ミドリムシで空を飛ぶ!? ユーグレナがバイオ燃料に見せる「本気」

ミドリムシで空を飛ぶ!? ユーグレナがバイオ燃料に見せる「本気」

2019.01.29

ユーグレナが「ミドリムシ」を原料にしたバイオジェット燃料を開発

2020年、日本初のバイオ燃料による有償フライトが実現しそう

ミドリムシ燃料は日本をバイオ燃料先進国に導くか?

東京2020年オリンピック・パラリンピック競技大会の開催まで2年を切った。自国開催ということもあり、生で観戦しようとしている人も多いだろう。そこで1つ提案したいのが、東京2020の裏にある「技術」への注目だ。

世界から注目を浴びるオリンピック・パラリンピックは、企業各社が、自社技術を世界にアピールするための「技術の祭典」でもある。2018年の平昌オリンピック・パラリンピックでは、5Gの実証実験サービスが世界で初めて行われ、開会式ではインテルのドローンによる光のパフォーマンスが披露されたことも記憶に新しい。そして今、東京2020に合わせた先進技術のお披露目に向け、さまざま準備が進められている。

本稿では、2020年に合わせてANAらと協力し「日本初のバイオジェット燃料による有償フライト」を目指すユーグレナに注目。独自のミドリムシ培養技術を持ち、食品や栄養補助食品へと展開してきた同社が次に目指す、バイオジェット燃料開発の現状とその展望について話を聞いた。

今回話を聞いた、ユーグレナ バイオ燃料事業部 バイオ燃料事業課 課長の江達(こう・たつ)氏

ミドリムシ技術が生んだ、バイオ燃料の可能性

ユーグレナと言えば、「健康食品」というイメージを持つ人も少なくないだろう。同社が健康食品事業のほかに燃料事業にも力を入れていると聞き、意外に思う方もいるかもしれない。ユーグレナのバイオ燃料事業部 バイオ燃料事業課 課長の江達(こう・たつ)氏は、同社がバイオ燃料事業を手がける背景を語る。

「『ミドリムシでバイオジェット燃料を作る』と言うと、疑問に思う人も多いかもしれません。しかし、トウモロコシや大豆といった穀物を使ったバイオ燃料の開発はすでに活発に行われており、欧米では、それらを燃料とした飛行機の有償フライトも行われています。そう考えると、植物の一種であるミドリムシを用いた燃料の開発は、決して突飛な話ではありません」(江氏)

同社は、2010年よりバイオ燃料の研究開発に着手。2018年11月、実証プラントを稼働した。また、それに合わせて、日本をバイオ燃料先進国にすることを目指し、その決意を「GREEN OIL JAPAN」として宣言した。同宣言にはANAホールディングスや伊藤忠エネクス、いすゞ自動車なども協力している。

2018年10月31日に竣工した実証プラント。神奈川県横浜市、AGC京浜工場内に建てられた。2019年春より本格稼働し、ミドリムシや廃食油を主原料としたバイオジェット・ディーゼル燃料の製造を開始する予定だ

バイオ燃料の原料にミドリムシを使用するメリットの1つは、その培養速度にある。同社が燃料の生産に使用するミドリムシは、環境条件が良ければ1日に倍増するほか、体積あたり30~40%の油を得られるといい、既存のとうもろこしや大豆などの植物と比較すると効率よく原料を生み出せるそうだ。

「穀物を用いたバイオ燃料の生産には、『(農地を使って作った)食材を燃料にするのはいかがなものか』という議論がありましたが、ミドリムシには農地は必要ないので、そういった問題がないことに加えて、既存の農場と場所を取り合う必要がなく、設備さえ整えればどこでも生産できるという点も大きなメリットです」(江氏)

「東京2020」「パリ協定」が追い風に

2020年、ミドリムシが原料のバイオジェット燃料を用いた有償フライトを行う――。同社がそう発表したのは、東京でのオリンピック・パラリンピックの開催が決定するよりも前のことだった。日本がバイオ燃料開発の取り組みで欧米諸国に遅れをとっている中、偶然にも世界中の注目を集めるオリンピック開催年にこうした取り組みが身を結ぶことは、幸運だったと言えよう。

さらには、2018年12月に行われた「COP24(第24回国連気候変動枠組み条約締約国会議)」において、地球温暖化対策の国際的枠組みである「パリ協定」の実施指針が採択されたことも後押しになっている。こうした状況を受け、同社では今後のバイオ燃料事業に大きな可能性を見ている。

「COP24を機に、各国における環境問題に向けた取り組みが、より熱を帯びました。二酸化炭素排出量が少ないバイオ燃料の需要は、今以上に増加することが期待されます。特に航空業界においては、今後の旅行者数の増加が見込まれる一方で、二酸化炭素の排出量の削減も求められています。そうした需要に対応するためには、バイオ燃料の需要が伸びることは確実でしょう」(江氏)

燃料事業は、ベンチャーの無謀な挑戦なのか

しかし、ベンチャー企業が中心になり、設備整備等に多額の費用がかかる燃料事業を進めるのは骨が折れることだろう。実際、一時は世界的にバイオ燃料開発を進める企業が勃発したが、資金面での問題から開発途上に終わった企業が多いとのこと。「ベンチャーなのに、そこまで資金のかかる事業をして大丈夫なのか?」と言われることもよくあるという。

そうした状況にある中で、ユーグレナが中心になり、ANAホールディングスや伊藤忠エネクス、いすゞ自動車などの大企業を巻き込み、バイオ燃料事業を推し進められたのは、「食品事業が収益の柱として確立している」ということに加えて、「当社の出雲社長、永田副社長らの熱い想いがあったから」と同氏は続ける。

「燃料事業を開始してから実証プラントの稼働に至るまでには、さまざまな苦労があった。例えば、ミドリムシの培養コストの問題、そしてプラントを稼働させるための人材の獲得です」(江氏)

同社が以前より行っている「栄養食品事業」であれば、それなりに高い単価で売り出せることもあり、培養にかかるコストがそこまで問題にならないが、燃料となるとそうともいかない。コモディティ市場であるために単価は上げられず、「大量に」「安く」生産する必要があるためだ。研究の末に培養コストは少しずつ下げられているが、今もなおその研究を続けているそうだ。

また、人材不足の問題には社長らが直接働きかけた。

「実証プラントを動かすためには、プロの技術が必要でした。しかし、その技術を持った人材の多くは、大手の石油会社にいる方達。当然、初めは我々のある種『無謀』とも取れる挑戦に共感してもらうことは困難でした。しかし、社長や副社長による説得の結果、当社のビジョンに共感してもらい、2年ほどかけて、ようやく8人の人材を集めることができました」(江氏)

「バイオ燃料先進国日本」実現へのホイッスル

「まずはバイオ燃料を多くの企業に使ってもらうことから始めたい」。江氏はこれからの展望についてこう語った。まだ実証プラントは試運転の段階にあるが、今夏からは本生産に移り、徐々にさまざまな分野へ展開していく考えだ。

「プラントではバイオジェットに限らずバイオディーゼルも生産されるため、いすゞ自動車と協力し、バイオディーゼルを用いたバスの公道走行などを開始していく予定です。まだまだ生産能力は高くなく、少量の提供にはなりますが、さまざまな企業に活用いただくことで、世の中にバイオ燃料を認知してもらうことが、直近の目標です。2020年には『陸・海・空』すべての領域におけるバイオ燃料の活用を目指しています」(江氏)

期限の迫った「2020年の有償フライト」については強気の姿勢を見せる。

「2019年の夏には、ジェット燃料を使用するために必要な国際規格の認証を受けられる予定です。生産量や供給体制等、未だに整っていない部分はありますが、2020年の有償フライトは『99.9%』実現可能だと考えています」(江氏)

将来的に、2030年をめどとして、現在のプラントの8000倍規模の生産量の実現を見込んでいる。現在の年間生産量は125kWであるため、ロードマップの通りにいけば、2030年には100万kWの燃料が生み出されることになる。

日本で100万Kの燃料を生み出せるようになれば、1つの産業として確立できることでしょう。2020年にANAと行う有償フライトは、あくまでスタート地点にすぎません。その出来事を、日本国民が環境問題について考える、さらには日本におけるバイオ燃料市場が成長するキッカケにできるよう、研究開発や周辺環境の整備はもちろん、プロモーション活動も含め、力を入れたいですね」(江氏)

2020年、日本が世界から注目を浴びるその時、「ミドリムシ燃料を用いたフライト」の実現がこの国をバイオ燃料先進国に導くホイッスルになるかもしれない。

PlayStation Vitaが近日中に出荷完了、ソニー携帯ゲーム機に幕

PlayStation Vitaが近日中に出荷完了、ソニー携帯ゲーム機に幕

2019.02.20

PlayStation Vitaの製品出荷が近日中に終了する

もともと国内生産は2019年中に終了とされていた

後継機の情報が無い現状、ソニー携帯ゲーム機の歴史途切れる?

ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)の携帯ゲーム機「PlayStation Vita(PS Vita)」が、近日中に国内出荷を完了することがわかった。現在のところ後継機の計画などは発表されておらず、「PlayStation Portable(PSP)」から続いたソニーの携帯ゲーム機の歴史が途切れることになる。

PS Vita

PS Vitaは、2004年に登場したPSPの後を継ぐ形で、2011年12月17日に発売された携帯ゲーム機だ。幾度かのマイナーモデルチェンジをしながら現在まで販売を続け、途中には「PlayStation Vita TV」といった派生製品も製品化された。現行モデルのPCH-2000シリーズは2013年から販売されていたが、2019年中に国内出荷を完了することになった。ちなみに、従来機のPSPが国内出荷を完了したのは2014年で、その2年後にネットワークサービスを打ち切っている。

発売当時には、無線LANに加え3Gにも対応したオンライン機能、高画質な有機ELタッチパネル、据え置きゲーム機「Playstation 3」相当のゲームタイトルが遊べるなど、性能志向の携帯ゲーム機として話題を呼んだ。同じ年には任天堂から裸眼立体視による3D体験を特徴とした「ニンテンドー3DS」が登場しており、携帯ゲーム機市場の覇権を争うライバル関係であった。

携帯ゲームの主流がスマートフォンに移り変わって久しいが、当時のスマートフォンはアップルで言えば「iPhone 4S」で、Xperiaは「Acro」、GALAXYは「S II」といったあたりが最新機種であった。ゲームタイトルも「アングリーバード」などが流行っていた時代だ。ゲームタイトルの購入方法も、メモリーメディアや光学メディアに収録されたパッケージ製品を店頭で買う時代から、オンラインでデータを購入することが一般的な時代へと移り変わった。

プレイステーションのゲームが遊べるスマートフォン「Xperia PLAY」なども

PS Vitaが終了する一方、周辺では、PS5などとしてPlayStation 4の後継機の開発が進んでいるという観測が頻繁に流れはじめた。また、今年3月のゲーム開発者会議「GDC」ではGoogleがゲーム関連の発表を予定しており、その中身が家庭用ゲーム機のハードウェアではないかという噂も聞こえてきている。

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2019.02.20

トヨタがクルマの月額定額サービス「KINTO」を開始

「カローラ スポーツ」が3年で192万円強

このサービスをトヨタが始めることの意義

トヨタが提案する新しいクルマとの関係、それが愛車サブスクリプションサービス「KINTO」(キント)だ。簡単にいえば3年契約の自動車購入プランだが、最大の魅力は“明朗会計”とでもいうべき月額負担のみで、クルマのある生活を手にすることができるところ。この新たな販売形態は、我々にどんなメリットをもたらすのだろうか。ユーザー目線で考えてみた。

トヨタがクルマのサブスクリプションサービス「KINTO」を始める

「プリウス」が月々4万9,788円から乗れる新サービス

トヨタは2019年2月5日、愛車サブスクリプションサービスの運営会社として株式会社KINTOを設立すると発表した。新サービス「KINTO」の名称は、西遊記に登場する「筋斗雲」からインスパイアされたもの。必要な時にすぐに現れ、思いのままに移動できる便利さや自由さを表しているとのことだ。

KINTOの愛車サブスクリプションサービスは3年契約で、毎月定額料金を支払えば、クルマを期間限定で所有できる。単に車両代が定額なのではなく、月々の料金には、登録時の諸費用および税金、メンテナンス費、任意保険、毎年の自動車税までが含まれている。このほかの負担といえば、ガソリン代や洗車代、必要な人には駐車場代くらいで済んでしまう。複雑なクルマのコストをシンプル化したことは同サービスの特筆すべき点といえるだろう。

サービスメニューは、トヨタ車対応の「KINTO ONE」とレクサス車対応の「KINTO SELECT」の2つが用意されている。

KINTO ONEで選べるのは、「プリウス」「カローラ スポーツ」「アルファード」「ヴェルファイア」「クラウン」の5車種。全てハイブリッド仕様となる。選択できるグレードは制限されるが、ボディカラーは自由に選べる(有償色は追加料金)。オプションはパッケージされたものから選択することになるようだ。サービス開始が3月1日からなので、詳しい仕様やオプションパッケージの追加料金などは明かされていないが、最も安いプリウスの場合、月額(税込み)4万9,788円~5万9,832円で手にすることができる。ボーナス併用払いを利用すれば、月々の負担を減らすことが可能だ。

KINTO ONEは「プリウス」(画像)などトヨタ車5車種からクルマを選べる。月額料金は4万9,788円~5万9,832円

KINTO SELECTでは「ES」「IS」「RC」「UX」「RX」「NX」から1台を選ぶ。車種はセダン、クーペ、SUVと豊富だ。選べるのはハイブリッドモデルのみとなる。3年契約であることに変わりはないが、KINTO ONEと違うのは、これら6車種のうち、1台に3年乗るわけではなく、6か月ごとに乗り換えができるところ。月額料金は194,400円と高めだが、こちらも全ての費用が“コミコミ”となっている。

KINTO SELECTは「UX」(画像)などレクサス車6車種からクルマを選べる。月額料金は19万4,400円だ

新車に半年ごとに乗り換えられるのはかなり贅沢といえるが、残念なのは、グレードとカラー、装着オプションまでが完全指定となってしまうこと。これは、納期などの事情を考慮した結果だという。ちなみに、KINTO SELECTは2月6日に始まったばかりだが、2月13日の時点で、すでに契約者が現れているというのには少し驚いた。

なぜハイブリッド車だけのラインアップなのか

車両のラインアップを見て気になったのは、全てがハイブリッド車である点だ。トヨタが先頃、KINTOについての説明会を東京で開催したので、この点について質問してみると、株式会社KINTOの小寺信也社長からは、「DCM(車載通信機)搭載車のみに限定した」との回答が得られた。もちろん、人気や需要を踏まえた点もあるだろう。しかし、リアルなところでは、エコカーに適用される減税の恩恵を考慮したという事情があるのかもしれない。

ただ、トヨタはKINTOがDCM搭載車のみであることを、ユーザーメリットとして還元する手立てについても検討している。それが運転のポイント化だ。通信機能を用いた運転の評価を行い、安全運転やエコ運転など、その乗り手がクルマを大切に扱っていると判断できれば、それを利用料金の値引きという形で還元する手法である。さらに、このデータを、KINTO利用車両の中古車販売時の品質保証にも役立てるようだ。

このほか、KINTOでは販売や追加サービスについても様々な構想を検討している模様。小寺社長によれば、中古車版のKINTOも将来的には検討してみたいアイデアだそうだ。また、地域によっては、冬期のマストアイテムであるスタッドレスタイヤについても、オプションとして対応できるように考えているとのことだった。

KINTOにラインアップされたのは、「クラウン」(画像)などDCMを搭載する車両のみ。いわゆる「コネクティッド技術」を利用すれば、ドライバーの運転を評価し、その評価に合わせたポイントを付与することができる 

KINTO ONEとKINTO SELECTのどちらのサービスも、まずは東京地区から試験的に始めて、今年の夏以降には全国に展開し、秋口にはサービス対象車を拡大していく計画だという。サービス拡大に合わせて、それぞれの車種や仕様など選択肢も増えていくようだ。

KINTOのユーザーメリットとしては、3年間の車両代および維持費というコストを明確化できる点に加え、購入プロセスを簡素化できる点が挙げられる。最終的な契約では販売店に出向く必要があるが、車両のセレクトや見積もりなどはWEBで済ますことが可能だ。ワンプライスのため、値引きを引き出す営業マンとの駆け引きも不要となる。

注目すべきは、自動車任意保険が料金に含まれていることだろう。基本的な対物・対人だけでなく、フルカバーの車両保険である点にも言及しておきたい。また、全年齢に対応しているので、保険料が高くなる若い人ほど大きなメリットが享受できる。車両保険の免責は5万円なので、もしもの際、負担が最小限で済むのも嬉しい。

KINTO ONEで「アルファード」(画像)を選んだ場合の月額料金は8万5,320円~9万9,360円。これは登録時の諸費用や任意保険などを含む価格だ

気になる“お得度”を「カローラ スポーツ」で考える

ただ、やはり気になるのは、同サービスの“お得度”だろう。そこで、今回はグレード構成が分かりやすい「カローラ スポーツ」を例にとって考えてみたい。

対象車である「カローラ スポーツ」のエントリーグレードである「ハイブリッドG“X”」の車両価格は241万9,200円。これに対し、「KINTO ONE」の月額料金の下限は5万3,460円なので、年間で64万1,520円、3年間の総額は192万4,560円とそれなりの金額になる。

比較対象としやすいのが、車両価格の一部を据え置く残価設定型ローンだ。とあるトヨタ販売店のWEBサイトを訪れ、車両本体のみで「カローラ スポーツ」を購入した場合の残価設定ローン(3年契約)を試算してみると、頭金なし、金利4.5%で月々4万7,400円となった。残価設定ローンの場合、一定額を据え置くので、最終回に据え置き額を支払わなければ、クルマは返却しなくてはならないので条件は似ている。これにメンテナンス代、自動車任意保険、2年目以降の自動車税などが加わることを考えると、もしかしたら、KINTOはお得なのかもと思えてきた。

ただし、普通にクルマを購入する際には、値引きや付属品のサービスがある(可能性がある)ことは、忘れてはいけないポイントだ。金利だって、キャンペーンなどでもっと条件が良いこともある。とはいえ、自動車保険のことを考えると、少なくとも若者は、KINTOをトヨタからの魅力的な提案と受け取るかもしれない。

KINTO ONEで「カローラ スポーツ」(画像)を3年間乗る場合、料金は“コミコミ”で192万4,560円だ

トヨタがわざわざ自社でサブスクリプションサービスを展開する狙いは、新たな自動車ユーザーの掘り起こしだけでなく、販売店のネットワーク維持と収益確保にもある。仮にトヨタのクルマを使ったサービスであったとしても、他社のサブスクリプションサービスやリースなどでは、必ずしもトヨタの販売店を利用するとは限らないからだ。

また、KINTOは定額販売なので、販売に必要な人件費が削減できるし、販売後もメンテナンスによる定期的な入庫がある。これがメンテナンスによる収益を生み出し、KINTOユーザーとの関係を築く時間ともなる。その販売店をKINTOユーザーが気に入れば、3年後、次のクルマを選ぶ際、新車購入かKINTOの新契約になるのかなど選択肢は色々あるものの、とにかく同店の顧客となる可能性があるのだ。

また、KINTOは値引きなしのワンプライス販売なので、同サービスが普及すれば、トヨタの収益率向上に寄与するのはもちろんのこと、3年後の中古車価格の向上にもつながるかもしれない。

クルマの月額定額サービスは損なのか得なのか

結局のところ、KINTOは得なのか、損なのか。高級車をコロコロ乗り換えるKINTO SELECTは別格として、KINTO ONEの詳しいメニューが明かされるまで明言しづらい点はあるが、トヨタ自身も手探り状態であり、割高と思われないような価格設定に苦心していることは感じられた。

まだまだテスト段階ともいえるKINTOだが、購入プロセスの簡素化、完全月額定額による分かりやすい価格設定などにより、本来であればまとまった資金が必要となる愛車購入を検討してもらいやすくする上で、トヨタにとって新たなオプションとなるのは間違いなさそうだ。また、3年契約なので、ユーザーはライフスタイルに合わせてクルマを選べるという利点もある。

ただ、自動車自体の完成度は年々高まっており、ユーザーの平均保有期間と自動車の寿命は長くなっているのが現実でもある。コスト面で考えれば、1台を長期保有した方がトータルで安く済むのは間違いない。また、KINTOは定額サービスであるがゆえに、目先のコストだけに捕らわれた結果、身の丈に合わないクルマを選んでしまう危険性もあるだろう。

とはいえ、KINTOというサービスの登場が、とりあえず一度、クルマを持ってみようと考えるきっかけになるケースはあるはずだ。“所有”にこだわらない時代に、まずはクルマと向き合ってみるという機会を作り出すだけでも、トヨタがKINTOを始める意味は大きいのかもしれない。

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