主要各社の「8K」戦略、日本の3メーカーは姿勢が大きく分かれる

主要各社の「8K」戦略、日本の3メーカーは姿勢が大きく分かれる

2019.01.15

シャープ、ソニー、パナソニック、大きく異なる8K戦略

オリンピックせまるも、8K家庭普及の見通しに温度差

米ラスベガスで開催された家電見本市「CES 2019」では、主要各社から「8K」テレビが展示されたが、日系メーカー3社の8K戦略には大きな差が出た。

個人向け8Kビデオカメラも投入し、積極的なシャープ

世界初の8Kテレビを2018年11月から日本で発売しているシャープは、CES 2019の展示においても、自らが8K分野のリーディングカンパニーであると改めて訴求する。

8Kディスプレイを一堂に展示したシャープブースの様子
シャープは8Kエコシステムを前面に打ち出した
シャープの石田佳久副社長

4年ぶりにCESのメイン会場であるセントラルホールに出展したシャープの石田佳久副社長は、当日の会見で「シャープは、中期経営計画において、『8KとAIoTで世界を変える』ことを掲げている」と話す。ブース内に数多くのBtoB向け8Kディスプレイを並べた一方、5Gによる8K画像の配信提案や、サードパーティーによる8Kデータ管理サーバーなども展示。ほかにも、8Kテレビの心臓部となるイメージプロセッシングSoCも参考展示していた。8Kの技術や製品、パートナーシップにおいても先行していると強調した内容だ。

8Kテレビの心臓部となるイメージプロセッシングSoCも参考展示
シャープがパートナーシップ戦略のもとに展示した8Kデータ管理サーバー

中でも特に注目を集めたのが、参考展示したコンシューマ向け8Kビデオカメラである。

「8Kの映像を手軽に撮影する提案が重要になる。今回、プロフェッショナル用の8Kカメラに加えて、プロシューマ向けのカメラを新たに用意した」とする。形状はデジカメのようだが、8K動画の撮影に対応。2019年上期には発売する予定だという。価格は3,000~4,000ドル程度を想定している。

石田副社長は、「将来的には、8K映像もスマホで撮影するようになり、そこまでくれば、8Kが幅広く認知されることになる。だが、そこに至るまでにはまだ時間がかかる。シャープは、8Kを普及させるために、8Kに関して、様々な製品を用意して行く考えであり、今回の8Kビデオカメラもそのひとつ。多くの人に使ってもらいたい」と説明する。

シャープが参考展示した8Kビデオカメラ

また同氏は、「シャープは8Kにおけるリーダーとして、8Kディスプレイテクノロジーによりデジタルエクスペリエンスを向上させ、エンターテインメント、放送、教育、ヘルスケア、セキュリティ、製造業など、広範に8Kの価値を提供することになる。8Kエコシステムを通じて、パートナーとともに8Kの価値を十分に引き出した提案を行っていきたい」と述べた。

シャープはCES 2019会期中の1月11日(現地時間)に、マレーシアでASEAN市場初のコンシューマ向け8Kテレビも発表している。画面サイズが大きめの60型、70型、80型の3つの製品を投入し、マレーシアで行われた会見では、「ASEAN市場においても、AQUOS 8Kワールドの幕開けを宣言する」とコメントした。

ただ、主力となる北米市場における8Kテレビ戦略には懸念材料がある。シャープは鴻海グループ傘下に入る前に、北米市場におけるシャープブランドのコンシューマ向け液晶テレビの販売に関して、中国ハイセンスにライセンスを供与している。シャープは、北米でAQUOSブランドのテレビを販売できない。

石田副社長は、「北米には8Kテレビの市場ポテンシャルがあると考えている。いい技術といい製品が完成している。これを米国で販売できないのは残念。できるだけ早く販売を再開したい」と話している。北米市場での今後の協議の行方は注目だろう。

大画面に絞り、8Kテレビを初めて投入するソニー

ソニーはCES 2019において、同社初となる8Kテレビ「Z9Gシリーズ」を出展してみせた。販売地域や価格については追って今春に発表する予定だという。

ソニーの8Kテレビ「8Kテレビ「Z9Gシリーズ」
ソニーの高木一郎専務

ソニーのホームエンタテインメント&サウンド事業担当の高木一郎専務は、このタイミングでの8Kテレビ投入を、「ソニーは、顧客に対する”感動価値”を感じてもらえる製品ができあがったら、8Kテレビをしっかり提案すると話してきた。他社が発売しているような8Kテレビのレベルでは、感動価値を与えられず、製品として出せないと考えていた。今回、ソニーのBRAVIAとして発売できる水準まで到達した」と説明する。

日本では、NHKが8Kの衛星放送を開始しているが、まだまだ8Kコンテンツは少ないのが現状だ。だが、そこにソニーがいう感動価値を提案できるという言葉の背景がある。

「8Kのコンテンツがないという現状で、8Kの感動価値を実現するには、4Kや2Kを8Kにアップスケールできる技術が肝になってくる。それを実現するアルゴリズムとデジタルプロセッシングが完成したことで、他社には実現できない感動価値を提供できることができた」(高木専務)とする。

Z9Gシリーズでは、次世代の高画質プロセッサ「X1 Ultimate」に、8K超解像アルゴリズム用の専用データベースを内蔵する。これにより、あらゆるコンテンツを8K解像度にアップコンバートする「8K X-Reality PRO」を実現できたという。

また、8Kテレビの画面サイズを98型および85型の大型モデルに絞った。高木専務は「8Kテレビは、大画面こそが魅力を発揮すると考えている。北米や中国では、大画面の価値が高まっており、そこに8Kテレビを訴求していくことになる」と話す。

技術の有用性は認めるも、パナソニックは8Kに慎重

一方、パナソニックは、8Kテレビの投入には慎重な姿勢をみせる。

パナソニックの津賀一宏社長

パナソニックの津賀一宏社長は、CES 2019で行った会見で、「8Kテレビは、パネルを買ってきて、回路をつければ製品化できる。だが、放送のソースが限られているなかで、そのソースだけで商売をすることはできない。いまは意味がないと考えており、様子見である」とする。

また、「チューナーを搭載しない8Kモニターは、プロフェッショナル向けやBtoB向けにマーケットが存在するが、ここはニッチなマーケットであり、パナソニックが直接それをやることはない」と、この分野においても、製品投入の可能性を否定する。

しかし津賀社長は、「8Kそのものは使い方によっては、いい技術になると考えている」と話しており、「8Kは、大画面で、多くの人が見られる点にメリットがあると考えている。ここにおけるパナソニックの強みは、高輝度プロジェクターである。高輝度プロジェクターを8K対応していくことは重要視している。東京オリンピック/パラリンピックのパブリックビューイングなどでの活用が想定され、パナソニックは、そこを、がんばる領域に位置づけている」とする。

自らパネルを生産し、8Kの世界を積極的に広げようとしているシャープ。今回のCES 2019では、「クリエイティブエンタテインメントカンパニー」という新たなメッセージを打ち出し、ソニー・ピクチャーズなどが持つコンテンツを最大限に楽しむことを目的に8K戦略を推進するソニー。そして、テレビやモニターでの8Kビジネスには消極的だが、プロジェクターによるBtoB提案に活路を見いだそうとするパナソニック。CES 2019で見せた8K戦略は、三者三様となった。

PlayStation Vitaが近日中に出荷完了、ソニー携帯ゲーム機に幕

PlayStation Vitaが近日中に出荷完了、ソニー携帯ゲーム機に幕

2019.02.20

PlayStation Vitaの製品出荷が近日中に終了する

もともと国内生産は2019年中に終了とされていた

後継機の情報が無い現状、ソニー携帯ゲーム機の歴史途切れる?

ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)の携帯ゲーム機「PlayStation Vita(PS Vita)」が、近日中に国内出荷を完了することがわかった。現在のところ後継機の計画などは発表されておらず、「PlayStation Portable(PSP)」から続いたソニーの携帯ゲーム機の歴史が途切れることになる。

PS Vita

PS Vitaは、2004年に登場したPSPの後を継ぐ形で、2011年12月17日に発売された携帯ゲーム機だ。幾度かのマイナーモデルチェンジをしながら現在まで販売を続け、途中には「PlayStation Vita TV」といった派生製品も製品化された。現行モデルのPCH-2000シリーズは2013年から販売されていたが、2019年中に国内出荷を完了することになった。ちなみに、従来機のPSPが国内出荷を完了したのは2014年で、その2年後にネットワークサービスを打ち切っている。

発売当時には、無線LANに加え3Gにも対応したオンライン機能、高画質な有機ELタッチパネル、据え置きゲーム機「Playstation 3」相当のゲームタイトルが遊べるなど、性能志向の携帯ゲーム機として話題を呼んだ。同じ年には任天堂から裸眼立体視による3D体験を特徴とした「ニンテンドー3DS」が登場しており、携帯ゲーム機市場の覇権を争うライバル関係であった。

携帯ゲームの主流がスマートフォンに移り変わって久しいが、当時のスマートフォンはアップルで言えば「iPhone 4S」で、Xperiaは「Acro」、GALAXYは「S II」といったあたりが最新機種であった。ゲームタイトルも「アングリーバード」などが流行っていた時代だ。ゲームタイトルの購入方法も、メモリーメディアや光学メディアに収録されたパッケージ製品を店頭で買う時代から、オンラインでデータを購入することが一般的な時代へと移り変わった。

プレイステーションのゲームが遊べるスマートフォン「Xperia PLAY」なども

PS Vitaが終了する一方、周辺では、PS5などとしてPlayStation 4の後継機の開発が進んでいるという観測が頻繁に流れはじめた。また、今年3月のゲーム開発者会議「GDC」ではGoogleがゲーム関連の発表を予定しており、その中身が家庭用ゲーム機のハードウェアではないかという噂も聞こえてきている。

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2019.02.20

トヨタがクルマの月額定額サービス「KINTO」を開始

「カローラ スポーツ」が3年で192万円強

このサービスをトヨタが始めることの意義

トヨタが提案する新しいクルマとの関係、それが愛車サブスクリプションサービス「KINTO」(キント)だ。簡単にいえば3年契約の自動車購入プランだが、最大の魅力は“明朗会計”とでもいうべき月額負担のみで、クルマのある生活を手にすることができるところ。この新たな販売形態は、我々にどんなメリットをもたらすのだろうか。ユーザー目線で考えてみた。

トヨタがクルマのサブスクリプションサービス「KINTO」を始める

「プリウス」が月々4万9,788円から乗れる新サービス

トヨタは2019年2月5日、愛車サブスクリプションサービスの運営会社として株式会社KINTOを設立すると発表した。新サービス「KINTO」の名称は、西遊記に登場する「筋斗雲」からインスパイアされたもの。必要な時にすぐに現れ、思いのままに移動できる便利さや自由さを表しているとのことだ。

KINTOの愛車サブスクリプションサービスは3年契約で、毎月定額料金を支払えば、クルマを期間限定で所有できる。単に車両代が定額なのではなく、月々の料金には、登録時の諸費用および税金、メンテナンス費、任意保険、毎年の自動車税までが含まれている。このほかの負担といえば、ガソリン代や洗車代、必要な人には駐車場代くらいで済んでしまう。複雑なクルマのコストをシンプル化したことは同サービスの特筆すべき点といえるだろう。

サービスメニューは、トヨタ車対応の「KINTO ONE」とレクサス車対応の「KINTO SELECT」の2つが用意されている。

KINTO ONEで選べるのは、「プリウス」「カローラ スポーツ」「アルファード」「ヴェルファイア」「クラウン」の5車種。全てハイブリッド仕様となる。選択できるグレードは制限されるが、ボディカラーは自由に選べる(有償色は追加料金)。オプションはパッケージされたものから選択することになるようだ。サービス開始が3月1日からなので、詳しい仕様やオプションパッケージの追加料金などは明かされていないが、最も安いプリウスの場合、月額(税込み)4万9,788円~5万9,832円で手にすることができる。ボーナス併用払いを利用すれば、月々の負担を減らすことが可能だ。

KINTO ONEは「プリウス」(画像)などトヨタ車5車種からクルマを選べる。月額料金は4万9,788円~5万9,832円

KINTO SELECTでは「ES」「IS」「RC」「UX」「RX」「NX」から1台を選ぶ。車種はセダン、クーペ、SUVと豊富だ。選べるのはハイブリッドモデルのみとなる。3年契約であることに変わりはないが、KINTO ONEと違うのは、これら6車種のうち、1台に3年乗るわけではなく、6か月ごとに乗り換えができるところ。月額料金は194,400円と高めだが、こちらも全ての費用が“コミコミ”となっている。

KINTO SELECTは「UX」(画像)などレクサス車6車種からクルマを選べる。月額料金は19万4,400円だ

新車に半年ごとに乗り換えられるのはかなり贅沢といえるが、残念なのは、グレードとカラー、装着オプションまでが完全指定となってしまうこと。これは、納期などの事情を考慮した結果だという。ちなみに、KINTO SELECTは2月6日に始まったばかりだが、2月13日の時点で、すでに契約者が現れているというのには少し驚いた。

なぜハイブリッド車だけのラインアップなのか

車両のラインアップを見て気になったのは、全てがハイブリッド車である点だ。トヨタが先頃、KINTOについての説明会を東京で開催したので、この点について質問してみると、株式会社KINTOの小寺信也社長からは、「DCM(車載通信機)搭載車のみに限定した」との回答が得られた。もちろん、人気や需要を踏まえた点もあるだろう。しかし、リアルなところでは、エコカーに適用される減税の恩恵を考慮したという事情があるのかもしれない。

ただ、トヨタはKINTOがDCM搭載車のみであることを、ユーザーメリットとして還元する手立てについても検討している。それが運転のポイント化だ。通信機能を用いた運転の評価を行い、安全運転やエコ運転など、その乗り手がクルマを大切に扱っていると判断できれば、それを利用料金の値引きという形で還元する手法である。さらに、このデータを、KINTO利用車両の中古車販売時の品質保証にも役立てるようだ。

このほか、KINTOでは販売や追加サービスについても様々な構想を検討している模様。小寺社長によれば、中古車版のKINTOも将来的には検討してみたいアイデアだそうだ。また、地域によっては、冬期のマストアイテムであるスタッドレスタイヤについても、オプションとして対応できるように考えているとのことだった。

KINTOにラインアップされたのは、「クラウン」(画像)などDCMを搭載する車両のみ。いわゆる「コネクティッド技術」を利用すれば、ドライバーの運転を評価し、その評価に合わせたポイントを付与することができる 

KINTO ONEとKINTO SELECTのどちらのサービスも、まずは東京地区から試験的に始めて、今年の夏以降には全国に展開し、秋口にはサービス対象車を拡大していく計画だという。サービス拡大に合わせて、それぞれの車種や仕様など選択肢も増えていくようだ。

KINTOのユーザーメリットとしては、3年間の車両代および維持費というコストを明確化できる点に加え、購入プロセスを簡素化できる点が挙げられる。最終的な契約では販売店に出向く必要があるが、車両のセレクトや見積もりなどはWEBで済ますことが可能だ。ワンプライスのため、値引きを引き出す営業マンとの駆け引きも不要となる。

注目すべきは、自動車任意保険が料金に含まれていることだろう。基本的な対物・対人だけでなく、フルカバーの車両保険である点にも言及しておきたい。また、全年齢に対応しているので、保険料が高くなる若い人ほど大きなメリットが享受できる。車両保険の免責は5万円なので、もしもの際、負担が最小限で済むのも嬉しい。

KINTO ONEで「アルファード」(画像)を選んだ場合の月額料金は8万5,320円~9万9,360円。これは登録時の諸費用や任意保険などを含む価格だ

気になる“お得度”を「カローラ スポーツ」で考える

ただ、やはり気になるのは、同サービスの“お得度”だろう。そこで、今回はグレード構成が分かりやすい「カローラ スポーツ」を例にとって考えてみたい。

対象車である「カローラ スポーツ」のエントリーグレードである「ハイブリッドG“X”」の車両価格は241万9,200円。これに対し、「KINTO ONE」の月額料金の下限は5万3,460円なので、年間で64万1,520円、3年間の総額は192万4,560円とそれなりの金額になる。

比較対象としやすいのが、車両価格の一部を据え置く残価設定型ローンだ。とあるトヨタ販売店のWEBサイトを訪れ、車両本体のみで「カローラ スポーツ」を購入した場合の残価設定ローン(3年契約)を試算してみると、頭金なし、金利4.5%で月々4万7,400円となった。残価設定ローンの場合、一定額を据え置くので、最終回に据え置き額を支払わなければ、クルマは返却しなくてはならないので条件は似ている。これにメンテナンス代、自動車任意保険、2年目以降の自動車税などが加わることを考えると、もしかしたら、KINTOはお得なのかもと思えてきた。

ただし、普通にクルマを購入する際には、値引きや付属品のサービスがある(可能性がある)ことは、忘れてはいけないポイントだ。金利だって、キャンペーンなどでもっと条件が良いこともある。とはいえ、自動車保険のことを考えると、少なくとも若者は、KINTOをトヨタからの魅力的な提案と受け取るかもしれない。

KINTO ONEで「カローラ スポーツ」(画像)を3年間乗る場合、料金は“コミコミ”で192万4,560円だ

トヨタがわざわざ自社でサブスクリプションサービスを展開する狙いは、新たな自動車ユーザーの掘り起こしだけでなく、販売店のネットワーク維持と収益確保にもある。仮にトヨタのクルマを使ったサービスであったとしても、他社のサブスクリプションサービスやリースなどでは、必ずしもトヨタの販売店を利用するとは限らないからだ。

また、KINTOは定額販売なので、販売に必要な人件費が削減できるし、販売後もメンテナンスによる定期的な入庫がある。これがメンテナンスによる収益を生み出し、KINTOユーザーとの関係を築く時間ともなる。その販売店をKINTOユーザーが気に入れば、3年後、次のクルマを選ぶ際、新車購入かKINTOの新契約になるのかなど選択肢は色々あるものの、とにかく同店の顧客となる可能性があるのだ。

また、KINTOは値引きなしのワンプライス販売なので、同サービスが普及すれば、トヨタの収益率向上に寄与するのはもちろんのこと、3年後の中古車価格の向上にもつながるかもしれない。

クルマの月額定額サービスは損なのか得なのか

結局のところ、KINTOは得なのか、損なのか。高級車をコロコロ乗り換えるKINTO SELECTは別格として、KINTO ONEの詳しいメニューが明かされるまで明言しづらい点はあるが、トヨタ自身も手探り状態であり、割高と思われないような価格設定に苦心していることは感じられた。

まだまだテスト段階ともいえるKINTOだが、購入プロセスの簡素化、完全月額定額による分かりやすい価格設定などにより、本来であればまとまった資金が必要となる愛車購入を検討してもらいやすくする上で、トヨタにとって新たなオプションとなるのは間違いなさそうだ。また、3年契約なので、ユーザーはライフスタイルに合わせてクルマを選べるという利点もある。

ただ、自動車自体の完成度は年々高まっており、ユーザーの平均保有期間と自動車の寿命は長くなっているのが現実でもある。コスト面で考えれば、1台を長期保有した方がトータルで安く済むのは間違いない。また、KINTOは定額サービスであるがゆえに、目先のコストだけに捕らわれた結果、身の丈に合わないクルマを選んでしまう危険性もあるだろう。

とはいえ、KINTOというサービスの登場が、とりあえず一度、クルマを持ってみようと考えるきっかけになるケースはあるはずだ。“所有”にこだわらない時代に、まずはクルマと向き合ってみるという機会を作り出すだけでも、トヨタがKINTOを始める意味は大きいのかもしれない。

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