Appleで何が起きているのか、クックCEOの手紙に波紋 - iPhone SE2の可能性も

Appleで何が起きているのか、クックCEOの手紙に波紋 - iPhone SE2の可能性も

2019.01.23

Tim Cook氏の投資家向けレターが波紋を呼ぶ

大きな誤算だった新型iPhoneの販売状況

中国勢に翻弄されるApple、噂の「iPhone SE2」は?

AppleのTim Cook(ティム・クック) CEO

1月29日に発表される米Appleの2019年度第1四半期(2018年10-12月期)決算に合わせ、投資家らに宛てた同社CEO Tim Cook氏のメッセージレターが波紋を呼んでいる。

1月2日に発信されたこのメッセージには、当初890-930億ドルとしていた同四半期の売上が840億ドル程度と最大1割程度減少することが記されており、その理由として世界情勢の悪化やそれにともなうiPhone売上減少が挙げられている。この報告を受けて同社株価は1割程度も急落し、iPhoneに部品を提供するサプライチェーンにも影響が拡大している。現在Appleに何が起きており、今後同社はどこに向かうのか。

Tim Cook氏が投資家向けメッセージで語ったこと

Appleが決算発表前のガイダンスを下方修正することは過去にも何度かあったが、iPhone発売以降の現行体制に移行してからは過去最大のインパクトとなった。熱心なAppleウォッチャーとして知られるDaring FireballのJohn Gruber氏はこの件について「2002年6月以来」と述べており、ドットコムバブルがはじけた直後の新製品リリースに苦戦していたAppleの苦境に近い状況を想定しているのだろう。

さて、今回の下方修正最大の要因は中国市場にある。下記はTim Cook氏が投資家らへのメッセージで語った内容だが、中国では2018年後半に経済減速が始まっており、iPhone、Mac、iPadのすべてのカテゴリで売上減少が発生しているという。

> While we anticipated some challenges in key emerging markets, we did not foresee the magnitude of the economic deceleration, particularly in Greater China. In fact, most of our revenue shortfall to our guidance, and over 100 percent of our year-over-year worldwide revenue decline, occurred in Greater China across iPhone, Mac and iPad.

> China’s economy began to slow in the second half of 2018. The government-reported GDP growth during the September quarter was the second lowest in the last 25 years. We believe the economic environment in China has been further impacted by rising trade tensions with the United States. As the climate of mounting uncertainty weighed on financial markets, the effects appeared to reach consumers as well, with traffic to our retail stores and our channel partners in China declining as the quarter progressed. And market data has shown that the contraction in Greater China’s smartphone market has been particularly sharp.

もちろん経済減速を意識して中国の人々の間で旺盛な消費意欲が減退して、高価なApple製品を買えなくなったという話もあるだろう。一方で、特に中国ではiPhoneの競争力がなくなりつつあるという指摘もある。例えばWall Street Journalが1月3日(米国時間)に公開した記事では、本来は中国市場などをメインターゲットに「安価で大画面」をうたって登場したはずの「iPhone XR」が10万円近い値付けで非常に高く、Huaweiなどの競合製品と比較しても機能面で見劣りして魅力的ではないと説明されている。

実際、カメラ機能でいえばより安価な価格帯でHuaweiのP20 ProやMate 20 Proといった製品が提供されており、背面が単眼カメラで値付け面でもiPhone XRは不利だ。価格競争力という点ではXiaomiというライバルもおり、中国市場におけるiPhoneは「iPhone」というブランド価値でしか勝負できていない。

現行のiPhone XR

もともとサプライチェーンの最適化で世界最高レベルの手腕を持つTim Cook氏が中国に築いたiPhoneの製造エコシステムは、Appleを大きく成長させる一方、中国で強力なライバルを育て競合を激化させた。いまや世界で最もスマートフォン激戦区となっている市場において、中国に育てられたAppleが、中国で生まれた競合らによって弾かれつつある。

Appleの誤算と将来

Apple不調の話はいまこのタイミングで出てきたわけではなく、一昨年2017年にiPhone Xをリリースした直後にはささやかれはじめ、昨年2018年にiPhone XS、XS Max、XRをリリースしたことで確信に変わったという流れだ。

特にAppleからオーダーを受注するサプライヤ各社は、生産量の動向を事前に把握しており、昨秋に何段階かにわたってiPhone XRの製造量が当初見込みの半減以下になったことを受けて、このトレンドが確かなものだと認識しただろう。もともとiPhone XRの製造台数は全iPhoneのうち3-4割程度を見込んでいたが、現状では1割強の水準にとどまる。

iPhone XSとXS Maxもすでに販売が頭打ちのため、iPhone Xの製造ラインを復活させて(オーダー済み)在庫部品を消化したり、iPhone 7や8といった旧モデルの流通数量を増やして全体の販売台数を調整したりと、新モデル不調を旧モデル復活で穴埋めする状態が続く。

さらに、すでに製造済みの流通在庫や部品消化のためiPhone XRを大量に販売しなければいけない状況であり、Appleが携帯キャリアにバックリベートを渡す形で値下げを進めたり、トレードインプログラムを介して旧機種の下取りを条件にiPhone XRのみを比較的安価に販売したりと、さまざまな施策が続いている。

米カリフォルニア州サンフランシスコにあるApple San Francisco店舗の入り口に掲げられたiPhone XRの宣伝文句
店内ではトレードインプログラムによるiPhone XRの割引販売告知が掲げられている

iPhone XRの製造数は専用部品である液晶パネルの数量から想定できるが、もともと製造量の少なかったLG Displayはともかく、フォアキャストの大幅減少を受けて最大のサプライヤであったJDIは非常に大きな影響を受けているといわれ、新型iPhoneに関わりの深かったサプライヤほど少なからぬダメージを受けている。結果として、昨年2018年第4四半期(10-12月期)時点ですでに一部サプライヤが大幅な業績の下方修正を行っている。筆者の推測だが、後述のAppleの製造計画を見る限り、今後もしばらくはサプライヤの苦難の時代が続くだろう。

Appleの製造計画に詳しい複数の関係者の話によれば、同社は2019年秋に新しい3モデルのリリースを計画しており、それぞれ「6.5インチのOLED」「5.8インチのOLED」「6.1インチのLCD」という現状のモデル構成をそのまま維持する。機能面での大きな違いは「カメラ性能」で、最上位モデル(6.5インチ)は「3眼カメラ」を採用し、残りはすべて「2眼カメラ」となる。

「3眼カメラ」については競合のHuawei製品とは異なり、望遠や広角ではなく「深度計測」に特化したセンサーになるようだ。主にポートレート撮影を想定したもので、「強力なコンデジ」を突き詰めた競合製品との違いとなっている。また現行モデルではiPhone XRとしてリリースされた普及モデルでも2眼カメラであり、「カメラ性能で競合と比べて不利」という状況を覆す狙いがあると考える。

一方で、2018年モデルでLCD搭載製品の需要があまり見込めないと判断したAppleは、2020年モデルで「OLED搭載モデルのみ」に絞ってリリースする可能性がある。現状聞こえてくるのは「大画面」と「中画面」の2モデル構成で、それぞれの需要をカバーする。また同年代のモデルでより大サイズのカメラセンサーを搭載するという話も出ており、ライバル対抗を隠さない方針のようだ。

次期モデルは高値傾向がより問題に

反面、部品原価は高くなる一方で、この場合カメラモジュールのコストが一気に跳ね上がり全体のBOM (Bill Of Materials)を圧迫する。BOEなど中国系メーカーへのOLEDパネル製造の打診もあるようだが、LG DisplayでOLEDパネル製造が上手くいっていない現状を見る限り、今後も少なくとも1-2年はSamsung Displayによるほぼ独占供給状況が続き、パネル価格も高止まりを続けることになるだろう。つまり2020年も引き続きiPhoneの高値傾向は続き、場合によってはさらなる値上げという可能性も出てくる。

現行ラインアップで最上位機種の「iPhone XS Max」(右)と、その小型版の「iPhone XS」(左)

高価格が敬遠されるなか、iPhone XS、XS Max、XRの世代ではForce Touchの機能を省いてコスト削減までしておきながら、さらに値上げ要素を維持する狙いは何なのか。

これを筆者はイノベーションのジレンマのようなものだと考えている。iPhoneの機能としてはほぼiPhone 6の世代で完成しており、以後は大きなイノベーションなく製品の更新が続いている。一方で、大きな競争にさらされた競合メーカーらは最新機能やアイデアを惜しみなく投入し、「世界初」的なアピールを続けている。

ユーザーの目からすれば「そんなのは微々たる差でスマホの機能自体はたいして変わらない」と思うかもしれない。だがAppleの目にはそう映っておらず、焦りのようなものがあったのかもしれない。その結果、Tim Cook氏の号令で大きく舵を切って登場したのがOLED全面採用モデルである「iPhone X」や、そこに据えられた「Face ID」のような仕組みというわけだ。

おそらく、Appleが一番意識しているのは中国メーカー各社と中国市場で、昨今の大画面化や搭載機能の強化傾向(カメラなど)を見る限り、これはほぼ確信に近いと考える。もしAppleの最近の動きがおかしいと感じる方がいるのなら、それは「中国のライバルに翻弄されているから」と考えていいのかもしれない。

「iPhone SE2」の可能性はあるのか

最後に、昨今話題になりつつある「iPhone SE2」の可能性に触れて締めたい。

つい先日、iPhone SEが再販されて一瞬で売り切れたことが話題になったが、このオリジナル「iPhonse SE」が登場したのは2016年春。ちょうどiPhone 6SとiPhone 7が登場する合間のタイミングのことだ。

色々いわれているが、iPhone SEのもともとの登場経緯は、iPhone 6の不調で部品が消化しきれず、iPhone 5の筐体にiPhone 6Sの部品などを組み合わせ、「小型画面で最新機能」という形で売り出された。価格が最新のフラッグシップモデルよりも安価に設定されていたこともありユーザーからの反応もよかったが、iPhone全体のASP(平均販売価格)を引き下げる要因となった。Appleとしてはあまり積極的に販売したくないモデルでもあり、最大の販売チャネルである携帯キャリアにはあまり商品を流さず、製造も絞っていたという話を聞いている。ある意味苦肉の策で登場した製品といえる。

今回、特にiPhone XRの流通在庫が余る傾向にあり、iPhone SE2が登場する条件が整いつつあるという見方もある。だが、ある関係者の話によれば「iPhone XRは専用部品が多く使い回しが難しい」という理由もあり、高コストな製品をあえて値下げした状態で売るほどApple側にも余裕がないとう状況のようだ。少なくとも、最新機能を搭載した製品を安価に入手するルートとしての「iPhone SE2」は出てくる確率が低いだろう。

クックCEOはこれまで以上に難しい舵取りを迫られる

一方、LG DisplayなどにLCDパネルの発注を行い、今春にも安価なiPhoneの登場を示唆する声も聞く。その関係者の話によれば、実際にこうしたLCDパネル受注が増えているのは事実だとしているが、この情報だけからiPhone SE2のような新しい製品か、あるいは単に旧モデルの製造数を増やしているのかを推測するのは困難だ。

iPhone SE2のような製品を発売して既存の上位モデルの売上をカニバライズするよりも、iPhone 7や8のラインの製造を増やしてローエンド需要を満たすほうが現実的かもしれない。実際、iPhone XS MaxやXSの不調に比して旧製品の大画面モデルは販売数が伸びており、実際にこの予測を補強する。ライバルとの競合に加え、自身の製品の市場バランスを崩さないという両方に気を遣わなければいけないというのも、Appleのつらいところだろう。

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2019.04.23

よしもと∞ホールで開催された「LJL SPRING SPLIT 2019 Final」

リーグが進むにつれて増えていったチームや選手の固定ファン

有料チケットにも関わらずリーグでは会場がほぼ満席状態

4月13日、よしもと∞ホールにて、『League of Legends(LoL)』の国内プロリーグ「League of Legends Japan League(LJL)」の王者を決めるプレイオフ決勝、「LJL SPRING SPLIT 2019 Final」が行われた。

対戦カードは2019年春季シーズンのリーグ戦を20勝1敗の圧倒的な強さで勝ち上がった「DetonatioN FocusMe」と、プレイオフのセミファイナルにてリーグ2位の「Crest Gaming」を3連勝で下し、リーグ3位からファイナルに勝ち上がった「Unsold Stuff Gaming」だ。Unsold Stuff Gamingのリーグ成績は12勝9敗と、DetonatioN FocusMeと比べると見劣りするが、チーム状態は上り調子なので、成績差以上の拮抗した試合が期待できそうだ。

20勝1敗の好成績で1位抜けしたDetonatioN FocusMe
リーグ戦3位からセミファイナルを勝ち抜き、ファイナルに進出したUnsold Stuff Gaming

観戦が前提のeスポーツリーグとして成功を収めたLJL

ファイナルの形式は「BO5方式(5戦3勝勝ち抜け)」だ。Unsold Stuff GamingがDetonatioN FocusMeをあと一歩まで追い詰めるシーンがあったものの、結局はDetonatioN FocusMeがリーグ戦の強さをそのままに、3連勝で優勝を果たした。

LJLで優勝したことで、DetonatioN FocusMeは、5月1日から19日にかけて、ベトナムと台湾で行われるMSI(Mid-Season Invitational)に日本代表として出場することが決まった。DetonatioN FocusMeは、昨年のWorldsでプレイインステージで初勝利をあげ、強豪C9をあと一歩のところまで追い詰めるなど、大活躍しただけに、MSIでもそれ以上の成績を期待したいところだ。

決勝に相応しい熱戦を繰り広げたが、結果は3-0でDetonatioN FocusMeで優勝した

今回の「LJL SPRING SPLIT 2019」は、よしもとクリエイティブエージェンシーが運営に加わったこともあり、会場もよしもと∞ホール。観客席が常設されている劇場を使用することにより、観客が観戦することを前提に行われたリーグ戦となった。試合はすべて有料(2500~3500円)で、日本のeスポーツイベントとしては画期的なリーグ戦と言える。

しかも、多くの試合でほぼ満席状態。もっとも少ない日でも6割以上の席は埋まるそうだ。開幕戦と今回のファイナルに限れば、立ち見席まで埋まるほどの人気ぶり。“観るeスポーツ”の先駆けとして、大きな成功を収めたのではないだろうか。

ファイナルは立ち見が出るほどの人気。チケットもあっという間に完売した

徐々に増えていったチーム/選手の固定ファン

観客についても、最初のうちは『LoL』のプレイヤーがプロの試合を観に来るという印象だったが、終盤になるにつれ、選手を応援するファンが増え始め、まさにスポーツ観戦やライブ観戦に近い状態になっていた。観客席を見回すと、誰がどこのチーム、どの選手のファンかひと目でわかるほど、応援が本格的になっていた。

DetonatioN Gamingのユニフォームを着て応援する観客もちらほら。Ceros選手やEvi選手を応援する手作り応援グッズを携えた人も

リーグ戦では、試合終了後にロビーでファンとチームの「ファンミーティング」が行われる。これは昨年も行われていたが、ファンにとっては選手と近づける貴重な場になっていた。

今回のファイナルでも、試合の終了後にフォトセッションやファンミーティングが行われた。死力を尽くした試合後に1時間以上立ちっぱなしでファンに対応するのは、選手にとって決して楽なことではない。しかし、それでもファンを楽しませるのが「プロ」である。

ただ、今後、さらに観客が増え、会場が大きくなった場合は、アイドルの握手会のように、1人あたりの時間を設定する、「はがし」と呼ばれる係員を配置するなど、多少の対策は必要になってくるかもしれない。

試合終了後、ロビーでファンミーティングを行うUnsold Stuff Gaming

今回のSPRING SPLITは、全試合をよしもと∞ホールで行っていたが、今後セミファイナルとファイナルは、もう少し大きな会場で実施してもよさそうだ。

今回は初めてリーグを通して有料チケットでの開催だったこともあり、どれだけの人が訪れるか未知数な状態で席数を増やすのは難しかったかもしれないが、SPRING SPLITを通じて運営の見通しもある程度できたはずだ。2年前のSUMMER SPRITのファイナルは、幕張メッセの幕張イベントホールで開催しており、その席数は固定席だけで3888席。このときもほぼ満席となっていたので、さらに大きな会場での開催も見込めそうである。

日本のeスポーツのなかでは、もっとも観客を集められるプロリーグの1つであるLJL。SPRING SPLITをさらなる飛躍のステップとして、SUMMER SPRITの成功も願いたいところだ。LJLがほかのeスポーツタイトルへも大きく影響することは間違いなく、日本のeスポーツの発展のきっかけとなるのは言うまでもないだろう。

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2019.04.23

Gmailでメールの最後に入れる署名を設定するには?

長期間返信が滞りそうな場合は不在通知を設定しよう

ビジネスメールでは、文末に会社の住所や電話番号といった署名を入れるのが一般的だ。Gmailでは、メール作成の際に署名を自動入力するよう設定できる。

署名を作成する

署名を作成するには、まずGmailの右上にある「歯車(設定)」ボタンをクリック。出てきたメニューから「設定」を選択しよう。全般タブをそのまま下へスクロールすると「署名」が出てくるので、そこに会社の住所や電話番号、自分の所属部署など、必要な情報を記入する。

内容が決まったら「変更を保存」を押して設定を終了する。次回の新規作成メールから署名がメールの下部に記載されるようになる。

署名を作成するには右上の「歯車(設定)」ボタンをクリック。全般タブの下にある「署名」で内容を入力する
次回のメールから作った署名が表示されるようになる

不在通知を作成する

Gmailには、出張や旅行などでメールに返信ができない場合の「不在通知」機能が搭載されている。Gmailの設定を開き、全般タブの一番下にある「不在通知」から設定可能だ。

不在通知のオン・オフの切り替えや、開始日、終了日を指定することができる。不在通知として送るメールの件名と内容を入力したら「変更を保存」ボタンを押して準備は完了だ。設定期間中に届いたメールに対して、自動的に設定した内容でメールを返信するようになる。

「設定」の全般タブにある「不在通知」で必要事項を設定する

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