日本とアメリカの企業インターンシップにおける違い

日本とアメリカの企業インターンシップにおける違い

2016.07.26

東京・渋谷、国道246号線沿いにあるビルのなかに「ヴォーカーズ」という企業が入居している。実際に企業に勤めている社員からの情報を集め、“クチコミ”というカタチで就職・転職情報を提供するのが主な事業だ。また、クチコミだけでなく、給与水準や残業時間、評価制度などについて、クチコミを基にスコアリング。企業比較の基準作りにも力を入れている。

ハイスクール時からインターンシップに挑戦

小学生の時に4年間、高校生の時に2年間日本で暮らしたというデイビッドソン澄佳さん

そんなヴォーカーズのオフィスで、6週間という長期にわたってインターンシップにチャレンジしているのがデイビッドソン澄佳さんだ。

彼女はまだ20歳の若さ。普段はアメリカの大学に通っているが、「日本の企業文化を学びたかったこと」「同社がさまざまな企業を調査し評価していること」などから、来日し、ヴォーカーズでインターンシップに取り組んでいる。

まだ20歳とはいってもビジネス経験は豊富だ。高校3年と4年の間の夏休みにファッションデザイナーの事務所で通訳・翻訳の仕事に就き、大学1年と2年の間の夏休みには公益財団法人が主導する「TOMODACHIイニシアチブ」という活動で働いた。つまり今回のヴォーカーズで、実に3回目のインターンシップになる。

「私の場合は、ハイスクールの時からインターンシップを始めたので回数は多めですが、アメリカの大学生はインターンシップに熱心です。大学1年からインターンシップに取り組んでいる学生は珍しくありません」と、流暢な日本語で話す。

彼女がヴォーカーズを選んだ理由のひとつに、同社が“ベンチャー企業”であることが挙げられる。「大企業のインターンシップは複数の学生を雇い入れるのでプログラム化している場合が多いです。ですが、ベンチャーならばさまざまなことに挑戦させていただけます」と目を輝かせる。

ヴォーカーズのオフィス。ここで30名弱のスタッフが働いている

では、実際の業務内容は何だろうか。その主な業務はデータ分析だ。「ヴォーカーズのアナリストの方とTableau(タブロー)というツールでデータを分析・可視化しています。プログラミングについても学ばせていただきました」と、かなり実践的だ。実は彼女はアメリカの大学で数学・統計学を学んでいる。そのためデータ分析の業務は自らの学業に直結している。

“スペシャリスト”が求められるアメリカ

このようにアメリカでのインターンシップは、自ら専攻している学問を生かしていることが珍しくない。大学によっては、インターンシップの経験を卒業条件としている場合もあるし、単位に組み込むことができる大学もある。

そして何より、アメリカの企業では“ジェネラリスト”よりも“スペシャリスト”が求められる傾向にある。自分の専攻を企業で活用することは、スペシャリストを目指す上での“第一歩”ともいえるのではなかろうか。学生のうちから“コネクション”を構築するという意味からもインターンシップが活用される場合もある。

一方、日本の場合はどうだろうか。ある就職情報の関係者は「日本のインターンシップは1週間ぐらいの期間がボリュームゾーン。2週間ぐらいのインターンシップとなれば、長い部類といえるのではないでしょうか」という。

また、キャリアアップ・スキルアップを目的とするアメリカのインターンシップと目的が異なっている。それは、学生に企業風土を知ってもらうこと。インターンシップに参加した企業だからといって、翌年、その企業の採用試験を受ける必要はないし、まったく異なる業種を目指してもよい。何よりも学生にメリットとなるのが、期間が短い分、多くの企業のインターンシップに参加できることだろう。

すでに来夏のインターンシップも!

さて、澄佳さんの話に戻ろう。ヴォーカーズでのインターンシップを始める際、もっとも不安だったのが「うまく日本語でコミュニケーションできるだろうか」ということだったらしい。ただ、ヴォーカーズのスタッフが「スカイプ」を使って事前にさまざまなことを伝えてくれたので、その不安は徐々に払拭できたという。

「ヴォーカーズではデータ分析という私の学業を試せる場をいただけました。来年の夏休みにはIT企業かコンサルタント企業のインターンシップに参加したいです」という。もうすでに1年先のことまで見据えているのかと、素直に感心した。

澄佳さん、ありがとうございました!
NewsInsight 更新終了のお知らせ

NewsInsight 更新終了のお知らせ

2019.06.17

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放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

カレー沢薫の時流漂流 第47回

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

2019.06.17

最近女性の間で「#MeToo」ならぬ「#KuToo」運動がにわかに盛り上がっている。

「#KuToo」とは「靴」と「苦痛」をかけており、職場や就職活動で、足を痛めるパンプスやヒール靴の強要をやめようという運動である。

そもそもそんなの誰も強要してねえよ、と思われるかもしれない。確かに規定として靴の形状やかかとの高さまで定めている会社はレアだろう。しかし、私の元いた会社でも、規則があるわけでも、誰に言われたでもなく、みな一様に黒のパンプスを履いていた。それが「暗黙のルール」であり、それ以外は「非常識」と見られる風潮は確かにあるのである。

これが就職活動になると、パンプスを履いていないだけで「こいつは常識がない」と見なされ不採用になってしまうかもしれない、ということだ。そうなると女子学生は足を負傷してでもパンプスを履かざるを得なくなってしまう。

正直、パンプスは苦痛

パンプスがそんなに苦痛か、というと、靴の中では殺傷能力が高い方である。これは他人への、という意味ではなく自分へのだ。他人を殺傷したいならカウボーイが履いている、かかとにピザカッターがついている奴を履いた方が良い。

狭いつま先に足の指が密集されるため、私もよく爪で隣の指を切って足を血だらけにしていたし、伸縮性にかける素材のため、あわないパンプスだと試着の時点で靴擦れが出来るレベルなのだ。

世の中には素肌に荒縄で亀甲縛りを施し、その上に上等なスーツを羽織って出社している人も多いと思う。とても痛いだろうが、それは強制されたわけではなく、その人が好きで楽しいからやっているのだ。

つまり、好きでもない上にとても痛いパンプスを強制で履かなければいけないというのは、上等なスーツの下が亀甲縛りなことよりも「異常」なことというわけだ。

この運動はすぐに広まり、いきなり国会でも議論されたという。これにより「厚労相がハイヒール強要を容認」という見出しのニュースまで踊り出ることになった。

完全に自由と言われても困るのでは?

「厚生省に、女がハイヒールを履かないと死ぬ病の人が!?」と驚いたが、記事をよく見ると見出しほどのことはなく、厚労相の発言は「これは社会通念に照らして業務上、必要かつ相等な範囲かと、この辺なんだろうと思います」というかなりボンヤリしたものであり、どっちでも良い事を聞かれた私のリアクションに似ている。

しかし「ハイヒールが履けない女は何やってもダメ」などと強い事を言っているわけではないが、「業務上必要ならパンプス履くべきだろ」という「容認」に聞こえなくもない。すぐさま「業務上ハイヒールが必要な仕事って何だよ」という疑問が挙がり、「SMの女王様」「(ハイヒールでキレッキレに踊る)perfume以外ありえない」などの声が相次いだ。

この社会問題がすぐ大喜利になってしまうのは良くも悪くも「ザ・ツイッター」という感じだ。

確かに「業務上必要」となると、まだかかとにピザカッターがついている靴の方が「ピザを食う時」必要な気がする。

ただ、靴や服装を完全に自由化し、何でもOKにすれば良いかというと、それはそれで問題が起きると思う。ファッションに疎くコーディネートが苦手な人間からすれば、職場に何を着ていいのか全く「指針」がないというのは迷子になるし、接する側としても、車を買いにいってディーラーが、イモ―タンジョ―の完コスで出てきたら「キャデラックしか買うことを許されないのか」と委縮してしまう。就活マナー本に「俺の考えた最強の就活ファッションで挑みましょう」とだけ書かれていても逆に困るだろう

着る側としても、それに接する側としても、社会において服装にある程度規定や模範があるというのはメリットでもあるのだ。

そもそも規定や常識というのは、秩序を作ることにより問題を減らすためにあるものなのだ。しかしそれが元で「足を負傷する」という「問題」が起こっているなら本末転倒なので、やはり解消はすべきなのだろう。

極論に流れない寛容さが足りない

おそらく「#KuToo」を提唱している人も「ドラゴン柄のコンバースで就活したい」と言っているわけではないのだ。最近は「パンプスに見えるスニーカー」なども存在するし、パンプスでなくても地味な靴はいくらでもある。そのような靴を履いていても「パンプスじゃないから非常識」と見るのをやめてほしいという話だろう。

ちなみに私が会社員時代履いていたパンプスだが、黒の革靴ではあったが、つま先は限りなく丸く、ヒールはなきに等しい、今思えばあれはパンプスだったのか、70過ぎのババアが旅行に行くときに履くヤツなんじゃないか、という代物であったが、特に何も言われなかった。

「#KuToo」が求めるのも、そのぐらいの「寛容さ」なのではないだろうか。

【お知らせ】
連載「カレー沢薫の時流漂流」の掲載場所を変更します。
→ 新しい掲載場所はこちら https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu