【フジメディアホールディングス】M&Aなどの投資で、メディア以外の事業領域へ挑戦

【フジメディアホールディングス】M&Aなどの投資で、メディア以外の事業領域へ挑戦

2016.07.21

【フジメディアホールディングス】M&Aなどの投資で、メディア以外の事業領域へ挑戦

 フジメディアホールディングス<4676>はフジサンケイグループであり、大きく分けて「放送」「製作」「映像音楽」「生活情報」「広告」「都市開発」の6つの事業からなる。連結子会社は38社となり、放送事業を中心として「メディア・コングロマリット」を目指している。2015年4月には都市開発のセグメントにおいて、サンケイビルウェルケア、グランビスタホールディングス、グランビスタホテル&リゾートを連結に加えている。

■フジメディアの主なM&A(資本提携を含む)

年月 概要
2004.1 シンコーミュージック・パブリッシャーズの株式を28億5000万円にて取得
2005.3 ソフトバンクインベストメントとニッポン放送とともに、コンテンツ・メディアブロードバンド関連企業を投資対象とするベンチャーキャピタルファンド(基金規模200億円)を設立。SBI20億円、フジテレビ160億円、ニッポン放送20億円
2005.3 サンケイビルの第三者割当増資にて93億3400万円にて引き受け(11%⇒26%)
2005.5 ニッポン放送の議決権32.5%を保有するライブドアパートナーズの全株式を取得。ライブドアのライブドアパートナーズに対する貸付金債権の買い受け、弁済を含め買収価額総額は670億円
2005.9 産業活力再生特別措置法に基づき、ニッポン放送株式1株につきフジテレビ株式ではなく、6,300円の現金交付の簡易株式交換(約241億円)により完全子会社化
2006.4 ニッポン放送ホールディングスを吸収合併
2007.3 ポニーキャニオン(84%⇒100%)、扶桑社の完全子会社化(84.4%⇒100%)、ビーエスフジの株式を追加取得(39.5%⇒44.5%)
2007.11 ディノスの株式を追加取得し完全子会社化(94.4%⇒100%)
2008.2 富士パシフィック音楽出版の株式を追加取得し完全子会社化(90%⇒100%)
2008.5 サンケイリビング新聞社の全株式を48億1400万円にて取得し、完全子会社化(41%⇒100%)
2011.4 ビーエスフジを株式交換により完全子会社化(44.5%⇒100%)。取得原価83億800万円
2012.3 秋田テレビ、岩手めんこいテレビ、岡山放送、沖縄テレビ放送、仙台放送、テレビ新広島、新潟総合テレビ、福島テレビ、北海道文化放送を追加取得し持分法適用会社へ
2012.4 持分法適用関連会社であったNEXTAPの株式を追加取得し完全子会社化(38.7%⇒100%)
2012.6 関西テレビ放送の株式を追加取得し持分法関連会社に(2.3%⇒2.6%)
2013.1 ベンチャーキャピタル事業新会社として「フジ・スタートアップ・ベンチャーズ」を設立
2013.3 持分法適用関連会社であったサンケイビルを公開買い付けにより492億7200万円で子会社化(31%⇒97.1%)
2013.12 関係強化のためWOWOW株式70万株を東芝より議決権比率4.86%を25億2700万円で取得
2014.1 協同広告はクラオスに吸収合併し消滅
2014.1 スタジオアルタを売却し、持分法関連会社から除外
2014.4 エグジットチェーンの株式を追加取得し完全子会社化
2014.7 タイの最大手TV 通販事業者であるTV Direct Public Companyの株式2.43%を取得
2014.8 伊藤忠商事の子会社であるICTパートナーズの株式37%を取得し、持分法関連会社に
2014.9 健康食品等の製造・販売を行うアルマードの株式を売却
2015.2 eコマース、O2O(on-line to off-line)、インターネット・モバイル全般などで、対象企業はグローバル展開を目指すアーリーステージを中心とするベンチャーキャピタルのQuest Venture Partners Fund II LPへ出資
2015.4 日本在住外国人向けの英語ニュースサイト「Japan Today」や求人・生活情報を提供するサイト「GaijinPot」を運営するジープラス・メディアと、その関連会社で不動産情報提供サービス「realestate.co.jp」を運営するリアル・エステート・ジャパン社を買収
2015.4 ホテル運営等を行うグランビスタホテル&リゾート株式99.6%を取得し子会社化
2015.5 米国発の動画配信ベンチャー、HJホールディングス(「Hulu」を運営)と動画配信分野で協力
2015.5 資本業務提携を目的に、音楽専門チャンネルを持つスペースシャワーネットワークの株式を第三者割当増資にて16.65%を2.6億円にて取得
2015.9 子会社で婚礼プロデュースを行うストーリア(売上9.8億円)株式100%をエスクリへ譲渡
2016.1 複合メディア企業の独ベルテルスマンと音楽著作権の共同保有、世界で徴収する著作権収入を分け合う仕組みに
2016.2 グーグル社発のベンチャー企業で世界的な人気スマートフォンゲーム「イングレス」を運営するNiantic,Inc.に出資し資本参加

 フジメディアのM&Aについては、大きなものとして05年に起きたニッポン放送ライブドア事件がある。当時フジテレビの筆頭株主であったニッポン放送の株式に対し、堀江貴文氏率いるライブドアがフジテレビの経営権を取得するために買収を仕掛けた事件であった。最終的にはライブドアとフジテレビの和解により、フジテレビ側が経営権を取られることはなかったが、ライブドアが取得していたニッポン放送株式の取得とライブドアの第三者割当増資の引き受けにより1400億円が必要となる苦い経験となった。

 その後のM&Aに関しては、グループ株式の追加取得や、協業の可能性の見込める企業に対し出資や第三者割当増資を引き受けるなど、毎年数件のM&Aを行っている。13年にはベンチャーキャピタルの組成、15年にはホテル運営などを行うグランビスタホテル&リゾート株式の子会社化、16年4月には、自社にゲーム会社を立ち上げるなど、メディア部門以外の新たな領域の開拓に力を入れている。

他社との比較(メディア部門)

 フジメディアホールディングスにおいては、放送事業を行うフジテレビジョンが同社では圧倒的な稼ぎ頭となる。民放テレビキー5局(日本テレビ放送網、テレビ朝日、TBSテレビ、テレビ東京、フジテレビジョン)の中では1984年から15年まで売上高トップを維持してきた。しかし16年3月期の決算で、売上高トップの座を日本テレビに譲ることとなった。前年対比で見ると、5局のうちフジテレビのみが減収となり、キー局の中でも苦しい環境にいる。

■2015年度売上高比較

 細かく見ていくと、売り上げに対し、日本テレビが圧倒的な利益を出していることが分かる。フジテレビは日本テレビを除く4社の中でも利益面で苦しい立ち位置に居ることが分かる。メディア全般が低成長ということはなく、実際のところ日本テレビ、テレビ朝日、テレビ東京の3社は16年3月期で過去最高益とかなり好調である。一方フジテレビは、売上高では3分の1ほどになるテレビ東京と比べても営業利益、経常利益、純利益では大きな差が無い。民放5社のうちでは完全に一人負けとなった状況であり、メディア部門の強化は喫緊の課題であろう

セグメントの分散(ホールディングスでの比較)

 16年3月期でのそれぞれの売り上げと利益について示した。

■売上と利益

 それぞれをホールディングスで見てみるとフジメディアの売上高が大きく抜きんでていることが分かる。

 まずセグメントを見てみよう。比較すると、フジメディア以外の4社は3~4の事業セグメントに分けているが、フジメディアはセグメントが7つと他社に比べ多角化していると言える。フジメディアは現時点で100社の子会社と52の関連会社を持っており、事業の分散を進めている。利益の面で見ると、日本テレビに対しては倍以上の差をつけられているものの、外の3社に比べると利益は出ている。フジメディア単体を見ると、放送部門の利益が少ない一方、都市開発のセグメントが利益に大きく貢献していることが分かる。フジメディアはメディアでの売り上げを中心とするも、不振であるメディアの変動に左右されないポートフォリオを構築しているとも言えよう。今期の売り上げ見込みにおいても都市開発事業については23%増を見込んでおり、同事業をさらに拡大させる算段のようだ。

■総資産額

 厳しい環境に立つフジメディアであるが、財務を見てみると、同社の総資産は16年3月期で1兆1364億円、自己資本比率も減少傾向にあるものの55%と問題ない水準である。

新たな事業領域へ

 メディア関連で一人負けしている同社にとって、メディア事業の強化は喫緊の課題となるものの、数年間利益が減少し続けているメディア事業が一気に利益が取れるようになることは難しい。そのため成長分野への投資が必要になろう。

 今でこそ珍しくはないが、13年2月にフジメディアはテレビ局では珍しく総額で15億円を投資するベンチャーキャピタル(フジ・スタートアップ・ベンチャーズ)を設立した。スマホ向けアプリの開発や放送と連携できるネット企業の囲い込みや育成を目的として設立したが、キャピタルゲインを得ることを主眼とする銀行系ファンドと異なり、いかに協業できるかというところに主眼を置いている。今現在ではゲーム、学習コンテンツ、マーケットプレイスなどベンチャー企業14社に出資し、新たなメディアコンテンツ価値創造を目指している。

 また、自社においても16年4月にスマートフォン及びPC向けゲームの企画運営などを行うフジゲームズを設立した。テレビ局がゲーム会社を持つことは珍しく、新たな柱をつくろうとする同社の気概を感じる。

 さらなる多角化を目指し、新たなことに挑戦を続けるフジメディアの次の一手はどのようなものになるのだろうか。

この記事は、企業の有価証券報告書などの開示資料、また新聞報道を基に、専門家の見解によってまとめたものです。

まとめ:M&A Online編集部

新AQUOSは“片手ポケット族”狙う iPhone不在の「小型スマホ」市場に勝機

新AQUOSは“片手ポケット族”狙う iPhone不在の「小型スマホ」市場に勝機

2018.11.16

シャープが新スマホ「AQUOS R2 compact」を発表

大画面化の波に逆らい、「片手ポケット族」が増加傾向に

iPhone不在の「小型スマホ」市場を狙う

11月15日、シャープがAndroidスマートフォンの新製品「AQUOS R2 compact」を発表した。名前に「compact」と付いている通り、最近のスマホ市場では選択肢が減っている小型モデルであることが特徴だ。

小型スマホの需要を取り込む「AQUOS R2 compact」

コンパクトな見た目とは裏腹に、中身にはハイエンドである「AQUOS R」シリーズのスペックを詰め込んでいる。世界的にスマホの大画面化がトレンドとなっている中で、あえて時代に逆行するシャープの狙いはどこにあるのだろうか。

スマホを片手で持ち、ポケットに入れて使う人が増加

世界のスマホ市場では、6.5インチの「iPhone XS Max」に代表される大画面モデルが人気を博している。だが、日本では通勤電車などの利用シーンにおいて、片手で使う人が多いといわれている。シャープによれば、スマホを片手で持つ人は64% 、服のポケットに入れて持ち運ぶ人は49% に達しており、その割合は上昇傾向にあるという。

片手で持ち、ポケットに入れて持ち歩く「片手ポケット族」が多いという

その背景として、シャープはスマホの「インフラ化」を指摘する。SNSやコンテンツを楽しむだけでなく、サービスの利用やモバイル決済にスマホは欠かせない存在になっており、日常生活でスマホを取り出す場面が増えている。

AQUOS R2 compactは、日本人の手のサイズを念頭に置いた「横幅64mm」のボディに、できるだけ高性能な部品を詰め込んだハイエンドコンパクト機になっている。プロセッサは最新のSnapdragon 845、メモリは4GBを搭載しているが、これは大画面モデルのAQUOS R2と同等だ。

ポケットに入れやすいサイズに高性能を詰め込んだ

スマホ本体を小型化する一方、画面は前モデルの「AQUOS R compact」より大型化した。このためにシャープは画面の上下に切り欠き(ノッチ)を持つIGZOディスプレイを開発。インカメラと指紋センサを搭載しつつ、表示領域を上下に広げてきた。

前モデル(左)と比べて新モデル(右)は表示領域が広がった

「iPhone不在」の小型スマホ市場を直撃

シャープによれば、小型スマホを求める人は全体の3割程度という。スマホ市場では残りの7割に向けた大画面モデルが幅を利かせており、最新のiPhoneでは6.5インチのXS Maxに加え、一般向けモデルの「iPhone XR」も6.1インチとなっている。

一方、小型モデルとして根強い人気のあった「iPhone SE」は、後継モデルが出ないまま販売が終了。中古市場では価格が上昇する騒ぎもあった。

日本で最大シェアを誇るiPhoneだが、小型スマホ市場では存在感が薄れつつある。ソニーモバイルはXperiaシリーズのコンパクト機を投入しているが、2018年夏モデルの「Xperia XZ2 Compact」と比較して、シャープ機は画面の大きさ、薄さ、軽さの面で圧倒している。

中国メーカーとして日本でも勢いを伸ばすファーウェイ、OPPOも世界市場において大画面化競争を繰り広げており、小型モデルに積極的な動きは見せていない。この点もシャープにとって有利に働いている状況だ。

また、AQUOS R2 compactは顔認証と指紋認証の両方に対応しているのも特徴。これは、iPhoneにもXperiaにもない機能だ。スマホをポケットから取り出し、顔の前に持ち上げるだけでロックを解除できる顔認証だが、卓上に置いている場合は使いにくい。だが指紋センサがあれば、指を置くだけで済む。

顔認証に加えて指紋認証にも対応

スマホの端末メーカーの多くはグローバル市場に目を向け、大画面化のトレンドを追いがちだ。だが、シャープは国内の需要をしっかりとらえた上で、日本のユーザーに刺さる製品作りを続けている。

依然としてiPhone人気が続いている中で、限られた市場であっても「不在」のチャンスをタイムリーに活かし、ユーザーを奪還する。国内に目配りできるシャープならではの戦い方に注目したい。

大画面化するスマートフォン 使いやすさの試行錯誤は縦長から折り畳みへ

知って納得、ケータイ業界の"なぜ" 第23回

大画面化するスマートフォン 使いやすさの試行錯誤は縦長から折り畳みへ

2018.11.16

海外メーカーの台頭で日本にも大画面化の波が到来

大画面化と使いやすさの両立、各社の工夫の歴史

縦長スマホにとって代わるのは「折り畳み」スマホか

スマートフォンのディスプレイは年々大型化が進んでおり、かつては「大きすぎる」と言われた5インチディスプレイが、今や小さい部類に入ってしまうほどだ。一方で使いやすさを維持しながらディスプレイの大画面化を実現するため、メーカー各社はさまざまな工夫を重ねている。スマートフォンのディスプレイサイズはなぜ大きくなり、今後はどのように変化していくのだろうか。

海外メーカーの台頭で日本でも大画面化に拍車

スマートフォンにとってディスプレイは、単に情報を表示するだけでなく、タッチして操作するインタフェースも兼ねている非常に重要な存在だ。そのスマートフォンのディスプレイが、ここ10年ほどで最も大きく変化した要素が「サイズ」である。

どれくらい大きくなったのかというのは、新旧のスマートフォンのディスプレイサイズを比べてみれば一目瞭然だ。日本で最初に発売されたiPhoneである「iPhone 3G」のディスプレイサイズは3.5インチだった。一方、「iPhone X」や「iPhone XS」、「iPhone XR」といった最近のiPhoneのディスプレイサイズは6インチ級があたりまえ。1.7倍に以上に拡大しているのだ。

今やスマートフォンのディスプレイサイズは5インチ以上が一般的で、6インチも珍しくなくなった。画像の「iPhone X」のディスプレイサイズは5.85インチだ

さらに「iPhone XS Max」は6.5インチもあるし、他の大手メーカーでもサムスン電子の「Galaxy S9+」やファーウェイの「HUAWEI P20 Pro」のように、6インチを超えるディスプレイを採用した機種は増えている。なぜ、これほどまでにディスプレイサイズが大きくなったのかというと、それは大画面が欲しいというユーザーが多いため。スマートフォンの性能向上によって動画やコミック、ゲームなどのコンテンツを楽しむ人が増えていることから、ユーザーのニーズに応えるかたちで、大画面が求められるようになったといえよう。

だが日本国内の事情に目を向けてみると、公共交通機関での通勤・通学が多いのに加え、片手で文字入力ができる「フリック入力」が広く普及したこともあり、片手でスマートフォンを操作する傾向が強く、実は大画面に対するニーズはそこまで大きい訳ではない。実際日本では、4インチディスプレイの「iPhone SE」が人気を保っていたし、シャープの「AQUOS R Compact」やソニーモバイルコミュニケーションズの「Xperia XZ2 Compact」などのように、4インチ台のディスプレイを採用したコンパクトなスマートフォンも投入されている。

2018年の夏モデルとして販売されている「Xperia XZ2 Compact」は4.9インチと、最近では珍しくなった4インチ台のディスプレイを採用したコンパクトモデルだ

にもかかわらず、日本でも大画面のスマートフォンが増えているのはなぜか。まずは国内のスマートフォンメーカーが減少したことで、市場に海外メーカー製のスマートフォンが増えているためだ。海外では移動手段の違いに加え、文字入力システムの違いからスマートフォンを両手で持って操作する機会も多く、片手操作に対するこだわりが弱いのだ。

新興国などでも、ディスプレイサイズが大きいほど人気が出る傾向が目立ち、大画面に対するニーズが強いのである。海外製スマートフォンが日本市場に入り込みやすくなったことが、日本国内においてもスマートフォンの大画面化を進めたといえる。

縦長スマホの元祖はアップルだった?

とはいえ、スマートフォンが大画面化するに従って、本体の横幅がひろがり、さすがに海外のユーザーからも「持ちづらい」という声が増えてきたようだ。そこで近年急速に増えているのが、従来の16:9比率ではなく、18:9や19:9といった縦長比率のディスプレイの採用である。

持ちづらさに影響する横幅をこれ以上広げることなく、ディスプレイを縦に伸ばすことで大画面化しようとしたのだ。この流れをけん引したのは韓国メーカーで、2017年にはLGエレクトロニクスが「LG G6」(日本未発売)、サムスン電子が「Galaxy S8/S8+」といったように、縦長比率のディスプレイを採用した機種を積極的に投入した。

2017年発売の「Galaxy S8」「Galaxy S8+」は、18.9:9と縦長比率の有機ELディスプレイ「インフィニティディスプレイ」を採用したことで大きな話題となった

この韓国の両メーカーとも、グループ内にディスプレイデバイスを開発する企業を持っている。それゆえ縦長比率のディスプレイが生み出されたのには、実は大画面化だけが目的ではない。自社のスマートフォンに新しいディスプレイをいち早く搭載し、トレンドを作り上げることで、グループ企業のディスプレイデバイス販売拡大につなげる狙いもあったといえる。

だが、縦長ディスプレイで大画面化するというアイデアを真っ先に実践したのは、実はアップルである。アップルはかつてディスプレイの大画面化に消極的で、2011年発売の「iPhone 4s」までは3.5インチのサイズにこだわっていた。だが大画面化を求めるユーザーの声を受け、2012年発売の「iPhone 5」でディスプレイサイズを4インチに拡大した際に、ディスプレイの横幅はそのままに、縦に長くするという手法をとったのである。ある意味、アップルは5年前に現在のトレンドを先取りしていた、といえるかもしれない。

スマートフォンのディスプレイを縦に伸ばして大画面化するというアイデアをいち早く実践したのは、アップルの「iPhone 5」だった

しかしながら、ディスプレイを縦に伸ばして画面サイズを大きくする工夫にも、いずれ物理的な限界が来ることは目に見えている。そこで、さらなる大画面化の追求で、いま注目されているのが折り畳み式ディスプレイだ。このアイデア自体は、NTTドコモが2013年の「MEDIAS W」(NECカシオ モバイルコミュニケーションズ製)、2018年の「M」(ZTE製)で既に実現しているものだが、いずれも2枚のディスプレイを用いていたため、どうしても画面の折り目に継ぎ目が発生してしまう弱みを抱えている。

折り畳みスマートフォンとして注目されたNTTドコモの「M」は、2枚のディスプレイを用いるスタイルであるため折り畳み部分に継ぎ目が発生してしまう

だが有機ELを用いれば、ディスプレイを折り曲げられる“真の”折り畳みスマートフォンが開発できると言われており、大手スマートフォンメーカーがその開発を進めているとの観測報道も幾度となくなされている。

これは折り畳みできるという意味の「フォルダブル」スマホなどと呼ばれ、先ごろはサムスン電子が、来年発表するというフォルダブルスマホ「Galaxy F」のプロトタイプを開発者向けに見せはじめたりしている。2019年は各社から製品が登場するのではないか? との声もあるようだが、いま確実に言えることは、真の折り畳みスマートフォンがいつ、どのメーカーが、どのような形で投入するのかが、大いに注目されているということだけである。