アップルのiPhone売上予測下方修正がなぜ世界経済に影響を与えるのか

知って納得、ケータイ業界の"なぜ" 第29回

アップルのiPhone売上予測下方修正がなぜ世界経済に影響を与えるのか

2019.01.07

年明けの株式市場で波乱、原因はiPhoneの不振?

iPhone変調が米中貿易摩擦の象徴として関心に

米アップルに部品供給する日本企業への影響を懸念

2019年に入った直後から、アップルが売上予測の下方修正することを発表したことが、世界経済に大きな打撃を与えている。その要因として主に中国でiPhoneの売上が減少したことが挙げられているが、なぜiPhoneの売上が落ちることが、ここまで世界経済に影響を与えることになるのだろうか。

年明け早々iPhoneの販売不振が注目

2019年の年明け早々となる1月2日、米アップルが売上予測を下方修正すると発表したことが、世界経済に非常に大きな影響を与えている。実際、米株式市場が大幅な株安となっただけでなく、日本でも、1月4日の東京証券取引所における日経平均株価が一時700円を超す下げ幅を記録。いち企業の業績が、世界的かつ多方面に影響を与えていることが分かるだろう。

各種報道によると、アップルの業績が悪化した要因はiPhoneの販売が振るわなかったためであり、特に中国や香港、台湾などを含む大中華圏で、iPhoneの販売不振が大きく影響したとされている。中国での販売が不振となった大きな要因の1つは、ファーウェイなどの地場メーカーにシェアを奪われていることがある。

だがもう1つ、やはり米中摩擦の影響も少なからずあると考えられよう。現在米国を中心として、ファーウェイなど中国企業の通信機器を政府調達から排除しようという動きが広まっているが、これに反発する形で、米国製品の象徴であるiPhoneが中国で買い控えられた可能性も考えられる。

ファーウェイなど中国の通信企業を巡る米国側の措置が、中国側の反発を招きiPhoneの販売に影響した可能性もある

だがiPhoneの販売不振は、中国だけとは限らない様子だ。実際国内でも、iPhone新機種の販売が好調とは言えない様子を示す出来事が起きていた。それは「iPhone XR」において、発売されて間もない2018年11月中旬頃に、NTTドコモが早くも値下げを実施したことだ。

新iPhoneの中でも、数が出そうな低価格モデルとなるiPhone XRの販売が特に不振だといわれている。そして、国内でアップル製品が販売から早々に値引き販売されるケースは稀だ。それだけにこの値下げが、iPhoneの不振を象徴する動きとして関心を集めているのだ。

新iPhoneの中でも、最も低価格なモデルとして販売拡大が期待されていた「iPhone XR」だが、早々に値下げ販売がなされるなど販売不振との見方が広がっている

例年の傾向から考えると、2017年に新機軸のiPhoneである「iPhone X」が登場していることから、2018年はそのブラッシュアップを進める一方で、インパクトのある機種が登場しにくい端境期であった。それだけに2017年よりも販売の伸びが弱まる可能性は十分考えられたのだが、実際の販売状況はそれ以上に深刻だったということなのだろう。

米中経済だけでなく部品メーカーへの影響も懸念

しかしなぜ、iPhoneの販売不振でアップルが売上を落とすことが、世界経済にまで大きな影響を及ぼすことになるのだろうか。最も大きな要因はやはり、ここ最近顕著になりつつあった米中の摩擦による景気の悪化を象徴する出来事であったからだろう。

iPhoneは米国企業の製品だが、製造は主に中国の工場が担っているし、販売も中国向けが約2割を占めると言われている。そうした共依存関係にある両国の関係が悪化すれば、iPhoneだけにとどまらず、あらゆる製品の販売や生産など、さまざまな面で悪影響が起き、景気減衰を招く可能性があるわけだ。

だがもう1つ、特に日本の経済を考える上で無視できないのが、iPhoneの販売不振がアップルだけでなく、iPhoneのサプライチェーンを構成する多くの企業にも悪影響を与えることである。

アップルは製品の設計は自社でしているものの、それを作るための部品や、工場などを持っている訳ではない。そのため部品の調達や製造、物流など多くの部分を外部の企業に委託している。しかもアップルは世界トップクラスの販売数を誇る企業であるし、ライバル他社と比べモデル数が少ないことから、部品1つ当たりの調達量、そして生産数も非常に多い。

それゆえiPhoneに関わる企業にとって、アップルとの取引は売上の多くを占めることにもつながっており、iPhoneの販売拡大とともに業績を伸ばしてきた企業も少なくない。それは一方で、iPhoneの販売が落ち込めば自社の売上が大きく落ち込むことも意味している。実際に今回のiPhone販売の売上下方修正を受ける形で、アップルに部品を提供したり、iPhoneを製造したりする企業の株価も軒並み急落している。

とりわけ影響を受けやすいのが、iPhoneを生産する中国に近く、アップルとの取引が多い東アジアのハイテク関連企業である。日本国内にもiPhone向けの電子部品をアップルに供給している企業が非常に多いことから、iPhoneの販売減少が日本経済全体にダメージを与える可能性が懸念されているのだ。

給食「完食指導」は適者生存の虐待か? 子どもへの悪影響に賛否

カレー沢薫の時流漂流 第44回

給食「完食指導」は適者生存の虐待か? 子どもへの悪影響に賛否

2019.05.27

漫画家・コラムニスト カレー沢薫さんの社会派連載!

第44回は、子供のトラウマ「完食指導」問題について

給食の完食指導が問題になっている。

「お残しは許しまへんで!」

アニメ『忍たま乱太郎』に出てくる食堂のおばちゃんの有名な決めセリフである。

彼女はそのセリフの通り、それを破る者には烈火の如く怒り、時には一週間食事抜き、掃除をさせる等の罰も辞さないという、「食事を残す者を地獄の業火で焼く人物」として描かれている。

あくまでフィクションであるし、何せ彼女が飯を与えているのは忍者の卵である、今後おそらく山田風太郎の世界で活躍しなければいけない面々だ。適切に調理された食堂の飯が食えないようではやっていけるはずがない。

しかし、忍たま乱太郎の世界ではあれが適切としても、将来、忍にならない子ども相手にそれをやるのは問題なのではという声が挙がっている。

令和になっても残ってしまったトラウマ給食

石でも甘辛くしてもらえれば食える、という偏食のない人間には無縁な話だろうが、そうでない者には「給食のトラウマ」の一つや二つあるのではないだろうか。

一番多いのは「完食するまで帰れま10」だ。これが表題にもなっている「完食指導」である。食べきるまで昼休みに入らせなかったり、居残りをさせたりというものだが、中には「食べ物を無理やり口に詰め込まれて嘔吐」というストロングスタイルの指導を受けた者もいる。

ここまでなら、まだ個の問題だが「みんなが食べきるまで全員昼休みに入らせない」という、齢10にもいかない内から連座制の厳しさを叩きこむ学校もあるようだ。

これらは全て、トラウマとして残る。私でさえ、保育園の時、とりあえず口には入れたが長考したのち「やはり無理」と吐いたほうれん草の白和えのポップなビジュアルを未だ覚えているぐらいなので、無理やり口に入れられた人が忘れるわけがない。

漫画家の清野とおる先生も保育園の時、カワイイ女の子が無理やり嫌いなものを食べさせられ嘔吐したのがトラウマになっていると書いていたので、当事者でなくても同胞が目の前で嘔吐するというのは恐怖なのである。

その結果、傷を負い、登校拒否になったり体調不良を起こしたりする児童がおり、またこの経験から大人になっても「人と食事をするのが怖い」と感じる人もいるという。

そういった強制的完食指導に意味があるかというと、私はないと思う。なぜなら、未だにほうれん草の白和えが嫌いだし、義実家での食卓で姑が「今日の推し」と言わない限りは食わない気がするからだ。無理やり食わされても、大人なのでさすがに嘔吐はしないと思うが、代わりに耳あたりから出てくると思う。

このようにアレルギーでなくても「生理的に無理」な食べ物は存在する。生理的に無理な人の指が口の中に入ってくるところを想像して欲しい。「無理」としか言いようがないだろう。そのレベルでダメなものを飲みこませることが、人間にとってプラスになるとは思えない。

しかし、そこを慮りすぎて「好きな物しか食べない人間」になるのも問題である。「大して好きじゃない物」や「苦手な物」程度なら「感情を無にして食える」練習をしておいた方が、社会に出た時や義実家などでトラブルが起こりづらいのも確かである。

食育に力を入れている小学校では、生徒個人に合わせて最初から食べる量を増減させたり、または無理やり食べさせるのではなく、生徒自身が「今日俺ニンジン食っちゃうよ?」という気になるような給食環境づくりに取り組んだりしているという。

食事は「楽しい」ことが一番

昭和のトラウマランチタイムをサバイヴしてきた人間からすると、これらのやり方は「スイート」に感じられるかもしれない。

しかし、上記の食育に力を入れている学校の校長曰く「食事が楽しくなくなるのが一番ダメ」だそうだ。確かに、食事以外に楽しいことが一つもない、という人間は私含め大勢いるし、今の子どもの65%ぐらいはそういう大人になるはずである。(当社調べ)

そんな65%の唯一の楽しみを子どものころから奪うというのは、虐待と言っても過言ではないし、何のために生まれて来たのかさえわからなくなってしまう。

ちなみに私には90歳になる祖母がいるのだが、そのババア殿は一時期、シュークリームのクリームとジュースしか飲まないという、妖精みたいな生活を送っていたが、普通に生きている。何故なら、そのジュースが妖精になった老人用に作られたメチャクチャ栄養があるジュースだからである。このように、昔だと食事=適切な栄養を取る行為であったが、最近では食事からじゃなくても栄養はとれるようになってしまった。

ならば、食事をただの生命維持活動ではなく、「楽しみ」として重視していくのも自然の流れなのかもしれない。

もちろん、作ってくれた人への感謝など、倫理的なことを言えばやはり、偏食なく、出された物は何でも食えた方が良い。

よって、偏食が多い人も「これだけ嫌いなものがあるから出すな」「嫌いなものを食べさせようとするのはハラスメント」と己の権利を主張するだけでは、協調性がないと取られてしまう。

自分で作る、1人で食う、食事会でも自分が幹事をやって店を選ぶ、など嫌いな物を食べず、なおかつ周りにも不快感を与えない方法を考えていくべきだろう。この方法で、私は1年中300日ペペロソチーノだけを食い続けたが、特にトラブルはなかった。

と言いたいが夫に「くさい」と言われたので、自分の食を楽しみつつ、周りに迷惑をかけないのは、なかなか大変ことなのである。

関連記事
渦中のファーウェイ、スマホ新製品も発売延期が相次ぐ

渦中のファーウェイ、スマホ新製品も発売延期が相次ぐ

2019.05.24

米国政府がファーウェイを輸出規制リストに追加した

ファーウェイ製品の発売延期を決定する事業者が続出

輸出規制は世界経済の混乱を招く事態に……

米国政府がファーウェイを輸出規制リストに追加したことで、米中の貿易摩擦が加速している。5月21日には国内向けにスマホ新製品の発表会を開催したものの、発売を延期する事業者が相次ぐ事態となっている。

ファーウェイはスマホ新製品を発表したが、販路の多くで発売延期に

スマホ世界シェア2位に躍り出るなど、破竹の勢いで成長してきたファーウェイだが、果たして打開策はあるのだろうか。

世界シェアは再び2位に、国内でも攻勢に

ファーウェイはスマホ世界シェアでアップルと2位争いを繰り広げている。年末商戦シーズンにはアップルが2位に返り咲いたものの、2019年第1四半期にはファーウェイが前年比50%増となる5900万台を出荷したことで、再び2位に戻る形になった。

新製品発表会に登壇したファーウェイ デバイス 日本・韓国リージョン プレジデントの呉波氏

スマホ市場が伸び悩む中で、なぜファーウェイは劇的な成長を遂げたのだろうか。2018年後半から米中貿易摩擦が報じられる中、買い控える動きもある一方で、世界的な露出の増加によって、製品を手に取ってみる人が増えたことが背景にあるとファーウェイは見ている。

国内でも順調に伸びてきた。依然としてiPhoneはシェアの半数近くを占めるものの、直近1年間で最も売れたAndroidスマホはファーウェイの「P20 lite」だという(BCN調べ)。コスパの良さが高く評価されているのが特徴だ。

2019年夏モデルでは、NTTドコモがフラグシップ「P30 Pro」を、KDDIは「P30 lite PREMIUM」の取り扱いを発表。MVNOやオープン市場には「P30」と「P30 lite」を投入するなど、あらゆるセグメントに向けて最新ラインアップを一挙投入する予定だった。

ベストセラーの後継モデルとして期待される「HUAWEI P30 lite」

だが、こうしたファーウェイの快進撃に待ったをかけたのが、米商務省が発表した輸出規制リストへの追加だ。

複数の企業が取引を停止、国内で発売延期も相次ぐ

米商務省が5月15日にファーウェイを輸出規制リストに追加したことで、米国の製品やサービスをファーウェイに対して輸出することが同日より規制された。米国製の半導体やソフトウェアなどを利用できないのは大きな痛手だ。

その後、重要なサービスにファーウェイ製品を用いる企業向けに90日の猶予期間が設けられたものの、これからどうなるかは不透明な状況だ。グーグルやクアルコムなど米国企業をはじめ、米国技術に大きく依存している英Armもファーウェイとの取引を停止すると報じられている。

国内では早いものでは5月24日からP30シリーズのスマホが販売される予定だったが、大手キャリアやMVNO、量販店などが相次いで発売延期や予約停止を発表。既存のファーウェイ製品については販売が続いている状況だ。

NTTドコモが今夏発売予定の「HUAWEI P30 Pro」は予約受付を停止
KDDIの「HUAWEI P30 lite PREMIUM」の発売を延期した

ファーウェイは米国に頼らず必要な部品を調達する構えも見せているが、ファーウェイ包囲網は世界的に広がりつつある。OSであるAndroidはオープンソース版を自由に利用できるものの、グーグルのサービスがなければ海外展開は困難だ。

独自のKirinプロセッサーを有しているとはいえ、Armのライセンスがなければ開発継続は不可能とみられる。スマホ以外にも基地局などの通信インフラでファーウェイのシェアは高く、輸出規制が長引けば世界的に混乱を招きそうだ。

関連記事