日本アニメを“わかっている”Netflixの2019年ラインアップ

日本アニメを“わかっている”Netflixの2019年ラインアップ

2018.11.28

Netflixが2019年のアニメ作品ラインナップを発表

「エヴァ」TVシリーズを独占配信、オリジナル作品も追加

日本アニメを“わかっている”展開で国内市場への影響も高まるか

最近、アニメ配信で存在感を増しているNetflixが、2019年のアニメ作品ラインアップの発表会を開催した。

SVOD(月額制定額オンラインストリーミングサービス)としては初めて「新世紀エヴァンゲリオン」(2019年春)を全世界独占配信する他、Netflixオリジナルシリーズとして女優・多部未華子さんを声優に起用したストップモーションアニメ「リラックマとカオルさん」(2019年4月19日配信)、3DCGでリメイクされた「聖闘士星矢: Knights of the Zodiac」(2019年夏配信)、満を持してのアニメ化となる「7SEEDS」(2019年4月配信)、月刊ヒーローズで連載中のコミックを3DCGでアニメ化する「ULTRAMAN」(2019年4月1日配信)といった作品がラインアップされている。

今回発表されたタイトル
発表会の司会はアニメ好きで知られるニッポン放送アナウンサー、吉田尚記さん

発表会に登壇したNetflixコンテンツアクイジション部門ディレクターのジョン・ダーデリアン氏は、「2018年はNetflixアニメにとって特別な年。多くのワクワクする作品を世界中のファンに届けることができた。2019年はアニメの夢をもっと大きく見たい」と挨拶した。

Netflixコンテンツアクイジション部門ディレクター ジョン・ダーデリアン氏

ダーデリアン氏が述べたように、ここ数年のNetflixは積極的にアニメ制作と配信に取り組んでいる。2018年は「デビルマン crybaby」や「バキ」、「アグレッシブ烈子」、「B: The Beginning」など話題作も目白押し。新宿地下通路をジャックしたり、AnimeJapan2018に出展したりと「Netflixアニメ」を強く打ち出してきた。

その流れがさらに加速する2019年ラインアップは次の通りだ。

「エヴァ」TVシリーズが配信開始

まずはNetflixのようなSVOD(月額制定額オンラインストリーミングサービス)では初となる、「新世紀エヴァンゲリオン」の配信が2019年春よりスタートする。放送から20年以上たっても絶大な人気を誇るアニメ作品だが、改めて見ようとすると意外に選択肢は限られている。

「新世紀エヴァンゲリオン」

若年層の中には「有名なので概要は知っているけれど、実はTVアニメシリーズを見たことがなかった」という人も多いのでは。NetflixのようなSVODで配信されることで再びファン層を拡大することだろう。なお、劇場版である「EVANGELION: DEATH (TRUE)2」と「新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に」も同時に配信される。

懐かしの作品という点でもう一つ注目なのは、往年の名作「聖闘士星矢」を3DCGでリメイクする「聖闘士星矢:Knight of the Zodiac」。すでに制作は発表されていたが、この日は初めて星矢のビジュアルが公開された。

「聖闘士星矢 Knights of the Zodiac」第2弾ティザーアート

本シリーズでは「銀河戦争(ギャラクシアンウォーズ)篇」から「白銀聖闘士(シルバーセイント)篇」が描かれる予定で、監督は芦野芳晴氏が務める。脚本にはハリウッド映画を手がけるライターも参加するとのことで、国内外からの注目度も高い。2019年夏 全世界独占配信となる。

「リラックマ」脚本は「かもめ食堂」の荻上氏

そしてキーアートや特報映像が公開されたストップモーションアニメの「リラックマとカオルさん」。カオルさんの家に住み着いたリラックマと仲間たちの12ヶ月を描く優しくほろ苦い物語だ。

「リラックマとカオルさん」キーアート

脚本は「かもめ食堂」で知られる荻上直子氏、監督は小林雅仁氏。今回は声優情報が解禁となり、カオルさんの声を女優・多部未華子さんが演じることが明らかになった。映像は4Kで2019年4月19日より全世界独占配信される。

このほか、新規タイトルとして制作決定が発表されたのが「7SEEDS」。2001年から2016年まで長期連載されたコミック作品で、ストーリーが高く評価されている近未来サバイバルSFである。アニメ制作はGONZOが手がけ、監督は高橋幸雄氏が務める。2019年4月全世界独占配信となる。

「7SEEDS」キーアート

また今回、同作に登場する「夏のBチーム」の声優が発表となった。

東山奈央(岩清水 ナツ役)、福山潤(青田 嵐役)、小西克幸(麻井 蝉丸役)、沢海陽子(早乙女 牡丹役)、阿澄佳奈(天道 まつり役)、石田彰(守宮 ちまき役)、悠木碧(草刈 螢役)、井上和彦(百舌戸 要役)(敬称略)

「夏のBチーム」キャスト一覧

フルCGのウルトラマン新作、神山監督が意気込み語る

最後に言わずと知れた特撮ヒーロー「ウルトラマン」のその後をフル3DCGで描く「ULTRAMAN」のティザー映像とキービジュアルが公開された。月刊ヒーローズで連載中の同名コミックをアニメ化した作品で、かつてウルトラマンだった早田進の息子・早田進次郎が新世代のウルトラマンとなるべく奮闘する新たな物語となっている。

「ULTRAMAN」第2弾ティザーアート

アニメ制作はProduction I.GとSOLA DIGITAL ARTS、監督は神山健治氏と荒牧伸志氏が手がける。発表会では両監督からのメッセージも届けられた。

神山監督は「アクションシーンを長くたっぷりやれるのはセルではできなかったこと。原作ファン、特撮のウルトラマンファンに喜んでもらえることを目指している」とコメントし、荒牧監督は「ウルトラマンってなんだろうともう一度考えてつくった作品。アニメの気持ちよさを加味した動きが実現できている」と完成度に自信をのぞかせた。

日本アニメを「理解」したNetflix

2018年に続き、2019年も充実のラインアップをそろえてきたNetflix。発表会で司会を務めた吉田尚記アナウンサーも述べていたが、「ULTRAMAN」に神山健治監督と荒牧伸志監督を起用したり、「7SEEDS」をGONZOが手がけたりと、Netflixは非常に日本のアニメを“わかっている”感がある。

また、世界中にファンを持つ「聖闘士星矢」をリメイクしたり、2020年の「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」を見越して「新世紀エヴァンゲリオン」を“SVOD初”という話題性で打ち出してきたりと、すべての国と世代にリーチできる隙のない作品群だ。

2018年にはオリジナルコンテンツ制作に9,000億円を投じたとも言われているNetflix。日本のアニメ市場への影響は来年以降もさらに増していきそうだ。

関連記事
NewsInsight 更新終了のお知らせ

NewsInsight 更新終了のお知らせ

2019.06.17

NewsInsightは、諸般の事情により記事更新を終了いたします。

ご愛顧いただいた読者の皆様、また関係者の皆様に、編集部一同、誠に感謝いたします。

なお、NewsInsightに掲載中の記事につきましては、引き続きマイナビニュース(https://news.mynavi.jp)へと掲載場所を移管いたします。

掲載中の連載記事につきましても同様に、マイナビニュースへ移管いたします。各連載記事の新しい掲載URLにつきましては、以下となります。

○安東弘樹のクルマ向上委員会!
https://news.mynavi.jp/series/andy

○森口将之のカーデザイン解体新書
https://news.mynavi.jp/series/cardesign

○清水和夫の自動運転ソシオロジー
https://news.mynavi.jp/series/autonomous_car

○ゲームとともに振り返る“平成”という時代
https://news.mynavi.jp/series/game_heisei

○岡安学の「eスポーツ観戦記」
https://news.mynavi.jp/series/e-Sports_review

○企業戦士に贈る「こむぎのことば」
https://news.mynavi.jp/series/komuginokotoba

○藤田朋宏の必殺仕分け人
https://news.mynavi.jp/series/shiwakenin

○「食べる」をつくる科学と心理
https://news.mynavi.jp/series/food_science

○阿久津良和のITビジネス超前線
https://news.mynavi.jp/series/itbiz

○山下洋一のfilm@11
https://news.mynavi.jp/series/filmat11

○モノのデザイン
https://news.mynavi.jp/series/designofthings

○知って納得、ケータイ業界の"なぜ"
https://news.mynavi.jp/series/mobile_business

○文具ソムリエール・菅未里の「新しいコンパス」
https://news.mynavi.jp/series/bungu

○活字・写植・フォントのデザインの歴史 - 書体設計士・橋本和夫に聞く
https://news.mynavi.jp/series/font-history

○カレー沢薫の時流漂流
https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu

最後になりますが、改めて皆様に感謝いたしますとともに、引き続き、マイナビニュースにてご愛顧いただけましたら幸いです。

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

カレー沢薫の時流漂流 第47回

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

2019.06.17

最近女性の間で「#MeToo」ならぬ「#KuToo」運動がにわかに盛り上がっている。

「#KuToo」とは「靴」と「苦痛」をかけており、職場や就職活動で、足を痛めるパンプスやヒール靴の強要をやめようという運動である。

そもそもそんなの誰も強要してねえよ、と思われるかもしれない。確かに規定として靴の形状やかかとの高さまで定めている会社はレアだろう。しかし、私の元いた会社でも、規則があるわけでも、誰に言われたでもなく、みな一様に黒のパンプスを履いていた。それが「暗黙のルール」であり、それ以外は「非常識」と見られる風潮は確かにあるのである。

これが就職活動になると、パンプスを履いていないだけで「こいつは常識がない」と見なされ不採用になってしまうかもしれない、ということだ。そうなると女子学生は足を負傷してでもパンプスを履かざるを得なくなってしまう。

正直、パンプスは苦痛

パンプスがそんなに苦痛か、というと、靴の中では殺傷能力が高い方である。これは他人への、という意味ではなく自分へのだ。他人を殺傷したいならカウボーイが履いている、かかとにピザカッターがついている奴を履いた方が良い。

狭いつま先に足の指が密集されるため、私もよく爪で隣の指を切って足を血だらけにしていたし、伸縮性にかける素材のため、あわないパンプスだと試着の時点で靴擦れが出来るレベルなのだ。

世の中には素肌に荒縄で亀甲縛りを施し、その上に上等なスーツを羽織って出社している人も多いと思う。とても痛いだろうが、それは強制されたわけではなく、その人が好きで楽しいからやっているのだ。

つまり、好きでもない上にとても痛いパンプスを強制で履かなければいけないというのは、上等なスーツの下が亀甲縛りなことよりも「異常」なことというわけだ。

この運動はすぐに広まり、いきなり国会でも議論されたという。これにより「厚労相がハイヒール強要を容認」という見出しのニュースまで踊り出ることになった。

完全に自由と言われても困るのでは?

「厚生省に、女がハイヒールを履かないと死ぬ病の人が!?」と驚いたが、記事をよく見ると見出しほどのことはなく、厚労相の発言は「これは社会通念に照らして業務上、必要かつ相等な範囲かと、この辺なんだろうと思います」というかなりボンヤリしたものであり、どっちでも良い事を聞かれた私のリアクションに似ている。

しかし「ハイヒールが履けない女は何やってもダメ」などと強い事を言っているわけではないが、「業務上必要ならパンプス履くべきだろ」という「容認」に聞こえなくもない。すぐさま「業務上ハイヒールが必要な仕事って何だよ」という疑問が挙がり、「SMの女王様」「(ハイヒールでキレッキレに踊る)perfume以外ありえない」などの声が相次いだ。

この社会問題がすぐ大喜利になってしまうのは良くも悪くも「ザ・ツイッター」という感じだ。

確かに「業務上必要」となると、まだかかとにピザカッターがついている靴の方が「ピザを食う時」必要な気がする。

ただ、靴や服装を完全に自由化し、何でもOKにすれば良いかというと、それはそれで問題が起きると思う。ファッションに疎くコーディネートが苦手な人間からすれば、職場に何を着ていいのか全く「指針」がないというのは迷子になるし、接する側としても、車を買いにいってディーラーが、イモ―タンジョ―の完コスで出てきたら「キャデラックしか買うことを許されないのか」と委縮してしまう。就活マナー本に「俺の考えた最強の就活ファッションで挑みましょう」とだけ書かれていても逆に困るだろう

着る側としても、それに接する側としても、社会において服装にある程度規定や模範があるというのはメリットでもあるのだ。

そもそも規定や常識というのは、秩序を作ることにより問題を減らすためにあるものなのだ。しかしそれが元で「足を負傷する」という「問題」が起こっているなら本末転倒なので、やはり解消はすべきなのだろう。

極論に流れない寛容さが足りない

おそらく「#KuToo」を提唱している人も「ドラゴン柄のコンバースで就活したい」と言っているわけではないのだ。最近は「パンプスに見えるスニーカー」なども存在するし、パンプスでなくても地味な靴はいくらでもある。そのような靴を履いていても「パンプスじゃないから非常識」と見るのをやめてほしいという話だろう。

ちなみに私が会社員時代履いていたパンプスだが、黒の革靴ではあったが、つま先は限りなく丸く、ヒールはなきに等しい、今思えばあれはパンプスだったのか、70過ぎのババアが旅行に行くときに履くヤツなんじゃないか、という代物であったが、特に何も言われなかった。

「#KuToo」が求めるのも、そのぐらいの「寛容さ」なのではないだろうか。

【お知らせ】
連載「カレー沢薫の時流漂流」の掲載場所を変更します。
→ 新しい掲載場所はこちら https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu