日立があえて行った、縦型洗濯機の「控えめ」なリデザイン(後編)

モノのデザイン 第49回

日立があえて行った、縦型洗濯機の「控えめ」なリデザイン(後編)

2018.12.20

日立の縦型洗濯乾燥機「ビートウォッシュ」最新機種

デザインと耐久性の両立など、細部にまでこだわりが

日立の家電全体が目指す「控えめ」なデザインを体現した

洗浄力の高さで定評のある縦型洗濯機。今年11月、同カテゴリに属する日立アプライアンスの「ビートウォッシュ」シリーズに、最新機種が登場した。中でも最上位モデル「ビートウォッシュ BW-DX120C」は、機能面での進化に加え、外観上も大きく変わった。

同製品のデザインや設計・機構を担当したのは、日立製作所研究開発グループ 東京社会イノベーション協創センタ プロダクトデザイン部のデザイナー・二宮正人氏と、日立アプライアンス 家電・環境機器事業統括本部 多賀家電本部第一設計部技師の宗野義徳氏。前回の記事に引き続き、一見しただけでは気づきにくい、細部にまでこだわり抜かれた要素やそれを実現するまでの苦労、問題を克服した方法について語っていただいた。

日立アプライアンスから11月に発売された縦型洗濯乾燥機の新製品「ビートウォッシュ BW-DX120C」。デザインを担当した日立製作所研究開発グループ 東京社会イノベーション協創センタ プロダクトデザイン部のデザイナー・二宮正人氏(右)と、機構・設計部分を担当した、日立アプライアンス 家電・環境機器事業統括本部 多賀家電本部第一設計部技師の宗野義徳氏(左)に、製品化に至るまでのデザインにまつわるエピソードを伺った

難しかった「光」の調整

既存機種からの象徴的な変更として、天面のガラスパネル部分に操作部が移動し、タッチパネル式のディスプレーが採用された新製品。この変更については前回伺ったが、実はLEDの光らせ方自体にもこだわりがあるという。

二宮氏は、「通常、LEDというのは、ベース(下地)が黒であれば、コントラストも出しやすいというのが定説なんです。しかし、本体が白である本製品では、視認性を確保しつつも、LEDが消灯した際には見えないように隠すという調整がかなり難しかったのです。デザイナーとしては非常にこだわった部分です」と明かす。

確かに、本製品では使われているLEDは橙色と青色の2色だが、ガラス素材を通すことでかなり見え方は変わる。新製品の場合、橙色LEDを用いているが、ガラスを通すことでピンクがかった色味に見え、ソフトな印象を与える。

橙色をメインに、2色のLEDを採用したガラスパネル上の操作・表示部。白く透過性のあるガラス素材越しとなることで、輝度によっても見え方が大きく変わる。視認性を確保しつつデザイン上の違和感がない光らせ方の調整にも苦心したとのこと
操作部のボタンやインジゲーターのレイアウトやデザイン案。いくつものパターンが検討されたという

本製品では、機能がデザイン的にうまく昇華されている例が少なくない。その1つが操作パネルの裏側。基板が入っているために出っ張った構造になっているが、取っ手を付けることによって、掴みやすさとデザイン性を両立させている。

また、天面のフタが手前に向けてわずかに反りあがった形状になっているのも特徴だ。二宮氏曰く、「開けやすくするためであると同時に、デザイン上のアクセントにもなっています。反りあがっていることで、お客様の心理的になんとなく触れたくなる、開けたくなる効果というのもデザインで体現しているんです」とのこと。

宗野氏も「フタを開けた時の佇まいは、シャープでありながらも角に少し丸みを持たせたデザインになっています。尖ってはいるけれど危なくはなく、かっこよく見せるギリギリのところまで"R(角の丸み)"を小さくしました。完全に尖った感じではなく、少し丸みがあるほうが空間とも調和しやすいという狙いもあります」と続ける。

天面のフタの手元部分に配備されたシルバーの縁取りは、デザイン上のアクセントであり、ビートウォッシュのデザイン意匠。手前方向に反り上がりをあえて設け、ユーザーが触れたくなる衝動を掻き立てるとともに、シャープな印象を持たせて、全体のデザインを引き締める役割も担う。シャープさを損ねないレベルに角を丸くして、安全面への配慮と空間調和も図られている

デザインと耐久性の両立を目指した「洗剤投入口」

洗剤投入口にあたる部分も、デザイン上のこだわりが詰まった場所である。洗剤用のタンクは、取り外すとそのまま自立して置けるように設計。セットした際には、フタを閉めるとタンクが中に押し込まれて完全にはまる仕組みになっている。また、運転中にフタが振動で開いてしまうのを防ぐために、内側にはマグネットが埋め込まれ、吸着する仕組みが採用されている。

いずれもユーザーの操作性をよりよくするためにこだわり抜かれた工夫ではあるものの、一方で担保されなければならないのが耐久性だ。フタというのは、開け閉めが頻繁になされる部分でもあり、一般に壊れやすい。これを解消するために、設計・機構担当者とデザイナーとの主張は食い違う。宗野氏はその際の攻防を次のように明かした。

「設計・機構を担当する側としては、タンク取り付け部のフタは最低限タンクに覆いかぶさる部分だけに留めたいんです。最小限の面積にすることで、お客様はフタの重さを感じずに開け閉めできますし、耐久性もよくなります。しかし、デザイナー側からすると、フタの部分を途中で割ってしまうことですき間ができてしまう上に、デザイン上もシンメトリーではなくなり美しさが損なわれてしまうと主張されてしまいました(笑)。そこで、最終的にはフタは全体を覆う形の本体と同じ長さにしました。面積が大きくなることで壊れやすくなるという課題は、フタの素材を見直し、より硬めの素材を選定することで解決しました」

機構・設計的には、自動洗剤投入用のタンクに直接かぶさる部分だけに留めたかったと明かされた、手前側のフタの部分。シンメトリーを保つ外観の美しさはもちろん、凸凹や隙間を失くすことで汚れにくさや、手入れのしやすさも両立させたという。面積が大きくなったことでフタの部分に負担はかかりやすくなるが、強度のある素材を採用することで堅牢性を担保したという

ちなみに、新製品の本体サイズは、幅と高さに関して従来モデルと変わっていない。自動洗剤投入機能を搭載した関係で、奥行のみ70ミリほど増加している。だが、パッと見た目の印象は若干小ぶりにも見える。その点を指摘すると、二宮氏はデザイン上のトリックを次のように説明した。

「前のモデルに比べると、ガラスパネルの幅自体や位置を本体ギリギリのところまで伸ばして無駄な要素を省いたことで、スリムに見える効果が生まれています。それ以外では、先ほど述べたパネルの反り上がり形状で全体をシャープに見せているのと、正面から見ると絞られた印象になるよう最適なバランスを考えて、本体の洗濯槽側のほうにも傾斜をつけたりもしているので、より小さく見えるのだと思います」

前機種(右)に比べて、数値上は正面からのサイズは同じ。ガラスパネルの幅や位置を本体端側のギリギリまで拡大したり、微妙な傾斜をつけたりすることなどにより、新製品(左)のほうが視覚的には心なしかスリムに見えるようにデザインされている

新製品の"機能美"について改めて問いかけたところ、「すべて機能美で組みあがっている」と二宮氏。確かに、無駄やノイズをなくしてシンプルに研ぎ澄まされたデザインというよりは、ひとつひとつの機能が、目にわかるかたちでデザインとして昇華されていると感じる。

一見控えめであっても、人を魅了するデザイン

今回のビートウォッシュシリーズのリニューアルに先駆け、2016年にドラム式洗濯乾燥機「ビッグドラム」シリーズのデザインも一新している日立。しかし、今回の縦型洗濯機におけるデザインの刷新はそれに次ぐ流れではなく、まったく別のプロジェクトのもとで進められたのだという。

日立アプライアンスでは、今年2月に社長の德永俊昭氏が記者会見の席で、日立の家電全体のデザイン改革を進めていくという意向を発信しており、ビートウォッシュのデザインの変更はその一環として位置づけられている。

日立は家電全体で"一見控えめであっても、人を魅了するデザイン"を目指すべく、"Less,but Seductive"というデザイン共通言語を策定した。二宮氏は「気付かないけど、"感じる"というのがデザインとして成功していると思います。日立では、今までも使いやすさにこだわったものづくりを続けてきました。新製品ではその哲学を継承しつつも、日々の負担となる洗濯を少しでもポジティブにするための洗濯機を徹底して追及し、衣類をキレイに洗い上げるという性能を表すために、外観上も美しく清潔な佇まいを目指してデザインしました」と、製品全体としてのデザインコンセプトを総括した。

"一見控えめであっても、人を魅了するデザイン"を目指すべく策定された全社スローガン"Less,but Seductive"が昇華された新製品。ただシンプルに要素をそぎ落としていくというのではなく、パッと見それとは気づかない機能美をさりげなく散りばめつつも、違和感がなく心地よさを感じるという、デザインの真髄を体現したプロダクトと感じる

筆者は、10月に行われたビートウォッシュの新製品発表会でひと目見るなり、「この製品は奥が深そうだ」という印象を持った。実際に、開発経緯やエピソードを伺ってみると、満ち溢れた想像を超える作り手側のこだわりに、感心するばかりだった。今回の取材では、日立が家電全体で掲げた"一見控えめであっても人を魅了するデザイン"というデザインコンセプトが、製品に行き渡りはじめているのだなという実感を得ることができた。

いつかは買いたい? 安東弘樹、アストンマーティン「DB11」に乗る!

安東弘樹のクルマ向上委員会! 第17回

いつかは買いたい? 安東弘樹、アストンマーティン「DB11」に乗る!

2019.03.20

アストンマーティンのV8エンジン搭載車「DB11」に試乗

懐古趣味とは無縁、「DB」のデザインは現代の方がカッコいい

車中で「なぜ運転は楽しいか」を自問自答

日本自動車輸入組合(JAIA)の試乗会を訪れている安東弘樹さん。次に乗るのはアストンマーティンの「DB11」だ。憧れる人も多いであろう歴史ある英国製スポーツカーに、安東さんは何を思うのか。

※文と写真はNewsInsight編集部の藤田が担当しました

安東さんと「DB11」

エンジン信者ではなくとも感じる音のよさ

DB11はアストンマーティンのグランドツアラーで、安東さんが乗ったのは4リッターV型8気筒DOHCツインターボエンジン搭載モデル。最大出力は503hp、最大トルクは675Nmで、停止状態から時速100キロへの加速はわずか4秒という速いクルマだ。トランスミッションは8速オートマチック(AT)。オプションを含まないメーカー希望小売価格は2,278万1,177円となっている。

試乗した「DB11」のボディサイズは全長4,705mm、全幅2,060mm、全高1,290mm。車両重量は1,705キロだ

編集部(以下、編):なぜDB11に乗ってみたいと思ったんですか?

安東さん(以下、安):新しいアストンマーティンに乗っておかないと、という気持ちがありました。他のブランドのように試乗会というものが開催されないので、なかなか機会がありませんし。

先ほど、テスラの「モデルX」に乗りましたけど、その後にDB11に乗ると、電気自動車(EV)とは違う加速を味わうことができますね。どちらが好ましいというのはないですけど。

:EVとは違って、エンジン音に迫力がありますね!

:確かに、いい音だとは思います。ただ、エンジン音の信者ではないので、そんなにうるさくなくってもいいというタイプです。大きさより質、という感じでしょうか。

:クルマのキャラクターに合った音がしてほしい?

:そうですね。

室内の作りは、ドイツ車と比べると違いを感じます。ドイツ車だと、例えば革張りのダッシュボードなどは“パンッ!”て張っている感じですけど、こちらは、良くも悪くも作りが緩いというか、革の表面にうねりのようなものが見てとれますね。

:生命感を表現している、とかですかね?

:どうなんでしょうねー。

:乗り心地はいかがですか?

:ダイレクト感が伝わってくるような作りになっているのは分かります。ただ、ダイレクト感を作り手の側で、どのくらい味付けするのがいいのか……クルマって、難しいですね! メーカーが味付けの部分で競い合うのはいいことだと思います。

:2,278万円という価格については?

:……なぜか今、一瞬、安いって思いました(笑)。

多分、これが理由だと思います。先日、ポルシェジャパンのサイトでコンフイギュレーターを使って、最新のポルシェ「911 カレラ 4S」に、必要だと思うオプションを選んでトータルの価格を見積もったら、2,000万円を軽く超えました……。

DB11もオプションを加えたら、金額は跳ね上がるとは思いますが、ポルシェは3Lターボで最大出力450ps、最大トルク530Nmだったのに対して、DB11は4Lターボで503ps、675Nmだったので、それらを比較して、そう思えたのかもしれません。

「DB11」の価格を聞いて、一瞬だけ「安い」と思ったという安東さん

昔のクルマと今のクルマ、カッコいいのはどっち?

:アストンマーティンといえば、ボンドカー(映画「007」シリーズに登場するジェームズ・ボンドが乗るクルマ)のイメージはありますか?

:ありますねー! 一時はBMWになったりしてましたけど、アストンマーティンを復活させましたもんね。最近は、物語にとって必然性がないのに、ボンドカーを無理やり出している感じがあったんですけど、新しい作品ではアストンマーティンが大活躍してました。まあ、本来は目立ってはいけないスパイが乗るクルマではないですけどね(笑)

:「007 ゴールドフィンガー」に登場した初代ボンドカー「DB5」もカッコよかったですもんね!

:「ゴールドフィンガー」も見たんですけど、私に懐古趣味がないので、今のDB11の方がカッコいいと思います。DB5って、今のクルマに比べると、少し“ずんぐりむっくり”しているというか。

:純粋に、カッコよさで比べた場合、現行モデルの方に軍配が上がると?

:そうですね。ただ、日本車は残念ながら昔のクルマ、特に60年代~70年代の方が圧倒的にカッコいいですけどね。

純粋にカッコよさで比べた場合、初代ボンドカー「DB5」よりも試乗中の「DB11」に軍配が上がるというのが安東さんの感想

:アストンマーティンのイメージは?

:好きでした。歴代のクルマには、必ずマニュアルトランスミッション(MT)の設定があったので、乗りこなせたら格好いいだろうなとは思ってました。

:いつかはアストンマーティンを買いたいと思いますか?

:以前は思ってました。でも今は、乗って満足してしまったというか、「これが欲しい!」という感じではないです。スポーツカーの場合、どうしても、MT車にしか食指が動かないんです。DB11って確か、本国にもMTの設定はないですもんね。

:そうすると、現在の愛車であるポルシェ「911 カレラ 4S」を乗り換えるとしたら、どんな選択肢がありますか?

:“992型”の「911 カレラ 4S」()で、右ハンドルのMTって感じですかねー。

【編集部注】次に発売となる新しい「911 カレラ 4S」。つまり、同じクルマの新型をリピート購入したいということ。

:他のメーカーに候補はないですか?

「メガーヌ R.S.」(ルノー)のMTなんかいいですね!

もし、DB11がMTだったとしても、うまくスポーツ走行をする自信はないんですけど、日常でスポーツカーを楽しむという意味では、MTしか選択肢に入らないんです。

なぜステアリングを切っているだけで楽しいのか

:(箱根ターンパイクを走行しつつ)加速って、どうしても慣れてしまいますね。

:結局のところ、速いか遅いかということですしね。

:だとすると、もうテスラなどの電気自動車にはかなわないですもんね。そうすると、操作を楽しむとか、気持ちはそっちにシフトするわけで。

DB11は、トルコン8速ATもよくできていて、十分にいいクルマなんですけど、なんでしょう、どうしてかは分からないんですけど、ひょっとすると、そのうち飽きがくるかもしれないと思ってしまうんです。MTの運転だけは飽きないですからね(笑)

それにしても、こうやって右に左にステアリングを切っているだけなのに、「何が楽しいのかなー?」って、たまに思うこともあるんですけど、なぜだか楽しいんですよね。クルマに興味のない人には、「何が楽しいの? 危ないだけでしょ?」と思われるかもしれないんですけど。

クルマの運転って、興味のない人からすれば、場合によっては悪意がなくても法律的に罰せられるし、命の危険すらあるのに、何が楽しいのか理解できないでしょうね。ただ、なんなんでしょう、とにかく楽しいんですよねー! こういうワインディングロードを走らなくても、普通に、高速道路で制限速度内で走っていても、車窓の景色が変わっていく様子とか、大きな物体を自分で操る感覚が、たまらないです。

ステアリングを右に左に切っているだけで楽しいという安東さん

DB11に乗りながら、なぜクルマの運転は楽しいのかと自問自答を始めた安東さん。助手席から見ていると、その問答自体がすでに、楽しげに見えた。次に乗るクルマは、ポルシェを買い替える場合の選択肢として名前の挙がった「メガーヌ R.S.」だ。

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アウディが新型「A6」を発売、大攻勢の2019年は注目モデルが続々

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2019.03.20

8世代目に突入したアッパーミドルセダン「A6」

「アウディ クワトロ」のDNAを受け継ぐエクステリア

最新テクノロジーよりも大切なユーザー目線

アウディ ジャパンは新型「A6セダン」およびワゴンタイプの新型「A6アバント」を3月20日より発売する。車両本体価格は「A6セダン」が920万円~1,006万円、「A6アバント」が955万円~1,041万円。フルモデルチェンジを経たアウディ伝統のアッパーミドルセダン(おおよそ全長4,800mm以上のクラスの高級セダンで、いわゆるEセグメント)は、同社3シリーズ目となる電動車として登場した。

新型「A6」の発表会に登壇したアウディ ジャパン代表取締役社長のフィリップ・ノアック氏。A6は2019年3月20日から全国のアウディ正規ディーラーで販売する

アウディにとって3作目となる電動車

「A6」は1968年にデビューしたアウディのアッパーミドル(中大型クラス)セダンの流れをくむモデル。今作は初代モデル「アウディ100」から数えて8世代目にあたる。「アウディ100」と「A6」の両シリーズを合わせた累計販売台数は820万台。新型のグレードは、「A6セダン」「A6アバント」ともに「55 TFSI quarto S line」と「55 TFSI quarto debut package」の2種類だ。

「A6セダン」は「55 TFSI quarto S line」が1,006万円、「55 TFSI quarto debut package」が920万円
画像3:「A6アバント」は「55 TFSI quarto S line」が1,041万円、「55 TFSI quarto debut package」が955万円

アウディは「A8」「A7」に続き、新型「A6」に電動化技術を組み込んだ。同社は2019年に6車種のプラグインハイブリッド車(PHV)を導入し、2020年末までに合計12車種の電動パワートレイン車をラインアップする電動化戦略を掲げているが、A6の電化はその一環だ。

A6のパワーユニットは、いずれも3.0リッターV6ターボエンジンにマイルドハイブリッドテクノロジー(MHEV)を組み合わせる。この3.0リッターTFSIユニットは、最高出力340ps/5,200-6,400rpm、最大トルク500Nm/1,370-4,500rpmを発揮する。「A6セダン」が停止状態から時速100キロまでの加速に要する時間は5.1秒(欧州仕様参考値)だ。

「アウディ クワトロ」の遺伝子を受け継ぐエクステリア

発表会でノアック社長が「アウディ車にとって重要なメッセージ」と語ったのがデザインだ。2018年にフルモデルチェンジして登場した「A8」「A7」と同じく、新型「A6」も新たなアウディのデザイン言語を体現しており、「ピンと張った面、キリッと尖ったエッジ、目を引くラインなどが特徴」(ノアック社長)だという。

「A6セダン」のフロントマスク
ボディサイズは全長4,950mm、全幅1,885mm、全高1450mm、ホイールベース2,925mm。長いボンネット、ロングホイールベースなど、造形美が光るプロポーションとなっている

従来モデルよりワイドかつ低く配されたシングルフレームグリルに、フラットなヘッドライト。フロントマスクではエアスポイラーを備えた大型のサイドエアインテークも目を引く。サイドビューは先代モデルと比べて引き締まった印象。力強く張り出したホイールアーチ上の輪郭、長く伸びたルーフラインなど、「アウディ クワトロ」のDNAを受け継いでいることを確認できるポイントは随所で発見できる。

この新たなデザイン言語を読み解くのであれば、バランスのとれたエクステリアプロポーションでエレガンスさを、フロントマスクの造形でスポーティーさを演出している、といったところだろうか。

アウディが考えるユーザー中心の開発とは

「A6を日本市場に導入できることをとても嬉しく思うとともに、誇りに思います」と述べたノアック社長は、日本におけるアウディの戦略にも言及した。

アウディ ジャパンの戦略を語るノアック社長

最初に言及したのが商品攻勢だ。今回の新型「A6」に加えて、新型「RS4アバント」、アウディ ジャパン初のクリーンディーゼルエンジン搭載車となった新型「Q5 40 TDI クワトロ」を発表するなど、積極的な姿勢が目立つアウディ。2019年は今後も、ほぼ毎月、新モデルを投入する予定だという。アウディ初の電気自動車(EV)「e-tron」や新たなセグメントへの参入となる「Q8」など、注目度の高い車種も発表の時を待っている。

そして、ノアック氏が強調したのが、ユーザーを中心に据える「カスタマー・セントリシティ」という考え方だ。

「A6セダン」のコックピット。ドライバー正面とセンターコンソール上部、さらにセンターコンソール下部の3カ所に大型ディスプレイが設置してある

この言葉、ノアック社長は単なる顧客満足度の向上という意味では使っていない。その真意として同氏は、「アウディブランドは新しい技術を駆使し、新たな価値あるものを作り出していきます。ただ、アウディにとってテクノロジーは重要ですが、それ以上に大事なのは、お客様の視点です」と説明した。

どれだけ優れた技術であっても、ユーザーに必要とされなければ、それは不要な技術といえる。新型「A6」は最新のテクノロジーを搭載するが、快適性の向上やドライバーサポートアシスタントシステムの充実、安全性の高さなどは、いずれもユーザーに望まれる技術である。新型車が登場すると新たな機能に注目が集まりがちだが、重要なのは、その機能がユーザーの求めるものであるかどうかだ。

最後にノアック氏は、「今年は本当にエキサイティングな年になると思います。この1年をぜひ、アウディとともにお楽しみください」と語り、記者発表を締めくくった。

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