勝負は「0.013秒」 クリエイティブで第一印象をコントロールせよ

恋するSNSマーケティング講座 第3回

勝負は「0.013秒」 クリエイティブで第一印象をコントロールせよ

2018.11.28

Facebook社員に「マーケティングのイロハ」を聞く新連載!

第3回は、広告効果に大きな影響を与える「クリエイティブ」について

広告の第一印象は13ミリ秒で決まる?

フェイスブック ジャパンのFacebook/Instagram広告運用コンサルタントに「SNSマーケティング」について聞く連載。初心者~中級者に知ってほしい「マーケティングの考え方」について、全5回にわたって説明します。

キーワードは「恋愛」。とっつきづらいマーケティングも、恋愛に喩えて考えてみると、意外とわかりやすいようです。

本連載ではこれまで、恋愛においてもマーケティングにおいても、「多くの人にリーチすること」「ターゲットとタイミングを考えてアプローチすること」で、“より質の良い出会い”を増やすことができるということを聞いてきた。

しかし、まだそれらに加えて考えるべき重要な要素があるという。それは相手に自分の何をアピールするのか、さらにはそれをどうやってアピールするのか、ということ。情報を相手に届けるための手段が写真なのか、動画なのか、はたまた文字なのか。それらを組み合わせて、どんな内容に仕上げていくのか。

ということで、今回は広告効果を上げるためのクリエイティブ」についての話を聞いてきた。

今回も、フェイスブック ジャパンのクライアントソリューションズマネージャ リード 丸山祐子さんに話を聞きます

物事の判断は「0.013秒」で行われる

丸山さんによると、「どのようなクリエイティブがリーチしたいオーディエンスに刺さるのか」というのは「プラットフォームの特性」によるところが大きいのだという。

たとえば、テレビCMは非常に多くの人に届けることができる反面、細かくユーザーをセグメンテーションすることは難しい。駅張りのポスターであれば「その駅を利用する人」に向けてピンポイントで情報を伝えることができるが、何百万人という人数に向けて大規模な告知をするのは難しいだろう。

つまり、プラットフォームの特性をしっかりと理解して、そこに合ったクリエイティブを作る必要があるというわけだ。

丸山さんによると、FacebookやInstagramは“ビジュアルコミュニケーションプラットフォーム”であり、テキストよりも画像や動画で情報を伝えることに適しているのだという。

「社内調査で、人は13ミリ秒(0.013秒)で見ているものの情報処理を行っているということがわかりました。かつては人の情報処理速度はもっとスローでしたが、スマートフォンが普及したことで、今は画面をスクロールしながら、高速で情報を処理できるようになってきています」(丸山)

確かに、たとえば旅行などで情報を集めるとき、これまでは検索エンジンを使うのが一般的だったが、現在はInstagramを検索して情報収集するという人も増えている。テキストを読み込むよりも画像の方が一瞬で判断できるため、高速で情報を処理する今という時代に即しているからだろう。ITの進化に合わせて、いつの間にか人も進化しているのだ。

商品の「売り出したい点」と相手に「響く点」を見極めよ

FacebookやInstagramなどのSNS広告には画像や動画が適していることはわかった。そうなると次に考えるべきは、「どのようなクリエイティブを作るべきか」ということだ。もう一度、これらのプラットフォームの特性を考えてみよう。

Facebookにはグローバルで22億人、日本で約2900万人の利用者、Instagramではグローバルで10億人、日本で2000万人のアクティブアカウントがあるため、どちらも幅広い層にリーチできるプラットフォームと言える。加えて、どちらも細かくセグメンテーションして広告を出すことができるため、大勢の中から広告を届けたい相手を絞って広告を出すことが可能だ。

続けて丸山さんは「テレビやラジオなどの広告とは異なり、広告を届けたい相手によってクリエイティブを変える、どういったクリエイティブが最適であるかをテストできる、といった点がSNS広告の強みです」と説明する。

例えば、缶コーヒーの広告を出すにしても、「こだわりの豆を使っている」といった商品のメリットを出すパターンもあれば、「寒い朝に温かいドリンクで安らぎを」といった、ブランドの訴求をするパターンもある。デジタル広告の場合には、これらの広告を複数用意・掲載することによって、“どのセグメントに、どのクリエイティブが刺さるのか”ということをテストすることができる。

「相手が求めるものに合わせて、どの部分をアピールするか変えるのが効果的というのは、恋愛でも同じですよね。でも相手が何を求めているのかわからない場合には、自分の中にあるいくつかの要素(『仕事が好き』とか『料理が好き』など)を出してみて、反応をテストするのがいいかなと思います(笑)」(丸山)

複数のクリエイティブで広告効果を向上させる

広告を届けたい相手に合わせてクリエイティブを細かく分けて成功したFacebook広告の例として、日産自動車の『セレナ』が挙げられるという。

セレナには「狭い場所でも開くデュアルバックドア」、「足をかざすとドアが開くハンズフリーオートスライドドア」、「暗い場所でも足元を照らすロングステップ」といった様々な特徴があるが、日産はこれら一つひとつについてクリエイティブを用意し、ターゲットの年齢性別や興味関心といった属性に合わせて表示する広告を変えた。

ペットを飼っている人に向けた「ロングステップ」の訴求、駐車場スペースが限られている人に向けた「チュアルパックドア」の訴求など、異なるターゲットに刺さるクリエイティブを複数用意(facebook business 日産の事例より)

さらに、同じアピール内容でも、属性によって使用する写真やシチュエーションを変えるなど徹底。この施策により、広告効果は大幅に向上したという。

なお、日産は本稿で紹介した以上にクリエイティブを用意している。詳しくは、facebook business の日産の成功事例より確認できる。

プラットフォームに則ったクリエイティブで広告効果UP

また、広告を出す先によってクリエイティブの見られ方が異なることにも注意しなければならない。

「テレビのような大画面で動画を見るのと、モバイルで同じものを見るのとでは利用者の受け取り方も変わります。例えば、テレビの映像は横長なのでモバイル広告用にそのまま転用すると小さくなってしまいます。そこで、モバイルに最適化することが重要になってくるんです」(丸山)

たとえばInstagramでは、横長だけではなく、1:1などの画面占有率の高いクリエイティブの掲載が可能であり、かつストーリーズ広告では縦長フルスクリーンのフォーマットを活かしたクリエイティブの作成ができる。

ここで広告を出すとなると、横長のテレビ素材を応用するだけでは、上下にムダな余白が生じてしまい、縦長で没入間のあるフォーマットを活かしきれないことが多い。「モバイルで見られること」を念頭に置き、クリエイティブのフォーマットを変更する必要がある。

「ストーリーズ」の形に合わせたクリエイティブを作成し、スマホの画面いっぱいを利用した動画を流すことで広告効果の向上に成功(Instagram businessより)

丸山さんは、このストーリーズ広告で成果を出した一例として、化粧品ブランドのSK-IIを紹介した。

もともとInstagramとFacebookのフィード広告で高い効果を上げていたが、ストーリーズ広告の併用でさらに広告想起率を大幅に高めたのだという。

「これまでInstagramは若年女性層向けのブランディングメディアというイメージがありましたが、今はユーザーが拡大しており男性も4割に上ります。そのおかげでECや金融、旅行、人材などダイレクトレスポンス系の広告も増えており、成果を上げている状況です」(丸山)

なおSK-IIの事例は、Instagram business SK-IIの成功事例より確認できる。

広告も恋愛も結局、“第一印象”が重要

ターゲットごとに異なるクリエイティブ、フォーマット、また配置先やABテストを重ね、目的に沿ったクリエイティブを作成する有用性はわかった。では、SNS向けのクリエイティブでそれ以外に意識すべき点はあるのだろうか。

「スマホユーザーが広告に興味関心を持ってくれるかは、最初の1秒で決まります。恋愛も第一印象である程度判断しますよね。恋愛も広告も第一印象が大事、というわけです」(丸山)

***

連載第3回にして、ターゲティング、クリエイティブと、マーケティングを考える上での基礎知識は抑えることができた。

これまでの話で、SNSマーケティングは「マスとセグメント」両方の良いところどりができる、ということがわかったが、だからといって他の広告が必要なくなるわけではない。

次回は、「テレビとSNS広告の相乗効果」というテーマで話を聞く。丸山さんによると「テレビ広告とSNSと組み合わせることによって、広告効果を大幅に上げられる」とのことだが、その方法、および考え方ははどういったものなのだろうか。

第4回「恋するSNSマーケティング講座」はコチラ

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2019.06.17

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2019.06.17

最近女性の間で「#MeToo」ならぬ「#KuToo」運動がにわかに盛り上がっている。

「#KuToo」とは「靴」と「苦痛」をかけており、職場や就職活動で、足を痛めるパンプスやヒール靴の強要をやめようという運動である。

そもそもそんなの誰も強要してねえよ、と思われるかもしれない。確かに規定として靴の形状やかかとの高さまで定めている会社はレアだろう。しかし、私の元いた会社でも、規則があるわけでも、誰に言われたでもなく、みな一様に黒のパンプスを履いていた。それが「暗黙のルール」であり、それ以外は「非常識」と見られる風潮は確かにあるのである。

これが就職活動になると、パンプスを履いていないだけで「こいつは常識がない」と見なされ不採用になってしまうかもしれない、ということだ。そうなると女子学生は足を負傷してでもパンプスを履かざるを得なくなってしまう。

正直、パンプスは苦痛

パンプスがそんなに苦痛か、というと、靴の中では殺傷能力が高い方である。これは他人への、という意味ではなく自分へのだ。他人を殺傷したいならカウボーイが履いている、かかとにピザカッターがついている奴を履いた方が良い。

狭いつま先に足の指が密集されるため、私もよく爪で隣の指を切って足を血だらけにしていたし、伸縮性にかける素材のため、あわないパンプスだと試着の時点で靴擦れが出来るレベルなのだ。

世の中には素肌に荒縄で亀甲縛りを施し、その上に上等なスーツを羽織って出社している人も多いと思う。とても痛いだろうが、それは強制されたわけではなく、その人が好きで楽しいからやっているのだ。

つまり、好きでもない上にとても痛いパンプスを強制で履かなければいけないというのは、上等なスーツの下が亀甲縛りなことよりも「異常」なことというわけだ。

この運動はすぐに広まり、いきなり国会でも議論されたという。これにより「厚労相がハイヒール強要を容認」という見出しのニュースまで踊り出ることになった。

完全に自由と言われても困るのでは?

「厚生省に、女がハイヒールを履かないと死ぬ病の人が!?」と驚いたが、記事をよく見ると見出しほどのことはなく、厚労相の発言は「これは社会通念に照らして業務上、必要かつ相等な範囲かと、この辺なんだろうと思います」というかなりボンヤリしたものであり、どっちでも良い事を聞かれた私のリアクションに似ている。

しかし「ハイヒールが履けない女は何やってもダメ」などと強い事を言っているわけではないが、「業務上必要ならパンプス履くべきだろ」という「容認」に聞こえなくもない。すぐさま「業務上ハイヒールが必要な仕事って何だよ」という疑問が挙がり、「SMの女王様」「(ハイヒールでキレッキレに踊る)perfume以外ありえない」などの声が相次いだ。

この社会問題がすぐ大喜利になってしまうのは良くも悪くも「ザ・ツイッター」という感じだ。

確かに「業務上必要」となると、まだかかとにピザカッターがついている靴の方が「ピザを食う時」必要な気がする。

ただ、靴や服装を完全に自由化し、何でもOKにすれば良いかというと、それはそれで問題が起きると思う。ファッションに疎くコーディネートが苦手な人間からすれば、職場に何を着ていいのか全く「指針」がないというのは迷子になるし、接する側としても、車を買いにいってディーラーが、イモ―タンジョ―の完コスで出てきたら「キャデラックしか買うことを許されないのか」と委縮してしまう。就活マナー本に「俺の考えた最強の就活ファッションで挑みましょう」とだけ書かれていても逆に困るだろう

着る側としても、それに接する側としても、社会において服装にある程度規定や模範があるというのはメリットでもあるのだ。

そもそも規定や常識というのは、秩序を作ることにより問題を減らすためにあるものなのだ。しかしそれが元で「足を負傷する」という「問題」が起こっているなら本末転倒なので、やはり解消はすべきなのだろう。

極論に流れない寛容さが足りない

おそらく「#KuToo」を提唱している人も「ドラゴン柄のコンバースで就活したい」と言っているわけではないのだ。最近は「パンプスに見えるスニーカー」なども存在するし、パンプスでなくても地味な靴はいくらでもある。そのような靴を履いていても「パンプスじゃないから非常識」と見るのをやめてほしいという話だろう。

ちなみに私が会社員時代履いていたパンプスだが、黒の革靴ではあったが、つま先は限りなく丸く、ヒールはなきに等しい、今思えばあれはパンプスだったのか、70過ぎのババアが旅行に行くときに履くヤツなんじゃないか、という代物であったが、特に何も言われなかった。

「#KuToo」が求めるのも、そのぐらいの「寛容さ」なのではないだろうか。

【お知らせ】
連載「カレー沢薫の時流漂流」の掲載場所を変更します。
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