ゲーミングスマホが日本初上陸、「モバイルeスポーツ」市場の成長ドライバーになるか

ゲーミングスマホが日本初上陸、「モバイルeスポーツ」市場の成長ドライバーになるか

2018.11.26

ASUSが日本向けゲーミングスマホを発売

周辺機器も複数登場、プロゲーマーへの普及を狙う

世界に遅れる「モバイルeスポーツ市場」の成長につながるか

ASUS JAPANがゲームに特化したスマートフォン「ROG Phone」を発売した。いわゆる「ゲーミングスマホ」に分類されるデバイスが初めて日本市場に上陸する形になった。

ASUSのゲーミングスマホ「ROG Phone」

近年、ゲーミング市場はプロゲーマーの活躍や「eスポーツ」の人気が高まり、活況を呈している。これまではPCを中心に盛り上がっており、日本はやや乗り遅れていたが、モバイルへと拡大する兆しが見えてきたことで、注目度が上がりそうだ。

PCを中心に盛り上がってきたゲーミング市場

世界のゲーミング市場の拡大を牽引しているのが、PCだ。高性能で拡張性も高いことから、「eスポーツ」に採用されるFPSやRTSといった競技性の高いゲームに向いている。日本はゲーム大国とされる一方、コンシューマー機やモバイル端末の人気が高いことから、eスポーツには乗り遅れているのが現状である。

日本でも盛り上がりつつあるが海外には遅れをとっている

国内における課題として、eスポーツの試合の観客や、プレイ人口の少なさが指摘されている。プロスポーツと同様に、観客が少なければビジネスとして成立しない。そこで期待されるのが、モバイルへの対応だ。

スマホ黎明期にはパズルゲームやカードゲームが主流で、現在でもその人気は続いているが、スマホの性能は急速に高まっており、部分的にはPCに肩を並べるレベルに達している。日本の若年層に大ヒットした中国NetEaseのバトルロイヤルゲーム「荒野行動」も、スマホ版を中心に据えている。

ROG Phoneの国内発表には人気女性プロゲーマーのChocoBlankaさん(左)も駆け付けた

こうした本格的なスマホゲームのプレイヤーが増えるにつれ、ハードも進化しており、海外では複数のメーカーが「ゲーミングスマホ」を販売している。その中で台湾のASUSはゲーミングブランド「ROG」のスマホを発表し、日本初上陸を果たす形になった。果たして普通のスマホとどう違うのか、以下に見ていこう。

ゲーミング向け機能を満載した「ROG Phone」

ASUSの「ROG Phone」は、ゲーミングに特化した機能を満載したAndroidスマートフォンで、スマホの最上位モデルに採用される「Snapdragon 845」チップの性能をさらに引き上げた「オーバークロック版」を搭載している。8GBのメモリや512GBのストレージはPCに匹敵する。

だが、スマホで高い性能を引き出すことは意外と難しい。その理由が冷却の問題だ。温度が上がるとスマホは性能を落とすことで部品を守ろうとする。スマホを持つ手が汗ばむのも不快だ。そこでROG Phoneは空冷ファンを装着して冷やせるようになっている。

スマホの発熱を抑える冷却ファンを装着できる

しかし、PCと比べるとスマホは操作性に限界がある。例えば、画面をタッチしようとすると、自分の手で画面が見づらくなる。そこで、端末の側面に触れることでタッチ操作を代用する機能を搭載。画面をなるべく広く見渡せる操作感を実現した。

スマホの側面を利用してタッチ操作ができる「AirTrigger」

ほかにも大型ディスプレイやキーボードをつなぐドック、スマホに装着するコントローラーなど、専用の周辺機器を同時発売する。

ドックやコントローラーなど周辺機器も充実する

ROG Phoneの本体価格は11万9500円(税別)で、スペックを考えれば妥当な価格といえる。だが、ASUSのROGはプロゲーマーを意識したブランドであることが示すように、カジュアルに楽しむ層に向けた製品ではない。スマホを駆使するプロゲーマーが活躍するような、「モバイルeスポーツ」市場が広がるかどうかが鍵になるだろう。

過熱するスマホゲーム人気を背景に、ゲーム大会や動画配信で人気を集めるプレイヤーは徐々に増えている。ASUSの取り組みとしては、企業や学校法人向けの説明会を開き、プロゲーミングチーム「DETONATOR」と連携したイベントも開催していくという。

日本では若者のPC利用率が低いとされる一方、高性能なスマホが広く普及しており、本格的なスマホゲームが爆発的に普及する下地はある。ゲーミングスマホの上陸をきっかけに、モバイルeスポーツの人気に火が付くかどうか注目したい。

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2019.06.17

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放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

カレー沢薫の時流漂流 第47回

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

2019.06.17

最近女性の間で「#MeToo」ならぬ「#KuToo」運動がにわかに盛り上がっている。

「#KuToo」とは「靴」と「苦痛」をかけており、職場や就職活動で、足を痛めるパンプスやヒール靴の強要をやめようという運動である。

そもそもそんなの誰も強要してねえよ、と思われるかもしれない。確かに規定として靴の形状やかかとの高さまで定めている会社はレアだろう。しかし、私の元いた会社でも、規則があるわけでも、誰に言われたでもなく、みな一様に黒のパンプスを履いていた。それが「暗黙のルール」であり、それ以外は「非常識」と見られる風潮は確かにあるのである。

これが就職活動になると、パンプスを履いていないだけで「こいつは常識がない」と見なされ不採用になってしまうかもしれない、ということだ。そうなると女子学生は足を負傷してでもパンプスを履かざるを得なくなってしまう。

正直、パンプスは苦痛

パンプスがそんなに苦痛か、というと、靴の中では殺傷能力が高い方である。これは他人への、という意味ではなく自分へのだ。他人を殺傷したいならカウボーイが履いている、かかとにピザカッターがついている奴を履いた方が良い。

狭いつま先に足の指が密集されるため、私もよく爪で隣の指を切って足を血だらけにしていたし、伸縮性にかける素材のため、あわないパンプスだと試着の時点で靴擦れが出来るレベルなのだ。

世の中には素肌に荒縄で亀甲縛りを施し、その上に上等なスーツを羽織って出社している人も多いと思う。とても痛いだろうが、それは強制されたわけではなく、その人が好きで楽しいからやっているのだ。

つまり、好きでもない上にとても痛いパンプスを強制で履かなければいけないというのは、上等なスーツの下が亀甲縛りなことよりも「異常」なことというわけだ。

この運動はすぐに広まり、いきなり国会でも議論されたという。これにより「厚労相がハイヒール強要を容認」という見出しのニュースまで踊り出ることになった。

完全に自由と言われても困るのでは?

「厚生省に、女がハイヒールを履かないと死ぬ病の人が!?」と驚いたが、記事をよく見ると見出しほどのことはなく、厚労相の発言は「これは社会通念に照らして業務上、必要かつ相等な範囲かと、この辺なんだろうと思います」というかなりボンヤリしたものであり、どっちでも良い事を聞かれた私のリアクションに似ている。

しかし「ハイヒールが履けない女は何やってもダメ」などと強い事を言っているわけではないが、「業務上必要ならパンプス履くべきだろ」という「容認」に聞こえなくもない。すぐさま「業務上ハイヒールが必要な仕事って何だよ」という疑問が挙がり、「SMの女王様」「(ハイヒールでキレッキレに踊る)perfume以外ありえない」などの声が相次いだ。

この社会問題がすぐ大喜利になってしまうのは良くも悪くも「ザ・ツイッター」という感じだ。

確かに「業務上必要」となると、まだかかとにピザカッターがついている靴の方が「ピザを食う時」必要な気がする。

ただ、靴や服装を完全に自由化し、何でもOKにすれば良いかというと、それはそれで問題が起きると思う。ファッションに疎くコーディネートが苦手な人間からすれば、職場に何を着ていいのか全く「指針」がないというのは迷子になるし、接する側としても、車を買いにいってディーラーが、イモ―タンジョ―の完コスで出てきたら「キャデラックしか買うことを許されないのか」と委縮してしまう。就活マナー本に「俺の考えた最強の就活ファッションで挑みましょう」とだけ書かれていても逆に困るだろう

着る側としても、それに接する側としても、社会において服装にある程度規定や模範があるというのはメリットでもあるのだ。

そもそも規定や常識というのは、秩序を作ることにより問題を減らすためにあるものなのだ。しかしそれが元で「足を負傷する」という「問題」が起こっているなら本末転倒なので、やはり解消はすべきなのだろう。

極論に流れない寛容さが足りない

おそらく「#KuToo」を提唱している人も「ドラゴン柄のコンバースで就活したい」と言っているわけではないのだ。最近は「パンプスに見えるスニーカー」なども存在するし、パンプスでなくても地味な靴はいくらでもある。そのような靴を履いていても「パンプスじゃないから非常識」と見るのをやめてほしいという話だろう。

ちなみに私が会社員時代履いていたパンプスだが、黒の革靴ではあったが、つま先は限りなく丸く、ヒールはなきに等しい、今思えばあれはパンプスだったのか、70過ぎのババアが旅行に行くときに履くヤツなんじゃないか、という代物であったが、特に何も言われなかった。

「#KuToo」が求めるのも、そのぐらいの「寛容さ」なのではないだろうか。

【お知らせ】
連載「カレー沢薫の時流漂流」の掲載場所を変更します。
→ 新しい掲載場所はこちら https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu