未来の顧客を獲得するために必要なこととは? 立教大学の学生たちと考えるBMW

未来の顧客を獲得するために必要なこととは? 立教大学の学生たちと考えるBMW

2019.01.18

BMWが立教大学の講義に協力、テーマは「若者への訴求法」

学生が考えるBMWとの接点はマッチングアプリ?

若年層の顧客化に必要なのは「まず、知ってもらうこと」

顧客の高齢化に悩む高級車メーカーにとって、将来の顧客候補である若年層との関係構築は急務だ。そんな取り組みの一環なのだろうか、BMW子会社のビー・エム・ダブリュー株式会社は立教大学で講義に協力している。その講義では「2040年、ミレニアル世代にBMWを売るには何が必要か」をテーマに学生たちが知恵を絞っていると聞いたので、どんな様子なのか取材してきた。

「2040年、ミレニアル世代にBMWを売るには何が必要か」をテーマとする立教大学の講義を取材した

学生とクルマの距離感は

BMWが協力しているのは、立教大学が進める「グローバル・リーダーシップ・プログラム」の一部をなす講義だ。2018年度後期の15コマを使って、受講生は複数のグループに分かれて上記テーマについて議論し、プランを練ってきた。取材したのは、この講義の最終プレゼンテーション。4つのチームが各自のアイデアを出し合い、ビー・エム・ダブリューの社員が評価を行った。ちなみに、この講義では教える側も教わる側も英語しか使わない。

ビー・エム・ダブリューから最高の評価を受けた「LFGN.inc」というチームは、「BMWのクルマを借りてドライブする」ことを取り入れたマッチングアプリを提案。彼らは20~30代をBMWのエントリー層、30~40代を購入準備層、40~50代をターゲットカスタマーと位置づけた上で、エントリー層との接点としてアプリを使ってはどうかとのアイデアを出した。要するに、アプリを通じて出会った人たちにBMWでドライブしてもらうことで、同乗者とBMWブランドの双方と親密になってもらおうという趣向だ。

最終プレゼンで最高評価を獲得した「LFGN.inc」と同チームを讃えるビー・エム・ダブリュー MINI本部長のフランソワ・ロカ氏

BMW版マッチングアプリというアイデアを採用するかどうかはさておき、こういった取り組みを通じ、現代の学生とリアルなコミュニケーションを図れることに、ビー・エム・ダブリューは意義を感じているようだ。同社で人事を担当する三好陽宙(みよし・あきひろ)氏は、「ミレニアル世代がモビリティをどう捉えているのかについて、将来のカスタマーの認識といいますか、生の声を聞けるのは大きなポイントです。それと、どこの企業もそうだと思いますけど、いい学生には入社してもらいたい。ビー・エム・ダブリューとしては、学生たちの間で認知度を上げていくのも目的の1つです」と話していた。

ビー・エム・ダブリューのBMWブランド・マネジメント プロダクト・マーケティング・ディビジョンに所属する佐伯要氏も、学生たちにBMWのことを知ってもらうことが重要と感じている一人だ。初回の講義で学生たちの話を聞いていた佐伯氏は、驚いたことがあったという。

「初回の講義では、BMWのことは知っていても、ミニを知っている学生は半分くらいという状況だったんですが、学生同士で話し合っているのを聞いていると、多くの学生が『テスラ』について口にしていたんです。私たちからは、『テスラ』というワードを一言も提示していなかったのにも関わらずです。テスラはそれほどマーケティングに注力していないと思うのですが、イーロン・マスク氏の言動は頻繁に報道されるので、結果として知名度が上がっているんです」

実際、最終プレゼンの優勝チームに所属する学生に聞いてみると、BMWとメルセデス・ベンツの違いは「見えにくい」一方で、テスラは「違うコンセプトを打ち出している」とし、「個人的にはテスラの方が“いけてる”と思う」と話してくれた。

マスク氏の言動自体が広告になっているテスラには、若者も関心を持っているようだ(画像はテスラ「モデル3」)

知ってもらえなければ、買ってもらえない

若年層にブランド名が浸透しているかどうかは、BMWが将来的にクルマを売っていく上で大事なポイントだ。現代の若者が将来、クルマを買うかどうかは分からないとしても、もし買うとすれば知っているブランド、もっといえば“いけている”と感じるブランドに目がいくのは当然だからだ。

立教大学での講義を通じ、ビー・エム・ダブリューが実際に触れ合うことができたのは数十人の学生に過ぎなかったかもしれない。だが、この場で聞くことができた若年層の生の声は、ビー・エム・ダブリューが日本でクルマを売っていく上でも参考になったはずだ。少なくとも、現代の若者とのコミュニケーションは、「まず、知ってもらうこと」から始める必要があることを、ビー・エム・ダブリューは再確認したことだろう。

とはいえ、“若者狙い”のプロモーションは空回りしてしまうといたたまれないし、ブランドイメージに反した打ち出し方は既存客に対しても印象が悪い。実際に、どうやって若者との接点を作るかについてビー・エム・ダブリューは、立教大学の学生たちよりも深く頭を悩ませているに違いない。

NewsInsight 更新終了のお知らせ

NewsInsight 更新終了のお知らせ

2019.06.17

NewsInsightは、諸般の事情により記事更新を終了いたします。

ご愛顧いただいた読者の皆様、また関係者の皆様に、編集部一同、誠に感謝いたします。

なお、NewsInsightに掲載中の記事につきましては、引き続きマイナビニュース(https://news.mynavi.jp)へと掲載場所を移管いたします。

掲載中の連載記事につきましても同様に、マイナビニュースへ移管いたします。各連載記事の新しい掲載URLにつきましては、以下となります。

○安東弘樹のクルマ向上委員会!
https://news.mynavi.jp/series/andy

○森口将之のカーデザイン解体新書
https://news.mynavi.jp/series/cardesign

○清水和夫の自動運転ソシオロジー
https://news.mynavi.jp/series/autonomous_car

○ゲームとともに振り返る“平成”という時代
https://news.mynavi.jp/series/game_heisei

○岡安学の「eスポーツ観戦記」
https://news.mynavi.jp/series/e-Sports_review

○企業戦士に贈る「こむぎのことば」
https://news.mynavi.jp/series/komuginokotoba

○藤田朋宏の必殺仕分け人
https://news.mynavi.jp/series/shiwakenin

○「食べる」をつくる科学と心理
https://news.mynavi.jp/series/food_science

○阿久津良和のITビジネス超前線
https://news.mynavi.jp/series/itbiz

○山下洋一のfilm@11
https://news.mynavi.jp/series/filmat11

○モノのデザイン
https://news.mynavi.jp/series/designofthings

○知って納得、ケータイ業界の"なぜ"
https://news.mynavi.jp/series/mobile_business

○文具ソムリエール・菅未里の「新しいコンパス」
https://news.mynavi.jp/series/bungu

○活字・写植・フォントのデザインの歴史 - 書体設計士・橋本和夫に聞く
https://news.mynavi.jp/series/font-history

○カレー沢薫の時流漂流
https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu

最後になりますが、改めて皆様に感謝いたしますとともに、引き続き、マイナビニュースにてご愛顧いただけましたら幸いです。

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

カレー沢薫の時流漂流 第47回

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

2019.06.17

最近女性の間で「#MeToo」ならぬ「#KuToo」運動がにわかに盛り上がっている。

「#KuToo」とは「靴」と「苦痛」をかけており、職場や就職活動で、足を痛めるパンプスやヒール靴の強要をやめようという運動である。

そもそもそんなの誰も強要してねえよ、と思われるかもしれない。確かに規定として靴の形状やかかとの高さまで定めている会社はレアだろう。しかし、私の元いた会社でも、規則があるわけでも、誰に言われたでもなく、みな一様に黒のパンプスを履いていた。それが「暗黙のルール」であり、それ以外は「非常識」と見られる風潮は確かにあるのである。

これが就職活動になると、パンプスを履いていないだけで「こいつは常識がない」と見なされ不採用になってしまうかもしれない、ということだ。そうなると女子学生は足を負傷してでもパンプスを履かざるを得なくなってしまう。

正直、パンプスは苦痛

パンプスがそんなに苦痛か、というと、靴の中では殺傷能力が高い方である。これは他人への、という意味ではなく自分へのだ。他人を殺傷したいならカウボーイが履いている、かかとにピザカッターがついている奴を履いた方が良い。

狭いつま先に足の指が密集されるため、私もよく爪で隣の指を切って足を血だらけにしていたし、伸縮性にかける素材のため、あわないパンプスだと試着の時点で靴擦れが出来るレベルなのだ。

世の中には素肌に荒縄で亀甲縛りを施し、その上に上等なスーツを羽織って出社している人も多いと思う。とても痛いだろうが、それは強制されたわけではなく、その人が好きで楽しいからやっているのだ。

つまり、好きでもない上にとても痛いパンプスを強制で履かなければいけないというのは、上等なスーツの下が亀甲縛りなことよりも「異常」なことというわけだ。

この運動はすぐに広まり、いきなり国会でも議論されたという。これにより「厚労相がハイヒール強要を容認」という見出しのニュースまで踊り出ることになった。

完全に自由と言われても困るのでは?

「厚生省に、女がハイヒールを履かないと死ぬ病の人が!?」と驚いたが、記事をよく見ると見出しほどのことはなく、厚労相の発言は「これは社会通念に照らして業務上、必要かつ相等な範囲かと、この辺なんだろうと思います」というかなりボンヤリしたものであり、どっちでも良い事を聞かれた私のリアクションに似ている。

しかし「ハイヒールが履けない女は何やってもダメ」などと強い事を言っているわけではないが、「業務上必要ならパンプス履くべきだろ」という「容認」に聞こえなくもない。すぐさま「業務上ハイヒールが必要な仕事って何だよ」という疑問が挙がり、「SMの女王様」「(ハイヒールでキレッキレに踊る)perfume以外ありえない」などの声が相次いだ。

この社会問題がすぐ大喜利になってしまうのは良くも悪くも「ザ・ツイッター」という感じだ。

確かに「業務上必要」となると、まだかかとにピザカッターがついている靴の方が「ピザを食う時」必要な気がする。

ただ、靴や服装を完全に自由化し、何でもOKにすれば良いかというと、それはそれで問題が起きると思う。ファッションに疎くコーディネートが苦手な人間からすれば、職場に何を着ていいのか全く「指針」がないというのは迷子になるし、接する側としても、車を買いにいってディーラーが、イモ―タンジョ―の完コスで出てきたら「キャデラックしか買うことを許されないのか」と委縮してしまう。就活マナー本に「俺の考えた最強の就活ファッションで挑みましょう」とだけ書かれていても逆に困るだろう

着る側としても、それに接する側としても、社会において服装にある程度規定や模範があるというのはメリットでもあるのだ。

そもそも規定や常識というのは、秩序を作ることにより問題を減らすためにあるものなのだ。しかしそれが元で「足を負傷する」という「問題」が起こっているなら本末転倒なので、やはり解消はすべきなのだろう。

極論に流れない寛容さが足りない

おそらく「#KuToo」を提唱している人も「ドラゴン柄のコンバースで就活したい」と言っているわけではないのだ。最近は「パンプスに見えるスニーカー」なども存在するし、パンプスでなくても地味な靴はいくらでもある。そのような靴を履いていても「パンプスじゃないから非常識」と見るのをやめてほしいという話だろう。

ちなみに私が会社員時代履いていたパンプスだが、黒の革靴ではあったが、つま先は限りなく丸く、ヒールはなきに等しい、今思えばあれはパンプスだったのか、70過ぎのババアが旅行に行くときに履くヤツなんじゃないか、という代物であったが、特に何も言われなかった。

「#KuToo」が求めるのも、そのぐらいの「寛容さ」なのではないだろうか。

【お知らせ】
連載「カレー沢薫の時流漂流」の掲載場所を変更します。
→ 新しい掲載場所はこちら https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu