PayPay「100億円ばらまき」開始! キャッシュレスは現金の壁を超えられるか

PayPay「100億円ばらまき」開始! キャッシュレスは現金の壁を超えられるか

2018.12.04

PayPay「100億円還元キャンぺーン」がスタート

LINE出澤社長「現金こそライバル」発言の意図

加熱するキャッシュレス市場、生き残りのカギは?

ソフトバンクとヤフーが展開するスマホ決済サービス「PayPay」は、12月4日より、決済額の20%を還元する「100億円あげちゃう」キャンぺーンを実施する。スマホ決済としては後発で“地味”な存在であったPayPayは、今回の派手なキャンペーンで大きな話題を巻き起こすことになった。

これまで「キャッシュレス化が遅れている」とされてきた日本であるが、昨今は政府による追い風も相まって各社が攻勢をかけている。11月に行われたPayPayおよびLINE Payの発表会の様子から、各社の戦略を紐解いていこう。

「100億円ばらまき」でユーザー獲得へ

「100億円あげちゃう」キャンペーンは、買い物をする際にPayPayで支払うことで、月額5万円を上限に20%の還元を受けられるほか、40回に1回の確率で全額が戻ってくるというサービス。100億円を「ばらまく」ことでPayPayを一気に普及させる狙いだ。

PayPay「100億円あげちゃうキャンペーン」の概要。合計100億円の還元策により、他の決済サービスを猛追する。ソフトバンク・ヤフーのユーザーは、抽選確率が上がる特典もある

なお、これを機にPayPayを使える店舗も急拡大する。飲食店だけでなくH.I.S.やビックカメラなどがPayPayに対応することで、旅行商品や家電といった金額の大きい買い物でも20%還元を受けられるようになっている。

旅行商品や家電にも使える

さらに全国1万7000店舗のファミリーマートと組み、そのうち2000店舗では店頭キャラバンも展開するという。かつてYahoo! BBがADSLモデムを無料配布することでブロードバンドを急速に普及させたように、PayPayにはキャッシュレスで再び社会現象を起こそうという勢いが感じられる。

ファミリーマートでは店頭キャラバンも展開

一方で、課題になっているのが中小企業や小規模店舗への展開だ。キャッシュレスが普及しない理由として、決済手数料の高さや入金サイクルの長さが指摘されている。PayPayはこれらを一つひとつ解決しながら、ソフトバンクの営業部隊が全国の店舗に訪問営業をかけるという。

加盟店向けに「手数料無料」や「翌日入金」を提供

また、普及の鍵を握るのが「QRコード決済」だ。おサイフケータイの「FeliCa」に比べれば手間はかかるものの、導入コストは低い。消費者にとっても、旧型のiPhoneを含むほとんどのスマホが対応しているメリットは大きい。

LINE 出澤社長「現金こそライバル」

大型キャンペーンで注目を集めるPayPayに対し、キャッシュレスで先行するのがLINE Payだ。8月より他社に先駆けて店舗用アプリで「決済手数料0%」を実施しており、中小企業の獲得を図っている。LINEによれば同サービスはすでに大手企業への提案がほぼ終わっており、今後は中小企業に注力していくことから、PayPayとの獲得競争は激化しそうだ。

LINE PayのQRコード決済では、スマホでQRコードをスキャンする方式以外に、専用の端末も提供。さらに11月21日には非接触決済の「QUICPay」と連携することで、全国81万か所で使えるようになった。一方のPayPayは非接触に対応する予定はないとのこと。

LINE PayはQRコードだけでなくQUICPayにも対応した

キャッシュレスの大きな需要が見込めるインバウンド市場を見てみると、PayPayが中国アリババの「Alipay」と提携したのに対し、LINE Payは中国テンセントの「WeChatPay」と提携。タイや台湾に展開するLINE Pay、韓国Naver Payを含めたアライアンスを形成し、アジアからの訪日観光客を取り込む構えだ。

LINE PayはWeChatPayとの戦略的提携

競合との差別化策を着々と打ち出すLINE Payだが、LINEの出澤剛社長は「日本では現金の信用度が高く、キャッシュレスの普及は容易ではない。現金こそライバルだ」と指摘する。国内の事業者でパイを奪い合う段階ではなく、まずは一緒になってキャッシュレスを盛り上げる必要があるというわけだ。

ライバルは「現金」と指摘するLINEの出澤社長

PayPayの100億円キャンペーンが2019年3月末で終了後、4月にはKDDIの「au PAY」が楽天ペイと組んで全国に展開することが予定されている。場合によっては、せっかくキャンペーンで獲得したユーザーが別の事業者に乗り換える可能性もあるために、どのようにしてユーザーをつなぎとめるかが課題になりそうだ。

NewsInsight 更新終了のお知らせ

NewsInsight 更新終了のお知らせ

2019.06.17

NewsInsightは、諸般の事情により記事更新を終了いたします。

ご愛顧いただいた読者の皆様、また関係者の皆様に、編集部一同、誠に感謝いたします。

なお、NewsInsightに掲載中の記事につきましては、引き続きマイナビニュース(https://news.mynavi.jp)へと掲載場所を移管いたします。

掲載中の連載記事につきましても同様に、マイナビニュースへ移管いたします。各連載記事の新しい掲載URLにつきましては、以下となります。

○安東弘樹のクルマ向上委員会!
https://news.mynavi.jp/series/andy

○森口将之のカーデザイン解体新書
https://news.mynavi.jp/series/cardesign

○清水和夫の自動運転ソシオロジー
https://news.mynavi.jp/series/autonomous_car

○ゲームとともに振り返る“平成”という時代
https://news.mynavi.jp/series/game_heisei

○岡安学の「eスポーツ観戦記」
https://news.mynavi.jp/series/e-Sports_review

○企業戦士に贈る「こむぎのことば」
https://news.mynavi.jp/series/komuginokotoba

○藤田朋宏の必殺仕分け人
https://news.mynavi.jp/series/shiwakenin

○「食べる」をつくる科学と心理
https://news.mynavi.jp/series/food_science

○阿久津良和のITビジネス超前線
https://news.mynavi.jp/series/itbiz

○山下洋一のfilm@11
https://news.mynavi.jp/series/filmat11

○モノのデザイン
https://news.mynavi.jp/series/designofthings

○知って納得、ケータイ業界の"なぜ"
https://news.mynavi.jp/series/mobile_business

○文具ソムリエール・菅未里の「新しいコンパス」
https://news.mynavi.jp/series/bungu

○活字・写植・フォントのデザインの歴史 - 書体設計士・橋本和夫に聞く
https://news.mynavi.jp/series/font-history

○カレー沢薫の時流漂流
https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu

最後になりますが、改めて皆様に感謝いたしますとともに、引き続き、マイナビニュースにてご愛顧いただけましたら幸いです。

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

カレー沢薫の時流漂流 第47回

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

2019.06.17

最近女性の間で「#MeToo」ならぬ「#KuToo」運動がにわかに盛り上がっている。

「#KuToo」とは「靴」と「苦痛」をかけており、職場や就職活動で、足を痛めるパンプスやヒール靴の強要をやめようという運動である。

そもそもそんなの誰も強要してねえよ、と思われるかもしれない。確かに規定として靴の形状やかかとの高さまで定めている会社はレアだろう。しかし、私の元いた会社でも、規則があるわけでも、誰に言われたでもなく、みな一様に黒のパンプスを履いていた。それが「暗黙のルール」であり、それ以外は「非常識」と見られる風潮は確かにあるのである。

これが就職活動になると、パンプスを履いていないだけで「こいつは常識がない」と見なされ不採用になってしまうかもしれない、ということだ。そうなると女子学生は足を負傷してでもパンプスを履かざるを得なくなってしまう。

正直、パンプスは苦痛

パンプスがそんなに苦痛か、というと、靴の中では殺傷能力が高い方である。これは他人への、という意味ではなく自分へのだ。他人を殺傷したいならカウボーイが履いている、かかとにピザカッターがついている奴を履いた方が良い。

狭いつま先に足の指が密集されるため、私もよく爪で隣の指を切って足を血だらけにしていたし、伸縮性にかける素材のため、あわないパンプスだと試着の時点で靴擦れが出来るレベルなのだ。

世の中には素肌に荒縄で亀甲縛りを施し、その上に上等なスーツを羽織って出社している人も多いと思う。とても痛いだろうが、それは強制されたわけではなく、その人が好きで楽しいからやっているのだ。

つまり、好きでもない上にとても痛いパンプスを強制で履かなければいけないというのは、上等なスーツの下が亀甲縛りなことよりも「異常」なことというわけだ。

この運動はすぐに広まり、いきなり国会でも議論されたという。これにより「厚労相がハイヒール強要を容認」という見出しのニュースまで踊り出ることになった。

完全に自由と言われても困るのでは?

「厚生省に、女がハイヒールを履かないと死ぬ病の人が!?」と驚いたが、記事をよく見ると見出しほどのことはなく、厚労相の発言は「これは社会通念に照らして業務上、必要かつ相等な範囲かと、この辺なんだろうと思います」というかなりボンヤリしたものであり、どっちでも良い事を聞かれた私のリアクションに似ている。

しかし「ハイヒールが履けない女は何やってもダメ」などと強い事を言っているわけではないが、「業務上必要ならパンプス履くべきだろ」という「容認」に聞こえなくもない。すぐさま「業務上ハイヒールが必要な仕事って何だよ」という疑問が挙がり、「SMの女王様」「(ハイヒールでキレッキレに踊る)perfume以外ありえない」などの声が相次いだ。

この社会問題がすぐ大喜利になってしまうのは良くも悪くも「ザ・ツイッター」という感じだ。

確かに「業務上必要」となると、まだかかとにピザカッターがついている靴の方が「ピザを食う時」必要な気がする。

ただ、靴や服装を完全に自由化し、何でもOKにすれば良いかというと、それはそれで問題が起きると思う。ファッションに疎くコーディネートが苦手な人間からすれば、職場に何を着ていいのか全く「指針」がないというのは迷子になるし、接する側としても、車を買いにいってディーラーが、イモ―タンジョ―の完コスで出てきたら「キャデラックしか買うことを許されないのか」と委縮してしまう。就活マナー本に「俺の考えた最強の就活ファッションで挑みましょう」とだけ書かれていても逆に困るだろう

着る側としても、それに接する側としても、社会において服装にある程度規定や模範があるというのはメリットでもあるのだ。

そもそも規定や常識というのは、秩序を作ることにより問題を減らすためにあるものなのだ。しかしそれが元で「足を負傷する」という「問題」が起こっているなら本末転倒なので、やはり解消はすべきなのだろう。

極論に流れない寛容さが足りない

おそらく「#KuToo」を提唱している人も「ドラゴン柄のコンバースで就活したい」と言っているわけではないのだ。最近は「パンプスに見えるスニーカー」なども存在するし、パンプスでなくても地味な靴はいくらでもある。そのような靴を履いていても「パンプスじゃないから非常識」と見るのをやめてほしいという話だろう。

ちなみに私が会社員時代履いていたパンプスだが、黒の革靴ではあったが、つま先は限りなく丸く、ヒールはなきに等しい、今思えばあれはパンプスだったのか、70過ぎのババアが旅行に行くときに履くヤツなんじゃないか、という代物であったが、特に何も言われなかった。

「#KuToo」が求めるのも、そのぐらいの「寛容さ」なのではないだろうか。

【お知らせ】
連載「カレー沢薫の時流漂流」の掲載場所を変更します。
→ 新しい掲載場所はこちら https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu