新たなスマホ還元策? KDDIが「Apple Music」と組んだ真相

新たなスマホ還元策? KDDIが「Apple Music」と組んだ真相

2019.02.07

auスマホ契約者に「Apple Music」を6か月間無料提供

提携の背景に、激化する音楽ストリーミング市場

キャリアの「iPhoneユーザー争奪戦」にどう影響する?

KDDIがアップルの音楽配信サービス「Apple Music」と提携し、auのスマホ契約者向けに同サービスを6か月間無料で提供する。国内初、かつ他キャリアにはない独占的な試みだ。

KDDIがauのスマホ契約者向けにApple Musicを6か月間無料で提供

動画配信ではNetflixと組んだKDDIだが、音楽でもグローバル企業と提携した形になる。国内外でiPhoneの売れ行きが落ちている中、どのような狙いがあるのか。その背景を探る。

提携は、アップルの「YouTube対抗策」の一環か

諸外国と比べ、依然としてCDの売上比率が高いとされる日本の音楽市場だが、音楽配信は拡大している。世界のトレンドはストリーミングだが、2018年には国内でもストリーミング配信がダウンロード販売を超えた。

日本国内でもストリーミング市場が拡大している(図中左)

ストリーミング配信で世界最大のSpotifyは、広告付き無料プランと有料プランの両方があるフリーミアムモデルで、有料ユーザーだけでも2018年に8300万人以上の会員数を誇る。

このSpoifyを追うのがアップルの「Apple Music」だ。iPodやiTunesの普及によりデジタル音楽で先行したアップルだが、ストリーミング参入はやや遅れた。それでも契約者は全世界で5000万人以上に達し、米国市場では2018年にSpotifyを追い抜いたとの調査もある。

ストリーミングのメリットは「定額で聞き放題」できる点だ。CDやダウンロード販売のように買って失敗する恐れがなく、新しい曲やアーティストを次々と聞き流せる。また、他人とプレイリストを共有できるのもストリーミングならではの楽しみ方だ。

そこにライバルとして割り込んできたのがグーグルだ。YouTube動画を広告なしで見られる「YouTube Premium」に音楽配信サービスをバンドルし、2018年11月には日本でもサービスを開始した。

YouTubeはミュージックビデオやライブ配信とも相性が良く、音楽好きのユーザーにとって魅力的だ。アップルとしてもYouTube対抗策を繰り出す必要があったといえる。

「iPhone争奪戦」時代の新たな還元策という可能性

KDDIが開いた発表会には、ゲストとしてApple Music代表の服部浩氏が登壇。日本の発表会にアップル関係者が登壇することは異例の事態であり、注目を浴びた。アップルの並々ならぬ力の入れようが感じられる点だ。

発表会に登壇したApple Music代表の服部浩氏

今回のApple Music6か月無料は、12月1日以降にauのスマホを契約した人に、月額980円のサービスを6か月無料で提供するというもの。すでに3か月の無料体験を利用済みの人やAndroidスマホも対象になっており、抜かりがない。

Apple Musicの契約向けの特別ライブも開催する。KDDI独自の音楽配信「うたパス」とは楽曲数や価格帯で棲み分ける。料金はauの電話料金と合算されるので、クレジットカードを持たない人でも利用できるなど、細かな点までよく練られている。

auユーザーに使いやすいよう、よく練られている

実はこの試みは、新たなスマホ還元策としても注目されている。携帯料金値下げ議論では、端末と回線の分離により端末の値引き販売が難しくなり、iPhoneの売れ行きがさらに鈍化する可能性が出てきた。iPhoneユーザーの争奪戦が始まることは間違いなさそうだ。

その中で、かつてiPhoneの代名詞だったソフトバンクはAndroidシフトを強めており、KDDIのほうがアップルとの距離を縮める傾向にある。特に今回のように独占的な取り組みであれば、「iPhoneを使うならauが一番お得かもしれない」と認知させる効果も大きいはずだ。

NewsInsight 更新終了のお知らせ

NewsInsight 更新終了のお知らせ

2019.06.17

NewsInsightは、諸般の事情により記事更新を終了いたします。

ご愛顧いただいた読者の皆様、また関係者の皆様に、編集部一同、誠に感謝いたします。

なお、NewsInsightに掲載中の記事につきましては、引き続きマイナビニュース(https://news.mynavi.jp)へと掲載場所を移管いたします。

掲載中の連載記事につきましても同様に、マイナビニュースへ移管いたします。各連載記事の新しい掲載URLにつきましては、以下となります。

○安東弘樹のクルマ向上委員会!
https://news.mynavi.jp/series/andy

○森口将之のカーデザイン解体新書
https://news.mynavi.jp/series/cardesign

○清水和夫の自動運転ソシオロジー
https://news.mynavi.jp/series/autonomous_car

○ゲームとともに振り返る“平成”という時代
https://news.mynavi.jp/series/game_heisei

○岡安学の「eスポーツ観戦記」
https://news.mynavi.jp/series/e-Sports_review

○企業戦士に贈る「こむぎのことば」
https://news.mynavi.jp/series/komuginokotoba

○藤田朋宏の必殺仕分け人
https://news.mynavi.jp/series/shiwakenin

○「食べる」をつくる科学と心理
https://news.mynavi.jp/series/food_science

○阿久津良和のITビジネス超前線
https://news.mynavi.jp/series/itbiz

○山下洋一のfilm@11
https://news.mynavi.jp/series/filmat11

○モノのデザイン
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○知って納得、ケータイ業界の"なぜ"
https://news.mynavi.jp/series/mobile_business

○文具ソムリエール・菅未里の「新しいコンパス」
https://news.mynavi.jp/series/bungu

○活字・写植・フォントのデザインの歴史 - 書体設計士・橋本和夫に聞く
https://news.mynavi.jp/series/font-history

○カレー沢薫の時流漂流
https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu

最後になりますが、改めて皆様に感謝いたしますとともに、引き続き、マイナビニュースにてご愛顧いただけましたら幸いです。

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

カレー沢薫の時流漂流 第47回

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

2019.06.17

最近女性の間で「#MeToo」ならぬ「#KuToo」運動がにわかに盛り上がっている。

「#KuToo」とは「靴」と「苦痛」をかけており、職場や就職活動で、足を痛めるパンプスやヒール靴の強要をやめようという運動である。

そもそもそんなの誰も強要してねえよ、と思われるかもしれない。確かに規定として靴の形状やかかとの高さまで定めている会社はレアだろう。しかし、私の元いた会社でも、規則があるわけでも、誰に言われたでもなく、みな一様に黒のパンプスを履いていた。それが「暗黙のルール」であり、それ以外は「非常識」と見られる風潮は確かにあるのである。

これが就職活動になると、パンプスを履いていないだけで「こいつは常識がない」と見なされ不採用になってしまうかもしれない、ということだ。そうなると女子学生は足を負傷してでもパンプスを履かざるを得なくなってしまう。

正直、パンプスは苦痛

パンプスがそんなに苦痛か、というと、靴の中では殺傷能力が高い方である。これは他人への、という意味ではなく自分へのだ。他人を殺傷したいならカウボーイが履いている、かかとにピザカッターがついている奴を履いた方が良い。

狭いつま先に足の指が密集されるため、私もよく爪で隣の指を切って足を血だらけにしていたし、伸縮性にかける素材のため、あわないパンプスだと試着の時点で靴擦れが出来るレベルなのだ。

世の中には素肌に荒縄で亀甲縛りを施し、その上に上等なスーツを羽織って出社している人も多いと思う。とても痛いだろうが、それは強制されたわけではなく、その人が好きで楽しいからやっているのだ。

つまり、好きでもない上にとても痛いパンプスを強制で履かなければいけないというのは、上等なスーツの下が亀甲縛りなことよりも「異常」なことというわけだ。

この運動はすぐに広まり、いきなり国会でも議論されたという。これにより「厚労相がハイヒール強要を容認」という見出しのニュースまで踊り出ることになった。

完全に自由と言われても困るのでは?

「厚生省に、女がハイヒールを履かないと死ぬ病の人が!?」と驚いたが、記事をよく見ると見出しほどのことはなく、厚労相の発言は「これは社会通念に照らして業務上、必要かつ相等な範囲かと、この辺なんだろうと思います」というかなりボンヤリしたものであり、どっちでも良い事を聞かれた私のリアクションに似ている。

しかし「ハイヒールが履けない女は何やってもダメ」などと強い事を言っているわけではないが、「業務上必要ならパンプス履くべきだろ」という「容認」に聞こえなくもない。すぐさま「業務上ハイヒールが必要な仕事って何だよ」という疑問が挙がり、「SMの女王様」「(ハイヒールでキレッキレに踊る)perfume以外ありえない」などの声が相次いだ。

この社会問題がすぐ大喜利になってしまうのは良くも悪くも「ザ・ツイッター」という感じだ。

確かに「業務上必要」となると、まだかかとにピザカッターがついている靴の方が「ピザを食う時」必要な気がする。

ただ、靴や服装を完全に自由化し、何でもOKにすれば良いかというと、それはそれで問題が起きると思う。ファッションに疎くコーディネートが苦手な人間からすれば、職場に何を着ていいのか全く「指針」がないというのは迷子になるし、接する側としても、車を買いにいってディーラーが、イモ―タンジョ―の完コスで出てきたら「キャデラックしか買うことを許されないのか」と委縮してしまう。就活マナー本に「俺の考えた最強の就活ファッションで挑みましょう」とだけ書かれていても逆に困るだろう

着る側としても、それに接する側としても、社会において服装にある程度規定や模範があるというのはメリットでもあるのだ。

そもそも規定や常識というのは、秩序を作ることにより問題を減らすためにあるものなのだ。しかしそれが元で「足を負傷する」という「問題」が起こっているなら本末転倒なので、やはり解消はすべきなのだろう。

極論に流れない寛容さが足りない

おそらく「#KuToo」を提唱している人も「ドラゴン柄のコンバースで就活したい」と言っているわけではないのだ。最近は「パンプスに見えるスニーカー」なども存在するし、パンプスでなくても地味な靴はいくらでもある。そのような靴を履いていても「パンプスじゃないから非常識」と見るのをやめてほしいという話だろう。

ちなみに私が会社員時代履いていたパンプスだが、黒の革靴ではあったが、つま先は限りなく丸く、ヒールはなきに等しい、今思えばあれはパンプスだったのか、70過ぎのババアが旅行に行くときに履くヤツなんじゃないか、という代物であったが、特に何も言われなかった。

「#KuToo」が求めるのも、そのぐらいの「寛容さ」なのではないだろうか。

【お知らせ】
連載「カレー沢薫の時流漂流」の掲載場所を変更します。
→ 新しい掲載場所はこちら https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu