なぜTBSラジオは「スペシャルウィーク」をやめるのか

なぜTBSラジオは「スペシャルウィーク」をやめるのか

2018.12.17

聴取率争いに自ら終止符? TBSラジオの決断

ラジコの普及で重要性を増すリアルタイムの聴取者数

「ノンリスナーのリスナー化」がラジオ業界の至上命題

TBSラジオが「スペシャルウィーク」をやめる――。11月29日(木)深夜の「木曜JUNK おぎやはぎのメガネびいき」(毎週木曜深夜25時からTBSラジオで生放送)でこの件が話題になった時は、初耳だったので驚いた。なぜ、こういう決断に至ったのか。TBSラジオのスペシャルウィークは今後、どうなるのか。TBSラジオの三村孝成社長に聞いた話も交えてお伝えしたい。

TBSラジオは12月8日(土)、AM波を送信している戸田送信所(埼玉県戸田市)の使用電力を再生可能エネルギーに切り替え、「ナイツのちゃきちゃき大放送」(毎週土曜日、朝9時から午後1時までの生ワイド番組)内でセレモニーを実施。この機会を捉え、TBSラジオの三村社長(左端)に話を聞いた

ラジオの「スペシャルウィーク」とは何か

本題に入る前に、まず、ラジオのスペシャルウィークとは何かをおさらいしておきたい。

スペシャルウィークと密接に関係するのがラジオの「聴取率」だ。これはビデオリサーチという会社が調べているもので、調査は首都圏、関西圏、中京圏の3カ所でアンケートを実施して行う。

そのうち、首都圏の調査を取り上げて中身を詳しく見ていきたい。まず、調査の対象エリアは東京駅を中心とする半径35キロ圏内となっている。対象者は12歳~69歳の男女個人、標本数はおよそ3,000人。調査回数は1年に6回(偶数月)で、その調査月のうち1週間を「聴取率調査週間」に設定し、「その期間中にラジオを聴いたか」「どんな番組を聴いたか」といったことをアンケートで調べて聴取率を算出する。

つまり、ラジオの聴取率というのは、首都圏でいえば、年に6回の「聴取率調査週間」の間に、アンケート調査を受けた人が、ラジオを聴いていたかどうかによって決まる。1分ごとの数字をはじき出すテレビの「視聴率」とは、かなり性格の違う指標だということが分かる。

こういう調査方法であることから、ラジオ局は聴取率調査週間に合わせて、通常放送とは違う企画、通常放送とは違うパーソナリティーの起用、リスナーへのプレゼント企画、豪華ゲストの起用といった特別な施策を実施する。これがスペシャルウィークだ。

約150mのアンテナがそびえ立つTBSラジオ戸田送信所。1,900万戸にAM波を届けるTBSラジオの基幹送信所で、使用電力は月間11万キロワットだ。再生可能エネルギーは「みんな電力株式会社」が供給する。電力は新潟県上越市の小規模水力発電施設などから調達する

ラジオ局によって呼称は異なるかもしれないが、聴取率調査週間をスペシャルウィークと位置づけ、特別なキャンペーンを展開したり、番組の内容を変えたりする手法は業界では一般的だ。

そんな中、TBSラジオは、この調査期間をスペシャルウィークと呼称することをやめると宣言した。その期間中に、局を挙げて特別なキャンペーンを打つことも、今後はしないという。つまり、聴取率を上げるために調査週間を狙って特別企画を展開するのはやめて、今後は時期を自ら考えて特別な取り組みを行うという態度を鮮明にしたのだ。

なぜ、こういう決断をしたのか。TBSラジオは17年4カ月の間、聴取率で業界トップを走り続けているにも関わらずだ。

聴取率トップでも放送収入が上がらない現状

決断の背景として、まず注目したいのは、聴取率で業界トップのTBSラジオでさえ放送収入が上がっていないというラジオ業界の現状だ。業界全体で見ても、広告収入は25年間、ずっと下がり続けている。

それに、ラジオの聴取率も過去に比べれば低迷している。前述したビデオリサーチの調査によれば、2018年10月の首都圏の「全局個人聴取率」(12~69歳、男女、週平均)は5.2%。この数字、1990年代には9%くらいあったそうだ。

スペシャルウィークに注力した結果、聴取率で業界トップに輝いたとしても、収入は上がらないし、ラジオを聞く人も増えない。それならば、慣習に固執する必要もない。これがTBSラジオの判断なのだろう。

確かに、普段はラジオを聴かない人(ノンリスナー)が、スペシャルウィークをきっかけに聴くように(リスナーに)なるかどうかは疑問だ。

もとからのラジオリスナーであれば、何らかの特別企画やキャンペーンに興味を持った時、ラジオをつけるなり「ラジコ」(radiko、スマホアプリやPCでラジオが聴ける)を使うなりして、番組を聴くかもしれない。しかし、ノンリスナーであり、ラジオの受信デバイスすら持っていないような人たちが、これを機にラジオをわざわざ買うかどうかは微妙だ。ラジコならハードルは低そうだが、三村社長は「今の時代って、アプリをダウンロードしてもらうのもすごく大変じゃないですか」と話す。

キャンペーンは時期が大事! 今後のTBSラジオは独自展開

スペシャルウィークに他局と足並みをそろえ、聴取率争いのために力を使うのではなく、ノンリスナーをリスナー化するために知恵を絞りたい。それがTBSラジオの考えらしい。

ラジオ業界の至上命題は「ノンリスナーのリスナー化」と語ったTBSラジオの三村社長

特別なキャンペーンを展開するにしても、聴取率調査週間より効果的なタイミングは確かにあるかもしれない。三村社長の考えはこうだ。

「ラジオを聴かなくなる理由には、例えば引越しや転勤などがあります。住む場所が変わって好きな番組が聴けなくなったり、ライフスタイルが変わってしまったりして、聴かなくなるパターンです。例えば、大学生で時間に余裕のあった人が、社会人になるとか。引越しとかライフスタイルの変化が多い時期というのは、ある程度は決まっていますから、そういう時にこそ、キャンペーンを張るという方法はあるのかなと思っています」

つまり、聴取率調査週間を気にしなければ、キャンペーンや特別企画が流動的に実施できるということだ。例えば、3月は奇数月で聴取率調査はないが、ノンリスナーに訴求するには適した時期かもしれない。

また、特別企画や豪華ゲスト起用のタイミングは個別の番組で決めてもいい。「私も、企画をやっちゃいけないといっているわけではないんですよ(笑)。効果が出そうな時に、どんどん企画をやってもらいたい。それが、たまたま聴取率調査週間なのであれば、その時にやってもいいわけだし」というのが三村社長の考えだ。

TBSラジオは機を見て特別企画を仕掛ける流動性を手に入れた

TBSラジオはスペシャルウィークだけを特別視するのではなく、「毎日がスペシャル」の気持ちで通常放送に取り組みつつ、ノンリスナーをリスナー化するための施策を打ち出していく。そういう方針を明確にしたわけだ。

重視するのは「ラジコ」のリアルタイム情報

とはいえ、聴取率はラジオ局にとって、ほぼ唯一の指標だったはずだ。これからTBSラジオは、何を参考にして番組づくりに取り組むのか。三村社長はラジコのデータを重要視する。

「聴取率を調査する目的は2つあって、1つは番組編成を考えるのに使うマーケティングデータを得るためです。番組の編成が、ちゃんと効果を出しているかどうか、リスナーに受け入れられているかどうか、それぞれの番組の企画や演出が、リスナーに評価されているかどうか。それらを測る指標が聴取率でした」

「ただ、その点に関しては、マーケティングデータといいながら、52週(1年間)のうち6週間しか調査していない数字ですし、調査週から約1カ月遅れて結果が分かるというのが実情でした。一方、ラジコのデータは毎日、リアルタイムで確認することができます」

おそらく、世の中でラジオを聴いている人の割合でいえば、ラジコよりもラジオ受信機を使っている人の方がまだまだ多い。しかし、ラジコであればラジオ局側は、リアルタイムでリスナーの実数が把握できる。このデータの方が、マーケティングデータとしては有用だと判断したようだ。

「もう、ラジコも始まって9年目です。ラジコの数字が動けば、聴取率も動くというのは体感しています。ラジコの聴取人数が増えれば、基本的には聴取率も上がるんです」

ラジコで毎日、リアルタイムで聴取人数が把握できて、そのデータを重視するというのであれば、スペシャルウィークに的を絞った番組づくりをしていていいはずがない。通常放送がいかに面白く、リスナーをひきつけているかの方がはるかに重要になる。実際のところ、TBSラジオの番組製作陣も、すでにラジコの数字を参考にしているらしい。

ラジコの聴取人数と聴取率はほぼ連動しているというのがTBSラジオの読みだ

聴取率を測るもう1つの目的は、営業データとして利用するためだという。

「分かりやすくいうと、広告主が宣伝費を出しますよね、その費用対効果を測るために聴取率を使うんです。これはテレビの視聴率と似ています。この点については今後、今のままでいいのかどうか、業界で議論していこうと思ってます」

リスナーの奪い合いはもはや無意味?

スペシャルウィークをやめるというTBSラジオの決断には、賛否両論があるかもしれない。しかし、スペシャルウィークで各局がゲストの豪華さや企画の面白さを競い合い、ライバル局のリスナーを奪い合うという従来の構図だと、既存のラジオリスナーが各局の間を移動するだけで、新規リスナーの数は増えないのだとすれば、納得できる部分は大いにある。

また、ラジオ局同士が聴取率争いをする必然性は、ラジコで「タイムフリー」というサービスが始まった今、かなり薄れているような気もする。この機能を使うと、全てのラジオ番組を、放送後1週間以内であれば、後からさかのぼって聴くことができるからだ。

例えば、放送時間が重なっているTBSラジオの「JUNK」とニッポン放送の「オールナイトニッポン」を両方とも聴くことは、今となってはとても簡単なことだ。録音機材を用意する必要すらない。どちらかをリアルタイムで聴いて、もう一方を後からタイムフリーで聴いてもいいし、どちらもタイムフリーで後から聴いたって問題ないわけだ。この点を踏まえると、もはやラジオ業界には、「裏番組」という概念すらなくなっているようにも思えてくる。

なぜ業界トップのTBSラジオが率先して変わるのか

TBSラジオは長年の間、聴取率で業界トップを走ってきたリーディングカンパニーだ。そのTBSラジオが、「スペシャルウィークをやめる」「ナイター中継をやめ、同時間帯を通常の番組(新番組を含む)に充てる」「ポッドキャスト配信TBSラジオクラウドでの配信に切り替える」など、率先して新しいことに挑戦するのはなぜなのか。賛否両論があるのは分かりきっているにも関わらず、こういった決断をできる理由が知りたかったので、三村社長に聞いてみた。

「前任の入江(TBSラジオの前の社長で、現在は会長の入江清彦さん)の時から、数々の改革をスタートさせていました。改革といっても、単に変えればいいという話ではなくて、一番の目的は新規リスナーを獲得することであり、パイ(ラジオリスナー自体の数)を大きくすることです。そのためには、リーディングカンパニーが率先して変わらなければ、業界も変わらないと思うんです」

「(パイが大きくなった時に)TBSラジオだけを聞く人が増えるということはありません。ラジオ受信機もラジコも、コミュニティFMをのぞけば、NHKを含め全ての局が聴けるわけですから。ラジオメディアそのものとして、ノンリスナーをリスナー化するのが最も大事なことですし、メディアビジネスとしては、自分達だけ得をしようというのはありえません。ただ、パイが大きくなれば、シェアが変わらなかったとしても、結果としてTBSラジオリスナーは増えますよね」

ノンリスナーのリスナー化は難題だが、これを成し遂げられなければラジオ業界に明るい未来はない。これを成し遂げるため、TBSラジオは挑戦するし、変わってもいくということなのだろう。

賛否両論が予想される決断を率先して下すのは、TBSラジオにリーティングカンパニーとしての自負があるからだ

最後に、リスナーとして気になるのは、TBSラジオのスペシャルウィークで楽しみにしていた各番組の特別企画が、今後、聴けなくなる(あるいは、頻度が少なくなる)のではないか、という点だ。この懸念をぶつけてみると、TBSラジオ編成局の野上知弘さんからは「これまでもそうだったんですけど、いいゲストはいつでも入れればいいということなんです」との答えが返ってきた。年に6回かどうかは別にしても、特別な企画やゲストの起用は今後も続くとみて間違いなさそうだ。

ちなみに、2018年12月10日~16日までの聴取率調査週間で、他局がスペシャルウィークを展開する中、TBSラジオの各番組はどんな放送を行っていたのだろうか。自分が聴いた番組のごく一部を振り返ってみると、例えば「火曜JUNK 爆笑問題カーボーイ」(毎週火曜日、深夜25時~27時)には漫才コンビのミキが、「水曜JUNK 山里亮太の不毛な議論」(毎週水曜日、深夜25時~27時)には相方のしずちゃんがそれぞれ出演していた。これらの番組は、「スペシャルウィーク」という言葉こそ使っていなかったものの、普段とは一味違う内容になっていた。

「月曜JUNK 伊集院光 深夜の馬鹿力」(毎週月曜日、深夜25時~27時)は従来(少なくともここ10年くらいは)、スペシャルウィークでも通常放送(フリートークとレギュラーコーナー)を行うスタンスを貫いてきたが、今回の発表を受け、12月10日の放送では冒頭にラジオコントを放送。その後は2018年のフリートークを振り返る「特別企画」を実施した。なんとも伊集院さんらしい対応だ。番組の最後に伊集院さんは、スペシャルウィークをやめるというTBSラジオの決定について「基本的には賛成」との考えを示していた。

「メガネびいき」では従来、12月のスペシャルウィークに実施していた毎年恒例の企画「ダイナマイトエクスタシー」を12月20日(木)に放送すると発表している。こちらは、聴取率調査週間とは時期をずらして特別な企画を打つという点で、新しい取り組みだといえるだろう。

もちろん、これらのTBSラジオの番組は、放送後1週間以内であればラジコのタイムフリーで後からさかのぼって聴ける。世界の主要メディアも注目しているとか、していないとかいう噂のダイナマイトエクスタシーは、今週木曜日の深夜に開催の運びとなる。

いつかは買いたい? 安東弘樹、アストンマーティン「DB11」に乗る!

安東弘樹のクルマ向上委員会! 第17回

いつかは買いたい? 安東弘樹、アストンマーティン「DB11」に乗る!

2019.03.20

アストンマーティンのV8エンジン搭載車「DB11」に試乗

懐古趣味とは無縁、「DB」のデザインは現代の方がカッコいい

車中で「なぜ運転は楽しいか」を自問自答

日本自動車輸入組合(JAIA)の試乗会を訪れている安東弘樹さん。次に乗るのはアストンマーティンの「DB11」だ。憧れる人も多いであろう歴史ある英国製スポーツカーに、安東さんは何を思うのか。

※文と写真はNewsInsight編集部の藤田が担当しました

安東さんと「DB11」

エンジン信者ではなくとも感じる音のよさ

DB11はアストンマーティンのグランドツアラーで、安東さんが乗ったのは4リッターV型8気筒DOHCツインターボエンジン搭載モデル。最大出力は503hp、最大トルクは675Nmで、停止状態から時速100キロへの加速はわずか4秒という速いクルマだ。トランスミッションは8速オートマチック(AT)。オプションを含まないメーカー希望小売価格は2,278万1,177円となっている。

試乗した「DB11」のボディサイズは全長4,705mm、全幅2,060mm、全高1,290mm。車両重量は1,705キロだ

編集部(以下、編):なぜDB11に乗ってみたいと思ったんですか?

安東さん(以下、安):新しいアストンマーティンに乗っておかないと、という気持ちがありました。他のブランドのように試乗会というものが開催されないので、なかなか機会がありませんし。

先ほど、テスラの「モデルX」に乗りましたけど、その後にDB11に乗ると、電気自動車(EV)とは違う加速を味わうことができますね。どちらが好ましいというのはないですけど。

:EVとは違って、エンジン音に迫力がありますね!

:確かに、いい音だとは思います。ただ、エンジン音の信者ではないので、そんなにうるさくなくってもいいというタイプです。大きさより質、という感じでしょうか。

:クルマのキャラクターに合った音がしてほしい?

:そうですね。

室内の作りは、ドイツ車と比べると違いを感じます。ドイツ車だと、例えば革張りのダッシュボードなどは“パンッ!”て張っている感じですけど、こちらは、良くも悪くも作りが緩いというか、革の表面にうねりのようなものが見てとれますね。

:生命感を表現している、とかですかね?

:どうなんでしょうねー。

:乗り心地はいかがですか?

:ダイレクト感が伝わってくるような作りになっているのは分かります。ただ、ダイレクト感を作り手の側で、どのくらい味付けするのがいいのか……クルマって、難しいですね! メーカーが味付けの部分で競い合うのはいいことだと思います。

:2,278万円という価格については?

:……なぜか今、一瞬、安いって思いました(笑)。

多分、これが理由だと思います。先日、ポルシェジャパンのサイトでコンフイギュレーターを使って、最新のポルシェ「911 カレラ 4S」に、必要だと思うオプションを選んでトータルの価格を見積もったら、2,000万円を軽く超えました……。

DB11もオプションを加えたら、金額は跳ね上がるとは思いますが、ポルシェは3Lターボで最大出力450ps、最大トルク530Nmだったのに対して、DB11は4Lターボで503ps、675Nmだったので、それらを比較して、そう思えたのかもしれません。

「DB11」の価格を聞いて、一瞬だけ「安い」と思ったという安東さん

昔のクルマと今のクルマ、カッコいいのはどっち?

:アストンマーティンといえば、ボンドカー(映画「007」シリーズに登場するジェームズ・ボンドが乗るクルマ)のイメージはありますか?

:ありますねー! 一時はBMWになったりしてましたけど、アストンマーティンを復活させましたもんね。最近は、物語にとって必然性がないのに、ボンドカーを無理やり出している感じがあったんですけど、新しい作品ではアストンマーティンが大活躍してました。まあ、本来は目立ってはいけないスパイが乗るクルマではないですけどね(笑)

:「007 ゴールドフィンガー」に登場した初代ボンドカー「DB5」もカッコよかったですもんね!

:「ゴールドフィンガー」も見たんですけど、私に懐古趣味がないので、今のDB11の方がカッコいいと思います。DB5って、今のクルマに比べると、少し“ずんぐりむっくり”しているというか。

:純粋に、カッコよさで比べた場合、現行モデルの方に軍配が上がると?

:そうですね。ただ、日本車は残念ながら昔のクルマ、特に60年代~70年代の方が圧倒的にカッコいいですけどね。

純粋にカッコよさで比べた場合、初代ボンドカー「DB5」よりも試乗中の「DB11」に軍配が上がるというのが安東さんの感想

:アストンマーティンのイメージは?

:好きでした。歴代のクルマには、必ずマニュアルトランスミッション(MT)の設定があったので、乗りこなせたら格好いいだろうなとは思ってました。

:いつかはアストンマーティンを買いたいと思いますか?

:以前は思ってました。でも今は、乗って満足してしまったというか、「これが欲しい!」という感じではないです。スポーツカーの場合、どうしても、MT車にしか食指が動かないんです。DB11って確か、本国にもMTの設定はないですもんね。

:そうすると、現在の愛車であるポルシェ「911 カレラ 4S」を乗り換えるとしたら、どんな選択肢がありますか?

:“992型”の「911 カレラ 4S」()で、右ハンドルのMTって感じですかねー。

【編集部注】次に発売となる新しい「911 カレラ 4S」。つまり、同じクルマの新型をリピート購入したいということ。

:他のメーカーに候補はないですか?

「メガーヌ R.S.」(ルノー)のMTなんかいいですね!

もし、DB11がMTだったとしても、うまくスポーツ走行をする自信はないんですけど、日常でスポーツカーを楽しむという意味では、MTしか選択肢に入らないんです。

なぜステアリングを切っているだけで楽しいのか

:(箱根ターンパイクを走行しつつ)加速って、どうしても慣れてしまいますね。

:結局のところ、速いか遅いかということですしね。

:だとすると、もうテスラなどの電気自動車にはかなわないですもんね。そうすると、操作を楽しむとか、気持ちはそっちにシフトするわけで。

DB11は、トルコン8速ATもよくできていて、十分にいいクルマなんですけど、なんでしょう、どうしてかは分からないんですけど、ひょっとすると、そのうち飽きがくるかもしれないと思ってしまうんです。MTの運転だけは飽きないですからね(笑)

それにしても、こうやって右に左にステアリングを切っているだけなのに、「何が楽しいのかなー?」って、たまに思うこともあるんですけど、なぜだか楽しいんですよね。クルマに興味のない人には、「何が楽しいの? 危ないだけでしょ?」と思われるかもしれないんですけど。

クルマの運転って、興味のない人からすれば、場合によっては悪意がなくても法律的に罰せられるし、命の危険すらあるのに、何が楽しいのか理解できないでしょうね。ただ、なんなんでしょう、とにかく楽しいんですよねー! こういうワインディングロードを走らなくても、普通に、高速道路で制限速度内で走っていても、車窓の景色が変わっていく様子とか、大きな物体を自分で操る感覚が、たまらないです。

ステアリングを右に左に切っているだけで楽しいという安東さん

DB11に乗りながら、なぜクルマの運転は楽しいのかと自問自答を始めた安東さん。助手席から見ていると、その問答自体がすでに、楽しげに見えた。次に乗るクルマは、ポルシェを買い替える場合の選択肢として名前の挙がった「メガーヌ R.S.」だ。

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2019.03.20

8世代目に突入したアッパーミドルセダン「A6」

「アウディ クワトロ」のDNAを受け継ぐエクステリア

最新テクノロジーよりも大切なユーザー目線

アウディ ジャパンは新型「A6セダン」およびワゴンタイプの新型「A6アバント」を3月20日より発売する。車両本体価格は「A6セダン」が920万円~1,006万円、「A6アバント」が955万円~1,041万円。フルモデルチェンジを経たアウディ伝統のアッパーミドルセダン(おおよそ全長4,800mm以上のクラスの高級セダンで、いわゆるEセグメント)は、同社3シリーズ目となる電動車として登場した。

新型「A6」の発表会に登壇したアウディ ジャパン代表取締役社長のフィリップ・ノアック氏。A6は2019年3月20日から全国のアウディ正規ディーラーで販売する

アウディにとって3作目となる電動車

「A6」は1968年にデビューしたアウディのアッパーミドル(中大型クラス)セダンの流れをくむモデル。今作は初代モデル「アウディ100」から数えて8世代目にあたる。「アウディ100」と「A6」の両シリーズを合わせた累計販売台数は820万台。新型のグレードは、「A6セダン」「A6アバント」ともに「55 TFSI quarto S line」と「55 TFSI quarto debut package」の2種類だ。

「A6セダン」は「55 TFSI quarto S line」が1,006万円、「55 TFSI quarto debut package」が920万円
画像3:「A6アバント」は「55 TFSI quarto S line」が1,041万円、「55 TFSI quarto debut package」が955万円

アウディは「A8」「A7」に続き、新型「A6」に電動化技術を組み込んだ。同社は2019年に6車種のプラグインハイブリッド車(PHV)を導入し、2020年末までに合計12車種の電動パワートレイン車をラインアップする電動化戦略を掲げているが、A6の電化はその一環だ。

A6のパワーユニットは、いずれも3.0リッターV6ターボエンジンにマイルドハイブリッドテクノロジー(MHEV)を組み合わせる。この3.0リッターTFSIユニットは、最高出力340ps/5,200-6,400rpm、最大トルク500Nm/1,370-4,500rpmを発揮する。「A6セダン」が停止状態から時速100キロまでの加速に要する時間は5.1秒(欧州仕様参考値)だ。

「アウディ クワトロ」の遺伝子を受け継ぐエクステリア

発表会でノアック社長が「アウディ車にとって重要なメッセージ」と語ったのがデザインだ。2018年にフルモデルチェンジして登場した「A8」「A7」と同じく、新型「A6」も新たなアウディのデザイン言語を体現しており、「ピンと張った面、キリッと尖ったエッジ、目を引くラインなどが特徴」(ノアック社長)だという。

「A6セダン」のフロントマスク
ボディサイズは全長4,950mm、全幅1,885mm、全高1450mm、ホイールベース2,925mm。長いボンネット、ロングホイールベースなど、造形美が光るプロポーションとなっている

従来モデルよりワイドかつ低く配されたシングルフレームグリルに、フラットなヘッドライト。フロントマスクではエアスポイラーを備えた大型のサイドエアインテークも目を引く。サイドビューは先代モデルと比べて引き締まった印象。力強く張り出したホイールアーチ上の輪郭、長く伸びたルーフラインなど、「アウディ クワトロ」のDNAを受け継いでいることを確認できるポイントは随所で発見できる。

この新たなデザイン言語を読み解くのであれば、バランスのとれたエクステリアプロポーションでエレガンスさを、フロントマスクの造形でスポーティーさを演出している、といったところだろうか。

アウディが考えるユーザー中心の開発とは

「A6を日本市場に導入できることをとても嬉しく思うとともに、誇りに思います」と述べたノアック社長は、日本におけるアウディの戦略にも言及した。

アウディ ジャパンの戦略を語るノアック社長

最初に言及したのが商品攻勢だ。今回の新型「A6」に加えて、新型「RS4アバント」、アウディ ジャパン初のクリーンディーゼルエンジン搭載車となった新型「Q5 40 TDI クワトロ」を発表するなど、積極的な姿勢が目立つアウディ。2019年は今後も、ほぼ毎月、新モデルを投入する予定だという。アウディ初の電気自動車(EV)「e-tron」や新たなセグメントへの参入となる「Q8」など、注目度の高い車種も発表の時を待っている。

そして、ノアック氏が強調したのが、ユーザーを中心に据える「カスタマー・セントリシティ」という考え方だ。

「A6セダン」のコックピット。ドライバー正面とセンターコンソール上部、さらにセンターコンソール下部の3カ所に大型ディスプレイが設置してある

この言葉、ノアック社長は単なる顧客満足度の向上という意味では使っていない。その真意として同氏は、「アウディブランドは新しい技術を駆使し、新たな価値あるものを作り出していきます。ただ、アウディにとってテクノロジーは重要ですが、それ以上に大事なのは、お客様の視点です」と説明した。

どれだけ優れた技術であっても、ユーザーに必要とされなければ、それは不要な技術といえる。新型「A6」は最新のテクノロジーを搭載するが、快適性の向上やドライバーサポートアシスタントシステムの充実、安全性の高さなどは、いずれもユーザーに望まれる技術である。新型車が登場すると新たな機能に注目が集まりがちだが、重要なのは、その機能がユーザーの求めるものであるかどうかだ。

最後にノアック氏は、「今年は本当にエキサイティングな年になると思います。この1年をぜひ、アウディとともにお楽しみください」と語り、記者発表を締めくくった。

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