激戦コーヒー市場! スターバックスはコンビニにどう立ち向かうか

激戦コーヒー市場! スターバックスはコンビニにどう立ち向かうか

2016.07.20

スターバックスコーヒーといえばオシャレなカフェとしての人気が高く、コアなファンも多い。しかしコーヒーチェーンとしてのスターバックスに立ちはだかるのが、現在、台頭しているコンビニコーヒーの存在だ。

安価で本格的な味が楽しめるコンビニコーヒーに対して、スターバックスはどう向き合うのか。先日、スターバックス コーヒー ジャパンの新CEOに就任した水口貴文氏はどう見ているのだろうか? また、スターバックスがとる戦略とは?

コンビニコーヒーでコーヒー業界が活性化

今やコンビニ各社がレジ回りにコーヒーマシーンを導入し販売しているコンビニコーヒー。自宅や会社のすぐそばにある店舗でコーヒーが飲めるという点で消費者のアクセシビリティが高い。また、価格にしてみてもスタンダードなドリップコーヒーが、スターバックスのショートで280円(税別)なのに対し、セブンイレブンのRサイズ、ファミリーマートのSサイズ、ローソンのSサイズ、いずれも93円(税別)と1/3程度だ。

さらに以前、「フラッペとラテで勝負、ファミマのおいしい戦略」でお伝えしたように、ファミリーマートではスターバックスのフラペチーノに競合するフラッペの新味を積極的に導入、カフェ利用者のニーズを取り込むべく、カフェラテの配合比率を大手カフェチェーンの比率に近づける、など攻めの姿勢である。

しかし、水口氏はコンビニコーヒーの隆盛について意に介する様子はないようだ。同氏は「コーヒー業界が盛り上がっているということではないでしょうか。コーヒーの消費量は伸びていますし、そう意味では我々の会社としてはすごく大切なことだと思っています」とむしろポジティブなとらえ方をしている。

スターバックス コーヒー ジャパンCEOの水口貴文氏

日本は世界有数のコーヒー消費国。全日本コーヒー協会の世界の国別消費量資料の2014年統計によると、日本はEU、アメリカ、ブラジルに続く世界第4位で巨大なコーヒーマーケットでありつつも、国内消費量においては2007年の43万8,384トン以降は落ち込んでいた。しかし、コンビニコーヒーが普及を始めた2013年には6年ぶりに44万6,392トンと過去最高を記録し、その後も増加傾向にある。コンビニコーヒーの存在でコーヒー業界が活性化したと見ても良さそうだ。

2020年に1500店舗を目指す

また、水口氏は「正直に申し上げまして、あまり社内でどこのコンビニがという話はしておりません」と強気だ。では、コンビニコーヒーが市場を席巻した2013年以降において、スターバックスの業績はどう変化しているのだろうか。売上高は、2013年3月期が1,165億2,500万円、2014年3月期が1,256億6,600万円と上昇している。2015年度の数字については、スターバックス コーヒー ジャパンが2015年3月にスターバックスコーポレーションの100%子会社になったため公開されていないものの、水口氏によると増収増益の基調を保っているという。

もうひとつ着目したいのが店舗数。コンビニコーヒー普及前の2012年度が985店なのに対し、2015年度は1178店と1,000店を超えている。2014年度から2015年度にかけて82店舗増えており、この増加ペースは創生期を除くと2007年のリーマンショック前に次ぐ2番目に高い増え方だ。そして、前CEOの関根純氏が目指した「2020年には1500店舗を目指す」という方針は引き続き維持していくという。

コンビニコーヒー隆盛にもかかわらず、スターバックスは店舗が増加し勢いを増している。その秘密はいったいどこにあるのだろうか。

スターバックスの店舗数の推移

昔ながらの喫茶店を思わせる新形態店舗

コンビニとスターバックスが違う点、ひとつはスターバックスが昔から提唱しているキーワード「サードプレイス」だ。自宅でも職場でもない第3のくつろげる場所という意味である。コーヒーだけではなく、居場所を提供しているというわけだ。コンビニでは提供できない空間がスターバックスの強みのひとつである。また、パートナーと呼ばれる店舗スタッフによるおもてなしも欠かせない要素だ。

しかし昨今、スターバックスはこのサードプレイスのあり方を多様化させ、今までの店舗では考えられないようなスタイルの店舗も送り出している。例えばバリスタが客と話をしながら一杯一杯とコーヒーを入れてくれるカフェ「EXPERIENCE BAR」、従来の店舗のように駅前や繁華街ではなく、住宅街でコーヒーを飲みながらゆったりとした時間が過ごせる「Neighborhood & COFFEE」、そして女性向けにワインなどアルコール類を提供する「EVENINGS」の3つだ。

このうち、「EXPERIENCE BAR」や「Neighborhood & COFFEE」はスタンダードな店舗に比べ、おもてなしやゆったりと過ごせる時間というものをさらに重視しているのが特徴で、昔ながらの喫茶店に近い価値観の店舗になる。喫茶店と差別化をはかり発展してきたスターバックスが喫茶店に回帰するといってもいいだろう。

今までのスターバックスとは違う形態の店舗もオープンされている

また、今後のスターバックスで危惧されるのが、都市部で出店が飽和状態になり利用客から飽きられること。しかし、新しいスタイルの店舗を投入すれば周囲の店舗とサービスが重なるリスクは減る。水口氏は店舗数については具体的に明かさなかったものの「都心部ではもうちょっと多様化した店舗の形態が必要になってくるでしょう」と、新形態の店舗を織り交ぜていく旨を匂わせていた。

新規性と意外性のあるメニュー

もうひとつのスターバックスにおけるキーワードは「サプライズ&デライト」。常に驚きと楽しさを提供するという意味である。スターバックスがコンビニコーヒーや、そして昔ながらの喫茶店とも差別化できる点であるのが、コーヒーだけでない独自の商品ラインナップだ。スターバックスのメニューにおけるファンも多い。水口氏は「商品の開発力は本当に強みだと思っています」と自信をのぞかせる。

その根拠はコーヒーや果汁などにゼリー・果肉を入れたフローズンドリンク・フラペチーノの人気だ。スタンダードな製品に加え季節のおすすめも用意されており、新製品は発表されるたび常に話題となる。フラペチーノに続く大人気商品をどう開発していくかという課題はあるというものの、フラペチーノそのものは日本で開発された商品が国内だけでなく中国でも売り出された実績もあり非常に好評だ。

コンビニや喫茶店で用意できないような新規性と意外性の高いメニューを投入し続けることで、スターバックスならではの魅力を作り出し、ユーザーの囲い込みにつながっているといえる。

スターバックスのフラペチーノの新製品「クラッシュ オレンジ フラペチーノ」

体験を売るスターバックス

現在、ユーザーの購買傾向は「モノを買う」から「体験を買う」に移行している中、スターバックスではこれまでのパートナーによるおもてなしやゆったりとした空間、他では味わえない製品に加え、先に紹介したような新形態の店舗で新たな体験を提示しようとしている。

ただし、新形態店舗についてはまだ試験的な運用の段階であるため、どれだけ今後、幅広いユーザーに受け入れられるかは未知数だ。店舗のコンセプトを聞いて「スターバックスらしくない」と感じるユーザーもいるのではないだろうか。水口氏は「時代の変化に合わせて多様性、そしてお客様の価値観・変化に合わせたスタイルの提案を継続して、自分たちの殻を破っていくのが必要」と話す。

とはいえ、同じ本格コーヒーを飲むにせよ、コンビニコーヒーが安く手軽にとモノとしての魅力を高めているのに対し、スターバックスではユーザーの体験を重視する、とモノと体験とで姿勢が対照的なのは明らかだ。日本のコーヒー市場が拡大している中、ユーザーの楽しみ方も多様化している。そんな現状において、スターバックスがどこまで魅力的な体験を提供して、さらなるファンを獲得できるかが気になるところだ。

大津の園児死亡事故で炎上した「マスコミ」批判

カレー沢薫の時流漂流 第43回

大津の園児死亡事故で炎上した「マスコミ」批判

2019.05.20

漫画家・コラムニスト カレー沢薫さんの社会派連載!

第43回は、大津の痛ましい事故で炎上した「マスコミ」問題について

滋賀県・大津市で散歩中の園児の列に軽乗用車が突っ込み、園児二名死亡、多くの負傷者を出す、という事故が起った。

池袋のプリウス事故の衝撃が冷めやらぬまま、また痛ましい事故が起ってしまった。池袋の事故では「高齢者の自動車運転問題」「上級国民疑惑」が大きく注目されたが、今回の事故では全く別のものが炎上した。

マスコミ問題である。

マスコミが保育園を追求したのは視聴者のため?

事件が起こった当日夕方、被害者の園児が通っていた「レイモンド淡海保育園」が記者会見を行ったのだが、そこで質問をした記者の血が青とか紫とかほとんど寒色系じゃないかと、大きく批判された。

記者会見が、どのような内容だったかというと「危険な場所という認識はあったのか?」「保育士が道路側にいたのか?」という、何としてでも保育園側に批があったようにしたくてたまらない質問、「園児たちの様子は普段と変わらなかったのか?」という意図のわからない質問、 「散歩したのは園に庭がないからか?」という「園に庭さえあればこんなことには…」という「ニ兆円さえあれば」に匹敵する、壮大なたられば論などが挙げられ、質問を受けた園長は号泣、それを記者がバッシャバッシャ撮影するという地獄絵図だったそうだ。

記者会見を見た多くの人が「何を食ったらそんな質問ができるんだ」と思っただろうが、この記者会見は、たまたまその場にプラスチックを食って育った選りすぐりのサイコパッシャーが大集結してしまったという、悪い意味でのアベンジャーズだったワケではないと思う。

記者が何故あのような質問をしたかというと、決して趣味ではなく、おそらく「視聴者の見たい画」「聞きたい言葉」を引き出そうとした結果なのではないか。もちろん「あんなもの見たくなかった」という人が大半だと思う。

しかし、池袋プリウス事故で加害者が即逮捕されないことが大きく批判されたことからも、現在の我々視聴者に「悪が一刻も早く、俺たちの目に見える形で処されるところが見たい」という「ニーズ」が少なからずあることが分かっているのだ。

つまり「お客様に一秒でも早く悪が吊るされる様をお届けします!」というニーズに応えようとする企業努力が、「悪くもない保育園をとりあえず悪にして即斬る」という、完全に間違った「悪・即・斬」になってしまったのではないだろうか。

「マスゴミ」問題は視聴者の問題?

しかし、「被害者側への無配慮な取材はいらん」というのも、今回の件だけではなく、視聴者側が何度も言い続けている「ニーズ」である。

何故それが無視されてこのような会見が行われるかというと、被害者の声まではいらなくても、やはり我々が平素「センセーショナル」な物を求めてしまっているからではないだろうか。よって記者たちは「とにかく刺激的なものを撮ってこい」と言われ続け、感覚がマヒし、本来配慮が必要なはずの取材にすら「センセーショナルさ第一」で臨んでしまい、まるで不倫記者会見のようなノリの質問が飛ぶことになってしまったのではないだろうか。

やはり報道というのは「視聴者が何を見たがっているか」が反映されるものだ、需要がなければ供給はなくなる。このような記者会見が行われなくするためには、何度でも我々が「こういうのはいらんのや、見んし、お前らの雑誌買わんわ」と言い続けるしかないだろう。

ところで、「質問をした記者を特定して処してやろう」という動きも当然のように起こったらしい。やはり我々の「悪を処したい」「処されるのを見たい」という気持ちは根深い物があるのだ。

ちなみに、今回の事故では当初、車を運転していた52歳と62歳の2人が逮捕された。「また高齢者か」という声も上がったが、この年齢で高齢者と呼べるかは微妙なところだ。結局「車を運転する以上誰でも事故を起こす可能性がある」ということである。

車を運転しない人は「歩道を歩いていて車が突っ込んでくるなんてどうしようもない」という被害者観点から絶望したと思うが、車を運転する人は加害者観点でも恐怖したと思う。

もちろん安全運転に越したことはないが、人間には「限界」と「不測の事態」があることでおなじみである。持病もないのに運転中に突然何らかの発作が起こる可能性だってあるのだ。「どうしようもないこと」で被害者になることもあるが、加害者になることもあるのである。

つまり、車がないと生活できない土地で、私が週一ぐらいしか外出せず、引きこもり続けているのは、近隣住民の命を守る草の根活動でもあるのだ。しかし、それは無職だからできる事業なので、多くの人が、少なからずリスクを負って車を運転しなければいけない。

そのリスクを減らすには、運転者が気をつけることはもちろんだが、何せ限界がある。つまり、人間がこれ以上、進化することなく、むしろ高齢化で退化する一方だとしたら、無機物の方を整備していくしかない。

事故が起りにくい道路作り、そして車だ。

現に、車の事故防止機能はどんどん進化しており、自動運転化の開発も進んでいるという。自動運転が本当に安全なのか不安もあるが、少なくとも老が運転するよりは確実に安全になるだろう。

しかし、今のところそういった事故防止機能がついた車を買うか否かは、任意である。そして、そのような機能がついた車は高くなる。よって私の車は金銭的問題で、タイヤとハンドルがついているぐらいであり、運転手がミスったら、そのミス通り事故を起こしてくれる、素直な仕様である。

現在でも事故防止機能のある車を購入した場合、補助がもらえることもあるようだが、導入が任意な以上、つけない人はつけないだろう。これからの車には、タイヤ、ハンドル、事故防止機能を、もう屋根ぐらい忘れても良いから義務付けるべきではないだろうか。

関連記事
スープラは最高の合作? トヨタ副社長に聞く新型スポーツカーの存在意義

スープラは最高の合作? トヨタ副社長に聞く新型スポーツカーの存在意義

2019.05.20

トヨタが5世代目となる新型「スープラ」を発売

直列6気筒のFRで伝統を踏襲、最上級グレードに予約集中

BMWとの共同開発について気になる点を友山副社長に聞く

トヨタ自動車は新型「スープラ」(GR Supra)を発売した。先代スープラの生産終了から17年ぶりの復活だ。価格は3リッターの直列6気筒(直6)ターボエンジンを搭載する「RZ」が690万円、2リッターの直列4気筒ターボエンジンを積む「SZ-R」が590万円、同「SZ」が490万円。直6+FR(フロントエンジン・リアドライブ)という歴代モデルの伝統を踏襲した5世代目は、トヨタとBMWの共同開発で誕生した。

新型「スープラ」。ボディサイズは「RZ」で全長4,380mm、全幅1,865mm、全高1,290mm。こだわったのは「短いホイールベース(前輪と後輪の間の幅、2,470mm)」「幅広いトレッド(左右のタイヤの幅、RZでフロント1,595mm、リヤ1,590mm)」「低い重心高」の3つの基本要素だという

儲からなければ儲かるまで“カイゼン”

新型スープラはBMW「Z4」のプラットフォームとエンジンを使っている。企画とデザインはトヨタが、設計はBMWが担当した。

トヨタでは月間220台の販売台数を想定していたが、2019年3月に予約注文の受付を開始すると、新型スープラには予想を超える数のオーダーが殺到した。事前受注は約1,400台に達したという。予約注文のうち、約7割が最上級グレードのRZに集中したことも予想外だったようで、トヨタは一時的に、同グレードの予約受付をストップしていた。

増産やグレード変更などの生産調整により、現在、RZの受注は再開している。とはいえ、今からRZを注文しても、納車は2020年1月ごろになるそうだ。

「マットストームグレーメタリック」をまとった新型「スープラ」(画像)は限定車。2019年度分の24台については、6月14日までWeb限定で商談の申し込みを受け付ける。商談順は抽選となるそうだ

「モビリティカンパニー」になると宣言したトヨタが、スポーツカーのスープラを復活させる理由については、最近、テレビやラジオのコマーシャルでもしばしば耳にする「馬がクルマに置き換わっても、競走馬は残った」という言葉の通りだ。つまり、電動化や自動化でクルマの在り方が変わっていっても、単なる移動手段ではなく、所有したり乗ったりすることで、喜びを感じられる存在として残るクルマもあるので、そういった製品を作り続けたいというのがトヨタの思いである。

新型「スープラ」はトヨタとBMWが2013年に包括提携を結んでから初の商品となる。生産はマグナ・シュタイヤーに外部委託し、オーストリアのグラーツ工場で行う

とはいえ、スポーツカーは年間何万台も売れるクルマではないし、採算が取れないおそれもある。その点については、新型スープラ発表会に登壇したトヨタの友山茂樹副社長も「スポーツカーは儲からない、売れないという冷ややかな見方があることは事実」と認めるところだ。しかし同氏は、「儲からなければ儲かるようになるまで、売れなければ買ってもらえるようになるまで、歯を食いしばってでもカイゼンを続ける」ことがトヨタ本来の姿であるとし、「クルマは五感で感じるものだというDNAを次の世代に継承しなければならない」との考えを示した。

新型「スープラ」は歴代モデルと違って2シーターだ

「BMW製では?」の声に友山副社長の回答は

気になるのは、スープラがBMWとの共同開発であり、エンジンとプラットフォームというクルマの中心部分がBMW製であるという点だ。「トヨタの思いは分かるけど、結局、BMWのクルマなのでは……」という見方があるのは、おそらく間違いないだろう。

こちらがBMW「Z4」。大きな違いはスープラがクーペでZ4がオープンカーであるところだ。「Z4」の価格を見ると、3L直6エンジンを積む「M40i」が835万円、2L直4エンジンを積むエントリーモデル「sDrive20i」が566万円となっている

そのあたりについて、友山副社長が語ったところをまとめると、まず、「スポーツカーは数(販売台数)が限られる割に、開発には莫大なコストがかかるので、単独で作るのは難しい」とのこと。今回のスープラは企画とデザインがトヨタ、設計がBMWと説明しているが、クルマの開発は「そんなに簡単なものではないし、(明確に役割を)区切れるものでも」なく、企画の段階で、トヨタとしてどんなクルマを作りたいか、どんな味を出したいかといった点については徹底的に詰めたという。それに、これは多少、冗談めかした発言ではあったものの、「BMWが作ったクルマだから」という理由でスープラを購入する顧客もいるそうだ。

トヨタの友山副社長。自身は先代「スープラ」を改造して乗っていて、トヨタの役員駐車場で警備員に止められたこともあるという

スープラを「BMW製」だと見る人たちに対して友山副社長は、「どこ製ということではなく、これは『スープラ』なんです。両社のいいところを組み合わせた最高の合作、それがスープラです。乗ると分かりますが、Z4とは全然違います」とのメッセージを伝えたいそうだ。

関連記事