ハンバーガー探求家が追跡! 相次いで上陸した黒船バーガーの“その後”

ハンバーガー探求家が追跡! 相次いで上陸した黒船バーガーの“その後”

2018.12.05

一気に増えた外資系ハンバーガー、その後の展開は?

ウマミバーガーは最も「化けそうな」お店に

シェイクシャックは日本攻略の最終兵器を獲得!?

シェイクシャック(Shake Shack)、カールスジュニア(Carl's Jr.)、ウマミバーガー(UMAMI BURGER)……。ここ数年、日本では外資系ハンバーガーレストランの出店が相次いでいるが、気になるのは各店の“その後”だ。日本唯一の“ハンバーガー探求家”である松原好秀さんから追跡レポートが届いたので、2回に分けてお伝えしたい。まずはウマミバーガーとシェイクシャックだ。

シェイクシャックのランディ・ガルッティCEOにも話を聞いた

「うま味」で日本凱旋のウマミバーガーは2店舗に

この秋、ウマミバーガーが動いた――。

ウマミバーガーはロサンゼルス生まれのハンバーガーレストランである。第5の味覚(The Fifth Taste)といわれる「うま味」に着目したバーガー店で、創業者である米国人が独自に開発した「UMAMI ダスト」「UMAMI マスターソース」なる調味料を使ったハンバーガーを提供している。2018年11月現在、全米に20店を展開する。

ウマミバーガーの日本1号店がある東京・青山の「Portofino」

日本上陸は2017年の3月。場所は東京・青山。表参道の交差点からやや入ったところにある。一見するとわかりづらい、奥まった場所のようだが、しかし、ミニサイズのバーガーがセットになった「スライダートリオ」や、クッキーや綿菓子で派手に飾った「ファンシーミルクシェイク」など、インスタ映えするメニューを次々と繰り出し、20代の若い女性などを中心に大きな人気を呼んでいる。

そしてこの秋、初上陸から1年半の時を経て、ついにウマミバーガーが国内2号店の出店を決めた。場所は都内ではなく、横浜だ。なぜ、このような立地となったのか。ウマミバーガージャパンの海保達洋社長に出店に対する考え方を聞いた。

まず、「店舗のイメージにマッチするような場所・物件」というのが、ウマミバーガー出店の第一条件だ。店舗のデザインは米国側と一緒に考える。そして、考えたイメージに合う場所や建物を探す。「1号店は人が多く集まる場所、話題になる場所を選んだ」と海保社長。次なる2号店は「海に面したところに出したい」との希望が米国側にあったため、東京湾のベイサイドをさまざま当たり、横浜のみなとみらいに絞り込んだという。

今年9月22日にオープンしたウマミバーガーのみなとみらい店(横浜)
みなとみらい店の前には中庭が広がり、昼休みにはランチを楽しむOLやサラリーマンの姿が多く見られる。この広い空間も出店の決め手になった

ウマミバーガーの日本2号店は「みなとみらいセンタービル」の1階にある。この建物は21階建てのオフィスビルで、本来ならコーヒーショップでも入っていそうな1階エントランスホールの一角に、ウマミバーガーが収まっているのが今どきな感じだ。平日は上階のオフィスに勤めるサラリーマン、週末は観光客、さらに近所に建ち並ぶ高層マンションの住民たちも利用する。キラキラまばゆい非日常空間を演出した青山店と比べ、もっと日常的で実用的・実際的な店構えだ。

「うま味」の本場で独自の取り組みも

日本のウマミバーガーを語る上でもうひとつ欠かせないのが、日本独自のメニュー開発だ。

日本限定メニュー「UMAMINOKO」(1,580円、以下すべて税抜価格)。店で毎朝挽いているUSアンガスビーフ85gパティが2枚。上からゴルゴンゾーラチーズとキノコのソテーがこぼれんばかり

ウマミバーガーには現在、日本限定のバーガーメニューが5品、さらに、みなとみらい店限定のバーガーが1品ある。これは、同時期に日本に上陸したシェイクシャック、カールスジュニア、THE COUNTERなどでは見られない取り組みだ。ウマミバーガーはどこよりも自由に、かつ盛んに独自メニューの開発を行っている。テリヤキソースを使った「テリヤキサムライ」のように、本国でも販売された「逆輸入」的なバーガーメニューまである。

みなとみらい店限定メニュー「THE DIP」(ザ・ディップ、1,580円)。USアンガスビーフ85gパティ2枚とマッシュルーム、オニオンなどを挟んだバーガーを、グリーンペッパーコーンディップに「浸けて」食べる一品

これらのメニューの生みの親は、ウマミバーガージャパンのシェフである吉田ナワーフさん。日本人とクウェート人のハーフである吉田さんは、その独自の感性・感覚をいかした新商品の開発に意欲的だ。

日本人が提唱した「うま味」に影響を受け、米国で誕生したハンバーガーレストランが、「うま味」の本場・日本に里帰りし、何十倍にもパワーアップしてまた米国へと帰ってゆく――。そういう展開も今後、十分に考えられる。日本で最も「化けそうな」バーガー店、それがウマミバーガーだ。

今後については、あくまで「店のイメージにマッチする場所」という条件ありきで動くと海保社長。それでも来年には、さらに何店舗かの出店の動きが見られそうだ。「いい場所があれば首都圏以外にも出していきたい」と、地方への展開にも前向きである。

こども用の食器セットは、みなとみらい店オープンにあわせて初登場した

シェイクシャックは大阪進出! 出店ペースは悠々せまらず?

ウマミバーガー2号店がオープンする1年前、同じ横浜・みなとみらいに国内5号店を出したハンバーガーレストランがある。ニューヨークから来たシェイクシャックだ。

2015年11月13日にオープンしたシェイクシャック1号店。神宮外苑いちょう並木の中ほど、建設中の新国立競技場の近くにある

2018年6月に国内10号店を大阪・梅田に出して話題になったシェイクシャックだが、記念すべき日本1号店がオープンしたのは2015年11月のこと。場所は東京・青山の神宮外苑いちょう並木。次いで恵比寿、有楽町の東京国際フォーラム、新宿サザンテラスと、都内の主要スポットをきっちり押さえた後、5号店では初めて都内を離れ、神奈川県横浜市に勢力を拡げた。

この出店について、国内のシェイクシャックを運営するサザビーリーグの角田良太社長は、「上陸当初は首都圏での店舗展開を考えていたが、その中で横浜は、東京に次いでマーケットの感度が高く、ポテンシャルがあって、優先順位の高い場所であり、絶対に外せないと考えていた」と語る。「海外からの観光客が多く訪れ、シェイクシャックの世界観を表現できる広い敷地を確保できる」ことも決め手のひとつだった。

2017年9月オープンのみなとみらい店。買い物客や観光客が非常に多い好立地に、店内110席、テラス48席の大きな店を開いた

シェイクシャックはその後、同じ神奈川県の湘南・辻堂に9号店を出した。「テラスモール湘南」という複合商業施設内の店だが、ここへの出店も「シェイクシャックの世界観を十分に表現できる”広い敷地”」という条件がやはりキーワードになっている。

日本上陸3周年で新たな「コアメニュー」

そしてこの秋、シェイクシャックは日本上陸3周年を迎えた。

1周年にはミシュラン1つ星の日本料理店と、2周年には神田の人気ラーメン店とそれぞれコラボレーションし、1日限定・個数限定のスペシャルバーガーを外苑いちょう並木店のみで販売したが、3周年は国内10店全店で新グランドメニュー「Chick'n Shack」(チキンシャック)を一斉発売した。

11月16日、国内10店のシェイクシャックで同時発売された「チキンシャック」(760円)。オーダーが入ってから衣をつけて揚げるフライドチキンにハーブマヨソースを合わせる

「チキンシャック」はフライドチキンを挟んだサンドイッチで、世界に194店あるシェイクシェイクのどこへ行っても食べられる「コアメニュー」だ。一方、出店する地域性に合わせた「ローカルメニュー」については、バーガーでなく、同店名物のオリジナルアイス「コンクリート」がその役を一手に担っている。「コンクリート」とは、卵黄を多めに加えて作ったフレッシュアイスクリーム「フローズンカスタード」を使ったデザートのことで、トッピングの違いにより、各店それぞれに限定のコンクリートが存在する。

みなとみらい店限定のコンクリートのひとつ「レッドビーンパンケーキ」(Small490円)は、横浜元町の和菓子店「香炉庵」の黒糖どら焼きをトッピングしている

ありそうでなかった定番商品がついに登場!

シェイクシャックのこれまでの地域限定メニュー・店舗限定メニューの傾向は、大きくは以上のようであった。そこへこの秋、新たなローカルメニューが加わったのである。「ホットコーヒー」と「ホットラテ」が登場したのだ!

実は、どちらも今までのメニューにはなかった。そもそも、これといったホットドリンク自体がシェイクシャックにはなく、冬場にテラス席を利用する客たちは、北風に吹かれてずいぶんと寒い思いをしたものである。ハンバーガーと一緒に温かい飲み物が飲みたい……。ところが、そう思うのは、どうも日本人特有の欲求らしく、東京より寒いはずのニューヨークのシェイクシャックですら、ホットコーヒーをはじめとするホットドリンク類は一切メニューにない。米国にはハンバーガーをホットコーヒーと一緒に食べる習慣がないのだ。

10月1日発売の「ホットコーヒー」(380円)と「ホットラテ」(480円)は、実は待望のメニューだった

そういう意味で、今度のホットコーヒーは地域性に合わせたメニューの最たるものといえる。この3年、多くの日本人がシェイクシャックに待ち望んだメニューの第1位は、実はこのホットコーヒーだったのである。

新たなコアメニューとローカルメニューが同時に加わり、ますます充実のシェイクシャック。3年ぶりに来日したCEOのランディ・ガルッティ氏に「日本におけるライバルは?」と尋ねたところ、ラーメン、そば、うどん、トンカツなどの具体的な食べ物の名前を挙げた上で、「『今日はハンバーガーが食べたいな』と思った時に選ばれる店でありたい」との答えが返ってきた。飲食店の数がただでさえ多く、慢性的な過当競争状態にある東京の外食市場をよく理解した言葉である。

ハンバーガーの敵はハンバーガーに非ず。常に他の食べ物と昼食・夕食の機会を争っている。ホットコーヒーの導入も、その競争を勝ち抜くための手段といえるだろう。日本のシェイクシャックは実にいいキーアイテムを手に入れた。

NewsInsight 更新終了のお知らせ

NewsInsight 更新終了のお知らせ

2019.06.17

NewsInsightは、諸般の事情により記事更新を終了いたします。

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掲載中の連載記事につきましても同様に、マイナビニュースへ移管いたします。各連載記事の新しい掲載URLにつきましては、以下となります。

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○清水和夫の自動運転ソシオロジー
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○ゲームとともに振り返る“平成”という時代
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○岡安学の「eスポーツ観戦記」
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○企業戦士に贈る「こむぎのことば」
https://news.mynavi.jp/series/komuginokotoba

○藤田朋宏の必殺仕分け人
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○「食べる」をつくる科学と心理
https://news.mynavi.jp/series/food_science

○阿久津良和のITビジネス超前線
https://news.mynavi.jp/series/itbiz

○山下洋一のfilm@11
https://news.mynavi.jp/series/filmat11

○モノのデザイン
https://news.mynavi.jp/series/designofthings

○知って納得、ケータイ業界の"なぜ"
https://news.mynavi.jp/series/mobile_business

○文具ソムリエール・菅未里の「新しいコンパス」
https://news.mynavi.jp/series/bungu

○活字・写植・フォントのデザインの歴史 - 書体設計士・橋本和夫に聞く
https://news.mynavi.jp/series/font-history

○カレー沢薫の時流漂流
https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu

最後になりますが、改めて皆様に感謝いたしますとともに、引き続き、マイナビニュースにてご愛顧いただけましたら幸いです。

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

カレー沢薫の時流漂流 第47回

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

2019.06.17

最近女性の間で「#MeToo」ならぬ「#KuToo」運動がにわかに盛り上がっている。

「#KuToo」とは「靴」と「苦痛」をかけており、職場や就職活動で、足を痛めるパンプスやヒール靴の強要をやめようという運動である。

そもそもそんなの誰も強要してねえよ、と思われるかもしれない。確かに規定として靴の形状やかかとの高さまで定めている会社はレアだろう。しかし、私の元いた会社でも、規則があるわけでも、誰に言われたでもなく、みな一様に黒のパンプスを履いていた。それが「暗黙のルール」であり、それ以外は「非常識」と見られる風潮は確かにあるのである。

これが就職活動になると、パンプスを履いていないだけで「こいつは常識がない」と見なされ不採用になってしまうかもしれない、ということだ。そうなると女子学生は足を負傷してでもパンプスを履かざるを得なくなってしまう。

正直、パンプスは苦痛

パンプスがそんなに苦痛か、というと、靴の中では殺傷能力が高い方である。これは他人への、という意味ではなく自分へのだ。他人を殺傷したいならカウボーイが履いている、かかとにピザカッターがついている奴を履いた方が良い。

狭いつま先に足の指が密集されるため、私もよく爪で隣の指を切って足を血だらけにしていたし、伸縮性にかける素材のため、あわないパンプスだと試着の時点で靴擦れが出来るレベルなのだ。

世の中には素肌に荒縄で亀甲縛りを施し、その上に上等なスーツを羽織って出社している人も多いと思う。とても痛いだろうが、それは強制されたわけではなく、その人が好きで楽しいからやっているのだ。

つまり、好きでもない上にとても痛いパンプスを強制で履かなければいけないというのは、上等なスーツの下が亀甲縛りなことよりも「異常」なことというわけだ。

この運動はすぐに広まり、いきなり国会でも議論されたという。これにより「厚労相がハイヒール強要を容認」という見出しのニュースまで踊り出ることになった。

完全に自由と言われても困るのでは?

「厚生省に、女がハイヒールを履かないと死ぬ病の人が!?」と驚いたが、記事をよく見ると見出しほどのことはなく、厚労相の発言は「これは社会通念に照らして業務上、必要かつ相等な範囲かと、この辺なんだろうと思います」というかなりボンヤリしたものであり、どっちでも良い事を聞かれた私のリアクションに似ている。

しかし「ハイヒールが履けない女は何やってもダメ」などと強い事を言っているわけではないが、「業務上必要ならパンプス履くべきだろ」という「容認」に聞こえなくもない。すぐさま「業務上ハイヒールが必要な仕事って何だよ」という疑問が挙がり、「SMの女王様」「(ハイヒールでキレッキレに踊る)perfume以外ありえない」などの声が相次いだ。

この社会問題がすぐ大喜利になってしまうのは良くも悪くも「ザ・ツイッター」という感じだ。

確かに「業務上必要」となると、まだかかとにピザカッターがついている靴の方が「ピザを食う時」必要な気がする。

ただ、靴や服装を完全に自由化し、何でもOKにすれば良いかというと、それはそれで問題が起きると思う。ファッションに疎くコーディネートが苦手な人間からすれば、職場に何を着ていいのか全く「指針」がないというのは迷子になるし、接する側としても、車を買いにいってディーラーが、イモ―タンジョ―の完コスで出てきたら「キャデラックしか買うことを許されないのか」と委縮してしまう。就活マナー本に「俺の考えた最強の就活ファッションで挑みましょう」とだけ書かれていても逆に困るだろう

着る側としても、それに接する側としても、社会において服装にある程度規定や模範があるというのはメリットでもあるのだ。

そもそも規定や常識というのは、秩序を作ることにより問題を減らすためにあるものなのだ。しかしそれが元で「足を負傷する」という「問題」が起こっているなら本末転倒なので、やはり解消はすべきなのだろう。

極論に流れない寛容さが足りない

おそらく「#KuToo」を提唱している人も「ドラゴン柄のコンバースで就活したい」と言っているわけではないのだ。最近は「パンプスに見えるスニーカー」なども存在するし、パンプスでなくても地味な靴はいくらでもある。そのような靴を履いていても「パンプスじゃないから非常識」と見るのをやめてほしいという話だろう。

ちなみに私が会社員時代履いていたパンプスだが、黒の革靴ではあったが、つま先は限りなく丸く、ヒールはなきに等しい、今思えばあれはパンプスだったのか、70過ぎのババアが旅行に行くときに履くヤツなんじゃないか、という代物であったが、特に何も言われなかった。

「#KuToo」が求めるのも、そのぐらいの「寛容さ」なのではないだろうか。

【お知らせ】
連載「カレー沢薫の時流漂流」の掲載場所を変更します。
→ 新しい掲載場所はこちら https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu