靴はいくらでもある。そのような靴を履いていても「パンプスじゃないから非常識」と見るのをやめてほしいという話だろう。

ちなみに私が会社員時代履いていたパンプスだが、黒の革靴ではあったが、つま先は限りなく丸く、ヒールはなきに等しい、今思えばあれはパンプスだったのか、70過ぎのババアが旅行に行くときに履くヤツなんじゃないか、という代物であったが、特に何も言われなかった。

「#KuToo」が求めるのも、そのぐらいの「寛容さ」なのではないだろうか。

【お知らせ】
連載「カレー沢薫の時流漂流」の掲載場所を変更します。
→ 新しい掲載場所はこちら https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu